暮らす街

溝蓋の目に、車椅子の前輪が・・・

 

高齢になればどのような障害をかかえることになるのかわかりません。

生前、車椅子の父と近所を散歩しました。

段差のなさそうな道を考えてコースを選び散歩をはじめました。が、すぐにトラブル。
水路を暗渠にして歩道として使っているのですが、時々開けてある穴を塞ぐ金属の溝蓋(グレーチング)に車椅子の前輪がはまり、がくっと車椅子が前に傾きました。そのときは父が手で支えたのか、こけずに済んだのです。が、歩道と車道の境には石が並んでいて、結局、私たちは車道を行くしかありませんでした。
車椅子に慣れていたわけでもない父は、座っていて、押してもらっていて、どんなに恐かったでしょう。安心して景色や空気を楽しめなかったでしょうね。怪我をしなくて、ほっとしました。
そして、私たちは、街にはこういうことがあるのだ、と勉強させていただきました。

帰宅後、話しました。これじゃあ散歩できないね、と。
この街はちょっと、弱者に冷たい街だね、と。

平成4年頃のことです。

その後近所の散歩はしないまま、もっぱら戸口で車に乗り込み、車椅子も積み込み、移動していました。観光地などは、車椅子に配慮されたところも多く、無理な所はあきらめるということで、私たちはそれなりに楽しめたと思います。

平成5年に父は亡くなりました。
そして、私たちは車椅子を押して移動する事もなくなり、溝蓋(グレーチング)のことも、半分くらい忘れてしまっていました。

平成11年春ごろのある日、グレーチングの目に車椅子の前輪が落ちて、怪我された方のことを聞きました。

車椅子の奥様を介助のご主人様が押して、散歩をしておられたのですが、目が横向きになっているので安心して進んでいったところ、1枚方向が違っていて、それに気づかず、はまってしまったのでした。奥様は手もご不自由なので体を支えることができずに眉間に傷を負われたのです。幸い大した怪我にはならずほっとしましたが、、、。

市会議員さんが市の担当に伝えてくださりました。怪我の状態を聞かれたとのことでした。
けがは軽くてすんだけれど、溝蓋さえ早急に改善していただければ、また同じことが起こるのを防ぐことができるし、打ち所が悪ければ大変なことになったのだから、きっときっとすぐに改善措置をとっていただけるものと信じていました。

でも残念ながら、そう簡単ではなかったのです。

もとはといえば、わたしたちが父の車椅子を押していてそれに気づいた時に、ちゃんと何らかのアクションを起こしておけば、ちゃんと改善されて、約5年後のこの出来事は起こらなかったかもしれません。とても悔やまれます。

現在(平成13年1月)、市のほうでは、市民からの危険個所の指摘があれば、順次検査の上、差し替えるとの事のようです。このように担当部署が対応してくれるのは、うれしいことです。今後、見守っていきたいと思います。

もちろん、新たに設置するものについては、目の細かいものを使用してくれるものと信じています。

ところで、平成11年に、高速道路の排水の蓋が徐々にずれ、それを車が踏んで蓋が飛んで、対向車線の運転手に直撃して、死亡事故が起こりました。覚えておいででしょうか?確か、その後、すぐに危険な場所の点検が行なわれて改善されたと記憶しています。

私の周りで起こった車椅子の事故。怪我は幸いにもたいしたことはなかったのです。だから、すぐに全市的に危険個所を調査したり、欲を言えば、すべてのグレーチングを目の細かいものに差し替えるなどのアクションがなされなかったのでしょうか?
死亡事故や、重傷の事故が起こらなければ、すばやい対応が出来ないのならとても悲しい事です。

しかし、指摘があれば対応するのでも、一応よしとしなければ・・・。

これからは徐々にではあるけれど、グレーチングの目に阻まれて車椅子で自由に散歩できないなどということはなくなっていくでしょう。期待しています。

余談ですが

目の粗いグレーチングは、車椅子の前輪だけではなく、ベビーカーの車輪、自転車、杖などが、はまってしまったリ、はまりそうになったりするのです。
自分には関係ないこと、ではありません。決して。

そして、近年、バリアフリーの街づくりがいわれてのち、行政区域のそういったグレーチングをすべて目の細かいものに置き換えられている場合が多いそうです。
私が橿原市の現実を相談した、他市の土木担当者は、今ごろそういった現状(目の粗いグレーチングが設置されている事)があることを「信じられない・・・」と絶句していました。
また、そのとき怪我をなさった暗渠のおよその工事年を告げると、「その頃にはすでにバリアフリーの街づくりをすすめていた時だ・・・・考えられない・・・・」とのことでした。

各行政区によって、対応がずいぶん違うという事を学びました。

 

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