こんなもの知ってますか
さて、このようにして、B少女達の時を止め、永遠のものにすることにいそしんできたわけであるが、私のために開発してくれたのかと思うほど、
このような用途に大変適した武器があった。現在は生産されていないが、当時、ある大手カメラメーカーから、「ミラーアダプター」という名称の
レンズの先に取り付けるパーツが販売されていたのである。私は、大学生のときに、それの存在を知り、急いで購入した。どこの店にも在庫が
無いので、取り寄せてもらった記憶がある。このアダプターは、長さが15cmくらいのもので、一眼レフカメラのレンズの先にフィルターのよう
にねじ込んで取り付ける。一見しただけでは、まるでレンズフードのように見える。アダプターの先には、光を通さないレンズがついており、
ご丁寧にレンズのふちの黒い部分には本物のレンズのように字が入っていた。正面から見ると、どうみても普通に前を写しているようにしか
見えない。ところがどっこい、そんな甘いものではない。実は、胴体の一部に丸いガラスがはめ込まれており、その奥に45度の角度で鏡が
埋め込まれているのである。つまり、ミラーアダプターを付けてファインダーをのぞくと、90度真横が写るのである。ファインダーや写真には、
左右反対に写るのであるが、そんなことは、とるにたらないことであった。もちろん、アダプターは回転するので、上下左右と自由自在に撮影が
可能である。これには大変お世話になった。特に、グラウンドの外にいる子に威力を発揮した。ます、標準レンズくらいの短焦点のレンズに
つけて、写したい子が立っていると、その真横立ち、グラウンドを向いたまま、おもむろにひざをついて座り、グラウンドのほうにレンズの先が
向くようにする。最初から、その子には、目もくれないで、いかにもグラウンドの方を写しているようなふりをして、実は、ファインダーには、
欲しい部分がアップになっているのである。演技力も必要である。また、入場門で、待機して整列している子達の撮影にも同様に大変役に
立った。ときには、近寄れない子を撮るときに、望遠レンズの先に付けて狙うこともあった。そんなときは、まるで、スパイ大作戦(ちょっと古いか?)
のようで、ドキドキした。実は望遠になるほど、使用が難しく、グラウンドとその子が直交する地点を探さねばならず、また、少し動かすだけで
水平が出なくなったりする。あまりグルグリとアダプターを回すのも不自然な動きだし、自分が斜めにカメラを構えて水平を出しても、もっと
不自然である。これには苦労した。やがて、コツがつかめ、まさに彼が私の体の一部となったころ、Bは消えていった。彼は、まだまだ、仕事が
したかったはずだ。長い間、お世話になった。ミラーアダプターよ、静かに眠れ。このことは、私とそれと写されていたBだけの秘密だったのだが。