言葉のない俺達




朝、研究室に入りました。

しーん・・・・

なんだ、誰も来ていないのか。まぁ、午前10時前ならば誰も来ていないぐらいは予想できる。よほどやる気がないと普通こんな時間から研究を始めようとは思わんわな。
俺は講義があるので研究室を後にする。

昼休み、再び研究室へ戻った。

しーん・・・・

「やはり誰もいない・・・・・。」いや、いる。確かに2人ほど人間がいる。しかし微動だにしない。死んでるのか?こいつ等はダミー人形か?いや、間違いなく本人たちだ。こちらに気がついているのは明らかだ。かすかに目が合ったからだ。だが何故だ?何故に

何の挨拶もしようとしないのだ。

とても一般常識のある人間の反応ではない。ふつう同じ研究室の人間が入り口から入ってきたらよぉ、挨拶ぐらい交わすのが人間らしいコミニュケーションじゃねーのか?それが人間社会ってもんじゃねえのか?俺だって先生や院二年やドクターの先輩方には、朝でも昼でも初めて会ったときは挨拶ぐらい交わすぞ。普通だろう?それぐらいは。小学生でもそれぐらいはするだろう。

人間なら挨拶ぐらいせよ

ヤツラは人間じゃねぇ。そういう事にしておこう。ヤツラはマシンだ。機械だ。パソコンの一部なのだ。だから研究しかできないのだ。そんな人間関係しか築けずにいて「最近講座の先輩とうまくいってなくて・・・」なんて他講座の人間に相談なんかされたら最悪であろうな。だが今日なんか学部生どもと、二言しか口を聞かなかった。

1.「他講座の人がkappaさん探してましたよ。」→「そうか。」
2.「では、帰ります。」→「おつかれ。」

たったこれだけだ。帰るときだけ挨拶するやつが1人だけいるのだ。そう、たった1人だけ。他のヤツは勝手に帰る、もしくは最初から講座に来ない。1週間に1度の全員集まっての報告会にくるだけのやつがいる。しかもそんな最悪的人間が俺の直属の学部生。一緒に研究せねばならんのだ。

冗談きついぞ、カン先生。

俺はこんなやる気ないヤツと研究するなんか真っ平御免。俺は、こいつに何か教えてやろうとか言う気持ちなど毛ほどもありません。むしろ逆。どうやって講座から追い落としてやろうかとか、そういう気持ちでいっぱいです。だから実験装置討論会で装置を1機作って共同で使用しようというカン先生のアイディアに対して断固として反発。「2機作成してお互いの立場から検証しよう」と言うもっともらしい案を気迫で押しとおしてそれを採用させた。
理由は簡単。俺の作成した貴重な実験機。

誰が使わせてやるかってんだ!

絶対嫌です。もし卒論末期、ヤツの卒論真っ白で、俺のデータを使わせろとか言ってきたら当然拒絶します。実験機だけでも使わせろと言ってきたなら、我が手で実験機を破壊してでも使わせるような事はせん。

己の悪行、地獄で償うがいい・・・

卒業させてもらえるなどとは、夢にも思わぬことだ。直属とはいえキサマとは別の研究をしていると思え。いざとなったら一ヶ月ぐらい行方をくらませてでもキサマの研究は手伝わんから覚悟することだっ!