暮らす街
心の障害・・・心を病むってどんなこと?
下記のものは奈良県精神保健福祉センターが、精神障害、精神分裂病を正しく理解してもらうために作った冊子を要約したものです。
街というテーマと直接関係ないかもしれません。最初、このページを作り始めたときは、目に見える不都合や制度的なことにだけ、私自身も目が向いていました。書き進んでいくうちに、気づいた事・・・何が住み辛さになっているのか、生活しづらさになっているのか、お互い知らない事が、一番生活の障害なんじゃないかと・・・。
今回は、見えない心の障害のことです。
以前に聞いたことですが、作業所を作ろうとして、近隣の理解を得るのに大変苦労なさったそうです。ここに、このような1ページを設けて、何か理解の助けになるでしょうか?わけのわからない偏見を解くことができれば、理解に努力しようと言う動きのきっかけになれば、と思います。
まず、この冊子の「はじめに」に書かれていることですが、一部引用しましょう。
・・・(前略)・・・
この冊子は、「精神障害の障害とはなんやねん?」こんな率直な疑問に誰もが理解できるような説明を心がけたつもりですが、この冊子を読んでいただく前にここで確認しておかなければならないことがあります。障害は個人の生活能力のとぼしさとして表れ、そしてそれは個人を囲む社会状況によって変化するものです。その両者が相互に関係し合って問題を作り出しているため、切り離す事はできません。
また、精神分裂病の場合、個人の生活能力のとぼしさをどのような方法(リハビリテーション)で改善できるかの答えは、残念ながら現在のところ明確ではありません。ですから、この冊子では個々の障害なるものを次々羅列して、その障害を克服しなさいという事を意味するものではなく、社会がこれらの障害に合った制度・サービス等(もちろん行政が中心となり)を生み出すことで、問題が、それなりに軽減されるのとを強調したいのです。
・・・(後略)・・・
精神障害の障害とは・・・?
‐‐精神分裂病を正しく理解するために‐‐
奈良県精神保健福祉センター
目次
1、精神分裂病とは
◆発病の頻度 約1% 極めて頻度の高い病気といえる
◆好発年齢:思春期から30歳ごろまで
◆誤った理解
「遺伝病である」→本当は、遺伝病ではない。
「育て方の問題だ」→そうではない
=>素質・・・いくつかの仮説あり(ドーパミン仮説もひとつ)
ドーパミン仮説:脳細胞の間に介在している神経伝達物質の一つのドーパミンとその受容体が関係している・・ドーパミンの働きが過剰になるため、こういった症状が引き起こされるといわれているが、まだよくわかっていない
◆症状
急性期=発病初期、あるいは再発により症状が悪化した時
幻覚、妄想、興奮、自我障害など→睡眠を回復したり症状そのものを鎮めるためにも少しでも早く病院を受診することを考えてください
回復期=いわゆる「病み上がり」の時期
急性期の消耗エネルギーが激しく、神経や身体が時間をかけてエネルギーを蓄えようとしている時期
回復期の前半はエネルギーの消耗著しく、「動くに動けない状態」→「休息期」=この時期は良い眠りをとることでエネルギーが蓄積する=「ぐっすり眠れた」が重要=焦らず「まず待つ」本人も家族も・・
休息期が過ぎるとゆっくり回復の過程が本格的になってくる→この時期もやはり焦りは禁物で、無理ないリズムで少しずつやっていく=ディケア、保健所・作業所のプログラムに参加が有効
2.治療について
◆治療の種類
薬物療法:症状を抑えたり、和らげるのに有効。様々な種類の抗精神薬がある。薬物の中断は再発につながることがあるので、症状が治まっても服薬は医師と相談の上続ける必要がある。個人差があるが、服薬による副作用も現れることがある。気軽に相談できる医師との関係をつくることが大切。
精神療法(カウンセリング):治療への動機付け、心の動きの安定
作業療法:社会機能の回復
SST(生活技能訓練):生活技術を実際の場面を作り、うまくやれるコツを体得しようという練習
ディケア:通院中の人を対象に医学的リハビリテーション
訪問看護:看護士、ソーシャルワーカーなどの家庭訪問
3.再発を防ぐために
◆再発の原因
服薬の中断:主治医とよく相談する事、勝手な判断でやめたり減らしたりしない事
