【適応】
@軽症うつ病、抑うつ神経症、Aナルコレプシー
【用法】
@軽症うつ病、抑うつ神経症:1日20〜30mg、2〜3回に分服(増減)
Aナルコレプシー:1日20〜60mg、1〜2回に分服(増減)
【注意】
1.一般的注意
a)覚醒効果があるので、不眠に注意し、夕刻以後の服薬は原則として避ける。
b)連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し、特に薬物依存、アルコール中毒等の既往歴のある患者には慎重に投与する。
c)投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないように注意する。
2.禁忌
a)過度の不安、緊張、興奮性のある患者〔中枢神経刺激作用により症状を悪化させることがある〕
b)緑内障のある患者〔眼圧を上昇させるおそれがある〕
c)甲状腺機能亢進症のある患者〔循環器系に影響を及ぼすことがある〕
d)不整頻拍、狭心症のある患者〔症状を悪化させるおそれがある〕
e)本剤に対し過敏症の既往歴のある患者
f)運動性チック、Tourette症候群の患者又はその既往歴・家族歴のある患者〔症状を悪化又は誘発させることがある〕
3.原則禁忌
6歳未満の小児(小児への投与の項参照)
4.慎重投与
a)てんかんの既往歴のある患者〔痙攣閾値を低下させ、発作を誘発させるおそれがある〕
b)高血圧の患者〔血圧を上昇させるおそれがある〕
5.相互作用、併用注意
a)昇圧剤、MAO阻害剤〔本剤の交感神経刺激作用により、これらの作用を増強させることがある〕
b)クマリン系抗凝血剤、抗痙攣剤(フェノバルビタール、フェニトイン、プリミドン)、フェニルブタゾン、三環系抗うつ剤(イミプラミン、デシプラミン等)〔血中濃度の上昇によりこれらの作用を増強させることがある〕
c)グアネチジン〔交感神経遮断作用に拮抗し、降圧作用を減弱させることがある〕
d)アルコール〔精神神経系の副作用が増強されることがある〕
6.副作用
a)重大な副作用:剥脱性皮膚炎(症状があらわれた場合には中止し、適切な処置を行う)
b)重大な副作用(外国症例):外国において次の副作用が報告されている。このような副作用があらわれた場合には中止し、適切な処置を行う(脳動脈炎、及び梗塞、狭心症)
c)その他の副作用
ア)過敏症:発疹、関節痛、紅班等〔このような症状があらわれた場合には中止する〕
イ)精神神経系:不眠、眠気、不安、焦燥、興奮、神経過敏、幻覚、妄想、頭痛・頭重、めまい、振戦、うつ状態、行為心拍、易怒・攻撃的、注意集中困難、チック等。大量投与によるけいれん、常同運動、運動高進、中毒性精神障害〔観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には中枢抑制剤(睡眠薬、抗不安薬、抗精神病薬)の投与等適切な処置を行う〕。また、作用消失後の眠気、抑制、不機嫌、不快感、倦怠感、易疲労感
ウ)消化器:食欲不振、悪心・嘔吐、胃部不快感、便秘、口渇、下痢、口内炎等
エ)循環器:頻脈、新規高進、不整脈、胸部圧迫感、血圧上昇、血圧下降等
オ)その他:発熱、発汗、体重減少、血小板減少性紫斑、頻尿、排尿障害、筋緊張、性欲減退、視調節障害、霧視等
7.高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意すること。
8.妊婦への投与
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。
9.小児への投与
a)6歳未満の小児には投与しない(安全性が確立していない)
b)小児に長期投与した場合、体重増加の抑制、成長遅延が報告されている。
10.その他
外国で次の副作用が現れたとの報告がある
a)精神神経系:舞踏病様症状、Tourette症候群、ジスキネジア
b)血液:白血球減少、血小板減少、貧血
c)その他:脱毛
11.過量投与・急性中毒
a)徴候・症状:主に中枢神経系の過剰刺激及び過度の交感神経興奮に起因する次の諸症状〔嘔吐、激越、振戦、反射高進、筋れん縮、けいれん(昏睡を続発することがある)、多幸感、錯乱、幻覚、せん妄、発汗、潮紅、頭痛、高熱、頻脈、心悸高進、不整脈、高血圧、散瞳、粘膜乾燥〕
b)処置:症状に応じた支持療法を行う。自己損傷の防止、過刺激症状をさらに悪化させる外部刺激の排除に留意。徴候・症状がそれほど重篤ではなく、患者に意識がある場合には催吐あるいは胃洗浄によって胃内容物を除去する。重篤な場合は胃洗浄の前に短時間作用型バルビツール酸系薬剤を用量に注意し投与する。血液循環と呼吸の維持に集中治療を行う。高熱に対しては物理的な解熱処置をとる。本剤過量服用に対する腹膜透析、血液透析の有効性は確立していない。
【作用】
1.薬効薬理
a)中枢興奮作用
大脳半球及び脳幹に高く分布(ラット・経口投与)、上位運動中枢及び知覚・感覚系作用が示唆されるが、作用機序はまだ不明。マウス、ラット、ウサギ、イヌに0.5〜5mg/kgの経口又は非経口的投与で運動高進、攻撃的行動、闘争的衝動等の中枢興奮症状
b)自発運動に及ぼす影響
マウスに15mg/kg経口投与による振動カゴ実験では1時間後に運動量は未処置群の4倍、ラットによる回転カゴ実験では10mg/kg経口投与で自発運動は著明に高進。この運動高進作用は強さと持続性でメタンフェタミンとカフェインのほぼ中間
c)睡眠に及ぼす影響
REM型ナルコレプシーの患者(13例)に10〜40mg投与し、同日の午前(無投薬)と午後(試験薬投与後)2回反復時の1時間のポリグラフィでは、入眠前覚醒持続時間(入眠潜時)が3.5倍に延長、強力な覚醒作用。入眠時REM期の持続時間が短縮、REM睡眠抑制作用
2.体内薬物動態(外国健常人、カーボン14標識体経口投与)
血漿中カーボン14(主に代謝物濃度)は投与約2時間後最高。8,48時間後の尿中排泄率はそれぞれ50%、90%、糞中にはごく少量。尿中主要代謝産物は脱エステル化体80%。半減期7時間
3.臨床適用
a)臨床効果
ナルコレプシーに対する有効率89.6%(95/106)。二重盲検比較試験で有用性が認められている。
b)副作用(承認時及び承認後)
全症例中61.9%(201/325)に副作用が認められ、うち口渇32.9%、頭痛14.8%、発汗24.3%、食欲減退16.9%等
4.非臨床試験
a)毒性LD50(mg/kg)
マウス:経口=300、皮下=150、静注=40
ラット:経口=450、皮下=170、静注=70
ウサギ:経口=900、皮下=170、静注=30
b)胎児試験:妊娠10日目のマウス腹腔内投与では、200mg/kg投与群に、処置後1日間食飼摂取量低下し、死胎児数増加。奇形児率には著変はない。
c)ガン原性
B6C3F1マウス試験では、雌雄両性で肝細胞腺腫の増加、60mg/kg/日投与群の雄で肝芽細胞腫の発現。
d)変異原性
チャイニーズハムスターの培養卵細胞試験では姉妹染色体分体変換と染色体異常の増加が見られ、弱い染色体異常誘発性が認められた。