福井理仁
ふくい りじん

No.4 MF 170cm 65kg


昭和35年・徳島市生まれ
O型


医学博士
徳島市民病院産婦人科主任医長
専門:周産期医療


経歴

昭和54年・・徳島県立城南高等学校卒業
昭和61年・・徳島大学医学部卒業・徳島大学医学部産婦人科教室入局
平成3年・・大阪府立母子保健総合医療センター勤務
平成6年・・徳島大学医学部産婦人科助手
平成10年・・徳島市民病院産婦人科主任

最近の雑学 【GBS】 1. 早発型(生後7日以内)GBS感染症は呼吸症状(多呼吸・呻吟)が多く、発熱は少ない。 2. GBS感染発症は日齢0が76%と最も多い。 3. 早発型GBS感染症は満期産が75%でリスク(37週未満・破水後18時間以上・分娩中の38度以上発熱など)なくとも発症する。また母体膣内GBS陽性は少ない(25%見落とす)。→肛門も採取すべき(CDC:Center for Disease Control and Prevention勧告)。 4. 早発型GBS感染症は髄膜炎・敗血症など重症化し予後不良。 5. GBS採取から6週間以内でないと陽性的中率が減少する。 6. GBS陽性母体より陰性母体からの方のGBS陽性児(咽頭培養)が多かった報告ある(順天11)。 7. 分娩中のペニシリン投与量が多いほど児への移行率は低下した(日医科10)。2gでは13%移行だが7g以上では0%だった(日医科10)。 8. 亀田総合09ではGBS母体に分娩開始(もしくは破水時)からABPC初回2g、以後4時間毎に1g投与している。児へのGBS伝播率は投与回数1回では42%、2回以上では8%であった。 9. ガイドラインとしては初回ABPC初回2g、以後4時間毎に1g投与。 10. GBS子宮内感染(出生児の臍帯血・胃内容・髄液よりGBS検出)のため38週で胎児除脈・緊急帝王切開となった例がある(住吉市民09)。 11. GBS母体へのABPC投与中にABPC耐性E.Coliによる敗血症発症の報告ある(国立佐賀11) 12. 敗血症の診断にはプロカルシトニン定性使う場合がある。 13. 2500人妊婦膣培養にてGBSは7%、大腸菌が3.7%、表皮ブドウ球菌が3%陽性であった。カンジダは11%。(釧路赤十字11) 14. 破水や陣発のない帝王切開分娩でもGBS感染は稀だが起こり得るとされている。 【ペニシリン低感受性のGBS】 GBS with reduced penicillin-susceptibility: PRGBSが最近見つかったが、国立感染症研究所の大規模調査では今のところ検出されなかった。 【GAS: GroupA Streptococcus. Streptococcus pyogenes】 1. GASは一般的に咽頭炎や扁桃炎の起炎菌。 2. 劇症型A群連鎖球菌感染症「分娩型」(STSS: streptococcal toxic shock syndrome):妊娠末期に高熱・上気道感染症状・全身倦怠感で発症。一旦軽快することもある。その後陣痛発来(GASの子宮筋感染)し急速に分娩進むが高度除脈から胎内死亡→死産が多い(NFRSから死亡へ)。その後母体血圧低下・意識混濁が出現し母体死亡に至る。高知での症例は発熱・腹痛・頻回の下痢・嘔吐で初発している。治療開始の遅れが死につながる。 3. STSS診断基準ある(産科マ)。 4. GASの病原因子としてM蛋白が関与。また外毒素はサイトカイン放出を促す。 5. 特に妊娠末期において、主に上気道感染から血行性に子宮筋層感染により発症し急激に敗血症となる。 6. GASは筋肉への親和性強いため子宮筋に蓄積か?→陣痛発生の原因? 7. 血液検査で炎症反応と血小板減少・FDP上昇。 8. 急性期DICスコアにて判定する(産科DICスコアではない)・・理仁マニュアル参照 9. 咽頭培養やGAS免疫学的迅速試験(ダイナボット)で診断。しかし保菌者が10〜15%いる。 10. 血液塗末標本で連鎖球菌確認。また培養も必要。 11. 羊水のグラム染色にて連鎖球菌確認できる。 12. 治療はペニシリン大量投与(ABPC2gを4時間ごと6回/日:12g/日)+クリンダマイシン(ダラシン600〜900咾8時間毎)。またメロペネム3g/8hも。(京都医療セ 16) 13. 重症敗血症状態では生食輸液などを1000mlを30分以内に急速投与し反応見ながら反復。 14. 強心剤(ノルエピネフリンやドパミン)投与。 15. トロンボモジュリン有効。 16. エンドトキシン吸着療法、持続的血液濾過透析追加も。(奈良医療セ15) 17. 新生児の死亡原因は不明なことが多いが、高知の症例では子宮血管内の血栓が認められたため、胎盤循環悪化が原因か?経胎盤的胎児感染は少ないと言われている。 18. 産褥期にも発症する(奈良医療セ15)。産褥2日に腹痛で発症し最終的に死亡。会陰切開部・子宮腔内からGAS検出し、分娩後に外陰部から上行性感染し腹膜炎になった。 19. GASの医療従事者、家族、新生児などへの二次発症報告はなく、STSS発症には宿主側の要因が多き可能性を示唆している。 ◆劇症型溶血性レンサ球菌感染症  劇症型溶血性レンサ球菌感染症は突発的に発症し、急速に多臓器不全に進行するA群溶血性レンサ球菌による敗血症性ショック病態である。メデイアなどで「人食いバクテリア」といった病名で、センセーショナルな取り上げ方をされることがある。 疫 学 劇症型溶血性レンサ球菌感染症は1987年に米国で最初に報告され、その後、ヨーロッパやア ジアからも報告されている。日本における最初の典型的な症例は1992年に報告されており、現在までに200人を超える患者が確認されている。そして、このうち約30%が死亡しており、きわめて致死率の高い感染症である。A群溶血性レンサ球菌感染による一般的な疾患は咽頭炎であり、その多くは小児が罹患する。一方、劇症型溶血性レンサ球菌感染症は子供から大人まで広範囲の年齢層に発症するが、特に30歳以上の大人に多いのがひとつの特徴である(IDWR 2002年40, 41号参照)。近年、A群のみならずB群、C群、G群による劇症型溶血性レンサ球菌感染症も報告されている。 病原体  劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、A群溶血性レンサ球菌Streptococcus pyogenes により引き起こされる。S. pyogenes はグラム陽性の球菌で、連鎖状の配列を形成する。鞭毛を有していなく、芽胞を形成しない。また、カタラーゼ陰性である。ヒツジまたはウマの脱繊維血液を5%の割合に添加した血液寒天平板培地上でS. pyogenes を24 時間培養すると、直径0.5mm以上のコロニーを形成し、発育集落の周囲が完全に透明な溶血環が認められるβ溶血、または、β溶血に比べると溶血環は大きくなく、透明度や輪郭の鮮明さが劣るα溶血を示す。このS. pyogenes には数多くの表層抗原因子が知られている。このうちM蛋白質は菌の疫学マーカーとしてよく用いられているが、宿主細胞への付着や抗貪食作用をもつ病原因子のひとつでもある。また同時に、感染防御抗原としても重要な機能を果たしている。 臨床症状  劇症型A 群溶血性レンサ球菌感染症(severe invasive streptococcal infection 、または streptococcal toxic shock‐like syndrome ;TSLS)の患者は、免疫不全などの重篤な基礎疾患をほとんど持っていないにもかかわらず、突然発病する例が多い。初期症状としては四肢の疼痛、腫脹、発熱、血圧低下などで、発病から病状の進行が非常に急激かつ劇的で、発病後数十時間以内には軟部組織壊死、急性腎不全、成人型呼吸窮迫症候群(ARDS)、播種性血管内凝固症候群(DIC)、多臓器不全(MOF)を引き起こし、ショック状態から死に至ることも多い。近年、妊産婦の症例も報告されている。  Stevens らの報告によると、本症の最も一般的な初期症状は疼痛であり、急激に始まり、重篤である(Stevens,1992,Stevens et al,1989)。続いて、圧痛あるいは全身症状が見られる。疼痛は通常四肢で見られる。疼痛の開始前に、発熱、悪寒、筋肉痛、下痢のようなインフルエンザ様の症状が20%の患者にみられる(Stevens,1992, Stevens et al,1989)。全身症状としては、発熱が最も一般的である(ただし、患者の10%はショックによる低体温を示す)(Stevens,1992, Stevens et al, 1989)。錯乱状態(confusion)が患者の55%でみられ、昏睡や好戦的な姿勢がみられることもある(Stevens,1992, Stevens et al,1989)。局所的な腫脹、圧痛、疼痛、紅斑のような軟部組織感染の徴候は、皮膚の進入口が存在する場合によくみられる。発熱や中毒症状を示す患者で紫色の水疱がみられると、壊死性筋膜炎や筋炎のような深部の軟部組織感染を起こしている可能性が考えられる(Stevens,1995)。  2002年10月30日までに衛生微生物技術協議会溶血性レンサ球菌レファレンスシステムセンターに集められた劇症型A 群溶血性レンサ球菌感染症の確定診断例96 例中、肝障害は56.3%(54症例)、腎障害は72.9%(70症例)、成人型呼吸窮迫症候群(ARDS )は31.3%(30 症例)、播種性血管内凝固症候群(DIC )は70.8%(68 症例)、軟部組織壊死(壊死性筋膜炎および筋炎を含む)は79.2%(76 症例)、紅斑様皮膚発赤疹は13.5%(13 症例)、中枢神経症状は38.5%(37 症例)の頻度でみられた。 病原診断  通常無菌的である部位(血液、脳脊髄液、胸水、腹水、生検組織、手術創など)からA群溶血 性レンサ球菌が検出される。本症では顕著な菌血症を示すので、血液のグラム染色標本を検鏡 するとレンサ球菌が直接観察される。分離培地には血液寒天培地を用いるが、A群溶血性レンサ 球菌はこの培地上でβ溶血またはα溶血を示す直径0.5mm 以上のコロニーを形成する。本菌はグラム陽性球菌で連鎖状の配列を形成し、鞭毛を有していなく、芽胞を形成しない。また、カタラーゼ陰性である。その後、血清群別、糖分解試験等の生化学的性状試験や検査キットにより、A群溶血性レンサ球菌であることを同定する。 治療  抗菌薬としてはペニシリン系薬が第一選択薬である。また、組織内の菌密度が上昇すると菌の発育が抑制され、βラクタム系薬の効果が低下する現象が知られており、本症のように極端な敗血症病態では、細胞内移行性の高いクリンダマイシンを推奨する意見もある(Stevens et al.,1994)。さらに、免疫グロブリン製剤の効果も報告されている(Burry et al.,1992)。  血圧維持には大量の輸液が必要であるが、輸液量の許容範囲が狭いため、肺動脈圧の経時的観察が必要である。  壊死に陥った軟部組織は本菌の生息部位であり、筋壊死による腎不全および代謝性アシドーシスの悪化を防止するため、可及的広範囲に病巣を切除することが必要である。 感染症法における取り扱い(2003年11月施行の感染症法改正に伴い更新)  劇症型溶血性レンサ球菌感染症は5類感染症全数把握疾患に定められており、診断した医師は7日以内に最寄りの保健所に届け出る。報告のための基準は以下の通りとなっている。  ○診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下の3つの基準を全て満たすもの。  1. 血液または通常ならば菌の生息しない臓器からA群レンサ球菌を検出(末梢血塗抹標本または壊死軟部組織の鏡検によるレンサ球菌の確認も含む)  2. ショック症状  3. 多臓器不全(以下の症状のうち3 つ以上)   肝不全、腎不全、成人型呼吸窮迫症、播種性血管内凝固症候群、軟部組織炎(壊死性筋膜炎を含む)、発しん、痙攣・意識喪失などの中枢神経症状  (鑑別を要する病態)     1. A群レンサ球菌による軟部組織炎(丹毒)     2. 他の菌による敗血症または敗血症性ショック 【参考文献】 ・Stevens DL :Invasive group A streptococcus infections. Clin Infect Dis 14:2‐ 13,1992. ・Stevens DL :Streptococcal infections of skin and soft tissue. In “Atlas of Infectious Diseases(Stevens DL, Mandell GL, ed)”.3.1‐3.11,Churchill Livingstone, New York, 1995. ・Stevens DL, Tanner MH, Winship J et al: Reappearance of scarlet fever toxin A among streptococci in the Rocky Mountain West:severe group A streptococcal infections associated with a toxic shock‐like syndrome.N Engl J Med 321 :1‐ 7,1989. ・Stevens DL,Bryant AE,Yan S :Invasive group A streptococcal infection:new concepts in antibiotic treatment.Int J Antimicrob Agent 4:297‐ 301,1994. ・Burry W,Hudgings L, Donta ST et al.:Intravenous immunoglobulin therapy for toxic shock syndrome.JAMA 267 :3315‐ 3316,1992. (国立感染症研究所細菌第一部 池辺忠義) 【敗血症の定義】 敗血症=感染によって発症した全身性炎症反応症候群(SIRS)である。 (1)体温(>38℃または<36℃), (2)心拍数(>90回/分), (3)呼吸数(>20回/分または炭酸ガス分圧<32Torr), (4)末梢血白血球数 (>1万2,000個/mm3または<4,000個/mm3 )あるいは未熟顆粒球〔(band)>10%〕 ―の4項目のうち,2項目以上に該当する場合に定義される。 また敗血症性ショックとは重症敗血症のなかで,十分な輸液負荷を行っても低血圧(収縮期血圧<90mmHgまたは通常よりも>40mmHgの低下)が持続するものとする。 敗血症では顆粒球エラスターゼによるアンチトロンビン分解がおこりDIC進む。 【代謝性アシドーシス】 単純性酸-塩基障害における一次性の変化および代償 障害 pH HCO3 Pco2 代償 代謝性アシドーシス < 7.35 一次性低下 代償性低下 HCO3が1mmol/L低下する毎にPco2は1.2mmHg低下 または Pco2 = (1.5 × HCO3) + 8 (± 2) または Pco2 = HCO3 + 15 または Pco2 =pHの下2桁×100 代謝性アルカローシス > 7.45 一次性上昇 代償性上昇 HCO3が1mmol/L上昇する毎にPco2は0.6〜0.75mmHg上昇。Pco2は代償性に60mmHgを超えて上昇すべきではない 呼吸性アシドーシス < 7.35 代償性上昇 一次性上昇 急性:Pco2が10mmHg上昇する毎にHCO3は1〜2mmol/L上昇 慢性:Pco2が10mmHg上昇する毎にHCO3は3〜4mmol/L上昇 呼吸性アルカローシス > 7.45 代償性低下 一次性低下 急性:Pco2が10mmHg低下する毎にHCO3は1〜2mmol/L低下 慢性:Pco2が10mmHg低下する毎にHCO3は4〜5mmol/L低下 【薬のトラフ値】 薬物を反復投与したときの定常状態における最低血中薬物濃度。薬の血中濃度は、吸収後に最高濃度となり、平衡状態に達した後、時間の経過とともに代謝・排泄によって一定の速度で減少する。従ってトラフ値は投与直前値となる。血中濃度の経時的推移の中で、変動の小さい時点であり、血中濃度のモニタリングに適している。薬効発現に一定以上の血中濃度の維持が必要な場合の良い指標となる。また、トラフ濃度を一定濃度以下に保つことで、バンコマイシンやアミノグリコシド系抗生物質の腎毒性など、副作用発現防止の指標としても用いられる。 ちなみにバンコマイシンのトラフ値は投与開始3〜4日目に投与直前採血ではかる。 【スティーブンス・ジョンソン症候群】 薬物などによる重篤な副作用 「高熱(38℃以上)」、「目の充血」、「めやに」(眼分泌物)、「まぶたの腫れ」、「目が開けづらい」、 「くちびるのただれ」 「のどの痛み」、 「皮ふの広い範囲が赤くなる」 「陰部のただれ」、 「排尿時の痛み」 「排便時の痛み」、 【MRSA】 1. MRSAの胎内感染による重症新生児仮死の報告がある(横浜労災09)。母体発熱と臍帯炎ともなうCAMも認めていた。母体膣培養からもMRSA検出していた。 2. 産褥期に全身発赤やARDSなどのsepsic shockとなった褥婦の報告がある。 3. MRSAにより妊婦が敗血症(稀であるが)となり、産後に褥婦の感染性心内膜炎おこしたことがある(桐生厚生12)。S. aureusは感染性心内膜炎の起炎菌として2番目に多い(一番はStreptococcus viridans)。 【黄色ブドウ球菌(MSSA)による敗血症・DIC】 1. 産褥期に重症化する。 2. 出血班様発疹、発熱、眼瞼・結膜発赤。 3. 血液、膣、児の動脈血からMSSA検出。 4. GASと似たような経過をとる。 【HBV】 針刺しの場合、B型肝炎はHIVの100倍、C型肝炎の10倍の感染率。性行為だけでなく保育園や大学の運動クラブでの体液感染なども多数報告ある。5歳以下の児の水平感染で最も多いのは父親から。 【HB垂直感染】 1. HBS抗原陽性母体において母子感染予防を行っても5%はキャリア化する。これは大部分が胎内感染と考えられる(胎盤機能異常・損傷などが原因?)。つまり胎盤感染しHBVによる絨毛炎がおこりバリア機構が破たんしHBVが胎児側に流れ込むか、HBVが絨毛内で複製し胎児血管に侵入する。 2. HBS抗原陽性・HBe抗原陽性母体からのD-DTwinで、片方の児だけ高力価HBsヒト免疫グロブリン投与したにもかかわらず感染した例がある(奈良母子09)。 3. HBe抗原陽性母体において母子感染予防を行っても15%はキャリア化する(国立成育医療センター)。 4. 妊婦のHBS抗原陽性率は1%。HBS抗原陽性妊婦の25%がHBe抗原陽性。 5. HBe抗原陽性はウイルス増殖が活発なことを意味する。 6. HBe抗原陽性(抗体陰性)で高ウイルス量妊婦にラミブジン(抗HIV薬でHBVに適応はない)を28週から内服させ垂直感染予防した(名古屋市大12)。 7. 2013年から児への予防法が変わった。出生12時間以内にHBグロブリン筋注とHBワクチン皮下注し、生後1か月後にHBワクチン皮下注、生後6か月後にHBワクチン皮下注となって保険適応である。これは国際的に広く実施されている方法に準じたもの。 8. 現在抗HB薬は、核酸アナログ(テノホビル・エンテカビル・アデホビル・ラミブジンなど保険適応)、インターフェロン→すべて妊婦は有益性投与。 9. 高ウイルス量HB肝炎合併妊婦へのラミブジン投与(28週以降投与)で母子感染予防例。FDAはラミブジンの母体投与を認可していないがHIV妊婦への投与では安全使用報告がある。ラミブジンは副作用ほとんどないが薬剤耐性出現による(6〜9か月で出現)肝炎重症化に注意。先天異常発生率はコントロールと同様。またWHOはHIV感染授乳婦にラミブジン服用を推奨している。HBe抗原陰性妊婦の99%はHBV-DNA 6.0 log copies/mL未満であるから、ラミブジン投与はHBV-DNA 6.0 log copies/mL以上の妊婦としている(大阪大16) 10. HBV-DNA 7.0 log copies/mL以上だとHBV母子感染リスクが高まるとの報告あり、これらの症例に28週〜32週からテノホビル300mg/日内服にてHBV母子感染予防した報告(名古屋市大16)テノホビルはFDAでカテゴリーB(ラミブジンはC)。HIVでは妊婦投与が推奨されている。 11. 母乳にもHBV抗原は検出されるが児のHBV感染リスクを増加させないため母乳OK。 【HB水平感染】 父子感染のキャリア例あり。保育所内の水平感染もあり。父や家族にHBキャリアがいれば積極的に子にワクチン勧めるのがよい。父親がキャリアの場合25%の児が感染し10%がキャリア化するという報告もある。WHOはその場合すべての児にHBワクチン使用を勧告し、欧米などは導入している。 【HBワクチンの定期接種】 1. 2016年10月から開始。 2. 生後2か月・3か月・7~8か月の3回。0.25ml皮下注。 3. 同居人にキャリアがいる場合は、生後0か月から開始OK。 【セロコンバージョン キャリアなど HBV】(資料2) 1. HBs抗原は表面抗原。肝細胞の中にいるが肝炎で血中に出ると変化してHBe抗原となる。HBs抗原陽性が半年以上続けばキャリアと診断する。 2. HBウイルスに乳幼児期に感染しても免疫反応が起こらず肝炎は発症しない(HBe抗原陽性無症候性キャリアという。HBウイルスそのものは肝細胞を傷害せず肝細胞内に留まる)。やがてHBウイルスに対する免疫活動が始まり(肝炎発症)、HBe抗原が減少し陰性化しその代わりにHBe抗体が陽性化する現象をセロコンバージョンという(HBe抗体陽性無症候性キャリアとなる)。しかしHBe抗原が陰性化してもHBe抗体が完全に陽性になりきっていない(80%以下)時期をセロネガティブと呼びセロコンバージョンの前段階である。ただしその後変異したウイルスの再増殖やがんが発生するケースもあるので観察必要。またHBe抗原が陰性化してもHBs抗原は陽性のままがほとんど。 3. 妊娠中や産褥期に劇症化したキャリア例ある。黄疸・肝障害・凝固障害が出現(横浜市大12)。 【HCV】 1. 母体は感染後6カ月まではHCV抗体陰性のことある。 2. 帝王切開が母児感染率を低下させたとの報告もあるがいまだ結論なし。 3. 児感染は分娩時。経母乳感染は否定的。 4. 児感染例は母体血中HCV‐RNA陽性がほとんどで、RNAが106コピー/ml以上は高率感染。 5. 現在RNA値(HCV定量値)はLogIU/mLで表示される。たとえば6 LogIU/mLならば以前の106コピー/mlということになる。 6. 母子感染率は10%。 7. 感染児は生後2~3ヶ月でHCV‐RNA陽性となり、3~4歳で陰性化する自然治癒例とそのまま持続する例がある。 【水痘】 1. WEBより 水痘の患者に接触した場合、72時間以内にワクチンを接種すれば、60〜80%程度は発病を防止できます。万が一、発病しても軽く済ませることが出来ると言われています。 しかし家族内で発生した場合には、発病の防止は難しくなります。(発疹出現前1日から感染すると言われています) 72時間を過ぎてしまった場合には、ガンマグロブリンの筋肉注射(抗体を直接注射)すること以外に有効な方法はありません。この場合も出来るだけ早く、96時間以内が望ましいとされています。 ただし、ガンマグロブリンは血液製剤ですので将来的に何かの問題が出てくる可能性もあります。 麻疹と違って、普通の人では水痘が重症化することはまずないので、ガンマグロブリンの投与は普通行いません。 (一般的には免疫不全の子供や、水痘の免疫のない妊婦、分娩前後に水痘を発症した母親から出来た新生児などにかぎられます。)さらにガンマグロブリンの効果は約1ヶ月程度しか持続しません。 水痘感染母体からの出生児は発症予防のためアシクロビルとガンマグロブリン投与行う。 2. 水痘は妊娠初期に罹患すると先天性水痘症候群(CVS)が問題となる。 3. CVS発症確率は12週以内で0.5%、13〜20週で2%、21~36週で0%。 4. CVS:瘢痕性皮膚病変、神経病変(痙攣・水頭症・小頭症・大脳皮質萎縮)、眼病変(眼振・小眼球・脈絡膜炎・白内障)、四肢低形成。 5. 水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)は妊娠初期感染しても重篤な胎児への影響はないとされる。しかしIUFDとなった例がある(神戸大12)。 6. 妊娠中期発症の場合、児に潜伏したウイルスにより水痘既往なしに帯状疱疹発症する幼児がいる(1歳までの発症が多い)。 7. 分娩前4日から分娩後2日に母体罹患した場合児は重篤な全身感染となり予後不良(生後5〜10日に水痘症状出る)。 8. 分娩4日前〜産後2日に発症した場合、児への感染と発症重症化が濃厚。よって母児隔離と母体へのACV投与、児へのIVIG投与やACV投与考慮。ちなみに帯状疱疹は一般的に垂直感染はしない。 また分娩5日より以前の発症の場合、児に水痘発症しても軽症(移行抗体のため)。 9. 感染可能性が高い妊婦には予防的IVIG投与(2.5g〜5.0g:保険適応なし)することがある。 10. 妊婦発症の場合、妊婦にアシクロビル投与(有益性投与)。 11. 水痘発症の母体は皮膚が完全に痂皮形成して感染力無くなるまで未発症の自児から隔離する。 【サイトメガロ:CMV】 1. サイトメガロウイルスは正式名はヒトヘルペスウイルス5(HHV-5)。 2. 妊娠年齢の抗体保有率は70%。母体の原因不明発熱に注意。 3. 妊婦の70%がIgG陽性で、その中の4〜5%がIgM陽性でその30%がIgG avidity低値(35〜45%以下)で初感染が強く疑われる(日産婦マ14)。IgG avidityは保険適応でない(SRLで検査可能)。逆にIgM陽性者の70%は初感染でない。 4. CMV IgG陰性妊婦の1〜2%が妊娠中初感染おこす。年長児から妊婦への感染が主要感染ルート。 この初感染妊婦のうち40%が胎内感染起こす。そのうち10%が症候性。症候性の90%が後遺症残す。 5. 胎内感染で無症候性(胎児超音波異常などなし)の10%が、後に何らかの症状発症(精神遅滞・運動障害・難聴など)。90%は無発症。 6. CMV IgG陽性妊婦からも再感染や再活性化で約1%の後遺症児がでる!つまり日本の疫学的にはIgG陽性妊婦からのCMV感染児は年間2000−2500人で、IgG陰性妊婦からのCMV感染児は年間400−900人となり前者の方が多い! 7. 厚労省調査では新生児300人に一人が先天性CMV感染おこし、1000人に一人が症候性感染である(神戸大15)。 8. 羊水穿刺によるCMV DNA検査で先天感染の有無が確定。ただし22週未満では偽陰性が多い。 9. ワクチンはないが高力価免疫グロブリンの胎児腹腔内投与療法により生存率改善した報告ある(母子感染:金原出版)。しかしこれが後の神経学予後を改善するかは不明。 10. CMV高力価免疫グロブリンの母体静脈内投与が胎児治療として有効であるか否か結論未だ(16)。 11. 出生児の検査は生後3週間までの尿・血液・唾液からのCMV検出(PCR法)。 12. 難聴は新生児期なくともその1割に数年後に発症することある。 13. 新生児CMV感染症にガンシクロビル(GCV)や抗CMV高力価ガンマグロブリン投与を行う。ガンシクロビルには汎血球減少(骨髄抑制)があるので注意。また経口薬のバルガンシクロビル(バリキサ)の試みもある。どちらも先天性CMV感染症への保険適応なし。また妊孕性や発癌性という副作用もある。 14. 先天性CMV感染症は胎内ウイルス感染症のうち最も頻度が高く300出生につき1人が罹患する。しかし発症は稀。 15. 妊娠中再感染や再活性化による胎内感染もある(日医科11) 16. 感染症状は発熱・非特異的炎症所見(リンパ球増加)。 17. 北海道臍帯血バンクの調査では、4000人の妊婦のうち9例(0.2%)の臍帯血からCMV-DNAが検出されたが、その9例全例の母体血と臍帯血CMV-IgGは陽性であり、児も発症に至らなかった(母体血CMV-IgMは2例が陽性、臍帯血CMV-IgMは1例陽性)。児は胎盤を通してウイルスを受け継ぎ一過性のウイルス血症だったかもしれないが、移行抗体のおかげで発症にいたらなかったものと思われる(神戸大10)。 18. CMV IgG avidity index が35%以上の妊婦から先天感染は発症しなかった。