166年 12月

今週の双角

 謎の男が現れたのを見た後、双角は記憶が飛んでいたらしい。街の人に、ここ数日何をしていたのか、たずねてみた。

市民A男の回答「おら、いつも門番で、ライカの街さ見張ってるもんだんけんど、あのお坊さん、あたまおかしくなってたんでねえか。3月ほど前、大声を発しながら、街道へ飛び出していったと思ったら、次の月にはサイドステップしながら、ライカに帰ってくるしよぉ。」

市民B女の回答「私みたわよ。あのひとね、バスっぽいボイスで、ひとり鬼ごっこしてるの。なにか鬼にトラウマでもあるのかしらね。」

宗教法人Xの代表Yさんの回答「ヤツには、狐がついておったのじゃ。その証拠に、わしが油揚げをヤツの目の前にぶら下げると、キャッキャ喜んでおったわ。」

 このとおり、双角の今月までの動きは全く理解不能のものであった。・・・しかし、それは双角の再出発のエネルギー充填の期間であったのだ。この答えが、今明らかになる。

今週の双角(特別変)

(状況説明)
 魔法使いにめちゃくちゃ弱いパーティー(仮名ホワイトファング)は、その弱さのあまり、ついに戦士ろりんが〜Zが失踪する(一説によると、楽器を演奏するのに、サーカスに召抱えられたという)。

 残された鍛冶屋半蔵、魔法使いデギル、僧侶望月双角は、新たなメンバーを探していた。そこに登場したのは、謎の機械兵CZ−812CEだった。彼にライカにやってきた理由を半蔵が尋ねたところ、地底の奥深くからよばれて飛び出てジャジャジャジャーン、ということらしい。

 パーティーは初対面で、いきなりCZにその強さをプレゼンテーションされ(→バインディングで一服盛られた!!)、なかば強引に、パーティーを組むこととなった。しかし、その強さに、半蔵、デギルは期待していた。双角は・・・飛んでいた。

 いざ、冒険に出発する段になると、CZは自分の強さをアピールするためにも、格上の敵がいる、ライカ〜シュバーリンの街道で腕を磨こうと提案する。その強さを買っていた、リーダー半蔵もその提案に強く賛成する。デギルもノリノリ。双角は・・・飛んでいた。

 ただし、一度お悔やんだパーティーだけに、慎重な戦術が練られていた。そして、準備も周到である。リーダー半蔵は、ここぞとばかりに腕によりをかけて、武器・防具を作成した。属性による弱点も調整し、リスクを抑える。作戦もローリスクな物とし、精密な攻撃と、狡猾な麻痺により、敵を寄せ付けず、強力なルーン魔法により敵にとどめをさす戦法をとることとなった。

 しかし・・・現実は甘くなかった。魔法にめちゃくちゃ弱いパーティーは、やはりめちゃくちゃ魔法に弱かった・・。(双角のリザレクションもやはりアウトだった。力尽きた人々は、どうもアイアンシェフではないらしい。)

 作戦どおり、CZは、確かにモンスターどもを麻痺させていたのだが、バインディングにかかっていても、まれに発作的に動けるようになるらしい。それは反撃という形をとられており、反射的なものなのにすぎないはずなのだが、なぜか魔法を使われることもあるという、謎の症状である。バインディング研究家の間でも、諸説が百花繚乱の相を呈している。

 そして、ダークマジシャンの反撃による魔法により、CZは、お悔やんだ・・・。他の3名は、「もう一度お悔やむくらいなら、お悔やんだほうがマシだ!!」、と謎の言葉を発しながら奮闘し、見事に耐え抜いた(このとき双角が飛んでいたかどうかは、わからないが「心神喪失の常況」にあったことは確かである)。

 お悔やんだが、CZの強さを確認した半蔵・デギルは、再びCZを探し出し、パーティー合流。そして、再びシュバーリンに続く街道へと、足を伸ばすのであった。

 今週の双角、本編

 「とーちゃーん!かあちゃんが・・・。かあちゃんが・・・ 」

 謎の号泣により、双角は、我に返った。

 「な、なんじゃ!?ガキのお守りなど真っ平ゴメンじゃ。帰れ帰れぃ!」 

 双角が我に戻った様子を見て、半蔵が声をかける。

 「双角!おれだ、分かるか、油揚げじゃないぞ。」

 「半蔵殿、何をいっておられるのだ?それより、あのガキはどうしたのじゃ?」

 デギルは、やっぱ飛んでたままのほうが良かったといわんばかりに、ため息をついた。

 「デギル殿、なんじゃそのため息は!」

 「バカは寝ておけ。鬼ごっこの相手をさせられたら、かなわん」

- ピシュ!

