「…はぁはぁ…」
「…アスカ!…こっちだって!急いで!」
先を行くコッパが叫ぶ、いったいどれだけ走ったのだろう?一寸の光も無い中で、声だけを頼りに、まだ走る。
「まだ先なのか!?…化け物がいるところは!?」
「もう少しのはずだ!大丈夫、真っすぐだから!…そこにシレンもいる…!」
「(…無事でいてくれ…!)」
コッパの話によると、この先でとんでもない化け物に出会ってしまったらしい。
そして隙をついて私を呼びに抜け出してきたという…シレンは…まだ戦っている…あいつはそんなに柔じゃ無い…!
「みえたっ!いくぜ!!」
不意に視界が真っ白くなる…光の中に飛び込んだのか…目が痛い…
「あ…!シ…シレンー!!」
コッパが叫ぶ。
急いで辺りの景色を探る…見えて来た…シレンは…!?
「…っな!?…メ…メイオウラン!!?」
そこには、先日倒したはずの、しかもこの前よりも更に凶悪な姿と化したメイオウランがいた。
シレンは…いた、…触手に搦め捕られて身動きが取れないのか…全く動かない。
「くっ…何故奴が…」
「アスカ!危ない!!」
まだ光に目が慣れていなく、背後から忍び寄る触手に気付かなかった…後ろを向き構えようとするも、遅い…やられる!!
「うわぁぁ!!!」
ガバッ!
「うわっ!?」
コッパが驚いた顔でこちらを見上げている。まだ頭が少し混乱していたが、「夢」だったのだと直ぐに悟った。
「…ど、どうしたんだよ?凄い汗だぜ?悪い夢でもみたか?」
確かに凄い汗をかいていた…それに目が痛い……調度朝日が顔に差し込んでいた。
「…いや、大丈夫だ。驚かせてすまなかった。」
軽く頭をなでながら言う、まだ少し不安な顔をしていたが、安心してくれたようだ。
「ははは…急に跳び起きるからびっくりしちゃったよ。……」
ドタドタドタ…
「アスカさん!?コッパさん!?どうなさいましたか!?」
屋上の祭壇からコヨリ殿が降りて来た。まだ朝日が上ったばかりだと言うのに、もう神官の服を着ている。
話によると、日が上る前から仕事をしているらしい。
「あ、おはよう!コヨリちゃん。実はアスカが悪い夢見たみたいでさ。」
「驚かせてすまない、コヨリ殿。私なら平気だ。」
「そうですか…よかった…今朝は何故か嫌な気配を感じていたものですから…」
……嫌な気配…?
「そんなはずないって!昨日無事祭が終わって、八魔天の奴らも懲らしめたじゃん!きっと疲れてるんだよ。」
「…そうでしょうか…?」
「うむ…確かにコヨリ殿はここ数日ずっと働かれていた。コヨリ殿の力で邪気の進行が押さえられていたのをずっと感じていました。
おかげで無事に祭器を取り戻すことができました。」
「そんな…アスカさんご自身のお力です。私等まだまだ未熟で…」
「いやいや、ご謙遜なさらないでください。立派な力ですよ。」
「そうだよ!特に、コヨリちゃんの特性お握り!あれは凄い力になったよな!」
「そうだな。コヨリ殿の思いがつまっていた。お守りにもなっていたな。…大半はコッパが食べてしまったが…」
「…(ぎくっ)…で、でも、あのときギガタウロスの目を潰したのは俺だぜ?コヨリちゃんパワーあってこそだよ!」
「…ただ驚いて飛び上がったら目に尻尾が入った様に見えたが…?」
「う……っていうか、あんなところにあいつがいたの、アスカが気味悪がって亡霊武者ほおっておいたからじゃないか〜。」
「え?…いや…だってあそこはほら墓地だったし、その前にコッパが脅かしたし…」
「ふふふ…じゃぁ仲良く食べてくれたんですね。」
「まっ、そういうことだな〜」
「とにかく、助かりました。何より美味しいので。」
「ふふふ…おそまつさまでした。あ、ところで今日はお出かけしますか?一応今日も作っておきましたよ。」
「お♪お出かけしなくても喜んで食うぜ!」
「かたじけない。今日は十六夜の村の方へいくつもりだったので、ありがたくいただきます。」
「へ?そうだったのか?」
「あぁ、無事祭も終わって、向こうの様子も気になってな。」
「そうですか。では向こうの様子を後で聞かせてください。まだ暫く離れられないので…」
「解りました。……ところで、日が上る前から仕事をしておられるのに、いつ作られるのですか?」
「少し早く起きて作ってます。あまり時間がなくて、そんなものでお恥ずかしいのですが…」
「そんな〜、凄くうまいって〜…ってそんなに早くおきてんの!?」
「うむ…それではやはり少し疲れるのでしょう」
「そうだよ!昨日だって夜遅くまであんなにはしゃいで踊ってたんだしさ!」
「あ、あれは…」
コヨリ殿は顔を赤らめてしまった、それだけ昨日の祭を楽しんだのだろう。
…チュンチュン…
祭の後の爽やかな朝…しかし、私の中の不安は消えてはいなかった。
プロロ-グ-END-
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