IgG avidity indexは35%がカットオフ値(宮崎大12)。40%以下なら3か月以内の感染考える(帝京12)。 19. 母体検査・臍帯血検査ともにIgG・IgM・血中CMV-DNA(PCR)定量、新生児尿中・羊水中または血中CMV-DNA(PCR)などを先天性CMV診断に使う。CMV-IgG avidityで初感染か否かを判定。 20. 母体CMV IgMスクリーニングを施行しても陽性者(0.7%)にほとんど胎内感染者はいなかった(防衛10)。USGでの胎児症状(下記15など)を確認してからCMV胎児感染を確認するのが妥当だろう(防衛10)。 21. 巨細胞封入体症(すべてひっくるめてこう言う)。フクロウの目。 22. 全身型:肺炎・肝腫大・肝機能異常・血小板減少・赤芽球増加・脈絡膜炎 23. 脳所見型:小頭症・脳内石灰化・脳室拡大・上衣下嚢胞。脳室拡大と難聴は関連する。 24. 神経後遺症は脳性麻痺・発達遅延・てんかん・難聴(ABR異常)・視覚障害 25. 先天性CMV感染症のUSG所見は脳室拡大・脳内石灰化・腸管周囲高輝度エコー・肝腫大・IUGR・胎児腹水・羊水過多。 26. 生命予後は男児が悪い。 27. 先天性CMV感染症に横隔膜挙上症合併報告ある。 28. 新生児感染は先天性感染もしくは早産児の後天性感染がほとんどで、成熟新生児の後天性感染は稀。 29. CMV既感染の女性は妊娠中に乳腺組織内のCMV再活性化がほぼ全例におこり、母乳中へウイルスが分泌され、授乳で40%が児に移行する(Lancet)。成熟児では不顕性感染となる。極低出生体重児(VLBWI)ではそれによって肺炎・敗血症などを起こすことがあり、母乳中のCMV数が関係する。 30. 胎児腹腔内免疫グロブリン投与(抗CMV抗体価310倍のもの)ある(防衛10)。府立母子ではhanaco25G穿刺針を使い、日赤ポリグロビンN(CMV抗体価370倍)を腹腔内投与。治療判定は羊水中や胎児腹水、また胎児臍帯血(静脈)などのCMV−DNA定量値を使う。島根周産期センターは胎児腹腔内免疫グロブリン投与量を30週で27ml、32週・34週で60ml行っている(島周セ10)。 31. 防衛医大(10)は症候性CMV感染胎児の胎児腹腔内免疫グロブリン投与(IFAC: immunogulobulin injection into fetal abdominal cavity)例で臍帯静脈血のCMV−DNA・血小板数・γGTP(症候性CMV感染症では肝機能障害必発)で経過観察している。 32. 後天性CMV感染症は成熟児では無症候性がほとんど。早産児では敗血症などの発症率が高い。感染経路は経産道・経母乳・輸血・水平など。 【新型インフルエンザ:H1N1インフルエンザA】 1. 2009年4月に北米ではじめてブタインフルエンザ由来インフルエンザA(H1N1亜型)の人への感染報告あり。(インフルエンザはRNAウイルスでABC3型ある。Aは人・鳥・ぶた、Bは人のみ。Cは小児期の呼吸器感染症で生涯免疫獲得し大流行しない。すべて鳥インフルエンザが起源。H:ヘマグルチン;赤血球凝集素、N:ノイラミダーゼという表面糖タンパクで分類される。人インフルエンザはH1, H2, H3, とN1, N2ある。潜伏期は1~4日。発症前日から症状軽快後2日目まで感染力ある。) 2. WHOは新生児の新型インフルエンザ確定もしくは疑診例にオセルタミビルの投与を推奨している。 3. CDCは分娩7日前から分娩後2日の間に母体が新型インフルエンザを発症した場合は経胎盤感染している可能性を念頭に置いて管理すべきと提言。 4. 日本産婦人科学会では分娩7日前からの発症の場合は、母児での個室隔離を推奨。また分娩後、入院中に母体が発症した場合は個室にて保育器収容し、飛沫・接触感染防止する。どちらも児への予防的抗インフルエンザ薬投与はおこなわず、症状・バイタル観察を行う。マスクやガウン着用・手洗いなどの厳守で直接母乳よし。 5. 日本小児科学会は分娩直前に母体が新型インフルエンザ発症した場合、新生児は隔離すべきと提言。 6. CDCは母体が新型インフルエンザ発症していても新生児への母乳栄養を推奨している(免疫学的有用性のため)。第3者による母乳投与考慮。 7. 流早産率が高く、急速な早産進行が特徴(早産リスクは上がる)。日本ではワクチンや投薬の影響か妊婦の重症化率は低く、死亡例はない。しかし中には重症→ARDSとなりECMOが効果的であった症例がある(日赤セ12)。 8. 迅速抗原検査は発病6時間以内は60%、12~24時間で85%、24~48時間で95%程度。 9. 2000年の英国の大規模調査では免疫学的に経胎盤感染は否定された(新生児IgM上昇なし)。 10. 神戸大(11)の調査でも新生児検体のRT-PCR法で経胎盤感染は否定。理由の一つは胎盤通過性のあるオセタミビルを母体投与していたからか?と言っている。 11. H1N1ワクチン接種後、ワクチン反応性リンパ球は4ヵ月以上母体に存在し、特異的IgGは新生児に移行して感染防御に関与していることを示唆(北里11)。 12. 重症者にはノイラミニダーゼ阻害薬の点滴peramivir(ラピアクタ)300mg行う。他にイナビルもある。 13. ちなみに授乳期はインフルエンザに限らず、不活化・生どちらのワクチンも接種可能。 【風疹】(資料2) 1. 風疹感染は保健所届け出が必要。 2. 飛沫感染で経気道的感染。 3. 夫から妊婦への感染注意。男性にワクチン接種を。抗体有していてもワクチン接種OK。ワクチン接種後すぐに妊娠判明してもCRS発症報告はない(2015)。2013年の大流行では成人男性が多く感染した(国立感染セ15)。 4. 感染防御可能抗体価は風疹は32倍以上。 5. 抗体価(HI)が256倍以上の場合は1~2週間後にHIペア血清とIgMを測定することが推奨されるが実際に風疹感染であることは少ない。武蔵野赤十字(10)の調査では256倍以上妊婦は20%おり、その中のIgM高値は6%。また256倍以下の妊婦の2%がIgM高値であったが全て風疹感染なしであった。また長期間IgMが持続するpersistent IgM例が存在する。persistent IgMとは低レベルで1~2か月後でも検出され、IgGは高値であるもの。抗体価(HI)16倍以下は十分な防御力ないと考える。現在(2015年)24歳~36歳が谷間の世代?(女子中学生の集団接種が廃止されたため) 6. 平成25年にガチョウ血球供給不足のため、EIA法による風疹検査を追加。HIとの換算は、HI:16倍以下=EIA:8未満、HI:256倍以上=EIA:45以上。ペア血清でHI 4倍以上とはEIAで2倍以上。(資料2) 7. 免疫保有者が風疹再暴露によってHI抗体価上昇するがIgM測定で初感染との鑑別できる(抗体変動グラフ参照:ファイル)。 8. 風疹感染が濃厚な場合、羊水検査で羊水PCR施行しウイルス検査することがある。 9. 感染出生児は他の新生児や母親から隔離する(感染児は生後6か月程度ウイルス排出する)。 10. 臍帯血でIgMを測定し、胎内感染がないことを確認するまで児を隔離する。 11. 児の末梢血・唾液・尿からウイルスRNAが検出されれば持続感染が存在する。 12. 風疹の発疹出現の前後7日間はウイルス排泄あり。 【先天性風疹症候群(CRS)】 1. 古典的三徴は白内障・難聴・先天心疾患 2. 感染時期と発症率:4~6週=100%、7~12週=80%、13~16週=50%、17週~20週=6%。20週以降はCRS報告ない。 3. CRSのなかで母体の不顕性感染に伴うものは15%ある! 4. 保健所へ届ける診断基準:白内障、緑内障、先天性心疾患、難聴、色素網膜症、紫斑(点状出血)、脾腫、小頭症、精神発達遅滞、髄膜脳炎、X線透過性の骨病変、生後24時間以内の黄疸。 5. 8週までの感染ではCRS三徴そろうことが多いが、13週以降では難聴のみのことが多い。 6. 風疹ワクチン接種後2カ月の避妊が必要だが、もし妊娠判明してもワクチンによるCRS報告はなく妊娠継続してよい。男性は避妊必要なし。 7. 幼少期にワクチンうった母体が再感染しCRS発症したケースある(日大医15)。 8. MMRワクチン一回投与では風疹抗体獲得は90%。時間とともに抗体価が減衰する報告最近多い(日大医15)。 9. CRS児のPDAは内膜形成不全のためINDでの収縮閉鎖しにくいと。 10. CRSは通常感染と違い、1~2年の長期にわたり唾液や尿からウイルス排泄持続する。 【MRワクチン】麻疹・風疹ワクチン 授乳婦にMRワクチン接種後5週間までの乳汁分析では、麻疹・風疹ウイルス検出されず安全に授乳可能と考えられた(JA静岡11)。 【麻疹・風疹・水痘】 1. 妊婦の麻疹抗体陰性率は8.8%、風疹抗体陰性率は3.4%、水痘抗体陰性率は1.3%・・国立成育医療センター 2. 感染防御可能抗体価は麻疹が128倍(国立感染研究所)以上(PA法による)、風疹が32倍以上。 3. 麻疹・風疹・ポリオは新三種混合ワクチン。ジフテリア(diphtheria)・百日咳(Pertussis)・破傷風(Tetanus)が三種混合ワクチン(DPTワクチン)。 麻疹:空気感染・飛沫感染・接触感染何でも強力にアリ。母体の発疹出現後5日以内に出産すると先天性麻疹(皮疹・肺炎・死亡に至ることもある)になりやすく、逆に発疹出現後7日以降に生まれた場合は大丈夫と言われるため児へのIVIG投与も避けられる(可能なら7日以降に分娩を)。 (以下は成育セの基準) 分娩前15日前から6日前に感染可能性の場合:分娩後母児を別々に隔離し、母児ともに静注用ヒト免疫グロブリン(IVIG)投与(発症予防効果。患者と接触後6日以内であれば効果的と言われている)。 分娩前6日前から分娩までの感染可能性の場合:分娩後母体のみ隔離し、母児ともにIVIG投与。 分娩前後の発症の場合: 児が発症:母児とも同室で隔離。(IVIGは無効)。 児に発症無:母児を別々に隔離し、児にIVIG投与。 とにかく麻疹は感染力が強いので、麻疹妊婦の入院管理は空気感染患者を収容できる病室が必要。 【水痘ワクチン】・・平成26年から定期接種開始 水痘ワクチンの定期接種は、生後12月から生後36月に至までの間にある方(1歳の誕生日の前日から3歳の誕生日の前日までの方)を対象としています。  2回の接種を行うこととなっており、1回目の接種は標準的には生後12月から生後15月までの間に行います。2回目の接種は、1回目の接種から3月以上経過してから行いますが、標準的には1回目接種後6月から12月まで経過した時期に行うこととなっています。 【4種混合ワクチン】 DPTワクチンに不活化ポリオワクチンを混合したワクチン。2012年11月から定期接種となり公費接種となった。生後3か月から1期の間(7歳まで)に4回接種する。ちなみに2期は日本ではジフテリアと破傷風の二種混合ワクチン。 【百日咳】(Pertussis) 1. 近年成人発症が増加している。小児期に摂取したDPTワクチン抗体は10歳台にはほぼ消失する。 2. 日本では成人用DPTワクチンがないので、小児用DPTワクチンを0.2mlに減らして接種する方法がある(東京都立小児12)。 3. NICU看護婦が発症した場合、その際にいた児すべてにアジスロマイシン10mg/kg/日を5日間投与。また接触可能性のある人全てにアジスロマイシン内服投与(香川小児12)。 【流行性耳下腺炎(ムンプス)】 1. 妊娠後期(分娩周辺期)の感染:新生児は多くは不顕性感染やほとんどが軽症。ただし肺炎・RDS・肺高血圧などの重症例もある。 2. 妊娠初期感染はIUFD(流産)が増加することがある。妊娠中感染でSFD児が多い傾向があるが、先天奇形の原因にはならない。 3. 妊娠によりムンプス母体が非妊時と比べ重症化することはない。 4. ムンプスワクチンはまだ定期接種になっていないが、水痘ワクチン(平成26年から定期接種開始)と同時にうつのが良い。 【梅毒】(資料2) 1. RPR(STS)・TPHA・FTA-ABSで診断する。 2. RPR(STS)法はカルディオリピン・レシチンのリン脂質を抗原とする脂質抗原試験。TPHA・FTA-ABSはTP菌体か菌体成分を抗原とするTP抗原反応で特異性が高い。 3. RPR(STS)とTPHA両方陽性で感染が判明した場合、RPR(STS)定量を行い16倍以上で梅毒患者とする(治療する)。 4. RPR(STS)・FTA-ABSは治癒すれば陰性化(RPR(STS)ならば8倍以下)するがTPHAは陰性化しない(320倍など)。よってIgM-TPHAが正確な指標となりこれの陰性化によって治癒とする。 5. 治療はABPC内服(2g/日 数か月)。 6. 胎盤形成以後に胎児感染すると言われていたが、最近、胎盤形成前の感染でもTP量の多い未治療症例でIUFDの報告ある。 【SRLのWEVより】 梅毒血清反応には、カルジオリピン,レシチンのリン脂質を抗原とする脂質抗原試験と、TP菌体また菌体成分を抗原とするtreponema pallidum(TP)抗原試験とがある。 脂質抗原試験は、通常STS(serological tests for syphilis)と呼ばれ、ガラス板法(RPRカードテスト),梅毒凝集法などがある。 TP抗原法は梅毒病原体であるTPに対する抗体で、TPHAテストとFTA-ABSテストがこれに該当する。なお、TP抗原反応は梅毒に対する特異性が極めて高いので、梅毒の診断には有用であるが、治療の適応あるいは治療効果の判定などには不適当である。その理由は、その抗体価が一度ある程度以上に上昇してしまうと、有効治療が加えられても容易に抗体価の低下がみられず、また半永久的に陽性を持続するからである。 データ解釈: 一般的には、脂質抗原を用いるSTS(ガラス板法,RPRカードテスト)を実施する。 その結果、1法ないし2法とも陽性の場合はTPHAテストで確認する。 TPHAが陰性の場合は、FTA-ABSで最終確認をしなければならない。 多くの検査室では、STSとTPHAを同時に実施している。 初感染の証明はTPに感染後約1週間くらいでまずTPに対するIgM抗体が産生され、続いてSTSに対するIgM抗体,IgG抗体,最後にTPに対するIgG抗体が産生される。また一般的にルーチン検査の場合、その陽転順序はまずFTA-ABS IgM抗体が陽転し、次にFTA-ABSとSTSがほぼ同時に陽転し、TPHAが最も遅く陽転する傾向がみられる。また、STS陽性・TPHA陰性の場合は、感染初期のこともあり、感染の疑いが強い症例には3〜4週間後に再度検査を行い、感染初期の梅毒かBFPかの判定を下す必要がある。 【妊婦梅毒と先天梅毒児】 1. 母体にABPCを4週間内服投与する。治療により98%の児が先天梅毒予防できる。未治療だと40%が先天梅毒となる。IgM-TPHAが陰性なら梅毒は治療したと判断してよい。 2. 絨毛や臍帯にTreponema pallidum抗体による免疫染色でTreponema pallidumを認める。 3. 児のRPR定量・TPHA定量・FTA-ABS・IgM-FTA-ABS・髄液RPRなどを行う。 4. 先天梅毒は貧血・肝脾腫・骨軟骨炎・鞍鼻・髄膜炎・梅毒性天疱瘡・・出生後早期に症状が現れるほど予後不良。 5. 児に上記症状ある時と、症状ない場合にも児のRPRなどが母体の4倍以上のときは児の治療を行う事が勧められている(CDC)。 【トキソプラズマ】 1. 年間約10名程度の重症先天性トキソプラズマ症児が出生し、約100名の不顕性トキソプラズマ先天感染児が出生と推測。不顕性感染児の約10%が5歳以降に脈絡膜炎発症(三井記念15)。 2. IgM検査では持続陽性例があり感染時期判定が困難なことがある。その際、IgG-Avidityが高値の場合は羊水中トキソプラズマPCR陽性例はいなかった(NTT札幌09)。 3. 先天性トキソプラズマ症は胎児脳室拡大とFGRが特徴。新生児にて網膜脈絡膜炎・小眼球・頭蓋内石灰化・精神運動障害認める。臍帯血・児血でのトキソプラズマ特異的IgM・髄液中のトキソプラズマPCR陽性などを認める(成育09)。前眼房穿刺検査も行っている。 4. 生レバーやその他の食品で入る。 5. SP合剤(スルファドキシン+ピリメタミン:ファンシダール)はマラリア薬だが最近よく使われる。 【単純ヘルペス・胎児新生児感染】 1. 単純ヘルペスの胎内感染と思われる肝硬変と多臓器不全によって新生児死亡した症例がある。胎児期はIUGRと羊水過少であった(滋賀医科09)。 2. 新生児ヘルペス脳炎は予後不良。診断にMRIの拡散強調画像(DWI)が有効(高信号病変)。 3. 新生児の髄液や血清でのHSV− PCR検索する。 4. 治療:初感染はアシクロビル(ゾビラックス)もしくはバラシクロビル(バルトレックス)の5日間投与。再発型ではアシクロビル軟膏やビタラビン軟膏(アラセナA)局所投与も可能。年に6回以上再発する場合はバラシクロビルの500mg1日1回投与を1年間服用も考慮する(2006年から保険適応)。 5. 新生児ヘルペスは感染によって引き起こされるサイトカインストームによる組織障害が関与しているのでシクロスポリンなどの免疫抑制も有効。 【パルボB19感染:伝染性紅斑】 1. 母体感染の20%に胎児感染成立。そのうち流産・死産は10%。感染時期が最も予後に影響し、20週未満の感染が危険が高い。母体感染から10週以内に胎児発症することが多い。 2. 母体:潜伏期は7~10日でウイルス血症となり(IgM上昇が始まる)、悪寒発熱・頭痛症状出る。発熱後1週間で顔面から発疹が始まるがこのころにはウイルス排泄もなくなっている(感染収束)。 3. パルボB19ウイルス感染に必要な受容体は赤血球系の前駆細胞に存在するP抗原(globoside)である。このP抗原は他に心筋細胞などにもある。よって胎児は赤芽球系細胞や心筋細胞にアポトーシスをおこす(胎児心筋炎)。この貧血に対して胎児はErythropoietinを過剰産生するがそれによるhyperdynamic stateに耐えられなくなって胎児水腫となる(防衛10)。 4. 胎児水腫は20週以前に発症することが多く、自然寛解率は40%前後。胎児輸血が最も効果的な治療法で、84%の寛解率と言う報告もある。 5. 成人の抗体保有率は40〜60%程度。院内水平感染もあるため新生児の赤芽球系前駆細胞増加をともなう溶血性貧血を起こす可能性がある。 【Campylobacter類】 1. 食中毒菌・生レバー食が原因のことが多い。 2. C.lariは新生児の粘血便、C.fetusやC.jejuniは敗血症や髄膜炎おこす報告ある。 3. 死産や流産可能性あり。 4. 血行経胎盤感染おこす。 【ノロウイルス】 正期産児の生後6日目でノロウイルス感染による腸炎・脱水・腎不全で新生児壊死性腸炎となり死亡した例ある(三重大12)。 【リステリア菌血症(食中毒)】 1. 加熱殺菌していないナチュラルチーズ、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモンなど。70度以上の加熱で死滅するが、4〜10度(冷蔵庫)の低温で増殖する!経口摂取が主な感染経路。 2. 症状は水様便と発熱。腹痛。妊婦は非妊婦の13倍の発生頻度(細胞性免疫低下のため)。多胎はさらにリスク高い。妊娠後期(28週以降)の感染リスクの方が高い。 3. 経胎盤感染し流産・死産などの原因になる。 4. 血液培養で確認し、高用量ABPC治療(12g/日)にて治療する(淀キリ16) 【Enterobacter sakazakii】 欧米では新生児の敗血症や髄膜炎の起炎菌として重要視されている。調製粉乳への混入が主な感染源とされている。 【結核】 1. 2012年に結核による母体・胎児死亡が発生(空洞性の肺結核で喀血による窒息死)。 2. 2週間以上続く咳と痰、喘鳴、倦怠感、熱・・(妊娠中はわかりにくい)。結核蔓延国からの帰国や高齢者施設の職員も注意。 3. 結核患者と接触した可能性がある新生児は、3か月未満の児はツ反が信用できないためネオイスコチン(INMS)予防投与し、3か月以降にツ反とBCG接種する。 4. 粟粒結核は菌が全身に播種した結果多くの臓器に結核結節を生じ、明らかな呼吸器症状ではなく不明熱や腹膜炎などの症状になる。これのために死産となった例がある(沖縄中部セ12)。 5. 母体検査は本邦ではBCG接種されているのでツ反はみんな陽性にでる。よってクオンティフェロン検査(QFT:インターフェロンγ放出試験:血液を結核菌抗原と伴に培養して抗原に反応したリンパ球が放出するインターフェロンγを20時間後に測定する)が特異性が高くBCGの影響受けない。 6. 喀痰の検査は塗抹検査と培養・遺伝子増幅(PCR)。塗抹検査はガフキー表示は廃止されて陰性・陽性・少数・多数等の表示に変わった。ただし塗抹検査で抗酸菌陽性の20%は非結核性抗酸菌なのでやはりPCR併用が必要。 7. 母体治療はイソニアジド(INH)・リファンピシン(RPF)・ピラジナミド(PZA)・エタンブトール(EB)の4剤併用療法が初回療法(2ヵ月)、その後INH・RPFの2剤併用(4ヵ月)が一般的。 8. 児の先天結核は経胎盤と羊水からの嚥下吸収が主(稀に産道感染)。最初の感染は肝臓で門脈周囲リンパ節が第一次リンパ節となる。肝脾腫・呼吸障害リンパ節腫脹など。 9. 医師は保健所に届ける。医療費は公費負担制度があり自己負担は月額2万円が上限。 【尖圭コンジローマ】 1. HPVの6型か11型が原因(頸癌は16型や18型など)。 2. ベセルナ軟膏(イミキモド)も有効。ベセルナクリームは、適量を1日1回、週3回(1日おき、例えば「月・水・金」あるいは「火・木・土」)、就寝前にぬる。 3. 帝王切開したにもかかわらず母体と同じHPVタイプ(6,42,62)が新生児咽頭から検出されたことがある(金沢医科12)。 【HIV】 2nd. trimesterから抗ウイルス療法 highly avtive antiretroviral therapy: HAART開始し、母体のCD4値を増加させ母体のHIV-RNA量を減らし、また出生児にはジドブジン zidovudine: AZT(レトロビル)投与を行い母子感染を予防する。 なお3rd . trimesterからのART開始では母子感染予防は不十分である(胎内感染がある)。 【妊娠中の免疫機能】 1. NK細胞やT細胞の活性が著明に抑制される(細胞性免疫が低下する)。これらの細胞性免疫低下はウイルス感染の重症化や再活性化を惹起する(ただし胎児は免疫から守られる)。逆に好中球や単球系は増加する(自然免疫力亢進)。また病原微生物に対するB細胞による抗体産生(液性免疫)や補体増加により細菌感染に対しては強くなる。 2. たとえばインフルエンザウイルスが侵入すればまず抗体による液性免疫で排除するが、ウイルスが体細胞に感染した段階では細胞性免疫にて感染細胞を排除しようとする。 3. 自然免疫とは好中球やマクロファージなどの食細胞を主体とした病原体に対する初期の生体防御反応。獲得免疫には2種類あり液性免疫と細胞性免疫である。 4. 妊娠中の免疫反応はTh1からTh2にシフトする。 【プロカルシトニン PCT 敗血症】 1. プロカルシトニン(PCT)はカルシトニンの前駆蛋白として甲状腺のC細胞において生成されるが、敗血症などの時には、細菌などの菌体や毒素によってTNF-αやサイトカインが産生されその刺激を受けて全身の細胞より産生されると考えられる。PCTは最近、新しい信頼性の高い敗血症のマーカーとして注目されている。PCTは循環血液中では感染刺激後2〜6時間で血中に検出され、ピークは12〜24時間後、半減期が約24〜30時間といわれている2)。よって白血球上昇やCRP上昇(ピークは48時間後で正常化に数日から1週間)よりも鋭敏。WBCは非感染性の疾患でも上昇することがあるため正確性に欠ける。 2. PCTは通常は0.1ng/mL以下で、一般的に敗血症のカットオフ値は0.5 ng/mL以上とされている。PCTは重症の細菌、真菌、寄生虫感染症の診断のパラメーターで、感染に対する全身的な反応の過程でのみ生成される。局所に限定された細菌感染、ウイルス感染(ウイルス感染時に増加するインターフェロンγにてPCT産生抑制が起こるため)、慢性炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー疾患ではPCTは誘導生成されない2,5)(表1、2)2)。 3. 大手術、臓器移植、多発外傷の術後期、化学療法中、重篤な膵炎・肝障害、胆管炎、多臓器不全などでも上昇し、あるいは軟部組織の感染患者など全身性細菌、真菌感染のリスクの高い患者には、PCT測定による監視が望ましいといわれている。PCTの血漿濃度は感染による炎症の度合いを反映するので、もし敗血症ショック、多臓器機能不全症候群(MODS)、または重篤な細菌感染症におけるように、PCTが既に高濃度のときは、PCT濃度の経過観察は予後判定に有用である2)。従来困難とされていた小児、特に新生児の敗血症の早期診断にもPCTが有用であることが報告されている6)。ウイルス感染症(HBV, HIV, CMV等)ではPCT低値となる。 【医療感染(HAI)】 MRSAとともに近年、グラム陰性桿菌群(GNR)が注目されている。これは水回りに繁殖する緑膿菌・セラチア・セパシアが有名。 【先天カンジダ症】 1. 先天カンジダ症の児の胎盤や臍帯表面から白斑認め、グロコット染色でカンジダ菌体認め、胎盤感染を証明した(大阪医科・府立母子12)。 2. 外陰部カンジダの児への接触感染は34週以上ではほとんど皮膚症状のみ。ただしそれより早産児や、稀なケースで肺炎(深在性カンジダ症)となりアンホテリシンB点滴によって治療した例がある(小牧市民15)。治療効果はβD-グルカン値の低下でみる。 【クラミジア】 1. グラム陰性菌。性感染症:C. trachomatis、オウム病:C. psittaci、肺炎:C. pneumonia 2. 未治療の産婦が経腟分娩した場合、18〜50%の児が結膜炎、1〜22%が肺炎となる。 3. 児では緩徐に進行する呼吸障害が特徴。 【後期死産】 医学的定義の死産で、妊娠22週以降の死産のことを言う。ちなみに法律的死産は妊娠12週以後の死児の出産を言う。 【単一臍帯動脈】 無形成と閉塞の2種類ありFGRは両者ともあるが、染色体異常と合併奇形は無形成に多い。胎児奇形がなくとも過捻転による胎児死亡・FGRの原因になり得る。閉塞性は突然の胎児機能不全と関連することが知られている。 【重複臍帯静脈】 臍帯静脈が2本に分岐した症例あり(北大09)。全部で4本の血管。 【臍帯捻転】 正常の臍帯捻転は効率よく臍帯血流を維持するために存在する。 0.1コイル/センチ以下(10センチ中1回以下)を過少捻転とし、0.3コイル/センチ以上(10センチ中3回以上)を過捻転とした場合(coiling index)、過少捻転は正常に対して有意にsever deceleration出現多かったとのこと。過少捻転臍帯は臍帯中央部のワルトン少なく、圧迫に弱いからか(大野レ10)。 東京都立大塚病院産婦人科(日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3) 373-373, 2010)より coiling index(1/1周期の長さcm)と定義.臍帯捻転減少のcoiling indexを定義し,胎盤依頼票に記されている臨床像について検討した.【結果】臍帯捻転減少を1/10cmと定義した.臍帯捻転減少は単胎13例(2.3%)認められた.その内,死産6例,染色体異常2例認められた.死産の6例はすべて22週以下であった.死産以外の児に特徴的な臨床像は得られなかった. 過捻転は変動一過性徐脈が多かった(昭和医13)。 【臍帯巻絡】 1. 臍帯巻絡のありなしは、出生児のApや臍帯血 ph・ BEに影響しなかった(獨協10)。 2. 頸部巻絡は2回以上巻絡で胎児機能不全の頻度が有意に増加した(昭和12)。 3. 頚部以外の巻絡で胎児機能不全の頻度が有意に増加した(昭和12)。 【臍帯動脈血 脳性麻痺など】 1. pH7.2以上を正常、7.1〜7.2を中間群、7.1未満を病的群としている(広島市民10)。pH は22週〜36週の検討で在胎週数・予後不良の有無によらず早産児間で有意差認めず、新生児の短期予後の反映にはならなかった(都立大塚11)。 2. アメリカ産婦人科学会/小児科学会は分娩時仮死はpH7.0未満と定義している。