船の手入れ

 

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数多くのレジャーボート。

他の港と違って、いくら留めても無料。

ということで、休日には他地区から車で来て、

水門付近に路上駐車して釣りに行く。

まったく手入れをしなくても、

何年ももつ新素材のレジャーボートだからできる芸当。

昔の木造船では考えられないこと。

 

以下、ともさんの話。


 

木造船は,1ヶ月に1回は,

船底を焼く(タデル)ことを怠らない。

昔から,「空家と船頭のいない船・・・。」

という言葉があるように,

船の手入れは船主の欠かせない仕事である。

この船をタデルことをしないで放置しておくと,

船全体が水分を吸収して,船そのものが沈んでしまう。

 

船をタデルには,

まず,リンギを船の底に通し,

縄を船の上をまわし両端を結ぶ。

やがて干潮になると,

砂浜にリンギの上に乗った船が陸上げした状態になる。

ここから,いよいよ本仕事にかかる。

船底を棒ずりでこすり,

水あかとカキを落す。

次に,オニシダ,カヤ,ササブロなどの

タデ草を、船底の下で燃やす。

これは,船に穴をあける船虫の防除と、

水分を抜いて船を軽くするねらいからである。

一応の目安は、底板が乾燥するまでである。

船底は水分を吸収しているので、

船自体が燃える事はない。

 

また、古くなった船は、

板と板の間があいてくる。

人間の歯と同じである。

そこで、その継ぎ目にマキハダを打った。

マキハダとは、桧の皮を打って柔らかくし、

ゆるく網にあんだもので、

それをノミウチで打ち込み修理するのである。

マキハタを打つ専門職をホウコン屋と言った。

ホウコン屋は、軽く拍子を取りながら

打ち込んでいった。

マキハタはくるくるとまいながら

船板の継ぎ目に入っていく。

3本のマキハダが軽やかにまいながら打ち込まれていくのは、

さすが専門職の腕であった。

 


 

ともさんが感心するぐらいだから、

よっぽどの腕の職人だったのだろう。

だが、ともさんだって、負けてはいない。

結婚前に、トイレを水洗にかえる工事と、

その上に洗濯物を干すベランダ作る工事を

ともさんにお願いした。

ともさんは、設計から材料の調達、取り壊しから基礎工事、本工事、

細かい部分まで、すべて一人ですませた。

今は、こんな大工さんはいないだろう。

カンナとのみを包丁にかえても、その熟練の腕はかわらない。

ともさんに刺身を任せると、みるみるうちに皿に切り分けられていく。

大根のつまが、同じ包丁で次々と作成される様は、それは見事だった。

 

ともさんみたいな年寄りになりたい、

と、今でもあこがれている。