我が逃走の幕開け
我が逃走は4月10日より幕をあけた。
4月10日、我が研究室にも新入りどもが入ってきた。頭脳明晰な者どもであることは成績順位で明らかである。はやくも一年間かけて俺の研究を手伝ってくれる者どもが来た。この日は俺のとっての、うれしい研究生活の幕開けとなった。そう、この日だけは。
しばらくは研究テーマが決まらないということで、皆は一様に勉強などしている。座学である。まぁ、それについてどうこうは言うまい。だが、それしかしていない姿ははっきり言って怖い。怖すぎる。正常な新入りどもなら目の前にパソコンがあってLANにつながっているのを見て、遊ばない者などおるまい・・・。だが、こいつらは、どうも普通ではなさそうだ。研究室に来てから一週間近くたったが、まだ各自の研究テーマは決まっていなかった。お前らが決めようとしないから、いつまでも決まらないのだ。それなのに
「やることないから帰ってもいいですか?」
などと言いだす者がいるというのは、どういうことだろうか。
お前が研究テーマを決めないから、いつまでもすることがねぇんだろうがっ!まったくもって腹立たしいことである。帰りたいのは俺の方だ。
さらに苦悩の種は新入りのみに止まらなかった。同期の院生で同じ講座の者がいるのだが、こいつもまた頭の痛い男だ。この男、研究室に来ないのである。なのに講義には皆勤で出勤してくる男である。なんなんだ、彼は。何がしたいというのか。俺の理解を超えた行動をする男だ。
俺より同クラス以下の者どもは、一様にしてこんな感じである。勉強はできても自発的に何かしようとしない。まったくもって俺とは一線を画すタイプの皆様だ。 もういい、もういいよ。こんなのと一緒に研究なんかしたくねー・・・ 俺の研究生活は始まったばかりだが、逃避欲求は異常に高まった。
我が逃走、ここに始まる。
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