過度のストレス:身近に相談できる人を持つ事
家族の接し方:過度な心配・感情的はいけない、余裕を持つ、家族会などで交流
◆再発の前ぶれ
不眠、体重減少、イライラ、過敏、被害的発想、生活リズムが乱れる、など
◆生活障害とは
能力障害=機能障害に伴う生活技能や職業機能の障害を意味する→生活障害と表すことにする
◆生活障害について
| 生活障害 | 行動の特性 |
*生活の仕方が苦手
*人付き合いが苦手
*就労能力の不足
*生活経過が不安定
*生きがいのなさ
|
*一時にたくさんの課題に直面すると混乱しやすい *注意や関心の幅が狭い *全体の把握が苦手 *段取りをつけることが苦手 *話や行動が唐突 *あいまいな状況が苦手 *場にふさわしい態度がとりにくい *融通が利かず杓子定規 *現実吟味が弱く高望みしがち *自分中心に物事を考えがち *視点の変更が苦手 |
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「生活障害」や「行動特性」のほかに次の2点に触れておく必要があります。
1つは、障害の受容が難しいという事です。これは、これまで説明したような「生活障害」や「行動特性」を自覚しにくかったり、認めにくいという事です。
もう一つが再発のしやすさです。これは前に触れたようにいくつかの原因があります。周囲の人が生活障害や行動障害に配慮して接すれば再発を防ぐ事ができます。
◆自立と社会参加のために
いろいろな活動の場(ディケア、作業所ワークグループなど)に参加することで
昼間、でかけるところができ、家族との関係が改善する
昼夜逆転していた生活が、健康な生活リズムに戻る
焦って就職して失敗するより、仕事につくために準備も必要と考えられるようになる
同じ病や障害をもつもの同士なので、本音で語り合える仲間ができる
閉じこもりがちな生活から楽しみを見つけ、生活にゆとりができる
病気を冷静にみつめることができ、どこが病気かを理解できるようになる
再発を上手に防ぎ、スムースな回復を歩める
◆精神分裂病に対する社会の無理解や偏見などのために、生活のいろいろな場面で不自由な思いをする事=社会的不利
◆社会的入院という実情
入院中の精神障害者の約60%(平成8年調べ)が長期入院患者(3年から20年以上)=社会的入院=受け皿さえあれば退院できる
長期入院によって地域社会での経験を制限され、退院してもついていけない=ゆっくり慣れなくてはいけない=例えば物価、慣例その他
◆受け入れ地域社会の無理解・偏見=早期治療、社会復帰・社会参加を困難にしている
◆精神障害者の障害は、身体障害の肢体不自由のように、形として障害が目に見えないため、社会の理解をえにくい
◆若くして発病するために、経験不足を招きやすい
◆周囲の偏見のために、治療を受けなかったり、あるいは一人で解決しようとすることで、症状が悪化し、治療が長期化する人も多い
◆このように精神分裂病に対する偏見が、病気や障害の受容を妨げる原因ともなり、精神障害者の早期治療や社会復帰・社会参加への大きな障壁になっている。
◆「障害があっても街でともに暮らすこと」を支える地域社会の理解と受容が必要
以上
分かりにくかったかと思います。ずらずらと書き並べましたから・・・
各県に、精神保健福祉センターがあります。きっと毎年、いろいろなイベントをしていると思います。
興味もたれた方は、問い合わせなどしてみてはいかがでしょう。
2001/7
最後に参考までに・・・
◎躁鬱病:
特に誘引なく躁状態(異常に元気で活動的、多弁、怒りっぽい、など)と鬱状態(まったく元気なく沈み込む、無口、人に会いたくない、など)を周期的に繰り返す。躁でも鬱でもない時は、原則的にまったく正常である。ただ、躁鬱のサイクルが激しい時は、社会不適応→自信喪失→障害状態となる事もある。
◎心因反応:
何らかの心因(こころにショックとなること、ひどいストレスとか)が加わったときに、幻覚妄想や不穏興奮などの精神病状態となるもの。原則的には心因がなくなれば症状もなくなる。
◎非定型精神病:
幻覚妄想といった精神分裂病の症状と、気分変動、症状の周期性、症状を残さず改善するという躁鬱病の特徴をあわせもつもの。