(新生児死亡やけいれんなどの重篤な罹病と関連が強い)。各病態で最もpHが低かったのは早剥であった(BMJ 1999) 3. 正常なpHをしめす脳性麻痺は、脳性麻痺の10%に存在し、胎内でのなんらかな一過性虚血によると思われている(日産婦医会報2016) 4. なお分娩時の仮死(低酸素性虚血性脳症)が原因と思われる症例は脳性麻痺の12%程度と言われている(日産婦医会報2016)。 5. 一過性除脈はそのパターンに関係なく、出現回数が増えるほどまた重症レベルが高いほど臍帯動脈血pHとBEは有意に低下した(三重大など15) 6. 早産と脳性麻痺の関係は、22〜27週で14.6%、28〜31週で6.2%、32~36週で0.7%と(2008報告) 7. 早剥が脳性麻痺に関与した症例ではすべてが初発時間から娩出までが60分以上であった(2014) 【胎児腹腔内臍帯静脈瘤】 1~2センチの腹腔内臍帯静脈の拡張で気づかれる。血栓形成によるIUFD報告もある(岡山医療セ09) 【臍帯動脈瘤】 まれだが臍帯をとりまく腫瘤で認められ、臍帯動脈から続く血液の乱流を認める。破裂を予測できないため早期の娩出が良い(宮崎こども09)。18トリソミーなどとの合併も考慮する。 【臍帯嚢胞】 1. 腸管(回腸など)の臍帯内ヘルニアのこともあるが、単なる嚢胞のこともある(福岡大11)。 2. 発生原因は明らかではないが染色体異常が関連するという報告もある。 【NT】 1. 10週〜14週で診断。 2.  3舒幣紊任15~20%に染色体異常あり。 3.  正常胎児でも一過性にNT高値となることがある。 4. NT異常で染色体異常がない場合、最も出やすい異常は心形態異常と言われている。 5. 広島大(09)ではNT3mm以上を陽性とし、15週以降に遷延・増大する群と縮小・消失する群に分けたところ、前者の中の染色体異常は42%、後者は8%であった。 6.  NT異常は13、18、21、45Xすべてに認める(夫律子11) 【染色体異常全般】 1. USG所見はNT・長幹骨短縮・脈絡叢嚢胞?・心臓乳頭筋石灰化・腸管高輝度エコー・腎盂拡大 2. NT肥厚は10~14週で3舒幣紂 3. 6舒幣紊60%異常。 4. NT厚くなるほどに正常核型でも新生児異常(奇形や発達障害)増加する。 5. 実際生まれるダウン症児の母親の70%以上は35歳未満だ! 【クアトロテスト】(資料2) AFP・hCG・非結合型エストリオール(uE3)・インヒビンAによる母体血清マーカー。15~18週で施行する。21トリソミー・18トリソミー・開放神経管奇形(二分脊椎や無脳症)対象。35歳時の発症率をカットオフ値とし陽性か否かで判断。 最近の欧米では10週~13週に行うPAPP-A(pregnancy associated plasma protein-A)・free β-hCG・NTを組み合わせた Integrated testがもっともよいとされている。(資料2) クアトロテストは母体年齢が上がると偽陽性率も上がる。いろんな因子が補正値として使われている(年齢・人種・週数・母体体重)。 【羊水のエコー輝度】 1. 高い場合は羊水混濁疑う。 2. 羊水腔内の頚管付近に浮遊性高輝度エコー(Sludgeと言う)認めることがあり、Romeroらによれば表皮細胞・好中球・細菌等の集塊であり、子宮内感染・破水・早産リスクが高いという。 【amniotic sheets】(資料1) 子宮腔内の部分的癒着部位に胎盤が形成されたために生じる胎盤・卵膜の異常。羊膜索症候群とは異なり予後良好。 【amniotic band syndrome: ABS】 妊娠初期に破綻した羊膜が索状となり胎児の四肢などを絞扼したもの。羊膜は絨毛膜から剥離している。 【Chorion-Amnion Separation CAS 絨毛膜-羊膜分離】 USG上、絨毛膜と羊膜は14週までは分離して見えるが16週以降はない。羊水穿刺などでCASとなれば高頻度に流早産・IUFD・前期破水などになると言われている(母子愛育11)。 【在胎23週未満の新生児】 American academy of pediatricsでは在胎23週未満もしくは体重400g未満の新生児は蘇生しないという選択肢も容認されている。 【処女膜閉鎖】 1. 胎児期にUSGで腹部腫瘤で見つかることがある。 2. この腫瘤は母体からのエストラジオールが子宮頚管粘液の過剰分泌を起こしその貯留により拡張した膣(膣水腫)である。 【嵌頓子宮妊娠】 1. 過度の後屈子宮に妊娠し子宮底が小骨盤に嵌頓したまま子宮が増大し子宮頚管が著明に延長したもの。12~14週で発症する。 2. 16週以降も後屈が持続する場合は嵌頓子宮になる可能性がある。 3. MRI診断有効。 4. 診断せずに帝王切開した場合、子宮頚管を切断したり子宮体部後壁を切開し止血に難渋する。 5. 皮膚切開を臍上まで切り上げて、臍上数センチで子宮筋層を横切開する。 6. 臍上4僂良位で子宮横切開して娩出(周産期学会15 札医など) 7. 上方に変移した子宮頸部により尿道や膀胱圧迫して尿閉や水腎症を発症する。 【1500gの児】 循環血液量は約100mlと推定される。 【骨系統疾患(四肢短縮型小人症)】(資料2) 1. 頻度の高い3疾患は:FGFR3異常症(軟骨無形成症・致死性骨異形成症)、況織灰蕁璽殴鶲枉鐓鼻米霍低形成症・先天性脊椎骨端異形成症)、骨形成不全症。 2. 軟骨無形性症(Achondroplasia: ACH):もっとも頻度が高く予後良好な四肢短縮型。80%は家族性はなく散発性(突然変異)。遺伝形式は常染色体優性。遺伝子異常が一対一対応している。前額突出・鼻根部陥凹・顔面中央部低形成などの特異顔貌。頭囲拡大・三尖手(3指と4指の間が開く)。近位肢節優位の四肢短縮。妊孕性はある。著明な狭骨盤のため帝王切開となるが脊椎変形により硬脊麻困難。気管内挿管も困難な場合がある。出生時の低身長が目立たず、生後1年以内に低身長などが明らかになることがある。 3. 低フォスファターゼ症(hypophosphatasia):ALP(アルカリフォスファターゼ)遺伝子変異(活性低下・欠損)による骨の石灰化障害。常染色体劣性遺伝。致死型から軽症まで様々。胎児期発症(周産期型)は予後不良で大部分は呼吸不全で死亡。USGにて長管骨骨端描出が不十分(骨化不良のため)、四肢短縮・骨折・長管骨の湾曲・狭胸郭・羊水過多認める。また頭蓋骨骨化不良のためUSGで頭蓋内構造が明瞭描出されプローブ圧迫(pressure test)で頭変形する。3D−CTが骨化不良の証明に有効。羊水過多必発。臍帯血・末梢血血清ALP異常低値。尿中PEA(ALPの基質)高値。保因者のALPは正常下限となる。周産期型は日本人にのみ報告されている特異的遺伝子変異(1559delT)による。 4. 致死性骨異形成症(thanatophoric dysplasia):胎児期発症。臨床症状や変異遺伝子によりtype1型と2型に分類される。4番染色体短腕上の繊維芽細胞増殖因子受容体3遺伝子(FGFR3)の突然変異で常染色体優性遺伝と言われる。大腿骨受話器様変形短縮・上腕短縮・胸郭低形成・巨大頭蓋と前頭部突出。近年、積極的な呼吸管理により長期生存症例が増えてきている(16)。 5. 骨形成不全症(Osteogenesis Imperfect: OI):I型コラーゲン遺伝子の異常が原因でI型コラーゲンが少ない。胎児期の多発骨折と四肢短縮・脊柱彎曲・頭蓋骨の骨化不良など。青色強膜・難聴あり。胎児期診断例は予後不良だが、生涯骨折をおこさない軽症型まである(米良美一やジャズピアニストのペトルチアーニ)。遺伝性疾患(家族・同胞発生あり)。Sillence分類あり(況拭Ν祁燭重症)。出生後にパミドローネ(ビスフォスフォネート)治療行うことがある。 6. 致死性か否かの診断基準の一つに、胎児期の大腿骨長/腹囲比<0.16が致死性というのがある(名古屋市大09)。 7. 四肢短縮症かFGRかの鑑別には、大腿骨長の―4.0SDが指標になる(文献90)。 8. 3D-CTは胎児骨系統疾患診断に有効。 【発育曲線】 1. 小川の出生児基準曲線はIUGRなどの早産児も含んでいる。 2. 推定体重基準値はAGA児の95%が±2.0SD範囲にふくまれ、86%が±1.5SDに含まれる 【SGA児】 出生時点における体重もしくは身長が10パーセンタイル以下・−2.0SD以下のもの。在胎期間別出生時体格基準値をもとに判定。 【SGA児の種類】 symmetricかasymmetricかということだけで、その成因(染色体異常含む)は推測困難だった(高槻09)。 【SGA児のその後】 1. 90%は2歳あたりまでに身長の基準値の−2.0SDを超えてcatch-upするが、32週未満出生や出生体重1000g未満のSGA児はcatch-up率が悪い。 2. SGA児は脂質代謝異常・肥満・高血圧・インスリン抵抗性を合併するリスクが高い。 3. SGA児は正常児に比べて思春期発来がやや早く、そのために身長が低くなることもある。 4. 正期産のSGA児は軽度の発達異常や低学歴となる頻度が高い。知的発達は体重より頭囲や身長の成長率と関連する。 【FGR】 1. EFBW基準値の−2.0SD(2.3パーセンタイル)以下、もしくは―1.5SD(10パーセンタイル)以下。 2. PIHを伴うFGRではUSG推定体重より実際体重が少ないことが多い(広島市民11)。 3. 子宮動脈は妊娠週数とともに収縮期ノッチが減少(子宮内動脈の静脈化(リモデリング)のため。18週くらいで消失)するがFGRでは消失しない。 4. 静脈管波形の逆流波、臍帯静脈の脈波出現、BSE出現など認める場合は悪い。 5. BPS悪化は上記静脈系の悪化所見に遅れるといわれている。 6. 絨毛間腔炎(胎盤絨毛の間に炎症性細胞浸潤を認める)は流死産・FGR・胎児死亡を高率に発症。自己免疫異常との関連も示唆され、再発し不育症の原因となるが有効な治療はない(成育11)。絨毛炎や絨毛羊膜炎とは異なる。 7. 妊娠初期貧血(11g/dl以下)は胎盤形成を悪くし、胎盤梗塞・早剥・FGRを増加させる(昭和11)。 8. ステロイドの10週以上母体投与はFGR率を増加させる(国循12)。 9. 先天性心疾患の一部(完全大血管転位や単心室修復を要する疾患)はFGRや早産を増加させることが知られている(府立母子15)。 10. 府立母子(15)では胎児機能不全や2〜3週の発育停止の場合娩出方針としていると。 【FGRと尿道下裂】 尿道下裂がFGR児に多発することが多くの文献で報告されている。男児1000に3~5例と比較的多い。 【EUGR:extrauterine growth restriction】 32週以下で出生した児はNICU退院時においても在胎期間別出生時体格値に追いつかないことがよくあり、それをEUGRという。NICUでの低栄養やCLDやSGA出生などが関与。 【切迫流産治療薬】 1. アドナ(カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム):血管強化作用 2. トランサミン(トラネキサム酸)は抗線溶(抗プラスミン)作用あるので妊婦や悪阻の時は特に血栓形成を考えて使用控える。 【母体歯周病と早産】 母体歯周病菌のPorphyromonas gingivalis ( P.g)はジンジパインという蛋白分解酵素を産生し、早産に関与している。歯周病があると早産リスクは7.5倍になる。 【頚管長】 1. 30週以下で25舒焚爾両豺臉敘早産・早産可能性大。また初産婦分娩時の活動期における頚管開大が急速に進行する。 2. 合併症のない双胎では18~20週、24~26週の頚管長が30侈にであることが36週未満早産の危険因子である(成育12)。 3. 切迫早産で治療していて、35週で治療中止した症例群では35週時点での頚管長が13.7舒幣紊△譴个修慮總畛困靴砲いとのこと(埼玉医科15周学会) 【早産徴候USG所見】 1. 組織学的内子宮口消失(funneling形成)・wedge shape形成・pressure test陽性・子宮頚管30侈に 2. funnelinにはU字型とV字型があり、U字型の方が早産なりやすい傾向がある(琉球大11) 3. 16週~26週で頸管長25舒焚爾両瀕磴悗離轡蹈奪ー術は、安静やマクドに比べ分娩週数などは変わらないが、切迫早産治療やPROM管理への移行率などが減少する(多施設研究 17 JOGR)。 【早産・切迫早産について】 1. 1986年に塩酸リトドリン登場したが1980年から現在まで早産率は穏やかに増加している(日本医科15)。 2. 早産既往は最も高い早産リスク因子で、既往早産の週数が早いほどリスク高く、30週未満では10倍以上のOddsとなる(日本医科15)。 3. 羊水中のIL-8高値群は早産傾向ある(富山11) 4. 予防的プロゲステロン投与(17-α-hydroxyprogesterone:プロゲデポーを125mg/回 週2回毎週投与、もしくは250mgを週1回筋注)によって37週未満の早産を有意に減少させた(日本医科11)。 5. プロゲステロンはプロスタグランディンを介した子宮収縮抑制作用とサイトカイン抑制作用による効果。 6. 既往早産症例における予防的プロゲステロン投与はFDAにおいて2011年から適応認可された。しかしACOGでは既往早産以外の症例への安易な投与への注意を促している。 7. 30週未満の頚管内胎胞形成症例にプロゲステロン250mg/週の筋注で妊娠期間延長傾向があった。これは抗炎症作用によるものか(富山大12)。 8. 佐賀県では34週未満早産歴のある妊娠に、16週から34〜36週までプロゲステロン125mg/週投与(筋注)をおこなうプロトコールで早産防止している。また早産既往なくても24週以下で頚管長20侈には同様にプロゲステロン投与している(周産期学会15佐賀大)。 9. 早産既往のある妊娠で頚管長が25mm未満の症例にプロゲステロン125mg/週投与(筋注)投与で早産リスクを減少させた(周産期学会15福島医科)。 10. Fonsecaら(2007)は天然型プロゲステロン膣錠(連日200mg投与)をもちいたRCTで20週〜24週の頸管長15侈にのハイリスク妊娠での早産率が40%以上減少したと。 11. 分娩様式は脳室上衣下胚層(早産児の側脳室周囲にある。これは26週まで増大しその後退縮し34週頃に消失する。)からの出血をいかに防ぐかと言うことで決まるが、分娩遷延や骨盤位分娩が危険である以外は不明瞭。府立母子(2010)は750g以下の分娩は帝王切開が脳室内出血を減らしたと言っている。 12. IVHの項目参照。 13. 初産時の分娩第一期が6.5時間未満、活動期(5僂ら全開まで)が2時間未満の患者は次回妊娠早産リスク高い(福岡大12)。 14. 日産婦多施設研究(14年)では34週未満早産リスク因子は妊娠20〜24週の頚管短縮・ステロイド使用・多胎・男児であった。また37週未満因子は多胎・低学歴・頚管短縮・パートタイマーであった。 15. 自然早産の反復率は16%ある。反復早産の危険因子は複数回の早産歴、正期産の既往なし、前回分娩から妊娠までの期間が12か月未満であった(多施設研究・17・JOGR) 【PVL:脳室周囲白質軟化症】 1. 主に32週未満の早産児において、脳室周囲白質の虚血が成因と考えられている。 2. 28~32週頃に脳血管の発達過程で脳室周囲白質に虚血性変化が起きやすいとの報告ある。 3. 28週〜34週のPROM症例にcPVLが多かった。この時期の早期娩出を考慮すべき。ただし産婦人科ガイドラインでは原則待機となっている(兵庫こども12)。羊水過少による臍帯圧迫が脳血流に影響している可能性もある。 【マグネシウムとリトドリン】 1. 大規模RCTにおいて、母体マグネシウム投与が新生児中枢神経(脳)保護作用あると報告されている。その作用機序は不明。 2. 併用においてリトドリン単独よりもさらに母体補正Ca値の低下を認める。また併用では臍帯血Mg値が有意に高い。 3. マグネシウムは母体投与数時間で胎児と母体の血清レベルは一致する。 4. マグネシウム治療域は4〜7.5 mg/dL 5. マグネシウムは母体では投与中75%が排泄されており、投与中止で速やかに正常化する。しかし新生児での半減期は43時間で、血清Mg値が正常化するのに1週間かかる。 6. マグネシウムの副作用発現率は40%で、熱感・注射部位疼痛・倦怠感が多い(兵庫こども09) 7. マグネシウム投与による血清K上昇の報告ある。血中MgとK濃度は正の相関ある。 8. マグネシウム中毒による呼吸抑制・停止が認められた場合には、拮抗剤であるグルコン酸カルシウム(カルチコール®)10mlを緩徐に静注する。 9. マグネシウムによりCheckmark pattern CTGを認めることがあるが生理学的意義不明。 10. マグネシウム投与によりvariability減少やacceleration消失の報告ある。 11. マグネシウムによるvariability減少頻度は母体血液中Mg濃度によらない。 12. マグネシウム投与でsinusoidal pattern出現した例あり(熊本市民10) 13. マグネシウムによる出生児の骨量減少・心収縮低下(低血圧)・呼吸障害・筋緊張低下の報告ある。また低カルシウム血症・高K血症(MgはNa-K ATPaseを抑制するため)報告もある。新生児のマグネシウム半減期は43時間(母体より長い)。 14. マグネシウムは胎盤通過性(臍帯血中濃度は母体血の70〜100%)があり動脈管平滑筋弛緩のため生後のPDA閉鎖遅延に関与するという報告(下記)あるが、兵庫こども(10)はこれを否定している。 15. マグネシウム母体投与した超早産児ではPDAが閉鎖しにくくなる(高槻09) 16. マグネシウム母体長期投与(12週間)で新生児が胎児期の高Mg血症による一時的PTH分泌低下(副甲状腺機能低下)となり生後24時間から低Ca、高P血症となった例あり。Ca点滴とビタミンD内服で改善(新潟母子11)。 17. 長期(6週間)の母体マグネシウム投与で児に頭蓋瘻を発症した例ある(横浜市大09)。 18. リトドリン副作用に不整脈・肺水腫・横紋筋融解症(CK上昇:筋硬直性ジストロフィーなどの筋疾患患者におこる・10000U/l以上になる・筋肉痛でる)・汎血球減少・低K・新生児腸閉塞。 19. リトドリンによる肺水腫のリスクファクターは、PIH・多胎・ステロイド投与。 20. リトドリンによる横紋筋融解症の報告は神経筋疾患合併妊娠のみであったが、11年日産婦誌(東京女子)で基礎疾患なしの横紋筋融解が報告された。 21. リトドリン投与妊婦の投与中低K血症(β刺激作用は細胞内へのK移行促進し血中K下げる)と中止直後の高K血症の報告ある。新生児では出生24時間以内の一過性高K血症の報告ある(原因不明)。また新生児では肝機能障害・高CK血症・高アミラーゼ血症ある。 22. リトドリン半減期は数時間。(大雑把だが半減期の4~5倍の時間で体内から無くなる) 23. リトドリンは1Aに50咫つまり50000?。500mlに1A溶かせば1mlに100?。極量は200?/分なので12000?/時間・・つまり120ml/時間が極量(1A入りの場合)。ちなみに開始量は50μg/分だから30ml/時間となる。 24. リトドリンの中止:35週でリトドリンを中止した群はリバウンド現象認め、リトドリン漸減群(1日に25?/分ずつ漸減)より35〜36週早産が多かった(宮崎大他10) 25. リトドリン点滴にヘパリン併用することで血管炎抑え、差し替え回数の有意な減少認めた。また副作用はなかった(順天堂10)。 26. リトドリンアレルギー(リンパ球刺激試験で確認)による発熱・血小板減少・骨髄での貪食を疑わせるマクロファージ散見を認めた症例あり(トヨタ記念10) 27. リトドリンとマグネシウムやステロイド併用で肺水腫のリスクは上がる。通常はこの肺水腫はtocolysis中止で改善するが、中にはドパミンによる利尿が有効な場合がある(平塚市民09)。 28. リトドリンによる多形滲出性紅斑(ウイルスや薬物に対する免疫アレルギー反応で、重症化するとStevens-Johonson症候群や中毒性表皮壊死症に移行することがある)認めた例がある。体幹と下肢の紅斑と発熱に始まり全身拡大・口腔粘膜の充血・アフタなどが症状(日医09)。 29. ウテメリンのゾロのリトドリンは皮疹副作用がウテメリンより多かった。これは投与1週間後に出現する副作用であった(埼玉医科12)。 30. リトドリンによる血糖上昇機序は肝臓内でのβ2刺激により糖原分解と糖新生がおこり肝臓からの糖放出が促進されるため。リトドリン点滴群はGCT陽性率はコントロールと変わらないがGDM診断例は増加すると(成育12)。その原因はインスリン感受性低下もあると言っている(成育12)。 31. リトドリンによる無顆粒球症例→G-CSF(グラン)75?を数日投与で回復(済生会京都15周学会) 32. 昭和大では2014年から切迫早産治療方針転換。子宮収縮と子宮口開大(1儖幣紂砲△襪發里忙匍楴縮抑制剤投与始めるが、収縮コントロール可能となった段階で投与中止。抑制剤増量しても収縮コントロールできないものは治療中止。また治療は原則48時間で中止とした。以前の治療法(継続治療)と比較しても周産期予後は同じであったと。(周産期学会15昭和大) 【Stevens-Johonson症候群】(資料2) 多くは薬剤過敏性。発熱、眼結膜・口唇・口腔・外陰部などの粘膜に紅斑、水泡、糜爛みとめ全身性。 活性化された細胞障害性T細胞による組織障害。薬剤中止し重症例にはステロイドパルス、γグロブリン大量療法、血漿交換なども行う。 【顆粒球エラスターゼ(膣内)】 1. 異常値は1.6mg/L以上。 2. 【妊娠中不整脈】 1. リトドリンで上室性頻拍・心室頻拍の報告ある。またリトドリン使用中はST低下・QT延長など心筋虚血を示す心電図が高頻度に認めるが心筋関連酵素の上昇なく、この心電図異常の意義不明。 2. マグネシウムは心ブロックなどの徐脈性不整脈報告ある。PQ延長・QRS幅拡大がみられる。 3. 妊娠中は頻脈性不整脈の合併が多く、そのうち心室性期外収縮が6割占める。 4. 発作性心房細動(PAF: paroxysmal atrial fibrillation)は妊娠中発症まれだがマグネシウム投与により発生した報告あり。妊娠中発症は甲状腺機能亢進・僧帽弁狭窄・心筋症などの基礎疾患があることが多い。また発作は胎児循環悪化や塞栓症のリスクある。よって心エコ―で壁運動や心房内血栓の有無、また左室駆出率の評価が必要。またリスモダン投与・電気的徐細動・一時的ペーシング等も必要。また発作が48時間以上持続する場合はヘパリン療法開始する。 【ニフェジピンによる切迫治療】 1. 他の切迫治療薬に比べ効果は同等で副作用が少なく内服で使えるメリットもある。 2. 内服で20〜160單衢拭 3. リトドリンと併用した場合、マグネシウム併用と同様の効果がある(山口大)。 4. 倫理委員会承認後に文書同意を得て使用(山口大)。 【rapid tocolysis】 過強陣痛・胎児心拍異常・子宮内反症などの治療。 以下web文献 c.迅速子宮収縮抑制(rapid tocolysis) 後続児の分娩において,前述の外回転術などの操作においては迅速かつ十分な子宮筋の 弛緩を得ることが重要である.塩酸リトドリンや硫酸マグネシウムなどの通常の子宮収縮 抑制薬では即効性に乏しく大量投与では母体への副作用が問題となる.また,硬膜外麻酔 は硬膜外チューブを留置していれば簡便に行えるが,即効性はない.迅速子宮収縮抑制の 目的にはニトログリセリン(100〜200?静注)と吸入麻酔薬であるセボフルランが第1 選択となる13)14()表 N―288 日産婦誌57巻9号3 ). ニトログリセリンは作用発現が速やかで通常60秒以内に効果が現れ,90〜120秒で ピークに達する.半減期が短く3〜5分程度で速やかに効果がなくなるため使いやすい薬 品であるが,血圧降下作用があるため注意が必要である.セボフルランは3〜5%の高濃 度で使用した場合に強力な子宮筋弛緩作用がある.麻酔薬でもあるため,子宮内操作が不 成功に終わり緊急帝王切開が必要な場合でも速やかに手術への移行が可能である. (表3) Rapid Tocolysis( 迅速子宮収縮抑制)に おける使用薬剤 http://www.jsog.or.jp/PDF/57/5709-284.pdf ※ミリスロールは1Aが10ml(市民)で5咼縫肇軻り。つまり5000?入り。よってミリスロール1mlが500?。これを100〜200?投与する。 血圧低下にはエフェドリンやエホチール使用する。 【帝王切開時のミリスロール使用】 1. 1500g以下の超・極低出生体重児の帝王切開時に子宮収縮抑制の目的でミリスロール使用し体部絨切開を有意に減らした(宮崎大10)。 2. Limb body wall complexが妊娠後期に発見され、帝王切開でも娩出困難な症例があり、逆T字切開防ぐためにrapid tocolysisした例がある(いしかわ母子09)。 3. 平成26年に下記の使用が保険適応となった 効 能・効 果: 分娩時の緊急子宮弛緩:_甼陣痛など子宮収縮によって胎児低酸素状態への進展が強く疑われる。∩甦産児の帝王切開で子宮収縮により児の娩出が困難。その他、娩出まで一時的に緊急子宮弛緩を行う必要がある場合。 用 法・用 量: 1回60~90μg、最大 100μg を緩徐に静脈内に投与 4. 肩甲難産で児頭戻し(Zavanelli法)の場合、ミリスロールを使い児頭を体内に押し戻し帝王切開に持って行ける(周産期医学誌2015) 【子宮内反症】 1. 胎盤が剥離していない場合は用手剥離せずに整復する。 2. 双角子宮で非妊娠側の子宮が分娩後に内反脱出した例ある。産褥4日目の多量出血であった。開腹して整復し非妊側子宮を摘出した。(千船15) 【Late preterm birth】 1. 34週0日~36週6日のpreterm birthのこと。(early preterm birthは28週未満)これは意外と新生児罹患率が高率である。ACOGはLate preterm birthは明らかな母体もしくは胎児適応症例に限るべきと提言している。 1. 以前はこの週数のことをnear termと言っていたが、児の予後が悪いためにlate pretermと言い直した。さらに37週台を「early term」と呼ぼうかという動きがある。(vs full term)2016 周産期シンポ 2. Late preterm birthでは新生児一過性多呼吸・RDSなどの呼吸障害が多い。35週で30%・36週で10%(宮崎大10)特に帝王切開児に多い(西神戸09)。 3. Late preterm birthに新生児低血糖と黄疸が正期産より多かった(長崎医療10)。 4. Late preterm birth児は脳性まひの発生リスクが正期産児の3.39倍、発達遅延リスクは1.25倍(Petriniら)、5歳までに特殊な教育を必要とする割合が高いとする報告(Morseら)などがある。 5. Late preterm birth児の長期予後(5歳まで)では感染入院(特にRSウイルス含めた呼吸器感染)が多かった(昭和母子12)。 6. ACOG が2013年に下記のように決定した early term : 妊娠37週〜38週6日 full term : 妊娠39週〜40週6日 late term : 妊娠41週〜41週6日 超過期産(post term):妊娠42週目以降 【early preterm birth:超早産】 28週未満早産。 【早産の分娩様式】(東京女子11) 1. 日産婦の周産期データベースによれば頭位のAGA児の場合はどの週数(22〜36週)でも分娩方法による児死亡の差はなかった。 2. 頭囲のSGA児の場合は26週〜29週・31週で帝王切開のほうが児死亡は少なかった。 【early term など】 2013年のACOGが満期産をearly term(37週0日〜38週6日)、full term(39週0日〜40週6日)、late term(41週0日〜41週6日)、post term(42週〜)と定義。early term分娩がfull termに比べて新生児罹患率・NICU入院率・呼吸障害発症率が高いため、full termでの分娩を進めている。 【予定帝切の週数】 1. 新生児一過性胎児多呼吸などを考慮すれば37週4日以降の帝王切開がよい。 