消えて亡くなれ(後編)




全ての準備が整い、俺はvaioの電源を入れた。win2000は相変わらず起動が遅い。
さて、では発表を始めましょうかね・・・ん?

ファイル入ってねぇっ!

「おい、オマエらファイルは?」

俺がそう言うと、彼らは冷静にポケットから板を差し出した。

3.5インチフロッピーディスク・・・?
それはフロッピーディスクですか?

vaioにはFDドライブ無ぇよ!

「おい、これを持ってきてどうするつもりやねん。」

俺がそう言うと目を伏せて黙り込んでしまった。何なんだこいつ等は。 いったい今まで何を見てきたんだ。ノートPCにファイルを入れる方法を知らないのに知った風なツラして堂々と発表の場に出てきて何か楽しいかい?
先週、コニーが発表したときにvaio使っていたから、コニーに聞けばどうやったのかぐらいわかるだろうが。そしたらコニーは、

「ああ、vaioにデータ入れるのはkappaさんがしてくれたから。」

と答えて、それで済んだ問題だろう。それを勝手にテメー等の思いこみでフロッピーで持って来やがって何考えてやがるんだこの阿呆どもは。

就職して会社から得意先に図面を持ってこいといわれて
MOで持ってくるのは間違い無くコイツらだっ!


俺の怒りは頂点に達し、スーパーサイヤ人になれるかもしれないところまで怒りが込み上げてきた。

食らえェ!


分からないことは聞け。君たちは、よく喋る口を標準装備しているだろう?
そんなことも出来ないから、俺はコイツ等が嫌いだ。

結局データの入れ方も知らんので、俺がノートの電源切って研究室へ戻り、俺がデータの移し変えをやって、俺がまた運んできてもと通りつないで、やっと発表までこぎつけた。

その間、彼等は?

背後霊みたいに後ろで見てただけ。

何考えてんでしょーね。普通人なら次からは自分でできるようになろうとして、やり方を覚えるはずだがね。教えて欲しいとも言われなかったので適当に一人でやったよ。

さらに言うと、発表もいいかげんなものだった。
イネの発表テーマは俺と同じ実験だから共通のはずなのだが 1番最初に登場する基本の式の段階で、何もかも究極的に間違えているという酷すぎるものであった。アンタ四月から何やってたの?と改めて質問したいぐらいである。そりゃ週に3日ぐらいしか学校に来なくて、来た日も昼過ぎに来て5時には帰るという生活では、研究なんざ無理ってもんだな。

ああ、まったくなんでこんな人間失格君が研究室に存在するんだ。
君が研究室にいるだけで、なんか俺が落ちつかないよ。

おまえが消えて亡くなるか、俺が逃走するかどちらかだな。