 「ぐはぁ、だれじゃわしの命を狙うのは、正々堂々と勝負いたせ!うぅ、し・び・れ・るぅ〜」

 「ハッハ、カルイJOKEだよ。JOKE」

 後ろから、CZの声がした。バインディングの試しうちをしている。(CZめ、リザレクション失敗したことを根に持っておるに相違ない)

 「ジョー・・・ク・・で・・も・・・笑えぬ・わぁ、はっはっはっは、ハーハッハッハッハ。」

 突然、双角が爆笑しだした。半蔵と、デギルが怪訝な表情を浮かべている。

 「はーっはっはっはっは!おー、ふーたー、かった、笑いがとまらぬ、うーーはっはっは」

 「あちゃ、ワライダケってのは、思ったヨリずっと強力ダ。目覚ましのカワリに、チョピっと入れておいたんだが・・・、シマッタねェ・・・」

 「うるさいなぁ。CZ、麻痺させろよ。」

 「いや、このさい、眠ってもらうか。」

 CZはごそごそと持ち物の中から、羽の生えた道具(ウィング)と、やたら回転する物体X(オーバードライブ)を取り出した。ウィーン、ゐゐウィーン、ズガ、バキッバキッ。ドサ。笑い声は途絶えた。

 その様子が恐ろしかったあまり、一時、泣き叫ぶ少年がその叫喚がとまった。 

 そして、CZが肩に双角(失神中)を抱えたまま、パーティーはライカの門をくぐって、街道にでた。再び、泣き叫ぶことを思い出した少年を後に残して・・・。

とーちゃーん!かあちゃんが・・・。かあちゃんが・・・

 


 街道に出て、緊張しているのか、デギルにしては珍しく、自分から口を開いた。

 「いや、このさい、コイツには眠っててもらうか。」

-バッ!!双角は突然目を覚ました。

 「この天才双角がいなくては、パーティーはダメじゃァァ!ッハ、夢か・・。はう、おい、こら、CZ!おぬし、わしを今度はどうする気じゃ!おろせ、おろせーぃ!」

-ドサ。やはり、そのまま落とされた。再び軽く失神。

〜ふたたび3人によって、イタズラが加えられています。少々お待ちください〜

 双角は、いよいよ、本気になった。

 「もう、わし我慢ならぬぞ。はー、死ね!CZ」

 というや、いなや、CZがダッシュして、遠ざかり始めた。半蔵・デギルも走り出す。

 「待てイ。待たぬか。待ってよ。待ってくだされ〜。なんで、わしを置いていくのじゃァ〜!」

 後から、やはり、情けなく追いかける双角。

-ドフ。いきなりCZが立ち止まったのに気付かず、双角はCZに突っ込んだ。軽い脳震盪を起こしたようだ。

 戦闘開始。

 正気を装っているが、双角は、またもや狐にかる〜く、取り付かれているようである。いきなり、ルーン魔法を唱え始めた。「インスタントォ〜」

 「ファイヤフォックス(鬼火)」
ゴブリンソーサラーに40のダメージ!

-シュウゥゥゥゥ。狐は炎とともに出て行ったようである。威力の低さが症状の軽さを表す。

 気付くと敵は、ピクピクしている。おうぅ。実に恐ろしい業じゃ。おら、しねぃ。うりゃうりゃ。しねい。わしの魔法をくらえい。

・・・、・・・、・・・

双角「三途でキセル乗車はならぬぞ」
パーティー全員の殴る蹴るの暴行が一段落すると、そこには、あわれにボロゾーキンのようにされたモンスターが3体、涙を流しながら爆笑していた(まだCZの笑いたけが残っていたらしい)。

 「余裕じゃな、CZ・・・殿」

 「オレに、任せれヴァ、ダイジョウヴ!」

 左のほうへ、目をやりながら、双角がCZに言葉をかけた。パーティーはとりあえず作戦がうまくいったことに安心しきっていて、あたりの注意を怠っていた。そこへ

-ピシュ!

 「はう!!・・・、もう、CZ殿ぉ、飛び道具は勘弁してくだされ!!はっは。」

 違う、矢は右の方向から飛んできた。

 「敵だ。弓兵2、それに木の精霊だな。よし、CZさん、作戦開始だ。デギル、双角、準備はいいか?」

 リーダー半蔵の声に、デギル・CZはすぐさま反応した。

 双角は・・・また狐に取り付かれたようだ。

 インストタント ・・・鬼火
ディアス弓兵に
134のダメージ!

 ディアス弓兵は、哀れである。CZに足をあられた上に、麻痺させられている。しかもピクピクしながら笑っている。

 モンスターが笑っているのは、無気味だが、ヒューマノイド系が笑っているのは、さらに不気味じゃ。

 そして、双角は、横文字まで使い始めている。

望月双角は必殺の魔法を使った!
Sokaku. Needle. Special!!
ディアス弓兵Bに
222のダメージ!

 笑い声が鳴り止まないので、双角のテンションは上がりっぱなしである。魔法攻撃はあきたらず、たのしくディアス弓兵を殴っている。しかし、なぜか、麻痺している相手に攻撃があたらない。

望月双角の攻撃!
ディアス弓兵B は攻撃を避けた!

ディアス弓兵Bは麻痺している!

 バインディング研究家によるさらなる研究を求める。


 無事、敵を倒し、みぐるみはがして、後にした。ロングボウを奪われた弓兵たちって、かわいそうね。まあ、お金たんまりたまったし。

 普段、モラリストの半蔵も職人魂が刺激されたのか、楽しそうにみぐるみをはいでいるのを眺めていた。

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