2. 37週0日〜3日では一過性多呼吸が有意に多い(安城更生10)。 3. 37週0日〜4日では呼吸障害発生は9%でそれ以降は3%(倉敷中央10) 4. ACOGやNIHは呼吸障害防止の観点から39週以降の予定帝王切開を推奨している。ただしその場合緊急帝王切開は増加する。 【帝王切開】 1. WHOは2010年Lancetにて医学的適応のない帝王切開はするべきではないと報告している。 2. 急速遂娩の適応は、モニター上、基線細変動の消失を伴う遅発一過性徐脈や変動一過性徐脈が反復して(子宮収縮の50%以上に)出現する場合、または持続性徐脈がある場合とされている。 【帝王切開後の子宮筋層内感染:ガス像】 帝王切開後2日に感染兆候認め、CT検査にて切開部から子宮筋層内に著明なガス像認め、抗生剤投与にて改善した例がある(自治医・日産婦63-3 2011)。ガス壊疽菌は検出されなかった。ガス像は重症感染のサインである。 【既往帝王切開後癒着胎盤】 1. 既往帝切前置胎盤の3~4割に癒着胎盤が発生する(特に前壁付着の前置胎盤の場合)。 2. 癒着胎盤発生率は全前置胎盤や胎盤の前壁・中央付着、既往帝切回数などが正相関するが、前回帝切からの期間は関係なかった(名古屋)。 3. 子宮1層目を連続縫合すると単縫合に比べ癒着胎盤発生が多い。 4. 既往帝王切開後癒着胎盤は術前に膀胱鏡で穿通胎盤かどうか確認。穿通認めなくても膀胱三角部の血管怒張や圧迫像があれば膀胱筋層浸潤を考える(京大11)。 5. 癒着胎盤はUSGにてある程度診断できる(sonolucent zone(clear zone)消失・placental lacunae・膀胱壁非薄・豊富な血流・・)。clear zoneは脱落膜領域である(昭和大15)。 6. placental lacunae gradeとは、0:lacunaなし、1:小さなlacunaが1〜3個、2:大きく不整形lacunaが4~6個、3:胎盤を横切る大きく不整形のlacuna多数。そしてUSGで癒着胎盤である有意な所見は回帰分析で1:クリアゾーン消失、2:placental lacunae grade ≧2、3:胎盤の主座が子宮前壁であった。(周産期学会15神戸大) 7. sonolucent zone(clear zone)とは胎盤と筋層間の脱落膜領域。placental lacunaeは胎盤実質内の直径1センチ以上の無エコー領域。 8. 多変量解析ではclear zoneのみが癒着胎盤診断に有意に有用であった(神戸大12)。 9. 後壁付着はUSG診断難しい→MRI有用。 10. 胎盤剥離せずに子宮摘出することが出血量減らす。切開創縫合してTAEやballoon occlusion(総腸骨動脈CIABO:埼玉医科大)もある。 11. CIABOは30−60分の血流遮断で行い、外腸骨動脈血も遮断するため足背動脈拍動触知し下肢動脈血乳酸値やカリウム値上昇ないこと、SpO2の95%以上維持を確認する。(埼玉・周産期センター) 12. CIABOはバルーンが外腸骨動脈に迷入すると下肢の虚血によるcrush syndrome発症の恐れがあり、さらに内腸骨動脈への血流増加でかえって出血増える。 13. 大動脈遮断バルーンカテーテル法(IABO: Intra-aortic balloon occlusion千葉大)あり。一回の遮断は20分までとしている。右卵巣動脈起始部直上での遮断が最も良い(それ以下の部位では止血劣る)。 14. 大動脈(腎動脈分岐部直下の腹部大動脈)クランプ(60分程度)で出血量減らして全摘成功した例がある(長崎大11)。 15. 術中用手剥離は自然剥離症例より出血量が増加する。 16. 内腸骨動脈結紮では外腸骨動脈や下腸間膜動脈からの側副血行路のため止血不十分。逆に言えば内腸骨動脈結紮術後は側副血行路による骨盤内血流再開により月経・排便排尿・下肢血流には影響がない。日赤セでは内腸骨動脈の子宮動脈から2〜3册側で1-0バイクリルによる2か所結紮を行っている(日赤セ11、12)。妊娠終了により血管径が通常に戻ることで再疎通が起こると推測している。 17. 卵巣子宮間血管の結紮は止血に有効(順天15)。 18. 胎盤残置し化学療法した症例はその後に胎盤剥離後強出血をきたした。 19. 子宮底部横切開にて胎盤への直接切り込みを防げる(東海大09)。 20. 妊娠21週で腹腔内出血した穿通胎盤例あり(慶応11)。 21. 前置胎盤癒着胎盤症例に胎盤娩出ぜずUAE施行して待機し、13例中9例がその後経膣的に胎盤除去できた(剥離までの日数1〜99日)。他は胎盤剥離なしや感染などで子宮摘出(防衛12)。 22. 膀胱強にて膀胱粘膜に異常な怒張・蛇行血管を認める場合は、胎盤血管が膀胱粘膜まで到達している穿通胎盤である可能性が高い。(周産期学会15 聖マ) 23. 帝王切開後に胎盤遺残させ、様子観察のみで血清hCGは2ヵ月、残存胎盤像はMRIで3か月で消失した症例あり(川崎医 日産学会2015) 24. 21週の中期中絶における癒着胎盤症例。全身麻酔下の帝王切開施行したが胎盤は剥離させずIVRにて保存療法。術後100日でMRI上胎盤認めず。術後74日で月経再開していた。術後41日まで抗生剤(種類変更しながら使用)投与。(防衛医15) 【帝王切開切開創以外の場所の穿通胎盤】(現産09 愛媛県立) 1. 妊娠34週で急激な腹痛と腹腔内出血で発症した例がある。腹腔穿刺で出血確認し開腹。帝王切開切開創と関係ない部位に1センチの裂孔から出血(穿通胎盤)していた。 2. 子宮腺筋症核出後妊娠における子宮破裂・嵌入胎盤のリスクがあるためこの手術は安易に行うべきではない(名古屋赤十字11)。名古屋の症例は31週での子宮破裂であった。 3. 子宮腺筋症切除後妊娠での子宮破裂は6%(非瘢痕子宮では0.005%)であった報告ある。(森松ら07:産科と婦人科)腺筋症では病変部位と正常筋層の境界が不明瞭なため、病変を残したまま縫合している可能性があり、その縫合部の強度が脆弱化することが破裂の一因。 【癒着胎盤一般】 1. 子宮下部は子宮内膜(脱落膜)が薄く脱落膜の形成が不十分なために癒着胎盤のリスクが高まる。 2. 癒着胎盤(Accreta)・嵌入胎盤(Increta)・穿通胎盤(Percreta)に分類。 3. 帝王切開既往が1回、2回、3回の前置胎盤における癒着胎盤率は、11%、39%、60%と報告ある。 4. IVF-ETのカテーテル侵襲・中絶術・腺筋症核出術などが原因の癒着胎盤や嵌入胎盤例ある(済生会山形11)。 5. TCR術後妊娠での子宮破裂・癒着胎盤・前置胎盤などを認めた報告がある。 6. 経膣分娩後30分経過しても胎盤が娩出しないときは。胎盤篏頓か癒着胎盤考える。癒着胎盤が疑われるときは保存療法か用手剥離が選択されるが、用手剥離の場合は血流確認や人員確保、輸血の準備など考慮する。 7. 経膣分娩後30分以上胎盤娩出に時間がかかったもので、22例は自然娩出(平均50分)、用手剥離は32例だった(旭川中央12)。 8. 経膣分娩で産後60分で胎盤剥離なかったもの(retained placenta)は60分の時点で出血が少ない(100ml程度)は86%が自然待機で胎盤娩出する(周産期学会15成育)。またWHO、NICEも60分経過まで胎盤娩出待機を推奨していると。 【IVR:interventional radiology】 1. 循環動態が安定している状態で行う必要がある。 2. IVR不成功群はSIが1.25以上、産科DICスコア21程度のショック状態であった(横浜周産セ16)。ショックによる血管攣縮で責任血管の同定が困難、DICが進むことなどが不成功要因。 3. IVRが成功しやすい疾患は弛緩出血。逆に失敗しやすいのは癒着胎盤・胎盤付着部異常(これらは成功率が50〜70%)。産道裂傷も外腸骨動脈や下腸間膜動脈の側副血行路があるためで、よって外科的止血が有効(16)。 4. TAE:transcatheter arterial embolization 5. 子癇出血でヨードホルムを子宮内に充填しTAE施行した例ある。 6. UAE(子宮動脈塞栓術)。 7. UAE後の妊娠OK。しかし癒着胎盤リスク上昇(血行障害による子宮内膜損傷のため)や、稀だがアッシャーマンや卵巣機能不全(45歳以上で5%)の報告ある。またUAE後の切迫流産・切迫早産などの高率化も報告がある。ようするに妊孕性や妊娠経過に対する影響は結論が出ていない。 8. UAE後の合併症:post embolization syndromeは発熱が一番多い。他に倦怠感・食欲不振・白血球増加などがあるが一過性で約1週間で改善する。 9. 一時塞栓物質によるUAE後の妊娠報告は多いが、永久塞栓物質(NBCA:n-butyl cvanoacrylateヒストアクリル など)によるUAE後の妊娠報告もある(聖マ09)。 10. IVRの適応は、弛緩出血、遺残胎盤、胎盤ポリープ、軟産道裂傷、血腫、癒着胎盤剥離後出血、前置胎盤・・ 11. 遺残胎盤(産褥に突然多量出血する)はUAE止血後に子宮鏡にて手術することある。MTXは授乳ができない。ただし遺残胎盤は自然排出される例も多い。 12. 総腸骨動脈バルーンカテ:CIABOは局麻下に両鼠径部から挿入。 13. 分娩後出血は内腸骨動脈バルーン拡張によって止血可能。これでだめならUAEする(神戸)。 14. 胎盤ポリープの切除時に選択的栄養血管塞栓が有効だが放射線科の高度な技術とマイクロカテーテルが必要(島根(現産10)) 15. IVRは子宮破裂などの静脈叢破綻疾患には適さない(静岡日赤12)。 16. 子宮動静脈奇形にもUAE使用(トヨタ記念12)。 17. 子宮動脈塞栓後に子宮筋壊死・膿瘍形成・子宮摘出となった症例(西神戸セ 日産会2015) 18. IVRの限界はDIC。塞栓物質のゼラチンスポンジは凝固因子とともに血栓形成するから。凝固障害の患者にはNBCA(医療用瞬間接着剤)使用も考慮。 【子宮底部横切開】 1. 次回妊娠における管理方法や破裂の危険性について不明な点が多い。 2. 次回妊娠が6か月未満の場合破裂リスクが3倍になるという報告がある。子宮筋層厚み1.4侈にも高リスク。 【子宮頸部静脈瘤】 1. 前置胎盤などに多く、子宮頸部への過度の血流増加が一因。 2. USGやMRIで診断。 3. 出血の場合は、ガーゼ圧迫・頚管縫縮術行うが全摘になる症例もある(新潟大12)。 【頚管妊娠】 1. 成因はD&C既往が70%と言われる。(他にIVF-ETも10倍になる) 2. 頸管妊娠に対し:50%ブドウ糖液を胎嚢内に注入しfetocideしシロッカー施行し、出血減少と組織の自壊脱落した症例あり。(現産08) 3. UAE下のTCRやD&C(現産09)。UAEの血流低下効果は24時間程度なので早期に処置する。 4. MTX単独では9週以降・胎児心拍陽性・hCG10000IU/L以上の症例は難しい(5000以上でも難しいとの報告ある)。 【前置胎盤】 1. 内子宮口から胎盤辺縁までが2儖幣紊鯀漢庵屐■沖冖にを部分前置、0僂鯤娜鐐庵屬噺世Α 2. 28~31週と32~35週では前置胎盤の正診率は62%と73%であった。 3. 予定帝切は37週末までに行う。 4. 手術麻酔は部分麻酔の方が全麻より弛緩出血が起こりにくい(出血量少ない)との報告がある。 5. RhD陰性妊婦は出血が増加した段階で抗Dグロブリン投与を考慮する。 6. 予防的入院の効果については一定見解ない。 7. 妊娠中出血する症例はその量が少なくとも、半数以上は帝王切開予定日までもたない。 8. 妊娠中出血は内子宮口を覆う胎盤の辺縁から内子宮口までの距離が長いほど出血量が多い(昭和医大・20週頃の所見)。 9. sponge like echoは頚管筋層の5舒幣紕妓聴幣紊留澤船┘魁爾鯒Г瓩突枩とする。 10. 内子宮口付近の絨毛膜下血腫は前置胎盤と間違えることがある。 11. 膀胱鏡検査で穿通胎盤の有無を確認する。 12. MRIにて癒着胎盤を疑った症例には術前に尿管カテーテル留置している(神戸大10)。 13. 術中開腹後に13MHzの高周波リニアを使って、後壁付着の胎盤などの詳細を観察し癒着胎盤を診断している(長崎大09) 14. 昭和大の研究(09)では妊娠5週のGSは前置胎盤の9%(3/28)が子宮下部にあり(正常胎盤は0%)、6−7週の胎芽は前置胎盤の88%(7/8)が子宮口よりにあり(正常胎盤は25%)、9−12週の臍帯付着部は前置胎盤の60%(8/14)が子宮下部にあった(正常胎盤は0%)。 15. 前置胎盤症例は妊娠高血圧が少ないという報告がある。前置胎盤の程度が大きいほど妊娠後期の母体血圧が低かったそうだ(昭和大11) 16. 前置胎盤の中期中絶:ダイラパンなど抜去後に強出血来すが、その際は胎盤鉗子にて先に胎盤を除去してから児を娩出する。輸血を行うこともある(秋田大11)。 17. 子宮頚管長が短い前置胎盤(25mm以下)は帝王切開時の出血が多い(日産婦11 昭和大)。 18. Sekiguchiら(2015)は全前置胎盤は35舒焚爾齢管短縮が早産の予知因子と。 19. 癒着のない前置胎盤では、前壁付着群が後壁付着群よりも早期に警告出血始まり、分娩週数も早く術中出血量も多い傾向にある(日本医科12)。 20. 前置胎盤でも前壁胎盤(内子宮口―胎盤辺縁距離=前壁>後壁と定義)が大出血の独立因子だった(自治医14日産)。 21. 緊急帝王切開は100g以上の待機不能出血・コントロール不能な子宮収縮・前期破水(周産期学会15阪大) 22. 警告出血。前置胎盤の45%で警告出血があり、その内45%が再出血で緊急帝王切開となる。警告出血群の再出血緊急帝王切開リスクファクターは、経産婦・早産既往・出血時の子宮下節閉鎖例であった(周産期学会15阪大)。 23. 前置胎盤で33週未満に帝王切開となった群は、初回警告出血が早く(25週)、入院時のフィブロネクチン陽性率高く(83%)、入院時のCRPも高かった(1.4)と(樫原記念 16)。 24. PIvanoら(2015)は前置胎盤警告出血例で緊急帝王切開となるリスク因子は、全前置胎盤・3回以上の警告出血・2週以前の警告出血・中等度以上の出血と言っている。 25. 前置胎盤で癒着胎盤のない症例は、胎盤を切開して行う帝王切開を施行している施設もある(順天堂 日産学会2015) 26. フィブロネクチンは絨毛膜や脱落膜の接触面や羊水中に特異的に存在。感染や物理的要因で卵膜損傷や脆弱あればそこから膣分泌物中に漏出される。 【低置胎盤】 1. 胎盤辺縁と内子宮口距離が2センチ以内を目安とする。2センチ未満の場合は帝王切開も考慮すべき(ガイドライン)。2センチ以上の場合は経腟分娩可能性高まるが、一方で4センチ以内では分娩様式にかかわらず分娩後多量出血のリスクが高まる報告がある。 2. 重回帰分析の結果、帝王切開における出血量は児体重が相関する傾向があった。特に2500g以上が出血増える傾向あり。内子宮口との距離は関係なかった。(久留米大11) 3. 【臍帯卵膜付着・前置血管】 1. 前置胎盤が内子宮口付近の血流不全でその部位の胎盤実質が退縮し、それによってできた分葉胎盤の間の卵膜に血管が残った場合もある。 2. 前置血管はtype 1:臍帯卵膜付着より生じるもの type 2:2葉胎盤(分葉胎盤)や副胎盤間を走行する血管から生じるものがある。 3. 低置胎盤でも発生することが多い。(体外受精妊娠・多胎妊娠も多いとされる) 4. 体外受精は卵膜付着・前置血管の頻度が上がる(昭和大11)。体外受精100例中14例の卵膜付着を認めたという報告ある。 5. 出生前診断されなかった場合(破たんした場合)は周産期死亡率が50%にものぼる。 6. 破水前の診断が重要(21週で診断可能・カラードプラー有用)で臍帯付着部位がはっきりしなかったり、低置胎盤・副胎盤は注意。 7. 露出血管の圧迫による胎児心拍異常あり。・・自覚症状のない胎児ジストレスもある。 8. 血管破たん防ぐために、早産(34-35週)での帝王切開を行う(成育10)。35週での帝王切開が良いという報告もある(Oyeleseら2004)。 9. カナダ産婦人科学会は、28-30週で母体ステロイド投与、30-32週での入院管理を勧めている。 10. USGによって前置胎盤と思われたものがMRIによって分葉胎盤と胎盤間の血腫であり、前置血管であったことを診断した例がある(新潟大 日産婦63-3 2011)。 11. 臍帯付着部位が子宮下部(特に内子宮口から8センチ以内)の場合、胎盤位置に関係なく前置血管リスクが上がる。 12. 子宮下部にあるフリーの臍帯は、ワルトンジェリーがあることや母体腹部圧迫で臍帯位置が移動することで前置血管と鑑別できる。 【子宮腺筋症合併妊娠】 IUFD・早産リスク高い。 【母体脳出血】 1. 初発症状は突然の頭痛でその後に嘔吐する。意識障害・眼底出血が出現する。 2. ^阻による脱水で発生した血栓症による出血(脳静脈洞血栓症→多発性脳出血) 高血圧を伴わない脳動静脈奇形破裂(16週頃) J娩前後の高血圧に伴う出血の3種類ある(北里)。 3. HELLP症候群の4%に脳内出血あり、その67%が死亡する(日産婦周産期委員会)。 4. 背部痛と心窩部痛はHELLPの症状。 5. 脳出血症例では塩酸ヒドララジン(アプレゾリン)は急性期の出血を増悪させるため禁忌。塩酸ニカルジピン(ペルジピン・サリベックス)も出血症例では要注意。塩酸ジルチアゼム(ヘルペッサー)は血管拡張作用は弱いが徐脈に注意。 6. IUFD早剥で経膣分娩中にDIC進行し脳内出血となった例がある(広島総合)。IUFD早剥は経膣分娩が基本だが帝王切開への切り替え時期も重要。 7. 拡張期血圧が脳出血発生に関与する統計ある(都立広尾10)。 8. 妊産婦死亡の第一位は出血性ショックで第2位が脳出血。 9. くも膜下出血(SAH)の原因は動脈瘤が50%、脳動静脈奇形破裂が34%。 10. 妊娠中のくも膜下出血(SAH)は循環血流上昇・静脈圧上昇・エストローゲンによる血管拡張とプロゲステロンによる動脈壁中膜の脆弱化によるためで妊娠後期に多い(55%)。 11. 妊娠中期以降にSAH発症したならば帝王切開とクリッピングを同時に行う。 12. 動脈瘤治療後は経膣分娩問題ないといわれている(Huntら)。 13. 非妊時には10舒焚爾瞭位瘤はほとんど破裂しないと言われているが妊娠中は当てはまらないので注意。 【母体脳梗塞(日本の報告集計)】(国循) 1. 欧米と異なり梗塞は出血性の半数。 2. 初発症状は麻痺が大多数(意識障害は少ない)。 3. 拍動性頭痛、嘔気、半盲、複視、麻痺など。MRI・MRAで診断。 4. 経産婦が多く、妊娠早期と産褥期が多い(分娩中は報告なし)。妊娠高血圧がリスク因子。 5. 発症から診断までが12時間というのが予後の分かれ目。 6. 最終的予後は半数は重篤な後遺症残ったが死亡例はない。 7. tPA による早期治療導入で予後が改善されてきている。tPAは胎盤通過性ない。 8. 妊産婦死亡の12%を占める。 【脳腫瘍合併妊娠】 1.症状 )性頭蓋内圧亢進症状:早朝頭痛(夜間にPaCO2蓄積するため)・噴射性嘔吐(嘔気伴わない)・うっ血乳頭。∩秕評(局所症状):片麻痺・失語・失認・てんかん 4. 一般に妊娠中は増大(血流増加やホルモンによる)し、産後縮小すると言われている。 5. CT造影剤のヨード・MRI造影剤のガドリウムは胎盤通過性あるが極少量なので施行すべきだ。 6. 脳圧コントロールはpredonisolone使う。D-mannitolは脱水による胎盤循環低下あるので注意。 7. 放射線療法も腹部遮蔽で高線量照射可能。 8. 分娩様式は陣痛による脳圧亢進のため全麻下の帝王切開。また脳内占拠病変ある場合は硬麻による脳ヘルニア注意。 【脳静脈洞血栓症(CVT)】 1. 産褥期に多いが稀。初発症状は妊娠初期は頭痛と嘔気嘔吐、産褥期は痙攣と意識障害(失見当識や意識レベル低下)。10000分娩に1人。CVTは出血性梗塞を呈することがある。 2. MR静脈造影検査(MRV)で妊娠中診断する。 3. 妊娠中治療はASA/AHA(米国脳卒中/心臓病学会)ガイドライン2011で低分子ヘパリン皮下注を分娩まで継続し、分娩後はワルファリン内服切り替え。INRを2.5〜3.0維持し産褥6週までもしくは発症から6カ月継続。 4. 帝王切開の方が経膣分娩より発症有意に多い。 5. 基礎疾患として凝固異常を伴うことがあり、プロテインS欠損・プロテインC異常・AT-III欠損・第弘子Leiden変異などがある。 【脳動静脈奇形】 1. 急に片麻痺・失語・ろれつまわらない・眼瞼下垂・口角下垂など。 2. MRI・MRAで診断。血性髄液。 【もやもや病】 周産期管理方法は確立されていない。 【Wernicke脳症】 B1不足により起こる。意識障害(近時記憶障害・見当識障害)・外眼筋麻痺(追視不可や眼振)・運動失調(歩行困難・ろれつまわらない)。MRIも診断に使用する。重症妊娠悪阻に伴うことがある。 【ミトコンドリア脳筋症】(現産09) 1. ミトコンドリアの異常で中枢神経症状や筋症状が出る。ミトコンドリア遺伝子の突然変異。 2. 突然の全身性けいれんと意識障害。心拡大と肺うっ血。脳血管攣縮。 【横隔膜ヘルニア:CDH】 1. 胸腹裂溝膜形成不全から発生するヘルニアは、Bochdalek(横隔膜の後外側)、Morgagni(胸骨背部右側:左はLarry)、食道裂溝ヘルニアの3つに大別される。 2. Bochdalek(左側)が95%、Morgagni(右側)が5%。右側のほうが肝臓の挙上による肺圧迫から重度の肺低形成となるため左側より予後不良。染色体異常を伴うことがある。 3. 60〜70%は単独発症。30〜40%は心奇形・肺分画症・染色体異常など様々な奇形合併。 4. 生存率は70-90%に改善してきている。 5. 生存例の50%に難聴(感音性)発症する。原因は不明だがECMOなどの治療や合併症との関係が報告されている。 6. 肺面積と頭周囲径の大きさから算定するlung head ratio (LHR)(資料1)が重症度判定に使われるが測定法が二通りあったり測定に熟練を要する。LT比(面積比)は在胎週数を通じてほぼ一定だがLHRは在胎週数とともに変化するので週数補正が必要。 7. LT比(肺断面積/胸郭面積)<0.1、LHR<1.4は重症(長野こども)。 8. LT比(肺断面積/胸郭面積)<0.25、LHR<1.4は肺低形成ありと判断(名古屋赤十字11)。 9. 予後不良所見:胃泡・肝臓(特に肝臓)の胸腔内脱出。羊水過多。胃泡の半分以上が胸腔内にあるのは予後不良因子。特に胃泡が右胸腔内にまである場合は予後不良(成育10)。 10. 胎児MRIによる肝脱出(liver up所見という)、不完全描出肺底部(肺底部の描出が不完全)、心後方への胃泡脱出が予後不良と関連(名古屋大12)。 11. 羊水過多伴う例はかなり悪く、ECMO全例使用した(神奈川こども医療センター)。 12. 帝王切開直前にセルシンを母体投与し胎児麻酔に使う。出生直後に挿管し筋弛緩薬投与する。その後はHFOにて管理する。新生児手術は肺高血圧がコントロールできるまで待機する(神奈川こども)。 13. 出生直後の健側肺動脈径と左肺動脈血流は予後と関係する。健側肺動脈径が3舒幣紊里發里狼潴仁90%。逆に2侈には0%であった(順天堂)。肺動脈径は肺容積を反映している。 14. 動脈管血流が左→右(LR)優位(Mモードでの左→右成分が右→左成分を上回った状態)になれば「落ち着いた」と判断し手術とする(千葉大)。LR比(LR/LR+RL)は出生時は50%以下のことが多いが、管理後70%くらいになれば左→右(LR)優位と考える→肺高血圧(PPHN)の客観指標(千葉大)。 15. 上記肺動脈径・PDA・ASD血流方向はCDHの長期生命予後予測に有用(多施設)。 16. 呼吸管理はgentle ventilation(資料1):過剰な呼吸管理による肺のダメージを防ぐ緩和管理基準。 17. gentle ventilationと待機手術(呼吸循環が落ち着いてから)が標準的。PPHNが高度な条件下での早期手術は肺高血圧の増悪を招くため。 18. ただし重症例の中には待機中に低酸素が進み死亡する例もあるので早期手術を行う事がある。 19. CDHは分娩様式(経膣か帝切)が新生児予後に影響しない可能性が高い(多施設) 20. 予定帝王切開でECMOなしの生存率が有意ではないがわずかに優れているとの報告もある。 21. CDHに母体酸素投与療法(60%酸素を1回3時間1日4回)が有効だった(府立母子)。これにより肺血管抵抗を低下させ肺血流量を増加させると報告されている。 22. 胎児鏡下気管閉塞術(FETO)というのがあり、胃泡の半分以上が右胸腔にまで存在する場合に適応とするのが妥当と言う(成育11)。 23. 胎児鏡下気管閉塞術(FETO: fetoscopic tracheal occlusion)はLHRにより適応が決まる。気管を閉塞させ肺内に肺胞液を貯留させ肺容量を増大させる。LHR 1.0未満かつ肝脱出に相当する重症肺低形成にFETOが有意な生存率を上げたというメタアナライシスある。 【脳室内出血IVH】 1. IVHの出血部は上衣下胚層(欠陥もろく出血しやすい)であり、これは26週まで増大しその後退縮し34週頃に消失する。予防には至的な血圧管理が必要。 2. 母体へのグルココルチコイド投与は、上衣下胚層の成熟促進する(出血防止する)と言われている。 【TTTSやMD双胎関係】 1. TTTSはMD双胎の8〜10%におこり、保存療法では80%以上で1児または両児死亡に至る。 2. 供血児の臍帯動脈途絶・逆流と受血児の静脈管逆流(資料1)が児の死亡と関連が高い。 3. 受血児にうっ血性心不全・僧帽弁逆流・心拡大・三尖弁逆流・肺動脈狭窄(2次的)が典型的。また消化管閉鎖や穿孔あり。供血児は大動脈縮窄(CoA)・閉鎖合併しやすい。しかし受血児の肺動脈狭窄(2次的)の機序は解明されていない。またFLP施行後でも受血児の肺動脈狭窄は残存し生後治療必要なことが多い(成育12)。 4. TTTS発症症例の児の生存率は50-70%。生存児の15%に神経学的後遺症残す。 5. 一児死亡後の生存児死亡や神経学的後遺症(脳血管閉塞による孔脳症や脳室拡大などもある)は吻合血管を介した生存児の失血(貧血・低血圧・アシドーシス)による急激な虚血性ショックが原因(acute feto-fetal hemorrhage)。これはFusiらの説。以前言われていた播種性血管内凝固は否定的だがないわけではない。 6. 一児死亡の後に7日以内に生存児がIUFDになる確率は42.7%(日産婦データ12)。 7. 一児死亡から24時間以内の生存児臍帯穿刺採血で貧血がなかった胎児は全例予後良好。 8. 聖隷浜松は22ゲージPTC針で採血しHb8以下は胎児輸血(Intrauterine rescue transfusion: IRTという)する。O型Rh陰性濃厚赤血球輸血する。 9. 一児死亡の時点ですでに生存児は虚血状態→早期娩出しても予後改善見込めない。 10. 一児死亡待機例ではfeto-fetal hemorrhageによる貧血の悪影響を考慮する必要ある(府立母子)。 11. 一児死亡例は早産する確率がかなり高まる。 12. 一児死亡が20週以降におこった場合、生存児の50〜60%に死亡もしくは神経学的後遺症を呈すると言われているが、17~18週での死亡でも同様のことが起こった例ある(神奈川こども11)。 13. レーザー手術(FLP)は16週〜26週未満のstage1~4が適応で全ての胎盤吻合血管を凝固する。 14. FLPは2012年に高度先進医療から保健診療(施設基準あり)へと一般化された。 15. FLPは羊水深度>10僂両豺腓26週以上28週未満も適応となった。 16. FLP後の予後不良因子は、供血児においては重症発育不全と胎児水腫、受血児においてはMCA血流速度亢進(PSV亢進)(聖隷)。 17. FLP前後のcerebroplacental ratio (CPR)=MCA-PI/UA-PIの変化(改善)を確認(山口)。 18. 羊水較差はあるがTTTS基準を満たさない(受血児羊水7〜8僉Χ〃貉羊水2〜3僉砲發里twin amniotic fluid discordance: TAFDと言う。TAFDは現在FLPの適応ではない。しかしTAFDの中で受血児の臍帯動脈(途絶・逆流)や静脈管血流(途絶・逆流)異常のあるものの60%はTTTSになる。