玉造小町物語
むかし、むかし、今から1200年くらい前のこと、玉造(たまつくり)というところに一人の美しい女の人がいました。
その美しさは、言葉では言い表せないくらい。「玉造小町(たまつくりこまち)」と呼ばれていました。
ところが、玉造小町は、重い病にかかってしまいました。
輝くばかりに美しかった女の人の顔は、みるみるみにくく変わり、二目と見られないように変わってしまいました。
玉造小町は、悲しくて死ぬことばかり考えて暮らしていました。
ある時、武蔵国分寺に奇蹟を起こす石のあることを聞きました。
玉造小町は、顔を頭巾で隠し、国分寺にやってきました。
国分寺薬師に詣で、心から病気の全快を祈りました。
その時、一人の可愛い子供が現れて、手招きをします。
玉造小町が、子供のあとをついて行くと、小さな池がありました。
「この池の水で体を洗いなさい。七日続けて洗いなさい。」
そう言うと、子供の姿は消えてしまいました。
玉造小町は言われたとおり、七日間 体をこの池で洗いました。
七日目の朝、池に美しい虹がかかりました。その虹の橋に弁財天が現れたのです。
弁財天は、玉造小町に向かってにっこりと笑いかけました。
玉造小町が、弁財天に近づこうとしたとき、虹とともに弁財天の姿は消えてしまいました。
玉造小町は、池の端にひざまずきました。
ふと、池の中を見ると、池の波紋の中に美しい女の人が映っています。
弁財天が現れたと思ったのですが、先程の弁財天とは違う人のようです。
波紋が消えて、映っている女の人の姿がはっきりと見えました。
その姿は、玉造小町その人だったのです。
もとの美しい玉造小町が映っていたのです。
玉造小町は、喜び、国分寺薬師と弁財天に心からお礼を言って、玉造に帰って行きました。