1緒言

  コーデェライト(2MgO2Al2O35SiO2)は天然に存在し和名ではキンセイ石と呼ばれている。この物質は低熱膨張(1.5*10-6K-1)物質のため急熱急冷などの熱衝撃を受ける窯材、耐火物、自動車の排ガス浄化用触媒の担体として排気ガスの急激な温度変化に対応できるため、また電子材料の絶縁体など幅広く用いられている。本実験ではこの物質の低温での結晶化と温度変化に伴う結晶過程を報告する。

2実験方法

  MgO、α-Al2O3SiO2、をモル比2:2:5の割合でまた天然に存在するタルク(3MgO4SiO2)、アンダルサイト(Al2O3SiO2)、カオリン(Al2O32SiO2)をそれぞれ原料として自動乳鉢を用いて3時間混合し0.5gをとり、圧縮成形器で20MPaで錠剤を作り電気炉内で1時間で昇温、保持時間を0,15,30,60分として焼結させた。

 焼結温度は700℃から1500℃の間で行い、また原料に添加物としてホウ酸(H3BO3),コレマナイト(2CaO3B2O3)、ホウ砂(Na2O2B2O3)をそれぞれ加えた。

焼結後の試料をX線回折、フッ酸によりエッチング後、SEM観察により結晶を観察した。

 

3実験結果および考察

3.1温度とX線回折ピーク高さの変化

 1で示すようにMgO ,Al2O3が減少し、1100℃でスピネル(MgOAl2O3)が結晶化し、1250℃でシリカ(SiO2)のクォーツ型の一部がクリストバライト型に転移しスピネルとクォーツが減少すると共に1300℃でコーデェライトが結晶化した。その後1350℃でクリストバライトが減少した。H3BO33wt%加えた場合は1150℃からコーデェライト結晶が析出された。これは固相焼結が不純物のB2O3により液相焼結に代わり試料の拡散速度か速められたためである。

3.2添加物とX線回折ピーク高さの変化

2で示すように不純物を加えると結晶化が低い温度で行われるが、添加量が過剰となると逆に結晶化を阻害していた。H3BO3が4wt%で高い焼結性を示すが、密度が低く気孔が増大していた。密度は2wt%添加した時が最も高かった。また、天然に存在する物質を用いた場合,より低い温度で結晶化が起きた。

3.3温度と密度の変化

添加物を加えずに焼結すると温度の上昇とともに密度が減少する傾向にあった。これは固相焼結のため粒子の拡散が遅く気孔が焼結体内にとどまり、凝集し膨張したためである。ホウ酸(H3BO3)3wt%を添加するとH3BO3180℃で 酸化ホウ素(B2O3)に変わりこれが液相となり粒子の拡散速度を高め温度の増加と共に密度が増加した。またホウ砂のNaO、コレマナイトのCaOSiO2SiOSi結合を切断し結晶化を起こしやすくする。SEM観察からも1400℃では気孔が40~90μm,1300 H3BO3 3wt%添加では気孔が10~60μmと気孔が小さいことが観察された

3.4保持時間とX線ピーク高さの変化

1250℃ H3BO3(3wt%)添加で保持時間を変えて焼結すると15分という短時間でコーデェライトの結晶化が起きた。

3.5温度とアスペクト比の変化

SEM観察により長方形のコーデェライトの結晶が観察された。この結晶の長軸と短軸の比をアスペクト比として測定すると、温度と共に低下した。

      1   温度とピーク高さの関係                   図2  添加物量とピーク高さの関係

      3   1400 SEM                           図4   1300

 

 H3BO3 3wt% SEM

 

4結言

Al2O3MgOが反応しスピネル(Al2O3MgO)が結晶化し、SiO2の一部がクォーツ型からクリストバライト型に変わり、スピネルとクォーツ、クリストバライトが反応しコーデェライト(2MgO2Al2O35SiO2)が結晶化した。

 ホウ酸を添加した時150℃近く低い温度で結晶化した。1250℃で15分という短時間でコーデェライトの結晶化が起きた。

温度の上昇と共にアスペクト比が減少し粒子は細く小さかったものが太く大きくなった。1300℃の結晶と1450℃の結晶は長軸が1μmほど増加した。

 

5参考文献