特にFLPの適応時期を過ぎて(26週以後)からTTTSになることがあるので注意(聖隷他)。 19. TAFDの50%がTTTSやIUFDになった(長良医療セ15) 20. 羊水過少・過多(TAFD)が自然軽快しFLP適応なしだったのに、その後再度TAFD出現し胎児水腫・血流異常となった症例ある。また一度もTAFD認めなかったのに急にTTTSになった症例もある(日赤10)。 21. 羊水深度1センチ以下をStuckと言う(府立母子11)。 22. TAFDでも胎内血流不均衡による心筋肥厚や頭部MRI異常、また生命予後不良例があるので注意(兵庫こども)。 23. TAFDでは28%にIUFDがおこる(府立母子11)。またselective IUGRも23%にIUFDおこる(府立母子11)。 24. M-DTwinではTTTS基準満たさなくても、特に大きいほうの児にPVLによる脳性まひや高K血症が多いとされる。 25. TTTS症例はhCGが高値である。FLPが効果あるものはhCGが低下し、駄目なものはhCG低下がない。hCGが半減し、かつ10万以下なら予後良好。この高hCGにより母体甲状腺機能亢進する。Mirror症候群とTTTSの関連あり。(成育) 26. M-DTwinの一児胎児水腫例でMirror症候群となった症例があり、26週でのhCGが309999mIU/mlと高値であった(広島市民)。 27. TTTSではなくとも、体重差のあるものは大きい児の心拡大(CTARが35%以上)がある(長良)。 28. MD双胎は分娩平均週数34週、早産率(37週未満)は45%、TTTS率は8%・・(聖隷) 29. 無心体:健児はpump twinと言われ、無心体への血液流れ込み(Twin arterial perfusion)により重症貧血・心不全になることがある。症例報告では18週頃に発症している(長良)。 30. MD双胎の一児死亡は14%、一児死亡の生存児の出生後死亡も14%、神経学的予後不良は30%(日産婦周産期委員会)。 31. 聖隷浜松では双胎妊娠全般で少なくとも一児が非頭位ならば38週で予定帝王切開する。 32. TAPS(Twin anemia polycythemia sequence)は羊水過多過少ないのに貧血―多血が存在する例で、FLP後の観察中にみつかった。FLPによりD児とR児の血流再分配(逆転)が起こりR児の方が羊水減少、ヘモグロビン減少となった。また合併症のないM-DTwinにも起こる。府立母子(15)ではTAPS診断に、胎盤の厚みや色調の差、MCA-PSV(供血児が>1.5MoM、受血児が<1.0MoMの場合)、出生時の網状赤血球数の著明な差(慢性貧血:網状赤血球比>1.7)を言っている(すなわち分娩時の血流移動ではない)。 村越ら(16日産婦誌)はTAPSは細く少ない数(1〜2本)のAV吻合の緩徐なシャントでおこり、診断基準は、両児のHb差≧8.0、網状赤血球比>1.7、供血児のMCA-PSV>1.5MoMかつ受血児のMCA-PSV<1.0MoM。 33. 品胎のTTTS管理基準はまだ確立されていない。 34. 卵黄嚢が1個のM-DTwinや卵黄嚢が2個のM-M Twinの報告ある。 35. 2卵生一絨毛双胎(性別異なる一絨毛双胎)の報告ある。受精卵が接近して着床し、隣接した受精卵の外細胞層が癒合したため。多くは不妊治療後妊娠。 36. 一卵性なのに片方児だけ13トリソミーが表現されなかった例がある(茨城こども12)。受精卵が分割後に一方の胚にトリソミーレスキューが発生したため。 37. M-DTwinでも羊膜(隔膜)自然破たん(羊膜穿破)による臍帯相互巻絡(cord entanglement)起こした例ある(沖縄県立南部10)。原因はほとんど不明だが、医原的以外では絨毛羊膜炎や羊膜形成不全が考えられている。 38. 絨毛膜が折れ込んで厚くなり、D-DTwinとまちがわれたM-DTwinあり(聖路09) 39. 出生後受血児の左室拡張障害にβ-blocker(プロプラノロール)投与で良好な経過得た(高知医療09)。同様に心筋壁肥厚改善と全身状態改善した例あり(兵庫医09) 40. M-M双胎の帝王切開時期は32週と言われている。 41. M-M双胎の周産期死亡率は最近の報告では10〜20%と改善している。臍帯相互巻絡がある。 42. 従来の胎盤表面血管吻合以外にも、深部の血管吻合(AVやAA)も見つかってきている(成育12)。 43. 羊水深度が2儖焚爾鰺喊絏畩、1儖焚爾Stuckと言う。 44. M-DTwinで妊娠初期のCRLの差が12%以上の場合、将来的に25%以上の体重差のdiscordant twinになる可能性が高い(徳大15)。 【selective IUGR】 1. 両児間の胎盤占有面積の不均衡による。 2. M-DTwinにおいてTTTS該当なく一児がIUGRとなること。Quinteroの基準ではsmaller twinの推定体重が10%タイル以下のもの。日本超音波学会は-1.5SD以下のものとする。 3. type I~IIIある。 4. M-DTwinの11〜14%にある。 5. 胎盤血管吻合はA-Aが多い(TTTSに比べて)。 6. 原因は臍帯付着異常(辺縁、卵膜)が多い。 7. 大きいほうの児に心筋肥厚や神経学的予後不良例があり胎児間の血流不均衡の可能性もある。 8. selective IUGRは胎児機能不全や胎児死亡のリスクが高い。 9. smaller twinの臍帯動脈波形が常に正常である群は予後良好といわれる。 ※ちなみに臍帯動脈血流計測はfree loopの場所で測定するのが最適。(ただし胎盤に近い部位では吻合血管の血行動態の影響を受けやすく拡張期血流が変動することがある) 9. 本邦の多施設研究では、26週未満に診断されたselective IUGRのうち、type Iで12%、type IIで33%、type IIIで13%がTTTSを発症(2009) 10.双胎の発育曲線は存在しないが、研究では30週以降の体重は単胎の90%程度が標準であった(周産期学会15成育) 11. selective IUGRへのFLP臨床試験結果から可能であると結論(JOGR17) 【Delayed interval delivery】 1. 2絨毛性双胎で一児娩出後、臍帯を外子宮口より数センチ外側(可能な限り高位で)で結紮し胎盤を娩出せずに妊娠継続する。 2. Delayed interval deliveryの管理方針は一定見解無い(聖まり15)。 【無心体】 1. 無心体児側の心臓欠失や無機能によりおこる。無心体はポンプ児からの低酸素血に栄養されるため変な発育する(抑制された発育)。 2. 胎盤表面のA-A吻合(無心体に特徴的)とV-V吻合があり、生児(ポンプ児)から脱酸素化した血液をA-Aで送り込みV-V吻合で帰ってくる・・TRAP sequence: twin reversed arterial perfusion sequence。 3. ポンプ児の高心拍性心不全による羊水過多・胎児水腫。 4. 無心体の染色体異常発生率は30〜50%と言われる。 5. 無心体がポンプ児の体重の70%以上の時は予後不良と言われる。 6. M-M無心体で臍帯相互巻絡のためにIUFDに至った症例ある(棒原総合11)。 7. 超音波ガイド下ラジオ波臍帯血流遮断術が最近行われている。しかし待機的管理でも意外と健常児の生命予後はよく、それでよいとの報告も多い。やはり26週以前の胎児治療がよいか。 8. その他に胎児鏡下胎盤吻合血管のレーザー凝固や強力収束超音波なども治療に使われる。成育ではラジオ波焼灼で87%の生児獲得率である(成育15) 【不妊治療と双胎】 1. 徳島県は多胎率が日本一。 2. 徳大データでは双胎の50%は自然発生。ART(IVFなど)は23%、排卵誘発(gonadotoropin療法)は25%。 3. 徳大データでは自然妊娠の56%がM-DTwin。ART(IVFなど)は15%、排卵誘発(gonadotoropin療法)は9%。 4. 排卵誘発(gonadotoropin療法)では卵胞が4個になってしまえばhCGはキャンセルする。また主席卵胞が平均径16mmになればhMG中止することで多胎防止する。 5. 胚盤胞移植段階で分離が起こっていなかったのにD-DTwinになった症例がある(日赤セ11)。 6. 単一胚移植(SET)でもM-DTwin発生報告が増加している。 【双胎 分娩様式】 1. 日赤セ12では正期産で先進頭位はすべて経膣で行い、帝王切開率はほぼ40%となった。 2. 双胎で38週に帝王切開予定した場合、30%が緊急帝王切開になる結果となった。また37週に帝王切開予定した場合は20%だと(村越Dr. 2016周産期シンポ) 3. 倉敷中央(15)は双胎経腟分娩法を、37〜38週での誘発分娩+両児とも早期の人工破膜+硬膜外麻酔の併用で成功率が70%から92%に上昇したと。 【品胎妊娠】 1. 妊娠継続を推奨すべきか減数手術を推奨すべきか結論出ていない。聖隷浜松では品胎の分娩週数中央値は33週。 2. 品胎妊娠における予防的頚管縫縮術の有効性は認めない(MFICU連絡協議会12)。 【CAOS:Chronic abruption oligohydramnios sequence】(資料1) 1. Elliottらが提唱。慢性早剥と考えられる。 2. 分娩前に7日以上続く出血(慢性的胎盤早期剥離が多い)、当初は羊水量正常、いずれおこる羊水過少のすべてを満たせばCAOSと診断される(Elliott)。 3. CAOSの75%に絨毛膜下血腫(subchorionic hematoma: SCH)合併する。 4. 早産・IUGR・新生児PPHN・慢性肺疾患・NEC・頭蓋内出血合併が多い。 5. 胎盤病理はDCH(び慢性絨毛膜下ヘモジデリン沈着)で、周郭胎盤や陳旧性辺縁出血(胎盤辺縁に沿うように存在する血腫付着)ある。DCHは母体血(赤血球や白血球)が羊水中に出て絨毛膜板のマクロファージに貪食されてできたヘモジデリンが絨毛膜や羊膜に沈着したもの。(急性早剥の場合はヘモジデリンが沈着する前に分娩になる。) 6. Harrisによれば急性早剥は動脈性出血で慢性早剥は静脈性とのこと。 7. 慢性早剥は急性早剥より発症在胎週数早く、重症慢性肺疾患、絨毛膜羊膜炎などが有意に高率であった(福島医科10)。 8. 出血(血腫)の退縮時に血漿成分が膣内に漏れ出てpH試験紙陽性となり破水と誤診されることがある。 9. 慢性絨毛膜下血腫でフィブリノーゲン低下やFDP上昇した症例がある(高槻10)。 【DCH: difuse chorioamniotic hemosiderosis】(資料1) 1. 絨毛膜板や卵膜内にヘモジデリン顆粒がび慢性に沈着した所見で、胎盤辺縁出血・絨毛膜下血腫(SCH: subchorionic hematoma)・周郭胎盤などで多く、妊娠中に出血を繰り返し早産になりやすい。子宮内炎症ではない(臨床的絨毛羊膜炎の診断基準も満たさないことが多い)。妊娠初期からの絨毛膜下血腫などは注意。 2. DCHは慢性肺疾患に対する独立した危険因子である。血性羊水の反復吸引による。 3. DCHは臨床的にはCAOSである。 【Breus’ mole】 1. 巨大絨毛膜下血腫(胎児側の絨毛膜直下)で、病理的には絨毛膜板と絨毛の間の1儖幣紊侶貅霰Г瓠△海譴砲茲蠡枷廚非常に厚くなる。慢性的な胎盤機能不全となりFGR・IUFD伴う。感染の契機ともなる。 2. USGでは高輝度(胎盤と似た輝度)だが部分的に流動性のあるlow echo認めるが、血流はない。胎盤の異常な厚みとなる。(周産期学会15順天) 【羊膜下血腫】 1. 臍帯血管の破たんによって羊膜と胎児絨毛膜版の間にできる血腫。 2. 多くは自然縮小し問題ないが、FGR伴ったり、増大するものは要注意(順天12)。 【妊娠初期からの絨毛膜下血腫】 妊娠10週以降に絨毛膜下血腫認める例でその後縮小傾向ないものは、PROM・CAM・胎胞脱出・重度羊水過多などが高率であった。(現産10 山口県立総合) 【間葉性異形胎盤(PMD:placental mesenchymal dysplasia)】 1. 胎盤内に小嚢胞を多数認め、胎盤は肥厚する。USGでは胞状奇胎に似ている。 2. 組織学的には腫瘍変化ではなく、循環障害を基盤にした病変が存在。肉眼的には水腫様。 3. BWS(Beckwith-Wiedermann syn.)に合併することが知られている。 4. 約30%はIUFD、20%はFGRとなる。 5. 幹絨毛血管の動脈瘤様拡張を伴い、これが破裂してIUFDになったことがある(都立大塚12)。 【絨毛膜嚢腫】 胎盤表面の絨毛膜内の嚢腫で、多くは1冂度で臨床的意義あまりないが、臍帯付着部を持ち上げるような4儼造稜梗陲里燭瓩紡杙除脈となった例がある(長野厚生12)。 【臨床的絨毛羊膜炎の診断基準】(資料1) 母体発熱38度以上と、次の4項目のうち1つ以上あること。100以上の頻脈・子宮の圧痛・膣分泌物や羊水の悪臭・白血球15000以上。・・ただし発熱なくともこの4項目あればそれでもよい。 聖マリアではCRPが2以上も基準に入れている。 【絨毛羊膜炎】 1. 臍帯炎合併例は短期的予後が悪い。 2. 病理診断には胎児に近い場所の臍帯・臍帯付着部位に近い胎盤を提出する。 【前期破水・切迫早産】 1. 破水入院時のCRPが高値であるほど破水から分娩までの時間が短かった(日赤医療センター) 2. 切迫早産や絨毛膜炎とマイコプラズマやウレアプラズマ関連報告あり。 3. 羊水中のマイコプラズマやウレアプラズマをPCRで検出する報告あり(従来の培養では検出困難)。 4. 羊水中にマイコプラズマやウレアプラズマ認めたら、エリスロマイシン0.5g×2/日投与。またアジスロマイシン(ジスロマック)内服も。 5. ウレアプラズマ・マイコプラズマは早産の胎盤に最も多く検出される。しかし難培養性である。(富山大15) 6. 昭和大は前期破水症例で妊娠30週以降もしくは子宮内感染疑う症例に子宮収縮抑制剤投与行わないことにしたことで、重症CAMや臍帯炎が減少した。また27週以降のCLDやRDS、網膜症も減少したとのこと。 7. 破水後の羊水ポケットが1冖にの群は出生後のdry lung・CLD・cystic PVLなどが多かったので娩出考えるべきで、2儖幣紊侶欧惑タ鰻兮害椎修箸里海函蔽淒11)。 8. 聖マリアもポケット2儖幣紊和垉_椎修噺世辰討い襦米大も:メディカルビュー 早産)。 9. 29週未満破水で、羊水過少(最大深度2冖に・AFI 4冖に)となってから7日以上経過して分娩した群は、7日未満分娩群より死亡率・CLD発症率ともに高かった(都立大塚12)。 10. 正期産破水症例へのミニメトロ使用は、子宮内感染の誘因とはならなかった(東大11)。 11. 正期産破水症例へのラミナリア使用は子宮内感染増加し、しかも破水から分娩までの時間短縮効果はなかった(横浜市大11)。 12. 前期破水症例でABPC投与中にABPC耐性E.Coliによる早発型新生児感染症発症の報告増えてきている(国立小倉11)。 13. PPROMに対する出生前ステロイド投与はIVH・PVL・新生児死亡を減少させるとされる。 14. PPROMでは破水週数によらず分娩週数が遅いほど児の短期予後はよいというデータある(兵庫こども15) 15. 28週〜32週のPPROMで待機的に管理したリサーチで、予後不良因子は新生児体重(軽いこと)であった(府立母子15)。この場合の予後不良判定はcPVL 、IVH3度以上、死亡とした。在胎週数が増すほど予後不良例が減った。 16. Davidら(2012)は34週〜37週のPPROMで、新生児敗血症は待機療法より積極的娩出で少なかったが有意ではなく、積極娩出が周産期予後を改善する結論は出なかった。 17. 米国ガイドライン(2007)ではPPROMは大きな問題なければ33週末までの待機療法を推奨。日本産婦人科ガイドラインも34週まで抗生剤投与待機としている。 18. Al-Mandeelら(2013)は28週〜34週のPPROMでは積極娩出の方が新生児死亡有意に多かったと報告。 19. 18週で破水したがre-sealingで自然に羊水量が回復した例がある(公立昭和15)。 【FIRS : Fetal inflammatory response syndrome】 1. 胎内において高サイトカイン血症に伴う炎症反応により胎児の多臓器障害を起こすもので、CLD・PVL・IVHの原因と指摘されている。 2. CAM例に伴うRDSは単なる未熟肺ではなく、FIRSの部分症状である可能性もある(日医科) 3. 29週で胎児頻脈やNRFSのため緊急帝切したが新生児死亡となったFIRS症例もある(岩手大10)。 4. 臍帯血や出生時のIL-6が指標になると考えられている。 5. 府立母子センターでは子宮内感染が疑われる場合、ウレアプラズマなどをターゲットにAZM(ジスロマック)を含む抗生剤投与プロトコールを2013年から使用(周産期学会15 府立母子)。救急マニュアルに記載(2015)。 6. Gomezら(1988)は切迫早産やPROMの臍帯穿刺で臍帯血中のIL-6が11pg/m L以上であることが新生児合併症を重篤化させるとし、FIRSと定義した。 7. 胎児の高サイトカインを低下させる治療はまだない(兵庫こども15)。 【24週未満の児】 1. 帝王切開適応は感染・羊水過少や骨盤位などで、経膣分娩による児へのダメージが大きい場合でかつ23週後半の場合は考えてもよいが、児の長期予後改善が想定される場合に限られる。 2. Wilkinsonの蘇生条件 ‖瞭阿あること ∧娩損傷(皮膚など)ないこと。 自発呼吸努力があること ち廟現藉段階に反応があること。 【22週〜24週の早産】 1. 宮崎大は22週は全例経膣、23週・24週は約半数が帝王切開。80%に病理的絨毛膜炎認めた。また妊娠12週以降の流産既往を30%に認めた。 2. 【若年妊娠】 日妊高血圧学会アンケートでは妊娠高血圧などは若年がむしろ多くなっているがこれは初産が多いことのバイアスが入っている。 【急性期離脱後循環不全=晩期循環不全(LCD: late-onset circulatory dysfunction)】 1. 急性期を離脱した早産児が突然循環不全を発症すること。原因は不明。晩期循環不全ともいう。 2. 原因として副腎不全(コルチゾール低下)の可能性も考えられている。早産児の視床下部→下垂体→副腎皮質系の機能が未熟なためか。 3. 突然の低血圧・乏尿・低Na血症おこす。 4. バゾプレッシンが有効との報告ある(県立広島11)。 【胎児胸水・乳び胸など】 1. 胎児胸水全般では25%に合併奇形があり約10%に染色体異常がある。 2. 原発性は乳び胸によるものが最も多い。胸水の細胞分画(細胞数1000/μL以上)でリンパ球が70%以上占める場合乳び胸と診断される。胸管の閉塞や瘻孔が原因だが側副路が豊富なために漏出部位の特定は難しい。先天性リンパ管種症・肺リンパ管拡張・びまん性血管腫などの奇形や21トリソミー・Turnerがある。染色体異常は21トリソミーが一番多い。胸腔内へのタンパク漏出による低蛋白血症や心不全・胎児水腫など起こす。肺低形成もある。 3. 胎児水腫を伴わない少量の胸水貯留は自然治癒が十分考えられる。70-100%無治療でよいとの報告ある。逆に言えば胎児水腫を伴わない胸水は胎内治療しても予後改善しないという報告ある。 4. 先天性乳び胸の内科治療薬として成長ホルモン分泌抑制物質(巨人症治療薬)オクトレチドやステロイドの有効例が報告されている。OK-432などを使用した胸膜癒着療法は現在は一般には認められていないが報告はある(済生会横浜13)。 5. 乳び胸の場合保存療法としてMCTミルク(middle chain triglyceride)が有効。一般ミルク(LCTミルク)に比べ分解速度速く、小腸から直接門脈→肝へ行くためリンパ管経由しないので乳び胸が増悪しない。 6. 続発性は心奇形・不整脈・貧血・染色体異常・肺疾患(CCAM・BPS)・TORCHやパルボの感染などがあり胸水吸引で胎児予後改善はのぞめない。しかしBPSはシャント術が有効といわれている。 7. 胸腔―羊水腔シャント:TAS(thoracoamniotic shunting)という。 8. 胸腔穿刺はリスクは少ない(羊水穿刺と同レベルのリスク)が再貯留の可能性が高く、シャント術はリスクが高くなる(TTTS治療と同レベルのリスク)(昭和大10)。ちなみに羊水穿刺に関連したfetal lossの頻度は0.06%とEddlemanらが報告している。 9. 胎児心不全のパラメーターにCVP scoreがある。(2016周産シンポ) 【Turner症候群】 1. 低身長・性腺機能不全・外表奇形(翼状頸・外反肘)を3主徴とする女子の先天異常。 2. 2本のX染色体の一本の欠失もしくは短腕の欠失。モノソミーとモザイクがありモザイクが8割。 3. 卵巣形成不全はTurner症候群の90%に伴うが、短腕の欠失の場合65%。またモザイク型にはまれに自然妊娠する。 4. Turner症候群が妊娠した場合、注意すべきは大動脈解離や大動脈瘤破裂である。 【胎児肺病変 CCAM】 1. CCAM(Congenital cystic adenomatoid malformation)分類に対して、さらに範囲を広げたCPAM(Congenital pulumonary airway malformation)分類がある。(資料1) 2. 発生の段階で細気管支レベルにおける細胞増殖と細胞死のアンバランスにより、粘膜上皮が無秩序に発達分化することが原因。 3. Stocher分類がある。儀拭多房性嚢胞 祁拭Ы室太 況拭Г修領省認めるもの。 4. CCAMと肺分画症の合併報告は多い。 5. CCAMは胎児胸郭内腫瘍の中でもっとも頻度が高く予後は比較的良好と言われている。また自然退縮例がある。ついで肺分画症が多く、どちらも肺の部分切除術を行う事がある。 6. 羊水過多・胎児水腫を認める妊娠18週のCCAMに対し、胎児胸腔内嚢胞穿刺吸引を行って在胎週数延長しえた(兵庫医科10)。 7. 成育(10)ではCCAM治療の基本方針を、妊娠期間の延長(30~34週まで)と腫瘤による圧排解除としている。CVR(下記)が1.6以上もしくは胎児水腫のある場合は胎児治療適応としている。胎児治療はMacrocystic型では嚢胞穿刺か再貯留例には嚢胞―羊水腔シャント(34週まで)、Microcystic型ではリンデロン投与(12mg×2日間)。どちらのタイプも生後の腫瘍摘除術が必要な場合がある。 8. CVR評価: CCAM Volume Ratio:病変を楕円球として体積を求め、頭囲との比を計算することが行われる。Crombleholmeらの報告ではCVRが1.6を境にこれ以上は胎児水腫やや死亡率が上昇(40%)すると言っている。 9. 胎児水腫症例には母体へのステロイド投与治療がある(上記)。 10. CCAMは出生後に気胸・感染・悪性転化ありうる。 【肺無形成症】 稀な先天異常で両側・片側がある。右肺無形成では大血管による気管の圧迫や呼吸障害・出生後の反復する呼吸器感染あり。気管狭窄もある。 【肺分画症:BPS (bronchopulmonary sequestration)】 1. 肺分画症のほとんどは直接大動脈から血流がある。また正常肺と気管支交通ない。高心拍出量性心不全により胎児水腫や羊水過多を起こすことがある。 2. 機能を有さない異常な肺組織による嚢胞性腫瘤。 3. 肺葉外型(合併奇形が60%もある)と肺葉内型(合併奇形は10%程度)。肺葉内型は正常気管支との交通ないため肺炎・肺膿瘍の原因となり難治性。 4. USGでは充実性の高輝度エコー。祁CCAM(予後が悪い)との鑑別が難しい。 5. 新生児期に症状出ることは稀で、胸部X線で偶然発見されたり、反復する肺嚢胞の感染で気づかれる。 6. 肺分画症は自然に消失していく症例も多い。概ね予後良好だが、肺低形成や胎児水腫は予後に重要。最近、腫瘍血管のPIが高いほど腫瘍は小さくなってゆくと言われている。 7. 肺分画症による胎児胸水にダブルピッグカテーテルでの胸水除去による良好経過例あり(広島市民11)。 8. 肺分画症の胸水は分画肺からの漏出と考えられている。これと腫瘍性病変の両方による胸腔内圧上昇が静脈還流障害、心不全、胎児水腫へと至らせる(九大周産セ15)。 【Scimitar症候群】(資料1) 右肺低形成・右肺静脈が横隔膜を貫いて下大静脈に還流・心臓の右方偏位。左肺は相対的に肥大する。Scimitarとはトルコの三日月刀を意味する。異常肺静脈の下降する形がこれに似ている。 【胎児腫瘍】 1. 仙尾部奇形腫が最も多く次に卵巣腫瘍や嚢腫が多い(成育)。 2. 胎児奇形腫は仙尾部40%、次が頭蓋内、そして頸部(2〜9%)。 3. 胎児奇形腫は高拍出性心不全・胎児水腫・羊水過多などになる。 4. 仙尾部奇形腫は胎児水腫改善のためラジオ波による腫瘍内部焼灼(腫瘍血管減少目的)を行うことがある。 5. 巨大奇形腫が自然破裂し胎児死亡した例がある(岡山医療セ12)。 6. 卵巣嚢胞は径が60个鯆兇┐simple cystは捻転や圧排症状(羊水過多など)予防のために胎児期穿刺・吸引を考慮する(北里)。捻転などを起こすとcomplex cyst(嚢胞内出血や壊死)や鏡面像となり機能廃絶をおこす。ただしcomplex cystは捻転ではなく出血でも起こりうる。出生後の腹腔鏡手術がある。北里では36週以前でcomplex cystとなった場合は卵巣温存より児の発育を優先し待機分娩としている(37週以降では早期分娩誘発し出生後早期手術)。また出生後40mm超えるsimple cystは捻転予防のため経皮的穿刺する。またcomplex cystは腹腔鏡下手術する。 7. 東大は50舒幣紊simple cystが穿刺基準(捻転起こしやすい)。 8. 成育は40舒幣紊simple cystで37週未満・縮小傾向なしが穿刺基準。やり方はジアゼパム10mgおよびペンタゾシン15mgを静注し母体と胎児の鎮静を図り、21GのPTC針にて穿刺吸引する。吸引液は診断確定のためEstradiol, Progesteron, Testosteron測定を行う。すべて高値になる。 9. 卵巣嚢腫は自然縮小することがよくある。胎児期のエストローゲンによる刺激で発生するため。嚢胞自然消失までの平均期間は6カ月(静岡こども10)。 10. 一般に生後48時間以内の手術は頭蓋内出血が起こりやすいといわれているので原則避けたい。 11. 胎児腹腔内嚢胞は卵巣以外に重複腸管・総胆管嚢胞・腸管膜嚢腫・大網嚢腫などがある。 12. 胎児肝血管腫:無症状のものから肝腫大・心不全・IUFDになるもの、また胎内でKasabach-Merrit症候群からDICになるものもある。 【胎児内胎児】 胚盤胞の一つの細胞が分化を一時休止し、妊娠期間中に分化を再開することによっておこる。胎児後腹膜に脊椎構造をもった胎児様構造を持つ腫瘍が発生する稀な疾患。 【胎児麻酔】 30週以降の胎児は痛覚を大脳皮質まで伝える神経伝達経路がほぼ完成しているため、胎児治療時には鎮痛が必要。 杏林・埼玉医科(10)では経胎盤的胎児鎮静は母体へのジアゼパム10mgとフェンタニル200?以下の投与で十分だと報告。胎動再開時には適宜追加する。母体の問題点は呼吸抑制があり、下顎保持や酸素投与を必要とした例が多かった。また麻薬による粗大な呼吸パターンとなり、その横隔膜運動による胎児移動が処置の妨げとなることがある。 成育(10)ではレミフェンタニルの母体投与を報告している。 【Congenital mesoblastic nephroma(CMN)】 腎間葉細胞由来の腫瘍。6か月未満の小児腎腫瘍の50%を占める。胎児期には充実性の腹部腫瘍として認められ、羊水過多を合併する(原因不明)。児は高血圧・高拍出性心不全・血中レニン高値(羊水中レニンも高値)だが羊水中カテコラミンやVMAは低値(名大09)。腫瘍側腎臓摘出が必要なこともある。 【リンパ管種】 1. 先天的なリンパ管形成異常で病理学的に良性。全身どこでもできるが、頸部(cystic hygroma)が75%、腋窩が20%。 2. 頸部(cystic hygroma)は45XO (Turner)が50%。他にトリソミーもある。頸部以外のリンパ管種には染色体異常は稀。 3. 妊娠初期(1st. tri.)に発症するリンパ管種はほとんど全て頸部発症で多くに染色体異常ともない致死率高い。