津戸が淵の物の怪
むかし、むかし、谷保天神の南に大きな沼がありました。
まわりには葦が茂り、不気味なかんじの沼でした。
ここで釣りをしていた人が沼に引きずり込まれたり、遊んでいた子供が溺れたり、不吉なことがおこるようになりました。
ある時、畑仕事で遅くなったお百姓さんがこの沼の近くを通りました。
日はもうとっぷりと暮れていました。お百姓さんは帰りを急いでいました。
その時、葦がざわざわと揺れ、真っ赤な火の玉が近づいてきました。
お百姓さんは、びっくりして荷物を放り出し、逃げ帰りました。
その話を聞いた谷保天神の宮司津戸為守は、物の怪を退治に出かけました。
月の無い夜、為守は沼の葦の中に身を隠して物の怪が現れるのを待ちました。
突然、沼に波が立ち、異様なにおいがあたりに漂ってきました。
その時、らんらんと輝いている2つの火の玉が、為守に襲いかかってきました。
為守は刀を抜き、物の怪を斬って落としました。
物の怪は一匹の大蛇でした。
その後は、この沼には不吉なことは起こりませんでした。
その後、ここは津戸が淵と呼ばれるようになりました。