「平成14年度予算編成について」に対する財政面からの執行委員会見解
−13%予算削減の必要はあるのか−
編成方針の根幹は予算削減とリストラ
当局は8月1日に「平成14年度予算編成について」を庁議決定した。
この予算編成は、景気悪化による歳入の減少と財政調整基金に頼らない財政運営を強調し、「文の京」をキャッチフレーズにした文京区基本構想の実現に向けた取組を求めている。
そして「昨年度に導入した分権型の予算編成システムを更に進めるとともに、成果主義に基づいた予算編成を強力に推進し、更なる施策の再構築と財源確保を図る」としている。
それによる編成方針の根幹を成すものは、昨年度に続く事業経費等の13%削減に代表される大幅な予算削減と、文京区行財政改革推進計画によるリストラである。
36億円の財源不足とは
13%予算削減の原因となった36億円の財源不足について解明要求を行ったが、それに対して当局は次のように回答している。
「13年度のベースで考えると財政調整基金から24億円取り崩しているので、この分の財源不足があったことになる。そして14年度での収支見込みで12億円の不足が出るので、この合算額が36億円になる」
この財源不足を前提にして13%の予算削減が生まれたわけだが、2年連続しての大幅な予算削減をおこなってまで基金を増やす必要があるのだろうか。
2年連続大幅削減で基金の増加分を確保
9月10日に議会で議決された9月補正後の財政調整基金13年度末残高は60億円である。基金には決算剰余金の半額(13年度は12年度決算25億円の半分12億円)を積み立てることになっているので、その分が上積みされることになる。毎年この分だけは基金の増加分として確保されるのである。
この財政調整基金の使い途については、今のところ明らかにされていない。「出来るだけ貯めておく」という考えでは、13%も予算を削る根拠としては非常に希薄ではないだろうか。福祉や教育をはじめ区政全般にわたり大規模な予算削減をすることは、区民の生活に多大な影響を及ぼすことになる。それが2年も続けて行われるのだからその影響たるや計り知れないものがある。削減する前にその是非について区民に問う、それが行政の義務であると考える。
財源不足の根拠が希薄の中 区民、職員に負担を強いる予算削減は避けるべき。
将来の多大な出費や不測の事態に備えての基金は確かに必要である。しかし、文京区にはかって200億円以上あった財調基金をシビック建設に湯水のように注ぎ込んだ歴史がある。財調基金はこのような使い方も出来るのである。
予算を削って職員や区民に負担を強いるならば、職員と区民が納得できる今後の積立計画や目標額を示す必要がある。それが最低限の「説明責任」である。 執行委員会は、この当局回答では13%もの予算削減をする財源不足の理由として根拠が希薄である、と判断した。予算削減は極力避けるべきである。
「文の京」の新規施策は歳出削減分で賄う
今回の編成方針は、投資的経費であるCT経費も政策的判断を要するCU経費も削減対象にしている。そして「文の京」実施計画などの新規施策については歳出経費の削減分で賄うことになっている。 13年度のB経費15%削減により多くの事業が廃止や縮小に追い込まれ、区民サービスが著しく低下した。 借上保養施設の廃止、高齢者レクリエーション大会などの事業廃止、準生活保護世帯への見舞金や敬老祝品などの支給廃止、福祉タクシー支給額の減額、防災経費の削減などを実施した。
また、受益者負担の考えから学校給食牛乳代一部補助の廃止、学校卒業記念アルバム公費負担の廃止などをおこない、講座等参加者負担金は2538万円の特定財源を組んでいる。これらのサービス低下ばかりでなく、出張所全廃で区民に多大な負担がかかるのである。
さらに当局は14年度でB経費とCT経費の13%削減をおこない、事業廃止を増やし受益者負担を増大させるつもりである。
区民が必要としてきた事業を犠牲にし、区民に金銭的な負担を負わせてまでも「文の京」実施計画による新規事業を優先させなければならないのか。実施計画の内容が決定されていないのでこれ以上言及することはできないが、この方針については大きな疑問が残るのである。
部単位の「事業の再構築」 実態は各課割当のノルマ
当局は「事業の再構築」として、13年度に引き続き「分権型の予算編成システム」を更に進めるとしている。この分権型予算編成システムは、各部で政策的判断をおこない、新規拡充すべき事業を予算化し必要のない事業は削減するシステムである。スクラップ・アンド・ビルドの原則による事業の再構築を部単位でおこなうわけである。
しかし、昨年に13年度予算を編成した実状はどうであったか。
どの部も各課に一律にB経費15%削減のノルマを課して、各課はその削減目標額を満たすために四苦八苦して金額を捻出したのが現実であった。
「15%も予算を削る事業がない」という担当者の悲痛な声が数々聞かれた。しかし、ノルマ達成のために残しておきたい事業をやむを得ず廃止したり、必要としている区民がいるにもかかわらず予算を削ったりした。事業全体を廃止できないときは、細かい経費削減の積み上げで何とかノルマを達成した。
すでに決まった編成方針であったために、職員は悩んで苦労して15%削減のノルマを達成したのである。
金額は目標に達しても、その方針とは大きく異なった予算編成になったのである。事業の再構築とは名ばかりの『数字合わせ予算』だった。
当局はその反省もなく、今年も同じことをしようとしているのである。それによって、職員は苦しみ、区民は痛みと負担を受けることになるのである。
今回の予算編成方針は職員と区民には受け入れることが出来ないもの。
当局は常日頃『職員参加』を提唱している。ならば予算編成にも実際に事業を担っている現場の職員を参加させるべきである。トップダウンの予算編成方針は、そのノルマを捻出するために私たち職員を苦しめ、その削減された予算と人員が生む厳しい職場状況でわたしたちは働かなければならないのである。
区民は低下した行政サービスを受けることを余儀なくされ、更に金銭面での負担さえも強いられるのである。
編成の基本的な考え方として「区民の目線、生活者の視点に立った区民参画型の区政を推進する」としているが、『出張所の全廃』がその「生活者の視点に立った区民参画型の区政」なのだろうか。
今回の予算編成方針は多くの点で私たち職員と区民には受け入れることが出来ない内容である。