中期以降発症は生命予後はよいとされる。 4. リンパ液はMRIのT1で低信号、T2で高信号。 5. 巨大腋窩リンパ管種は肩甲難産の報告あり。嚢胞を吸引した後経膣分娩した例あり(現産08)。 6. 体表で巨大化した症例があり、OK-432局注と外科的切除併用例あり(三重大10)。 【頸部リンパ管種: cervical lymphanginoma】 1. 呼吸困難や血管の圧迫あり。 2. 分娩直後の気管挿管や気管切開の必要な場合がある。 3. 生後の硬化剤注入や腫瘍切除ある。 4. EXIT(Ex utero intrapartum treatment)は胎児肩甲まで娩出しで気道確保(気切も)することだが、帝王切開時の母体出血増量のリスクもある。EXITは先天性高位気道閉鎖症候群などでも適応となる。 5. MRIによる胎児気道評価が必要。また羊水過多の有無もEXIT適応の参考所見となる。 6. 出生後ピシバニール治療行う。 【全身性リンパ異形成】 1. リンパ浮腫・乳び胸・乳び腹水などを呈し予後不良。 2. 羊水過多・多臓器リンパ管拡張あり新生児死亡例あり(鳥取大10)。 【先天性リンパ管拡張症】 全身性・肺限局性などがあり呼吸不全を呈する。予後不良。 【先天性リンパ管形成不全】 難治性の先天性乳び胸となり、胸水管理しても改善を認めないばあがある。 【大動脈縮窄症(CoA)】 1. CoAの胎児診断で大動脈弓狭窄の有無だけでは正診率は30%。 2. CoAの診断には大血管比(大動脈/肺動脈)や心室径比(左室/右室・・24週以前はほぼ1)。(資料1) 3. CoAには出生後初めて大動脈弓が狭窄する遅発型がある。 4. 先天性心疾患の6〜8%。上下肢のSpO2格差(上肢≧下肢)。 【右大動脈弓】(資料2) 1. 心奇形や左動脈管による血管輪を合併することがあり注意。出生直後から治療を必要とするものや長期的経過観察を必要とするものまである。 2. 大動脈の発生異常が原因でいくつかのタイプがあるが、重複大動脈タイプや右大動脈弓と動脈管による血管輪を形成するタイプは気管・食道をしめつける可能性がある(数年あるいは成人して症状出ることもある)。喘息様呼吸器症状や嚥下障害を呈することがある。特に重複大動脈タイプは出生直後から症状出やすく早期の手術が必要。 【3‐vessel view】 3-vessel view異常での紹介は両大血管右室起始、肺動脈弁欠損、ファロー四徴が多かった(久留米)。 【胎児動脈管瘤】 1. 新生児の5〜8%に存在すると言われる。 2. 多くは無症状。多くは自然閉鎖する。 3. 瘤破裂、血栓、動脈管開存、大動脈縮窄などの可能性も指摘されている。また児の結合織異常を示唆する場合もあるとされる。 【胎児心奇形CHDのレベル】 1. 府立母子センターのCHDレベル表がある(資料2) 2. AVSDや円錐動脈幹部異常には13、18、21トリソミーや22q11.2欠失症候群多く、またASDやTOFは心外奇形が多い。 【胎児卵円孔閉鎖】 胎児期に小さい左室で発見される。出生直後より左心不全による呼吸障害、肺出血と肺高血圧きたす。治療は肺高血圧に対してシルデナフィル(バイアグラ?)内服(熊大15)。 【骨盤位妊娠】 1. 英語表現:franc breech(単臀位のこと)。complete breech(一方もしくは両側膝が屈曲:複臀位)。incomplete breech(足位)。 2. 臍脱は単臀位0.5%・複臀位5%・足位15%。 【骨盤位外回転(ECV: external cephalic version)と硬膜外麻酔】(防衛医大) 1. 妊娠末期に骨盤位となるのは3〜4%。 2. 麻酔なしECV成功率は55%。 3. 麻酔ありECV成功率は80%。 4. 成功率に影響する因子で有意なのはAFI(5未満)のみであった(秋田赤十字10) 5. 成功率は経産婦(初産婦に比して)・胎盤底部付着(前壁付着に比して)が有意に高率(成育10)。 6. 緊急帝切理由は早剥と臍帯下垂で全体の1.5%(262例中)であった(清水産婦人科10) 7. 整復後1時間後に早剥となり緊急帝切した症例あり(徳島日赤09) 8. 国立小倉(11)では外回転104例中成功率は70%。早剥1例(0.96%)だが児に問題なし。有意に成功率の低い因子は羊水過少・子宮収縮・臍帯巻絡であった。 9. 一般に胎児心拍異常・不正出血・前期破水・早剥・臍脱・死産などは約8%におこると言われている。 10. 愛育13ではECV失敗の要因は単殿位だけでその他は因子になかった。またECVが原因の緊急帝王切開は2.4%(真結節の絞扼1例、早剥1例、出血3例)。帝切5例の内4例はECV不成功例だった。また有意ではないが32週以降に骨盤位となった例は成功しやすかった。 11. 現在(2013)ACOGやコクランでは骨盤位であればECVを推奨している。 12. (周産期学会15成育)ECVにて45%に心拍低下(110bpm以下)認めたが、5分以内に90%は回復した。心拍低下はECV成功・不成功関係なく出現する。 13. (周産期学会15成育)ECV成功例でも、初産婦ではその後の帝王切開率がコントロール群より高かった。理由は不明だが満期近くまで骨盤位である母体は経膣分娩が不成功になる要因が存在するのかも。 【臍帯潰瘍】 1. 臍帯潰瘍は先天性小腸閉鎖に合併する(10%程度)。 2. 高濃度の胆汁酸の暴露によりWhartonジェリー破壊・消失。 3. 羊水中リパーゼ、トリプシン、フォスフォリパーゼ測定(日赤医療セ12) 4. 臍帯潰瘍は子宮内出血で児が死亡することがある。 5. 出血は30週以降が多い・・羊水過多による高い羊水圧による破たんや胎児の急成長に伴う血流増加による脆弱血管破たん。 【臍帯裂傷】 胎児の爪による臍帯裂傷→出血・胎児心拍低下→重症新生児仮死→死亡症例あり(神戸大09) 【食道閉鎖】(資料2) 最も多いC型(85〜90%)においても、胃泡が確認される羊水過多がある(当科症例11) 【新生児へのステロイド投与など】 1. DexamethasoneやHydrocortisone新生児全身投与は肺への有効性あるが、精神発達遅延などの神経学的副作用ある 2. ステロイドの新生児投与量をできるだけ制限し局所投与するために吸入療法が始まった(フルタイド吸入)。ブデソニド(パルミコート)はネブライザーで吸入できる唯一の吸入ステロイドで、Wilson-Mikityに使用し有効であった(日医武蔵09)。 3. ステロイドは心血管系のカテコールアミンへの感受性を高めて血圧安定させる。また水分保持によって血管内用量を保ち血圧あげる。 4. NOにはCLD予防効果可能性がある。2010年に新生児遷延性肺高血圧症などに対し、一酸化窒素ガス管理システム「アイノベント」と肺血管拡張剤(一酸化窒素)「アイノフロー」が薬事承認された。 【母体へのステロイド投与:肺成熟療法:AS antenatal steroids】 1. NIHガイドラインでは34週未満で1週間以内に早産となる可能性があるものに有効。 2. 本邦では2009年から保険適応。 3. 早産児において児の血圧上昇報告ある。 4. 早産児においてPDA開存症が少ないとの報告ある。 5. 臍帯動脈の途絶逆流を認めていた症例母体にbetamethasone投与すると、これが消失し、またRI値も一時的(投与48時間後まで)に低下した(現産09)。ただし正常臍帯血流症例に投与しても影響は認めないと報告されている。 6. グルココルチコイドは血管収縮作用が主だが、ヒト臍帯動脈に対しては拡張作用を有する可能性が示唆されている。これはグルココルチコイドが胎盤でのNO産生酵素の誘導をするためか? 7. ステロイドによる胎盤血管抵抗を下げることによる胎盤血流の改善がみこまれる。 8. 30週未満ではステロイド投与から7日以内の出生の方がそれ以降の出生より有効だった(北里11)。ただし30週以降では差がなかった。 9. ステロイドによる出生児の心血管系の安定作用あり。 10. ステロイドによる胎児の脳室上衣胚層の成熟促進作用もあるとされる。 11. 多胎児においてはRDS予防は?しかし重症IVH減少させる効果はある。胎数が増えるにしたがって利点小さくなる(周産期医療センターネットワーク12)。 12. 1500g以下(SGA)の場合、帝王切開と母体ステロイド投与が新生児合併症(死亡率・IVH・感染症)を有意に減少させる(厚労省NRNデータベース12)。 13. ASは絨毛膜羊膜炎症例、双胎妊娠でも新生児死亡率、神経学的合併症を低下させた。しかしSGA,品胎以上では有意な効果なし(周産期データベース2014) 14. ステロイドは未熟脳において神経幹細胞の増殖抑制をもたらし、その後の学習障害などの神経学的障害をもたらす可能性はある(名古屋大2014)。 【動脈管】 1. 胎児期の動脈管開存因子は、血管内の低い酸素分圧・胎盤と動脈管から産生されるプロスタグランディンE2・動脈管内皮からのNO。逆に動脈管を収縮させる内因性因子はまだ確認されていない。産後は胎盤からのPGE2消失や肺での分解亢進。 2. 正期産児の動脈管開存症(PDA)は稀だが報告ある(千葉こども09)。原因は呼吸障害による低酸素や肺におけるprostaglandin Eの吸収遅延だろう。対策は早期の結紮術が良いと言っている:インダシン投与による副作用の腎不全や壊死性腸炎があるため(千葉こども09)。 3. 正期産児やlate preterm児のPDAに対するインダシン投与の有効率は77%であり、副作用も一過性であったとの報告あり(土浦協同09)。 4. PDAに対するインダシン投与の適応や指摘投与時期の明確な基準はない。極低出生体重児においては血中BNP値が高値の例は症候性PDAになりやすいので早期インダシン投与すべきとの報告あり(関西医大09)。 5. PDA(28週〜32週出生児)は母体へのステロイド投与から7日以内出生の児のほうに有意に多い(高槻09)。 6. 動脈管早期閉鎖は胎児右心不全(心拡大・右室腔拡大・右室壁肥厚・三尖弁逆流・静脈管逆流・胎児水腫)、PPHNの原因となる。胎児期の母体へのNSAID投与が原因の一つだが投与歴なしでも起こる(都立大塚09) 7. 動脈管依存性先天性心臓病は動脈管の狭小化・閉鎖により高度チアノーゼショックを起こす疾患で、大動脈弓異常・大血管転位・左心低形成・肺動脈閉鎖狭窄・単心室などがある。 【動脈管早期閉鎖:PCDA premature closure of ductus arteriosus】 1. 動脈管の正常な機能的閉鎖は生後12時間から始まり24時間から72時間で大半が認める。 2. 右心不全(右室心筋肥厚)、PPHN(遷延性肺高血圧症)となるが多くは多呼吸や軽度の低酸素血症など軽症で酸素投与で改善する。中には人工呼吸やNO吸入療法が必要となるものもいる。 3. 41週の死亡例報告ある(静岡こども16)。 4. 動脈管は右室からの血液の75%を下行動脈に流す。PCDAでは肺動脈血流が異常増加し肺動脈平滑筋肥厚となり生後肺血管抵抗が増加する。 5. インドメタシンによるPCDA報告は24週ころから見られ始め、31〜32週以降に増加する。 6. ポリフェノールはNSAIDSと似た抗炎症・抗酸化作用もちPCDA原因となる。またハーブティー。ラズベリーティーなども。 7. PCDAの分娩様式は一定の見解なし。 8. NSAIDS使用によるPCDAはその中止後24時間で動脈管収縮の改善がみられるなど一過性の作用であることがうかがえる(12文献) 9. アセトアミノフェン使用ではPCDAとの関連は証明できなかったが、あったとしても一過性のものであろう(金沢医15) 10. 糖尿病薬のスルホニルウレア剤も胎児死亡に関連するといわれてきたが2010年に動脈管閉鎖作用があることが発見された。 11. 薬剤性よりも原因不明の特発性PCDAのほうが予後不良。 【濃縮プルーン接種による胎児動脈管早期閉鎖】 アントシアニンによる。36週での緊急帝王切開症例報告がある(資料2)。 【先天性心疾患:CHD】 1. 府立母子ではCHDの出生後の医学的対応によってレベル分類している(資料2)。 2. CHDは100出生に1の割合で発生する。出生後に症状が悪化する重症CHDは1000出生に4の割合。 3. 胎児肺血流は妊娠後半期に著明に増加する。そしてCHDで胎児水腫など心不全を起こして死亡する例は妊娠後半期に多い(肺血流増加と関連あるかも)。特に房室弁閉鎖不全症(三尖弁閉鎖不全など)では動脈管血流が肺動脈に逆流して心不全が増悪する症例が存在する(府立母子10)。 【周期性呼吸(PB: Periodic breathing)】 1. 10~20秒の規則的呼吸と3~10秒の呼吸停止が繰り返されるもので、満期産児に出生48時間以降によく認められ、呼吸調節における正常発達過程の一面である。 2. 早産児でも修正33週頃から見られるようになり成熟に伴って自然に消失する。 【低出生体重】 極低出生体重児は(very-low birth weight infants: VLBW infants:1500g未満)。 超低出生体重児(extremely-low birth weight infant: ELBW infants:1000g未満)は学童期の学習障害(learning disorder: LD)や注意欠陥多動障害(attention deficit/hyperactivity disorder: ADHD)頻度が高い。早産児にも多い。 追加:低出生体重児は(Low birth weight infant:LBW):2500g未満 【胎便関連性腸閉塞症(MRI: meconium-related ileus)】 1. 極・超低出生体重児において胎便排泄遅れのため腹部膨満となり経腸栄養が困難になる。 2. MRIは胎児発育不全と関連ある。 3. 小腸は6週初めに腹腔内スペースないため一旦臍帯内へ脱出する。10週頃もどる。 【早剥】 1. 胎盤肥厚は早剥のサイン。 2. 早剥は産科DICの50%占める。 3. 初発症状発症から治療開始までの時間経過により児の死亡危険率は直線的増加。ROC解析で180分以上で有意に死亡率上昇(久留米大11)。 4. 胎盤の50%以上剥離で児死亡が高率になる。 5. 診断から20分以内の娩出が児の予後を改善するとの報告ある(Kayani 2003)。 6. 早剥時にDIC防ぐゴールデンタイムは5時間以内。 7. 性器出血あるほうが児の死亡率低い報告あり。これは外出血型のほうが剥離面積が小さくて済むためか(久留米大11)。 8. 早剥症例の20%は胎児心拍数波形に異常認めないという報告がある。また胎盤50%以上の剥離で徐脈・variavility消失が多いとも言っている(Matsubara et. al. Arch Gynecol 2008)。 9. 早剥DICとDICに伴う弛緩出血にはFFP投与による凝固因子の急速輸血が重要で、Fibrinogen値を100mg/dl以上に回復させるべし。子宮収縮改善はFibrinogen値が指標となる(埼玉医科09) 10. 22週未満の早剥でもDICをきたすことがある(倉敷中央)。この症例はDIC治療行いながらプレグランディンにより娩出した。 11. 早剥のDICは線溶系優位型DICであり、フィブリノーゲン低下、FDPとD-dimer上昇が著明で、血小板減少は緩徐。フィブリノーゲン低下がDICの最も鋭敏な指標。 12. 早剥は内血腫型と外出血型があり、内血腫型の方が子宮筋層への組織トロンボプラスチン流入などでDIC起こりやすい。 13. 早剥既往は早剥のリスク因子。府立母子(11)では反復率5.6%で特に前回児死亡や輸血した症例は10〜17%と反復率高く、反復する週数は前回と似た週数であると言っている。 14. 週数別早剥発生率は30~33週(6.7%)、37週(0.9%)、42週(0.1%)だった(北大14日産婦) 【早剥とIUFD】 1. 欧米では早剥IUFDは経膣分娩が推奨されている。 2. Williams23版では、早剥IUFDは経膣分娩勧めている。ただし輸血でも安全管理不能な場合や産科適応のある時はこの限りではない。しかし凝固障害がある場合は帝王切開は特に危険(腹壁や子宮創からの過度な出血のため)といっている。 3. 日産婦周産期登録データ(2002〜08):早剥IUFDの帝王切開率は77%であったが減少傾向にある。経膣と帝王切開では出血量・輸血量・DIC発症率に有意差なし。帝王切開の母体死亡2例は十分なDIC治療無しであった。 4. 分娩様式と母体予後に関するRCTは存在していない。 5. 早期に人破した方が出血量少なくDICスコア低い傾向であった報告がある。Williamsではこの理由に分娩進行促進と羊水流出による子宮内圧低下が、DICを助長するトロンボプラスチンの血管内流入を予防する効果があると言っている。 6. 信州大の早剥IUFD7症例はすべて自然有効陣痛発来し(全例人工破膜している)、促進剤不要であった。平均出血量は3500mlであった。早剥IUFDは胎児娩出を急ぐより母体の全身状態・凝固系管理が重要と結論(信州大09)。また入院から娩出までの時間が6時間以上の方がFFP投与などの準備ができる都合上、6時間未満娩出群より出血量が少なかったとのこと(信州大11)。 7. また信州大(11)では使用したFFP/赤血球濃厚液の比が1.5以上のものが出血コントロール良好であった。 8. FFPは比較的急速に投与すべきだが肺水腫に注意(膠質浸透圧上昇による)。フィブリノーゲン値を100mg/dL上昇させるにはFFP 15単位(フィブリノーゲン量で約3gになる)が必要(日産医研修21)で肺水腫などもありこれだけの量を急速に投与するのは不可能。フィブリノーゲン製剤では3gでOK。 9. 4時間以内を経膣分娩許容範囲時間とした場合、帝王切開と比較して母体の危険性は増大しないという報告あり(宮崎ら08)。ただし信州大(11)では4時間以上でも問題なかったとしている。どこまでが安全範囲かという統一見解はない。 10. 帝王切開と経膣分娩で出血量に差はなかったが子宮全的は帝王切開群に多かった(加古川市民)。 11. IUFD早剥で経膣分娩中にDIC進行し脳内出血となった例がある(広島総合)。経膣分娩が基本だが帝王切開への切り替え時期も重要。 12. IUFD先行し下腹痛などの典型症状ないのに早剥であり、DIC進行した重篤症例あり(埼玉医科09) 13. 早剥・IUFD後の次回妊娠の管理方法についての定説はない。信州大は妊婦健診回数を増やし、前回発症時期の2週間前からの入院管理としている。 14. 高齢・子癇発作や高血圧などの危険因子の存在しない早剥が50%占めるとの報告がある。 【産科DIC・大量出血】 1. ショックインデックス(SI)は出血量と概ね一致すると言われている(1.5なら1.5L出血)。ただし産科出血の場合はSIが1ならば1.5L出血(SIが1.5ならば2.5L出血)を想定する。 2. SI 1.5以上・産科DICスコア8以上は輸血・FFP投与や動脈塞栓・子宮摘出などを考慮する。 3. 妊娠高血圧などでは血圧高くSIがあてにならないことがある。脈拍の推移に注意する。また呼吸数増加もショックのあかし(ショック初期にはアドレナリンでてしばしば興奮状態にもなる)。 4. 産科DICの場合は、FFPを12〜15単位初回投与量とする(80mlを1単位として計算)。またFFP/RCC比は1.5以上を目指す(資料2)。 5. 産科DICの場合はアンチトロンビン3000単位投与。ウリナスタチン30万単位投与。 6. DICでアンチトロンビンが低下する理由は、凝固因子との結合による消費・血管透過性亢進による血管外漏出・敗血症の場合は顆粒球エラスターゼによるアンチトロンビン分解。 7. 早剥や羊水塞栓などの消費性凝固障害・産科DICではSIは必ずしも病態を反映せず、fibrinogen濃度などの方が反映しやすい。 8. DICは過凝固と線溶亢進(プラスミン活性化)という相反する動きが同時に進行する。 9. DICにて増加したFDPによって二次的に子宮平滑筋の収縮抑制が起こり弛緩出血が進む。 10. 心停止切迫で輸血が不足の場合はO型Rh(+)赤血球とAB型FFPをノンクロスで超緊急に使用可能。またRho(D)陰性の患者に当血液が不足した場合は、陽性血でもOK。投与した場合は48時間以内に不規則抗体検査し抗D抗体が検出されなけでば抗Dグロブリン投与を検討(有効性のエビデンスはないが)。 11. 産科大量出血で止血困難になる大きな理由はフィブリノゲン枯渇。フィブリノゲンは止血可能最低血中レベルが正常の40%(100mg/dl)と閾値が高い(血小板や他の凝固因子の場合は20%)。またDICのある場合は過剰産生されたプラスミンによりフィブリンだけでなくフィブリノゲンまで分解されてしまう。よってFFPだけではだめでクリオやフィブリノゲン濃縮製剤使う(フィブリノゲンを4g投与すれば血中フィブリノゲンは100mg/dl上昇する)。それでも止血できなければ活性第7因子製剤投与する(名古屋大12)。フィブリノゲン製剤は1g25000円で、適応は先天性低フィブリノゲン血症のみ。通常3g使う。フィブリノゲン製剤による感染は膜を持たないウイルスのE型肝炎やパルボB19などのみ。ただし赤血球や血小板がある程度存在しないと(輸血する)効果がない(止血栓形成のため)。フィブリノゲン製剤は有効期間1年。 12. FFPは5単位(450ml)でフィブリノゲン値を30mg/dlあげると謳っている。しかしNa含有量多いのでので大量投与で肺うっ血おこすおそれあり(輸血関連肺障害:TRALI)。 13. 産科危機的出血における適正なRCCとFFP投与量比は1:1.3〜1.4. 14. クリオプレシピテ―トはFFPの凝固因子成分を析出させて10倍濃縮したもの。各施設で作るが製造に2日かかり大型冷却遠心機などが必要。フィブリノゲン1gを60ml中に含有している。 15. 産科出血では凝固因子や血小板が意外と下がっていないで出血する(フィブリノゲン低下)。よって産科凝固障害の早期診断マーカーにはPT・APTT延長よりフィブリノゲン値が有効。また産科DICではFDP上昇が著明でD-ダイマー上昇は軽〜中等度。 16. トロンボモジュリンアルファ(遺伝子組み換え:リコモジュリン)はプロテインCを活性化しこれによりVaとVIIIa因子を不活化(分解)しトロンビン生成を抑制し凝固反応を阻害する。 17. トラネキサム酸(トランサミン)による線溶系抑制によりFDP増加を防げる。トランサミン1000mgを5分以上かけて静注(埼玉医科16)。 【弛緩出血・産後出血】 1. 妊娠末期の子宮への血流は800ml/分におよぶ。子宮動脈からの血流が主で、一部は卵巣動脈に由来する。また子宮動脈は内腸骨動脈だけでなく、大動脈の分枝(下腸間膜・腰・椎骨・正中仙骨各動脈)、外腸骨動脈分枝(深腸骨回旋・下腹壁)、大腿動脈の分枝(内側大腿回旋・外側大腿回旋)とも吻合している。 2. 内腸骨動脈結紮術による止血成功は40〜60%程度しかない。 3. B-Lynch法という子宮縫合法がある(資料2)。compression sutureという。 4. 癒着胎盤など子宮の一部から出血している場合は、出血点を中心に子宮前壁と後壁をあわせるcompression sutureもある。 5. B-Lynch法とUAE併用で止血した前置癒着胎盤例ある(奈良医科11)。 6. compression sutureの合併症は、子宮内腔癒着・子宮留血腫・筋層壊死・次回妊娠時の子宮破裂など。よって縫合に用いる吸収糸は数日程度で溶解・吸収されるものがよい(バイクリルラピッド#0)。 7. compression suture後の子宮鏡検討では16〜18%に子宮癒着が確認された。 8. compression suture後の妊孕性のシステマチックレビュー検討では90%の症例で6か月以内に正常月経があり、挙児希望者の86%で児が得られていた。(BJOG 14) 9. 子宮型羊水塞栓症ではcompression sutureしても子宮が浮腫状になり出血が持続する。 10. O’Leary stitch:子宮動脈の上行枝を吸収糸で子宮筋層含めて結紮する。子宮切開創から2〜3儔縞で子宮側壁に2〜3册眤Δら縫合する。それでも止血弱い場合はさらに上方で卵巣動静脈と子宮動脈の吻合部位を子宮筋層含めて縫合する。 11. 造影CTや動脈造影で、弛緩出血の原因が異常に発達した血管(螺旋動脈)からの出血であることが確認される場合があり、このような血管は塞栓などでないと止血できない(岐阜医科11)。また子宮動静脈奇形の場合もあるため血管造影が必要。 12. 分娩後大量出血(PPH: postpartum hemrrhage)と言う。 13. 弛緩出血にフジメトロだけで85%止血率があった(順天12)。膣内に脱出してこない量の生食を注入した。 14. 子宮用止血バルーンカテーテル(Bakriバルーン:東機貿)が2013年4月から保険適応(収縮剤や双手圧迫にても止血困難な弛緩出血に)。150mlくらいまで生食注入し12-24時間留置。欧米では第一選択。(資料2) 15. Bakriバルーン:子宮腔内で最大500ml滅菌水注入(200−300mlが多い)で膨らませ(USGで位置確認)。最大留置時間は24時間(少しづつ内容液を抜いて行ってもよい:例 12時間後に半量とか)。20000円で保険適応あり。シリコン製でラテックスアレルギーない。 16. 有効例は留置後100ml/時間以下の出血であった(15)。 17. 頸部留置になっても止血効果があるとの報告ある。しかしエビデンスはない(阪大15) 18. 弛緩出血以外にも胎盤位置異常や子宮内反症整復後の再発予防にも有効(15)(周産期学会15神戸アドべ)。ちなみに子宮内反症のUSG所見で尾側に子宮体部が描出される画像をpseudostripeと言うらしい。 【松原茂樹教授(自治医大) 2015年7月23日 産科セミナー】 Bakri baloon 帝切での使用法の工夫 【Fishing法】 1. ネラトン26Frをドレナージポートに接続(ネラトンを頚管内に挿入し膣内に出す) 2. 拡張ポートとドレナージポートを糸で束ねる。 3. バルーンのポート側に糸をかける(これを子宮創から外に出して牽引するため) 4. 子宮腔内に設置し、50ccくらいで膨らませてから子宮縫合する。 5. バルーンの糸を子宮外頭側にけん引しながら、バルーンの脱出を防ぐ 6. 縫合後に前置胎盤ではバルーンを150cc程度で膨らませる。 7. バルーン拡張の際は経膣的に頚管を鉗子にて閉鎖し滑脱を防ぐ。 8. 12~24時間で抜去する。 Compression suture (MY法)について 1. Ethicon BP-1 65mm 1/2 circleの糸を使用する。 2. Bakriバルーンとcompression sutureのサンドウィッチ方も有効。 【子宮動静脈奇形】 1. 後天性のものが多く、掻把術・帝王切開・分娩・絨毛性疾患・体癌等で起こる。 2. USGでは筋層内の嚢胞状エコー(カラーで血流)、ダイナミックCTと3D-CT(angiography)で壁内拡張血管像を認める。 3. 治療:子宮収縮剤、GnRhagonist、ダナゾール投与などで保存的管理できた症例ある(豊田総合 日産学会2015) 【血液製剤】 1.赤血球濃厚液−LR 品名:赤血球濃厚液-LR     略号:RCC-LR 効能・効果:血中赤血球不足またはその機能廃絶の場合。 貯法:2-6℃    有効期間:採血後21日間 用法・用量:濾過装置を具備した輸血用器具を用いて、静脈内に必要量を輸注する。 成分または本質:ヒト血液200mlまたは400mlから血漿および白血球層の大部分を除去した後、赤血球保存用添加液(MAP液)をそれぞれ46ml、92ml混和した血液。    単位: 1(140ml)、2(280ml)   2.新鮮凍結血漿−LR 品名:新鮮凍結血漿-LR     略号:FFP-LR     効能・効果:1.血液凝固因子の補充。2.循環血漿量減少の改善と維持。 貯法:-20℃以下    有効期間:採血後1年間 用法・用量:容器のまま30-37℃で融解し、融解後3時間以内に濾過装置を具備した輸血用器具を用いて、静脈内に必要量を輸注する。 成分または本質:ヒト血液200mlまたは400mlから分離するか、または血液成分採血で採取した新鮮な血漿を凍結したもの。 単位:1(120ml)、2(240ml)、5(450ml)   3.濃厚血小板  要予約 品名:濃厚血小板     略号:PC 効能・効果:血小板減少を伴う疾患。 貯法:20-24℃要振とう    有効期間:採血後4日間 用法・用量:濾過装置を具備した輸血用器具を用いて、静脈内に必要量を輸注する。 成分または本質:ヒト血液200mlまたは400mlから分離した血小板を血漿に浮遊したものか、血液成分採血で採取した血小板を血漿に浮遊したもの。 単位:1(20ml)、2(40ml)、5(100ml)、10(200ml)、15(250ml)、20(250ml) 注意事項:新鮮な血液の輸血は輸血後GVHDの原因となる可能性があるため、放射線照射後の使用が望ましい。 【卵管間膜内子宮静脈断裂】 陣痛とは異なる早剥様の腹痛のため帝王切開したところ発見。2300gの腹腔内出血となっていた(あかね会土屋12)。 【超緊急帝王切開】【死戦期帝王切開】 1. EECS。帝王切開決定から児娩出までが30分以内。全身麻酔が時間短縮に有効(杏林12)。 2. 死戦期帝王切開の4分ルール:1986年にKatzらが提唱した。母体心停止から4分以内に帝王切開に着手し5分以内に胎児娩出すべきと言う主張。ただし帝王切開が許容される心停止後の時間についてはエビデンスない。 3. 妊婦が心肺停止になった場合はまず、子宮を用手的に左方へ圧排→一般人よりやや頭側を胸骨圧迫(圧迫:人工呼吸=15:1)→死戦期帝王切開。除細動や昇圧剤投与は非妊時と同じ。 4. 死戦期帝王切開は子宮底が臍に達する時期以降(20週以降)なら行うべき。第一目的は母体救命であり胎児の生死にかかわらず行う。とって胎児モニターやUSGは必要ない(周産期医学誌 2015)。 5. 横切開の手指開腹法のJoel-Cohen法がある。児娩出までの時間が通常の横切開が3.2分、縦切開が3.4分であったのにくらべ、1.7分であったと(九大15) 6. Decision-to-Delivery IntervalやDecision-to-Incision Intervalの短縮を。ただし脳性麻痺の多くが分娩時にashyxiaを伴っていないことや、分娩時にashyxiaがあってもその多くは長期神経学的予後不良に結びつかないことから超緊急帝王切開のメリットは限定的になるが、ashyxiaが原因となる脳性麻痺も少なくとも存在する以上は超緊急帝王切開必要。(九大15) 【子宮内胎児死亡(22週以降の後期胎児死亡(死産))】 1. 2007年の厚生省調査では22週以降の後期胎児死亡(死産)は3.5/1000出生。 2. 原因は50%が臍帯異常(過捻転・巻絡・卵膜付着など)、17%が胎児異常(大奇形や染色体異常)、15%が胎盤異常(早剥など)であった。原因不明も16%あった(昭和大10)。 【妊婦死亡】 日本では10万人あたり3.7人(平成20年)と世界的に見て低値。 【母体と出血】 1. 経膣分娩で1リットル以上、帝王切開で2リットル以上またはショックインデックス(SI)が1以上である場合は高次医療施設へ搬送することとガイドラインではなっている。 2. 産科ではSI:1は約1.5リットル、SI:1.5は約2.5リットルの出血が推測される・・ガイドライン 3. 大量出血の場合、晶質液(生食やリンゲル)は速やかに血管外に漏出し、1時間後には投与量の20%しか残っていないため、出血量の3倍の晶質液を輸液すべきとShoemakerらは言っている。 【無脈性電気活動:PEA: pulseless electrical activity】 一見洞調率に見えるが実際は頸動脈拍動を触れず、心停止と同様に心臓マッサージを行う必要がある病態。 【TACRD連合】 1. TACRD連合は気管無形成・複雑心奇形・橈骨欠損・十二指腸閉鎖(tracheal agenesis. complex congenital cardiac abnormalities. radial ray defect. duodenal atresia)。 【VACTERL連合】 椎骨異常・鎖肛・食道閉鎖を伴う食道気管支廔・橈骨異形成・腎異形成・心奇形 【ダウン症と一過性骨髄増殖症候群】 1. ダウン症は10%に一過性骨髄増殖症候群(TMD: transient myeloproliferative disorderもしくはTAM)→一過性類白血病反応を合併する。 2. TMDは多くは自然寛解する。 3. しかしTMDは10-20%は致死的な肝線維症や心嚢液貯留あり、これは予後不良。 4. TMDの胎児期(29週)発症報告あり、肝腫大・心嚢液貯留を認めた。また胎児水腫で臍帯穿刺にて白血球155000と以上高値であった。出生後、交換輸血・少量シタラビン(代謝拮抗薬 Ara-C)・ステロイドパルス療法施行した(国立長良09)。 【ビタミンK(VK)】 1. 新生児期はVKやアンチトロンビン掘Ε廛蹈謄ぅC・Sなどが生理的低値→出血しやすい 2. 成人ではVKは腸内細菌でも生合成され胆汁の存在下に小腸から吸収される。→肝臓でVK存在下に凝固因子が活性化する。 3. 新生児は腸内細菌叢の特殊性や肝機能の未熟性のためにVK依存凝固因子産成低下しやすい。 4. 胎児と出生直後新生児はVKを母体からの供給に全面依存している。 5. 臍帯血では母体血よりVK濃度低い→母体が低VKなら児はさらに低VK→出血リスク。 6. 臍帯血のPIVKA−供淵廛蹈肇蹈鵐咼鵝並茘彊子)の前駆物質でVK欠乏で出現する)高値なら出生児すでにVK欠乏であることを意味する。 7. 新生児VK欠乏性出血で生後24時間以内発症型(early onset)は頭蓋内出血などの重篤な出血をきたしやすい。 8. 日齢2〜4日目の消化管出血タイプと1カ月前後の頭蓋内出血タイプもある。 9. 新生児VK欠乏原因は母体の抗けいれん(てんかん)薬・抗結核薬・抗凝固剤投与やVK摂取不足。 【ビタミンB12】 母体の胃全摘と母乳栄養により新生児にビタミンB12欠乏症(舌の発赤:ハンター舌炎)出現例あり(名古屋市09)。一般的にビタミンB12欠乏症や葉酸欠乏により、巨赤芽球性貧血や神経障害がおこる。 【てんかん】 新生児仮死が症候性てんかんの病因となる。34週以降でアプガール5分値が7点未満の児の14%にてんかん発症した(埼玉小児11)。 【母体総胆管のう腫】 1. 無症状→心窩部痛・発熱・黄疸発症。 2. 子宮増大によるのう腫圧迫が一因。 3. 禁食と輸液で管理→VK欠乏注意。経静脈投与。 【妊娠性肝内胆汁うっ滞症】 1. 妊娠後期に好発する妊娠に特異的な疾患。 2. 全身掻痒感・高ビリルビン血症・黄疸あり。 3. 胎児仮死(低酸素による)や周産期死亡が多い。 【脊髄動静脈奇形からの脊髄内出血】 1. 突然の・背部痛・殴打痛・また上腹部痛報告もある。 2. 腹痛部位以下の触覚脱失と対麻痺(両下肢麻痺)・膀胱直腸障害・・・脊髄横断症状。 3. MRIで診断。 4. 治療は塞栓術や減圧椎弓切除術。 【無脾・多脾症候群】 1. 無脾症候群は単心房単心室・共通房室弁・肺動脈閉鎖狭窄(肺血流減少)・完全大血管転移・総肺静脈環流異常・・ 2. 無脾症候群は内臓錯位(胃泡が逆)と下行大動脈・下大静脈(欠如はない)が脊柱の同じ側にある。 3. 多脾症候群は単心室でないことが多い。徐脈性不整脈(完全房室ブロックなど)ある。肺血流は増加し肺高血圧となる。 4. 多脾症候群は内臓錯位(胃泡が逆)と下大静脈欠如し奇静脈(脊柱の右側で脊柱に沿って動脈と逆の血流認める)ある。半奇静脈(脊柱の左側) 5. 左心低形成は内臓錯位ない。 【内臓錯位】 内臓が左右対称に作られたもの。体の右側のみで作られると、右心房右心室のみ・脾臓なし(無脾症:脾臓は左側のため)など。左側のみの場合は脾臓は二つ(多脾症)となる。(資料1) 【総肺静脈環流異常:TAPVR】 1. TAPVRは肺静脈閉鎖を伴う場合、肺うっ血が著明で心拡大や心内奇形がなく、肺疾患と鑑別困難な場合が多い。 2. 新生児期に開心術を行う最も頻度の高い心疾患がTGAとTAPVD。 【羊水塞栓 AFE】 1. 初発症状が心肺虚脱症状(突然の胸部痛と呼吸困難・ショック)のものとDIC・弛緩出血・大量出血のものがある。前者の方がZnCP1やSTNが高値となる(浜松)。 2. 心肺虚脱型は初発症状が胸痛・呼吸苦・意識消失・原因不明の胎児機能不全・不穏状態で発症から心停止まで平均30分と短い。 3. DIC型(子宮型)は初発症状は胎盤娩出後の非凝固性出血で、子宮弛緩となり短時間にDIC進行(発症から1時間でフィブリノゲン100〜150以下になる)。子宮型羊水塞栓の早期診断に子宮弛緩とフィブリノゲン150以下が役立つ(16 金山氏)。 4. 肺組織のアルシャンブルー染色(アルシャンブルー陽性物質の沈着)・血液中シアリルTn抗原(STN)証明・・院内対応可能 5. 血清中の亜鉛コプロポルフィリン1(ZnCP1)高値(正常は1.6pmol/dl以下)→浜松医科大産婦人科に遮光して送る。2〜3mlの血清を遮光・凍結保存。 6. 低補体価(C3、C4)も補助診断。 7. 肺血管内の胎児扁平上皮、トロホブラスト、胎脂様脂肪塞栓、肺うっ血。 8. 陣痛促進剤使用時に多く、破水時に急激な意識消失・痙攣・チアノーゼ・呼吸不全・心停止となるタイプと胎盤娩出直後から弛緩出血のような多量子宮出血・DICとなるタイプがある(日本医科09)。頚管縫縮糸の抜糸直後に発症(羊水の流入口となったか?)したものがある。不全子宮破裂・頚管裂傷・過強陣痛・早剥・PIH・羊水過多・肩甲難産なども合併症としてある。 9. 子宮型羊水塞栓症:DICあるが子宮血管内の羊水流入と筋層内(子宮体部間質)の著明な白血球浸潤みとめ血中の亜鉛コプロポルフィリンやSTN認めない。子宮摘出でDIC改善する。子宮筋から亜鉛コプロポルフィリンやアナフィラクトイド反応が証明される。 10. 羊水による肺毛細管の閉塞とそれによる肺高血圧症・循環不全などの機械的閉塞と、胎便中のプロテアーゼや組織トロンボプラスチンなどの液性成分によるケミカルメヂエイターが肺血管攣縮・血小板や白血球の活性化・血管内皮障害・血管内凝固をおこす。 11. 臨床的羊水塞栓症診断基準ある(資料2)。帝王切開後の麻酔覚醒遅延で気付かれた症例がある(名古屋赤十字10)。 12. 分娩後2時間で発症した遅発型もある。(京大11 日産婦誌) 13. 【治療】気道確保と高濃度酸素投与・出血には輸液輸血・DICにはFFP 15単位以上やAT-III 3000単位・低血圧にはエフェドリン10mg(1A=1mlを10倍希釈して3ml程度使う)やエホチールさらにはドーパミン。心停止にはボスミン(エフェドリンではない!)。鎮静にはジアゼパム。 14. 実際にはエフェドリンはあまり使わない。血圧低下にはカタボンLowを10滴で開始して増量したりする。またノルアドレナリン1Aを250mlの生食や5%ブドウ糖にいれて60ml/時間くらいで点滴、もしくは0.1〜1Aを皮下注する。 15. 羊水塞栓のDICは凝固消費と線溶亢進が同時進行している。治療はFFPで凝固因子補充し、アンチトロンビンで凝固抑制し、トラネキサム酸やウリナスタチンで線溶抑制する。(16 金山氏) 16. ステロイド大量投与(500〜1500mg)を発症早期に投与。またフィブリノゲン製剤も。 17. 近年羊水塞栓は補体制御因子のC1インヒビターやC3、C4活性が低下していることが分かった。よって治療にC1インヒビター濃縮製剤(ベリナートP:1000単位)が有効な可能性があり臨床治験が開始されている(周産期医学誌2015)。 18. 羊水塞栓では子宮にアナフィラトキシンが大量発生していることが多く、薬物治療が奏効しない場合は子宮摘出で病態改善することが多い(16 金山氏)。 19. 2010年英国報告ではオッズ比は多胎10.9、帝王切開8.8、分娩誘発3.9. 20. 近年は羊水塞栓症発症機序はアナフィラクトイド反応が主と言われる(羊水は夫由来の異種蛋白があるから)・・補体やキンカリクレイン系の活性化により子宮や肺の急激な血管透過性亢進し間質血管浮腫が起こり弛緩出血や肺水腫となる。同時に補体系、凝固線溶系も過剰活性化されDICとなる。また心臓にもアナフィラクトイド反応がおよび急激な心停止となる。またアナフィラクトイド反応によりフィブリノゲン自体が分解されるため値が低下する。またC1インヒビター(C1エラスターゼインヒビター)やC3、C4活性が低下とIL-8の高値(IL-8はDIC,SIRS,ARDSなどでも高値)が特徴(16 金山氏)。 21. ドパミンは低用量(2〜5μg/k/分)では腎血流増加、中用量(5〜10μg/k/分)では心収縮力・心拍出量増加、血圧上昇、高用量(10〜20μg/k/分)では末梢血管収縮による血圧上昇・心拍数増加作用ある。 【妊産婦死亡】 最近16年の剖検から、死因は羊水塞栓24.3%、DIC出血死21.2%、肺血栓13%。妊産婦死亡の95%は30週以降に発生。30週未満では外妊・肺血栓が多い。(日産婦63-3 2011) 【placental lakeと胎盤血管腫(chorioangioma)】 1. placental lakeは胎盤静脈洞であり大きくとも予後良好。USGでゆっくりとした血流を認める。 2. 巨大なplacental lakeが臍帯刺入部にあり陣痛による破たんを恐れて帝王切開した例がある(新潟大09)。 3. 胎盤血管腫(資料1)は羊水過多・胎内出血・胎児心不全・心拡大・胎児水腫・胎児貧血の原因となる。これは血管腫内部での臍帯動静脈のシャント形成による心拍出量増加による。特に50个鯆兇┐襪發里肋評出やすい。USGではむしろsolidで周位胎盤よりやや低輝度に見えるのでplacental lakeと鑑別できる。カラードプラーで豊富な血流と臍帯動脈と同期する拍動性血流を確認できる。またMRIではT2強調で周囲の胎盤よりやや低信号。母体血中AFP増加する。 4. Beckwith-Wiedemann症候群は胎盤血管腫を合併することがある。 【胎盤ポリープ】 1. 産褥(20日―30日)多量出血きたす。 2. カラードプラで血流を伴う腫瘤認める。MRIも有用。 3. 血性hCGは100mIU/ml程度が多い(島根中央・琉球大10)。 4. 子宮内容掻把でコントロール不能な大量出血になることがある。 5. hCG 低値例はMTXのみでhCG低下と血流消失のため子宮内容除去可能な例がある(広島安佐12)。 6. UAE(骨盤血管造影下に大腿動脈からSeldinger法でカテーテル挿入)してTCRで切除。またmethotrexateも使用する。 7. 妊娠初期流産(8~9週)後に胎盤ポリープ発生し、多量出血→UAE・TCRした例ある(山梨大11)。 【間様性異形成胎盤: placental mesenchymal dysplasia】 USGでは嚢胞状腫瘤。病理では多発嚢胞と絨毛腫大・間質増生みとめるが絨毛細胞の異常増殖は認めない。PIH・IUGR・IUFDとの関連が報告されている。稀な疾患。 【へパリン】 1. 未分化へパリンは半減期0.5〜1時間。24時間持続点滴が基本。安い。 2. 低分子へパリン(フラグミン等)は半減期2〜4時間。未分化より出血やHIT少ない。 3. ダナパロイド(オルガラン)は半減期20時間。 4. ヘパリン拮抗剤(中和剤)は硫酸プロタミン。商品名ノボ硫酸プロタミン(10ml/A)をヘパリン1000IUに対し1ml点滴する。 5. 妊娠中にヘパリン使用(血栓性疾患など)している場合は、陣痛発来時に中止することが推奨されている(肺血栓・・予防ガイドライン) 6. ヘパリンはアンチトロンビンと結合して凝固抑制する。VTEでアンチトロンビン消費のため活性低下(70%以下)の場合はアンチトロンビン1500単位補充する(愛育2015周産期医学誌) 【へパリン起因性血小板減少症:HIT 儀燭鉢況拭 1. HIT(heparin-induced-thrombocytopenia)儀燭魯悒僖螢鹽衢2〜3日後に発症するが臨床症状全くなくヘパリン中止しなくても自然に治癒する。へパリン自体の生物特性。 2. HIT況燭5〜14日後に発症する免疫反応(自己抗体産成)であり、激しい血小板減少だが過凝固・血栓症が特徴(出血ではない!!)。血小板第4因子(PF4)とへパリンの複合体への自己抗体による。血小板が活性化されて血小板凝集が起こる。治療はヘパリンの中止とアルガトロバン使用(ヘパリンの代替え薬で、トロンビンを抑制することで抗凝固する)。 【遺伝性球状赤血球症(HS: hereditary spherocytosis)】 1. 常染色体優性遺伝だが1/3は劣性遺伝や孤発例ある。 2. 赤血球膜たんぱくの異常で先天性溶血性疾患全体の80%を占める(本邦ではもっとも頻度高い)。 3. 生後15時間ころから可視黄疸発症。その後貧血。 4. 母親に溶血性貧血や胆石・脾摘の既往あるが軽症例は診断されていないことがある。 5. 小型球状赤血球認めるがこれは正常新生児やABO不適合溶血でも出現する。 6. 生命予後は良好。 7. パルボB19感染を契機に発症した母体例あり(現産09)。aplastic crisisとなった(Hb 4.0)。パルボB19は骨髄の赤芽球系前駆細胞を選択的に障害する。健常人は赤血球寿命長いため貧血にならないが、HS患者は貧血が急激に進行する。 8. 母体症状は貧血・黄疸・脾腫。治療はHb8g/dl以下の重症例は脾摘が考慮される。 【先天性筋強直性ジストロフィー(CMD: congenital myotonic dystrophy)】 1. MD儀燭虜能転彪燭膿契源仮死出生多いが原因不明の新生児死亡として扱われる可能性もある。 2. 羊水過多・呼吸障害(呼吸用運動低下)ある。 3. 常染色体優性遺伝:血液の遺伝子診断は民間で可能だが羊水検査はPCRとなり業者対応不能。成人で最も多い遺伝性筋疾患。母にミオパチー様顔貌ある。母体のhatchet face、grip myotonia、高CPK・家族歴で診断。進行性の筋委縮・筋強直・全身臓器障害あり、世代が下がるにつれて重症化する。 4. リトドリン投与による疼痛発症・CPK高値(1000以上)は横紋筋融解症状。MDにリトドリンは禁忌。マグネシウムも呼吸障害起こすので慎重投与。 5. MDの羊水過多や呼吸障害に対し、インドメサシンの長期投与で改善させた報告あり(滋賀医科11) 6. MDは一般的に成人発症型のジストロフィーでは最も頻度が高い。着床前診断が認められている。 【non-reassuring fetal status】 NRFS 1. 宮崎大(11)は分娩時に除脈を発生し神経後遺症を来した児の約半数は、前兆となる所見がないまま突然除脈が発生しているとのこと。 2. 日本語では「胎児機能不全」:母子セ 2015 【35週以降の死産】(千葉青葉10) 半数は1週間位内のNSTはreassuringであった。また11例中9例は胎動消失後24時間以内の受診であった。臍帯巻絡や辺縁付着が多かった。 【胎児結腸閉鎖症】 非常に珍しい。USGにて蠕動のない拡張腸管とhaustrae像。小腸閉鎖では蠕動を認める。 【鎖肛やヒルシュスプルング】 肛門は会陰部の水平断にて、肛門粘膜が小さな高輝度円として描出され、その周囲を低輝度な括約筋がリング状に取り囲む「target サイン」で確認される。 ヒルシュスプルングは胎内USGでは診断不能。 【胎便関連性腸閉塞】 近年ガストログラフィンによる注腸・胃内注入が治療として有効との報告ある。 【新生児敗血症】 1. 起炎菌はGBS30%、E.Coli20%。ただし分娩中抗生剤投与などでGBSは減少傾向。 2. 日赤セ13ではNICU敗血症の起炎菌は48%がCNS(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌)で次いでMRSAであった。 3. 肺炎球菌による新生児敗血症は稀だが致死率50%と言われる。先天性肺炎でGBS症状と酷似。 4. 肺炎球菌は乳幼児の肺炎・髄膜炎では頻度が多い。(資料) 5. 新生児早発型敗血症(EOS)は大腸菌(グラム陰性桿菌)が主な起因菌。特にABPC耐性大腸菌の増加が問題。特にPROM症例で母体ABPC投与症例が問題。ABPC耐性大腸菌感染症はp-PROM症例で有意に増加しているが、GBSに対する分娩中抗生剤投与は関連がなかった報告あり(2010文献)。大腸菌は細胞壁にエンドトキシンを有しており、グラム陽性菌の敗血症に比べショックに陥りやすい。 【血球貪食症候群 HPS: hemophagocytic sydrome】 1. ウイルス・細菌・真菌感染により高サイトカインとなり組織球が異常に活性化し全ての血球を貪食する。 2. 高熱・肝脾腫・汎血球減少・高フェリチン血症。骨髄検査(単球やマクロファージが増加し好中球を貪食している)でも貪食像認める。 3. 妊娠中はステロイドパルス療法施行し、妊娠終了させてからエトポシド・デキサメタゾンなどで化学療法する。 【抗てんかん薬】 1. 奇形発生率は4〜5%で非服用女性の2倍。 2. 妊娠中のバルプロ酸内服による胎児性バルプロ酸症候群は、FGR・眼間開離・幅広鼻根・耳介低位など。手関節屈曲もある。 【羊水過多】 1. ポケット(AP)8センチ以上・AFI25センチ以上。 2. 原因は特発性が最も多い。 3. 機能的嚥下障害は18 trisomy・神経・筋・骨系統疾患。 4. 消化管通過障害は消化管閉鎖(十二指腸閉鎖が最多で10000分娩に1)とCCAM・横隔膜ヘルニア・胸水などの胸腔内占拠病変。 5. 十二指腸閉鎖診断は24週以降に可能となる(double bubble signと羊水過多)。またその半数に合併奇形伴う。奇形の多いのは心疾患、次いで腸回転異常、輪状膵、食道閉鎖。 6. 食道閉鎖は気管支廔のために羊水過多や盲端拡張ない場合がある。 7. 気道の正確な評価は通常のMRIでは難しく、気道に焦点を合わせた撮影法が必要(狭窄部位より口側の拡張など)。喉頭狭窄は気道に異常が見えないため出生前診断困難(成育15) 8. 母体糖尿病(コントロール不良群)の羊水過多は胎児高血糖の浸透圧利尿と相対的腎過形成(児が大きいため)による。 9. 臍帯ヘルニア・腹壁破裂は腹膜からの浸出液漏出による羊水過多おこす。髄膜瘤・二分脊椎は髄液漏出。 10. 胎盤血管腫は5センチ以上か複数あると羊水過多になりやすい。 【羊水過少シークエンス(Potterシークエンスともいう)】 1. 多嚢胞性腎異形成(MCDK: multicystic dysplastic kidney)・多嚢胞腎(PKD: polycystic kidney)・腎無形成などが原因となる(腎が原因の場合)。 2. 羊水過少シークエンスは早産傾向にあり、約半数が骨盤位でSGAである。 3. 腎が原因の場合は両側MCDKが40%で最も多い。 4. MCDK(Potter type兇任△襦砲呂曚箸鵑瓢業性だが一部に遺伝例ある。両側性は35%に合併奇形(心・消化器・中枢神経・脊椎・単一臍帯動脈)や10%に18・13トリソミーやターナーなどの染色体異常ある。 5. 片側性MCDKは出生後40%が退縮傾向を示した(兵庫こども)。 6. 片側性MCDKで対側が低形成の場合があり羊水過少となる。この症例に人工羊水注入で児の状態落ち着かせ呼吸障害防いだ例がある(現産10)。将来的には透析と腎移植目指す。 7. 両側性MCDKはほとんど新生児死亡(神奈川こども10)。 8. MCDKはほとんどが無機能腎である。 9. MCDKは男児に多い。 10. HDR症候群(常優遺伝)というのがあり、H(副甲状腺機能低下)・D(感音性難聴)・R(腎形成不全)を3主徴とする。 11. 片側MCDK+片側腎低形成の羊水過少例に31週から反復人工羊水注入を行い、39週まで妊娠継続させ、variable dec.や関節硬縮を回避した報告がある。しかしdry lung syn.は防げなかった(倉敷中央11)。 12. 人工羊水は21〜22GのPTC針で穿刺し、温めた生理食塩水を自然滴下で。USGでMVP(maximal vertical pocket)が3儖幣紊砲覆襪茲γ軻。(国立長良15) 【PKD(polycystic kidney)】 1. autosomal dominant PKD(ADPKD)は2000-4000に1例。両側性がほとんど。 2. autosomal recessive PKD(ARPKD)はPotter type気任△40000-50000例に1例。両側性。腎異形成は伴わない。また疾患遺伝子も同定されていて、罹患児・両親含めたDNA鑑定で確定できる。予後悪く胎児期発生は積極的治療介入の適応ないと言われる。 3. USG:ARPKDは1舒焚爾両嚢胞が集族し充実性に見える。腎腫大しエコー輝度高い。MCDKは大小様々な嚢胞を認めややlow echo。 4. PKDは肝嚢胞や肝線維症などの肝臓病変を持つ。 5. 腎腫瘍との鑑別必要。 【血液型不適合・不規則抗体など】 1. ABO不適合(O型母からのA・B型新生児)の抗A・抗B抗体は妊娠などで自然獲得するため第一子から発症する可能性ある。しかし胎児期に発症はなく胎児水腫は起こらない。 2. Rh式血液抗原にはD・C・E・c・eの5種類あり各々に抗体産性ある。Dが最も強力。次がEが強力。抗c抗体も胎児貧血起こす。RhD陰性は日本人は0.5%だが白人は15%もある。 3. 日本人の多くはCCDee(44%)、 CcDEe(38%)。 4. 関節クームス試験は羊水穿刺などがあれば妊娠後半にも行う必要がある。 5. RhD抗体は8倍以下なら待機管理し32倍以上なら羊水検査必要。 6. ACOGはRh妊娠に対し28週以後に抗D免疫グロブリン 300μg投与を勧めている。日本では2011年5月に承認が受けられ(資料2)、適応拡大となり28週での母体投与(関節クームス陰性母体のみ)が認められた。投与量は産後と同じく1バイアル(抗D抗体1000倍;250μg相当)。 7. また28週前後や・羊水穿刺後・部分胞状奇胎・出血を伴う切迫流早産・腹部外傷・外回転術後なども適応となった。また妊娠7週まで胎児生存が確認できた自然流産後や妊娠7週以降の異所性妊娠や中絶が抗D免疫グロブリン投与の対象となっている。 8. 妊娠中の抗D免疫グロブリン投与により、母体の関節クームスが陽性化することがあり、28週投与でも分娩時に非常に低値(通常4倍以下)ではあるが抗D抗体価を示すことがあり、関節クームスが陽性化することがある。このような場合でも産後の抗D免疫グロブリン母体投与は行う方が良い。 9. 抗D免疫グロブリンは血液製剤なので、稀ではあるがパルボウイルスなどの伝搬リスクの説明必要。 10. RhD陰性は劣性遺伝。日本人はD/D(プラス/プラス)の優性ホモ個体は約85%、D/d(プラス/マイナス)のヘテロ個体は約15%、そしてd/d(マイナス/マイナス)の劣性ホモ個体が約0.6%という割合になる。RhD陰性の両親からはかならずRhD陰性の子が生まれる。 11. RhE抗体は64倍以上で侵襲的検査必要(浮田ら)。 12. RhE抗体は32倍以上でHDFNの危険群となる。 13. RhE抗体陽性例で胎児輸血(PEITニードル 22G×200mm 八光)施行例あり(岡山医療セ16)。O型RhD陰性、E陰性血使用。16週からMCA-PSVで追跡。 14. 胎児輸血の目標Ht値は40%程度。ただし重篤な胎児水腫の場合は輸血終了時のHt値が25%超えないように。輸血量計算式あり(ファイル「胎児治療など」) 15. M型不規則抗体は4倍以下なら待機管理。 16. HDFN (Hemolytic disease of the fetus/newborn)という。 17. Lewis型抗体は抗Lea抗体と抗Leb抗体があるがIgMなので胎児水腫は起こさない。 18. 抗P1抗体はほとんどIgM型の自然抗体であり本邦ではHDFN報告ない。 19. 抗Pや抗PP1Pk抗体はHDFNの原因として重要。 【不規則抗体M】 1. 間接クームス1024倍→胎児腹腔への免疫グロブリン投与で改善した(防衛医大)。 2. 血液型不適合妊婦への免疫グロブリン効果は|耋孫蛎虜醉儉抗体が結合した細胞の破壊防止L髪嵎9臑里猟盛澂Suppressor T cellの増加とKiller T cell減少ド垉則抗体の胎盤移行防止などが考えられている。しかし母体投与では胎児に移行してしまった抗体の中和は期待できない。 3. 中和抗体投与目的で胎児腹腔内免疫グロブリン療法(児推定体重1kgあたり2g)を計4回施行した.(防衛医大) 4. 胎児腹腔内免疫グロブリン投与はパルボB19感染胎児への投与報告もある。 5. 臍帯静脈採血(25G穿刺針で)で貧血と直接クームス陽性を確認する(防衛医大)。 【MN型不適合妊娠】 1. MN式血液型の出現頻度はMM型・NN型・MN型が1:1:2の割合。 2. 抗M抗体は本来IgMで胎盤通過性ないが、まれにIgG抗体(抗M抗体)が産生されると重症HDFNや新生児溶血性黄疸を引き起こすことがある。これは児血直接クームス陰性になるほどの少量の抗体であっても新生児溶血性黄疸を引き起こすことがある。母体胎児輸血により母体に移行した胎児血によるIgG型抗M抗体産生のため。 3. 遅発型貧血(生後25日で発症)報告あり(いしかわ母子10)。 【抗Jra抗体】 1. Jra抗原は高頻度抗原でありJra陰性者の頻度は0.03%と言われている。 2. 抗Jra抗体陽性妊娠(Jra陰性者の妊娠や輸血歴で発症する)は胎児重症貧血を起こすことはあまりないと言われてきたが、なかには新生児期に交換輸血を必要とした重症もある。 3. 抗Jra抗体陽性妊娠で抗体価が1024倍であった症例が、妊娠中に胎児貧血(MCA-PSVが1.5MoM以上)認め、分娩誘発し出生した新生児にも貧血を認めた症例あり。ただし溶血性貧血ではなかったとのこと(日産婦11 阪大)。 4. 妊娠6週で抗Jra抗体価が32倍であったものが、28週でMCA-PSVが1.5MoM以上(64.7僉sec)となり、30週で胎児貧血(Hb 5.4g/dl)のためO型Rh(+)Jra抗原(―)のRCC100ml輸血して改善した例あり(熊本市民12)。 【Di抗原】 1. Diego式血液型はDia抗原とDib抗原からなる。 2. 日本人においてはDi(a− b+)が90%以上。よって不適合妊娠はDia不適合が多いが、新生児溶血性疾患はDibの報告の方が多い。Dibの方がDiaより抗原性が強いためである。 3. Dia不適合のほとんどは光線療法のみで予後良好だが、重症例も少し報告ある。 【新生児多血症】 自動血球計数装置では遠心法よりもHtが低く見積もられることがあるので注意。多血症の診断はあくまでも遠心法によるHtにより定義されている。 【プロスタルモンF注射】 心室細動・心停止・ショック・気管支収縮おこすことがある。 【胞状奇胎】(資料1) 1. 部分胞状奇胎は三倍体(69XXXか69XXY)で、2精子重複受精(これがほとんど)か受精後に父親由来染色体が複製されたかによる。卵+精子二つか卵+精子一つの複製。 2. 全胞状奇胎は46XYか46XXで父親由来染色体のみ。脱核卵子へ受精した精子が複製した(これが90%)か重複受精したもの。空の卵+精子一つの複製か空の卵+精子二つ。 3. 奇胎の診断は病理所見(新規約):絨毛における栄養膜細胞の異常増殖と間質の浮腫。 4. 奇胎組織がp57 Kip2(もしくはTSSC3)免疫染色陰性のため全奇胎と診断される(千葉大11)。これはホルマリン固定された切片や、外注などで簡便に行える。 【webより】p57Kip2をcodeする遺伝子はchromosome 11p15.5に存在し、paternally imprinted, maternally expressed geneであることがわかっている。Complete moleの診断に有用である。Complete moleは父親のalleleのみのdiploidで、p57Kip2を発現しない。 5. 全奇胎の10-15%に侵入奇胎の続発、全奇胎の1-2%に絨毛癌の続発ある。部分奇胎の2-4%に侵入奇胎の続発ある。 6. 掻把後、エコーで遺残所見なければ再掻把省略できる(新規約)。 7. follow upは、1次管理:奇胎娩出後の血中hCG値が5週で1000mIU/ml、8週で100、24週でカットオフ以下の3点のいずれかを上回れば経過非順調とする。2次管理:血中hCG値正常化後の最初の1年は1ヵ月に1回血中hCG値測定し、3〜6ヵ月以上正常なら妊娠許可。2年目以降も血中hCG値を3〜4ヵ月に1回を3〜4年follow up。 8. 経過非順調:画像診断(USG・カラードプラー・MRI・胸部X-P・CT)などで絨毛癌診断スコア用いて臨床的に侵入奇胎か絨毛癌か鑑別。侵入奇胎は単剤化学療法、絨毛癌は多剤併用化学療法。なおhCG正常化した後の再上昇は絨毛癌疑う。 【胎児共存奇胎】 1. 一方が全奇胎の2卵生双胎(近年排卵誘発のため増加している)か胎児を伴う部分奇胎の2種類。 2. 胎児を伴う部分奇胎は3倍体のため高率にIUFDとなる。 3. 一方が全奇胎の2卵生双胎の診断は、胎児側の羊水検査での正常染色体証明が必要。 4. 一方が全奇胎の2卵生双胎の場合、40%と高率に続発症(絨毛存続症など)を発症した報告がある。 5. 高hCG(数百万)による妊娠高血圧腎症発症・甲状腺機能亢進や多臓器(肺・肝)転移あり。早産多し。また胎児共存奇胎管理では全奇胎が長期間子宮内に温存されるため、続発症の発症が多くなる(50%との報告ある)。続発症にはMTX療法。 6. 肺転移巣に注意(産後CT検査)。 7. 後の絨毛癌発生報告ある(弘前11)。 8. 妊娠継続の可否については現在一定の見解はない。 9. 生児を得た症例あり(周産期学会15神戸医療セ) 10. 鑑別診断は間葉性異所性胎盤(PMD):(周産期学会15NTT札幌) 【超音波拍動流表示】岩手医科大 胎盤の超音波拍動流表示(Pulsatile Flow Detection: PFD)はPIH群が正常に比べ有意に少ない。 【超早産児(28週未満)の死亡関連因子】大垣市民・名古屋大 1. 新生児動脈血のHb12未満の貧血・BE−8未満のアシドーシス・肺出血・脳室内出血・壊死性腸炎が死亡と関連していた。 2. 絨毛羊膜炎は死亡との関連はなかった(慢性呼吸疾患とは関係あり)。 【産科出血量】国立成育医療センター編 1. 日産婦の異常出血定義は500ml以上となっている。見直すべきか?(産科出血ガイドラインでは異常出血を経膣分娩800以上、帝王切開1500(羊水込))。 2. 出血量の90パーセンタイルまでを正常とするなら、〃伜簡娩単胎は800mlまで、経膣分娩多胎は1500mlまで、D訐效餌曚1600mlまで、つ訐畋紳曚2900mlまでとなった。 3. 輸血率増加は〃伜潅餌曄δ訐效餌曚1500ml以上、帝切多胎は2000ml以上の場合であった。 【パーセンタイル】 正規分布しないデータはmean±SDでは表現できないので90%タイルまでを正常範囲とする。 【FGR(fetal growth restriction)児の管理】 1. 3パーセンタイル=−2.0SD、10パーセンタイル=−1.3SD 2. BPSは週数関係なく胎児pHと相関すると言われている。 3. BPSが正常のFGR児は1週間以内に胎児死亡する可能性は極めて低い(コクラン) 4. 27週以上のFGR児では胎児頭周囲発育停止を娩出指標とする考えがある。岡山医療セ09ではFGRのtermination適応を1)2週間の頭囲発育停止 2)胎児well being(BPS・CTG・ドプラ・Tei indexで評価)の悪化としている。 5. FGR児はメタボリックシンドロームのハイリスク群である。4・5歳で収縮期血圧がAGA群より高い(京大)。また糖尿病や動脈硬化も多いことが北欧を中心に報告されている。 6. 羊水過少を伴うFGRで臍帯過捻転が原因の場合、羊水補充が有効(東北大)。 7. SGA=不当軽量児という。 8. 羊水過少を伴うFGRで人工羊水(温生食100〜130ml)経腹的注入で管理した例(22週~25週間)あり(倉敷中央12)。 9. 26週未満のFGR+羊水過少に対する人工羊水注入は妊娠期間を延長しうる(国立長良12)。 10. FGRは8%に染色体異常があると言われている。 11. 28週以降出生のFGR児の予後不良因子は羊水過少であった(母子セ 2016周産シンポ)。よって羊水過少を認めないFGRは待機可能か。 12. early pretermのFGRでNRFSとなる因子は、cerebroplacental ratio:CPR(中大脳動脈のPI/臍帯動脈のPI)<1.4、羊水過少、EFW≦―2.5SDがあった(母子セ2015)。 13. FGRの出生時頭囲SDとその後の認知能力に相関があるとの報告あり。 【母親と児の出生体重】 有意な相関あり(名大09) 【肺成熟療法や慢性肺疾患(CLD)】 1. 出生前ステロイド投与はRDS発症回避するが、CAM存在下ではBPD(broncho pulumonaly dysplasia)発症危険因子となりえる。 2. BPDは最近従来の臨床病理像が一致しないnew-BPDの概念が出てきた。 3. new-BPDは子宮内感染に起因する肺胞新生の停止である。(BPDは異形成) 4. CAMが重症であるほどCLD発症率高く、CLDの中でもCAMがある方が重症化しやすい。 【高酸素血症回避でCLD減る】 超早産児や超低出生体重児ではSpO2目標値を85〜93%に減じたところ(以前は88〜100%であった)CLDが有意に減少した。ただしPDA再開通が増加したので注意(姫路赤十字09)。 【妊娠中自然気胸】 1. 妊娠中に発症すると再発繰り返しやすい。 2. 再発例で胸腔胸手術(VATS)を行う事がある。まずはドレナージ。 3. 分娩が気胸を再発させたりはしないので経膣分娩でよい。 【正期産児の気胸】 帝王切開の方が経腟分娩より多い(筑波大15)。特に37週台の帝王切開に多い。 【原発性肺高血圧(母体)】 肺小血管壁の内膜が著明な線維性肥厚をおこし、内腔の狭小化のためにおこる肺高血圧・右心不全。32週頃の循環血増加に伴い発症し母体死亡した症例あり(日本医科11)。 【肺水腫(母体)】 1. PIHに伴う肺水腫の要因はロジスティック解析で血清層蛋白の低下が要因であった。その場合のカットオフ値は5g/dlであった(鹿児島市立11)。 2. 妊娠関連肺水腫のリスクファクターはリトドリン、心疾患、過剰輸液、PIH、多胎、ステロイド、CAM、ニカルジピン・ニフェジピン(副作用による左心不全・心原性肺水腫)と言われる。マグネシウム単独管理では肺水腫報告例がない。(広大15) 3. ステロイドは体内水分貯留バランス変化により肺水腫のtriggerになるといわれているが、機序は明らかでない。(広大15) 【妊娠とMarfan症候群】 若年女性のMarfan症候群における大動脈解離発症は50%が妊婦である。妊娠により大動脈解離や拡張危険性は5倍高くなる。 【胎児水腫】 1. 最近の胎児水腫はほとんどが非免疫性(抗Dグロブリンのおかげ)。 2. 非免疫性のうち原因不明の特発性が30%占める。 3. 胎児水腫の原因としての乳び胸は少なく、仮に胎児水腫になっても生命予後は良好。しかし先天性乳び胸は染色体異常や先天異常に合併すると言われている。 4. 胎児水腫に合併するPKDは両側性が必発。 【胎児水腫のとき行うべき感染検査(通常検査以外で)】 母体血液:風疹IgM・サイトメガロIgM・パルボウイルスIgM・トキソプラズマ抗体 【母子間輸血症候群(feto-maternal transufusion FMT):FMHともいう】 1. 原因は80%は不明。妊娠末期の胎盤部分剥離が推定されている。胎盤損傷に伴って発症する。 2. 微量(0.1ml程度)のFMTは全妊娠の7割くらいはある。 3. 30ml以上のFMTは胎児水腫の原因になると言われる。胎児・新生児仮死もある。 4. 80ml/kg以上の失血があると3分の2が胎児死亡。(Rubod 2007) 5. 胎動減少や胎児心拍異常を契機に発見される。FMTの唯一の自覚症状は胎動減少と言われている。 6. Sinusoidal patternも特徴的。 7. MCAのPSV高値も有用。 8. 慢性的な出血は急性のもののように胎児死亡まで胎児心拍の異常を認めないことがある。 9. 母体血中のHbF証明。母体血中AFP値上昇。 10. 出生児血のクームス試験陰性や、パルボウイルスB19陰性も調べる。 11. 病理学的に絨毛間腔の胎児血(有核赤血球)の証明。 12. 出生児が重症化しMOFとなり、血液浄化療法を行った例がある(兵庫医12)。 13. 胎盤内絨毛癌のためにFMTとなった稀な症例あり(富山大09)。産後にMTX−FA(メソと葉酸)療法6コース施行した。 14. 絨毛癌の場合は母児の絨毛癌転移検索(頭部・胸腹部CT、骨盤MRIなど)必要。また児の血清hCG測定も。 15. 新生児血は網状赤血球上昇見る。満期近い児は赤血球造血の強い刺激が加わってから末梢血に赤芽球が出現するのに28〜29時間必要と言われる。 16. FMTの予後不良因子として出生児のHb低値と母体HbF高値、急性出血などが言われている。 17. Kadookaら(2014)はFMTの脳障害危険因子として急性貧血と出生時の代謝性アシドーシス。 18. 児の失血量=(Hct母体/Hct胎児)×HbF×母体血液量(大体5000)で概算。(東北大16)またHbF×母体血液量という式もある。 19. 前置胎盤・妊娠高血圧腎症・早剥・PMDなどで胎児血の母体移行(FMH)が多くなることをfetal cellで証明(北大17) 【母体血中HbFなど】 通常成人では、HbAが96%、HbA2が3%、HbFは1%以下。 【同種免疫血小板減少症(neonatal alloimune thrombocytopenia: NAIT)】 1. 血小板膜上の同種抗原(HPA(血小板抗原系) かHLA(白血球抗原系))に対する母体由来の抗体が胎児に移行。母体内への胎児血流入によってIgG抗体が産生される。HPAか HLAの母子間不適合が原因で発症する。 2. HPA(human platelet antigens)不適合(母子間の血小板抗原不適合)によるもの:重症で頭蓋内出血や消化管出血ある。母体血清中の抗HPA抗体の検出で診断される。第2子ではさらに重篤となるため、血小板の用意や免疫グロブリン大量療法などの準備が必要。 3. 本邦の妊婦のHPA抗体検索ではHPA-5bの検出率が最も多かった。NAITを起こすのはHPA-4b不適合が多い。HPA-5b抗体で重症化することは珍しい(日大09)。 4. HLA(human leukocyte antigens)不適合によるもの:軽症の出血程度が多い。これは胎盤が胎児と同じHLA抗原持つので抗体がここで消費されるため。この場合、父母間の交差試験陽性で母体血清中に父HLA抗原に反応する抗体認める。 5. 頻回な血小板輸血により抗HLA型血小板抗体が産生されることがある(秋田大12)。輸血により産生される抗血小板抗体は大半はHLA抗体である。 6. 妊婦の抗体産性率はHPA抗体が0.6%、HLA抗体が10%。 7. NAITの確立された治療ガイドラインはない。ITPに準じて治療する。γグロブリン・プレドニゾロン・血小板輸血など。 【MDS 骨髄異形成症候群】 1. 妊娠中の血小板減少で発症することがあり、その後汎血球減少に進行した例がある(さいたま市立11)。よって妊娠中の血小板減少はMDSも念頭に置くべき。治療抵抗性で1/3は白血病に移行する。 2. 妊娠中に増悪し、分娩後に一過性に軽快することが多い。 【破傷風】 1. ジフテリア・百日咳・破傷風三種混合ワクチン(DPTワクチン)。 2. 1975年に一時的にDPTワクチンが中止されたことによりある年齢の妊婦は抗体がない。 (Wikipediaより)1975年には、百日咳成分によるワクチン接種後の脳症などの重篤な副反応発生事故の問題で、3ヶ月間ワクチン接種が中止された。改良ワクチンが開始されるのは1981年になり、接種率はその間著しく低下し、DTのみの接種を行う地域も多かった。そのため現在の30~40代は百日咳ワクチン接種率が低かった。 【血栓性疾患・先天性プロテインS欠損症など】 1. 日本では先天性プロテインS欠損症が最も多い。ただしプロテインS活性は妊娠週数とともにかなり低下する。よって妊娠中のプロテインS欠損症診断は困難であり、確定は産褥6週以降にすべき。ただ活性値40%未満の場合は欠乏症が疑わしい。 2. 先天性プロテインS欠損症はPIH・早剥・IUFDなどのリスクあり、妊娠初期よりの連日ヘパリン皮下注(10000単位/日)などで対処する。 3. プロテインS欠乏症は妊娠初期からのアスピリン(100mg/日)療法を行い、D-ダイマーなどで血栓傾向増悪したならば上述のヘパリン療法に変更することもある。 4. その他に抗リン脂質抗体症候群・先天性プロテインC異常症・AT-III欠損症などがある。 5. AT-III欠損症は活性値50%以下なら疑うべき。 【先天性プロテインC異常症】 1. プロテインCは凝固Va・VIIIa因子とPAI-1を不活化して抗凝固・線溶亢進作用ある。欠乏で血栓おこる。 2. プロテインC活性が50%以下の場合は異常症を疑う。 3. 欠損症は常染色体優性遺伝であり重症な場合は新生児期に頭蓋内出血や皮膚の電撃性紫斑がでる。 4. プロテインC活性は妊娠中あまり変動しない。 5. ワルファリン投与でプロテインC低下するので注意。治療前にプロテインC測定をすること。 【第XIII因子欠損症】 1. 先天性はAR遺伝。(資料2) 2. 後天性はクローン病、潰瘍性大腸炎、重症肝疾患、シェーライン-ヘノッホ紫斑病など。 3. 第XIII因子製剤はフィブロガミンP。 【低ガンマグロブリン血症】 血液型検査の反応減弱化で発見されることがある(徳大11)。グロブリン投与を行う。 特にIgA欠損は注意。 [WEBより] IgA 欠損症は免疫グロブリン欠損症の中では最 も頻度が高く,他の疾患と関連していたり健常人 にも認められることがある.IgA 欠損患者が抗 IgA 抗体を保有する場合,輸血によるアナフィラ キシーショックの原因になることがあり,特に血 漿を輸血する場合はIgA 欠損供血者から採血し たIgA 蛋白を含まない血液が適応になる. したがって,IgA 欠損患者の安全な輸血のため にはIgA 欠損供血者の確保が必要である. 【妊娠と肝臓がん】 1. 原発性肝がんの大半は肝細胞癌でありその90%はウイルス肝炎が原因。頻度はC型>B型。 2. 若年発症の肝細胞癌の多くはHBs抗原陽性。 3. 肝臓癌合併妊娠報告ではHBs抗原陽性が多く、HCV抗体陽性症例は少ない。 4. 肝細胞癌は妊娠中急速に悪化する。よって早期治療のためのターミネーション必要。 5. 症状は悪心・腹痛などのため診断遅れる。 6. 診断は超音波検査・GOT/GPTやAFP。HBV・HCVキャリア妊娠では定期的に肝検査必要。 【妊娠高血圧症候群(PIH)】 1. 妊娠高血圧腎症(PE: preeclampsia)20週から産後12週までHTとPU。 2. 32週までの発症を早発型(EO: early onset)、それ以降を遅発型(LO: late onset)。 3. 重症高血圧(H)と重症蛋白尿(P)のあるHP型では拡張期血圧が110mmHg以上の群が特に予後不良因子であり、HELLPなどの臓器障害が多い。またHP型の収縮期血圧200mmHg以上の群は子癇などの中枢神経障害と関連している(大阪市立母子)。 4. 抗リン脂質抗体(aCL, a-β2GP1, aPE:ホスファチジルエタノールアミン)はPIH発症に関連ある(北大)。 5. 妊娠中血圧変化(収縮期30以上もしくは拡張期15以上上昇)はNRFSや帝切に関係するが新基準からは除外されたと(岡山)。 6. 「正常高値血圧」とは130-140/80-90のことだが、子癇の16%はこの正常高値血圧で発症する。 7. 2011年6月24にニフェジピン(アダラート)の20週以降の妊婦使用が認められた。(資料2)またラベタロール(αβブロッカー)も同様。 8. 順天堂ではPIH高血圧の緊急治療の第一選択はニカルジピンの持続点滴(目標は軽症高血圧ライン)。 9. 本人の出生体重が低出生体重であることは妊娠高血圧の危険因子であった(成育11) 10. PIH妊娠では絨毛細胞の脱落膜への侵入が悪く、脱落膜の螺旋動脈血管内皮細胞のリモデリング(拡張しやすいように破壊・再構築する)が不良。そのために絨毛間腔への血流が血管収縮による影響を受けて酸素分圧が変動するために活性酸素が発生する。これにより抗血管増殖因子などの物質産生が増加し母体の血管内皮障害を起こすと思われている。 11. 近年、妊娠高血圧腎症の病因のひとつとして、soluble fms-like tyrosine kinase 1(以下「これ」)の増加が注目されている。これは血管内皮を維持するVEGFやPIGFをブロックする。またこれの遺伝子が13q12にあり、13トリソミー妊娠(これが増加している)に妊娠高血圧腎症が多いことと関連している。 12. PIH患者の90%が治癒するまでに要した期間は、高血圧77日、蛋白尿60日であった。また早発型PIHは特に血圧正常化が遅れた(埼玉医科14日産)。 13. vascular endothelial growth factor (VEGF)受容体-1の可溶分子であるsoluble fms-like tyrosine kinase-1 (sFlt1)が妊娠高血圧腎症の病態形成に関与。sFlt1を標的とした血漿吸着療法(硫酸デキストランセルロースカラム使用)を妊娠高血圧腎症に使用した例(京大17)。 【降圧剤】 1. ARBを2nd trimester以降に使用したために、胎児羊水過少・出生児の低血圧・無尿(腎不全)引き起こしたことがある(名古屋日赤11)。 2. ARB投与により羊水過少→新生児無尿となった例ある。ARB投与によるアンギオテンシン兇AT1を介した機序の欠如がRAS系を阻害し無尿・尿管の機能的閉塞を起こした(府立母子)。 3. ARBによる胎児障害はACE阻害剤と同様である。胎児血圧低下による腎血流減少で羊水過少がおこる。またアンギオテンシン兇惑∈抓彪狙に重要で、これの産生阻害は尿細管形成不全につながる。またACE阻害剤と同様に胎児の頭蓋形成不全(プローベの圧迫で頭蓋骨が容易にへこむことで診断できる)をおこす。これも低血圧による虚血が頭蓋骨発達を障害したため。しかしこの頭蓋骨は出生後に急激に成長し予後には影響しない。 【PIHと抗リン脂質抗体】 1. 抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断基準(保険適応があるもの)はLA・抗CL抗体・β2GPI依存性抗CL抗体の3つである。 2. それ以外にも抗フォスファチジルエタノールアミン抗体(抗PE抗体)などもある。 3. APSの抗体陽性例は重症PIHや早発型PIHが多い。また早産となることが多い。 4. 抗リン脂質症候群ではHELLP発症頻度が高い(10%の報告ある:通常は0.2〜0.6%)。17週でHELLP発症した抗リン脂質症候群合併妊娠報告あり(山形大12)。 【PIHと視野障害】 1. RPLS(Revesible posterior leukoencephalopathy sydrome)の所見をMRIで認める。 2. 原因は後頭葉の血管原性浮腫や網膜病変であり可逆性である。 3. 重症子癇などへの進行の兆候なので注意。 【RPLS:reversible posterior leukoencephalopathy syndrome可逆性後頭葉白質血管性浮腫】 1. PRESとも言う。 2. 頭痛・視覚障害で発症。可逆的意識障害・痙攣・視覚障害(半盲などの視野障害)。 3. 原疾患としてPIH報告多い。特に急性発症に多い。脳出血とHELLP症候群合併例もある(桐生厚生09)。子癇に関係することはわかっている(PRESの60%に子癇発症した報告がある)が、子癇の結果RPLSが現れるのか、それ以前からあるのかははっきりしていない。 4. 画像上、後頭葉の皮質化白質優位の血管浮腫性病変。頭部MRIのFLAIRとT2強調で病巣部の高信号を認める(資料2)これは原因是正により可逆的に消失する。出血の場合は経時的にMRI画像が変化するが、RPLSのように消失したりはしない。 5. 機序は不明だが血圧上昇による脳血管の自動調節能破たん・血管内皮破たんの2説ある。 6. 重症高血圧腎症の場合MRIでRPLS認め子癇発症前に治療開始できた症例があるので、このような症例にMRI施行する意義があるかもしれない。 7. 治療は降圧(子癇予防はマグネシウム)と脳浮腫対策(グリセロール投与)。 8. RCVS: revaersible cerebral vasoconstriction synd.は雷鳴様頭痛と脳主幹動脈のびまん性分節性攣縮で数か月で自然軽快する。妊娠高血圧腎症とPRESに合併することがある。 【暫定的妊娠蛋白尿】 1. 蛋白尿(0.3g/日以上)のみの暫定的妊娠蛋白尿患者の50%は後に妊娠高血圧腎症へ移行する。 2. 高血圧のみの暫定的妊娠高血圧患者は20%が妊娠高血圧腎症へ移行する。 3. ちなみに妊娠高血圧症候群の定義は妊娠20週以降から分娩後12週まで高血圧が見られる場合。 【子癇】 1. reversible posterior leukoencephalopathy syndrome(可逆性白質血管性浮腫)RPLSと子癇は関係が深い。 2. Capilary leak syndromeという概念がある。 3. 脳血流の自動調節機能はもともと血圧が低い人の方が血圧上昇に対する調節域がせまい。つまり元々血圧が低かった人の拡張期血圧上昇が子癇のリスクファクターである。 4. 分娩子癇の30%は発症前の高血圧や蛋白尿が認められない。 5. 初産婦・若年(10代)・双胎は子癇のリスクグループ。 6. 子癇の25%はHELLP合併。 7. 子癇にはジアゼパム(5〜10mg静注)やMgSO4(4g 10分)が第一選択。マグネシウム4gを約30分かけて静注し、以後は維持療法。 8. MgSO4による子癇予防効果は確認されているが、降圧剤による効果は確認されていない。 9. 誘発時の子癇予防にはガイドラインではマグネシウムを誘発開始から分娩後24時間まで持続的静脈投与を推奨。ただしマグネシウムによる陣痛抑制の可能性も注意している。 10. 頻回の子癇発作による脳浮腫から頭蓋内圧亢進、全脳虚血で死亡した例ある。 11. 発作時には母体アシドーシスあるので血ガスを。 12. 子癇症例の追跡調査で皮質下の白色病変が多いことがわかっているので、予防が大事。 13. 近年、子癇に罹患した女性は中高年で心血管障害の発症率が高い報告。 【HELLP症候群】 1. severHELLP(血小板5万未満)の場合、産後のデキサメサゾン大量療法(10mgを12時間おきに血小板増加まで投与など)が効果的な場合がある(滋賀医12)。 2. 急性腎不全になった場合、血漿交換と血液透析が有効(愛媛県中12)。 3. Martinらの診断基準(クラス分類)がある。(資料2) 4. 色覚異常を主訴とする網膜剥離を合併することがある。(自治医17) 5. HELLP症候群やAFLPの発症前にAT活性が低下すると(北大17)。 6. 肝梗塞や肝破裂を合併し重篤化するケースある(トヨタ記念17) 【partial HELLP】 HELLP症候群の3症状の1〜2症状を示すもの。 【高血圧家族歴】 加重型妊娠高血圧腎症(superinposed preeclampsia)発症の可能性がある。加重型妊娠高血圧腎症はsever preeclampsiaに比較して、妊娠初期からの厳重血圧管理で悪化を防ぐことができる。(sever preeclampsiaは降圧しても、胎盤機能不全が残り胎児状態改善しない) 【白衣高血圧】 1. 病院血圧に対して自宅血圧(自由行動下血圧)で収縮期20、拡張期10以上低下し正常な場合を言う。 2. 白衣高血圧は正常妊婦よりも妊娠高血圧腎症を発症しやすいが、高血圧合併妊婦よりは発症率低く、重症化しにくい。 3. 外来高血圧のうち43%は白衣高血圧であった。またPE発症率は正常血圧:6%、白衣高血圧8%、真性高血圧50%であった(自治医15)。 4. 白衣高血圧の予後は、少なくとも5年間の追跡では不良とはいえないが、平均10.6年の追跡でみると、白衣高血圧者は、真の正常血圧者に比べて持続性高血圧に移行する確率の高いことが示された 【てんかん重積発作】 これにより脳虚血となり、脳梗塞発症し半身まひを認めた妊娠症例あり(現産10)。この症例は脳梗塞をMRIにて診断し緊急帝王切開となった。 【タンデムマス】 1. 脂肪酸代謝異常を原因とする新生児突然死の予防に貢献する可能性あり。 2. 分析する項目はアミノ酸とアシルカルニチン。そこから20種類以上の疾患を対象とする(資料2)。 3. 1回の分析で16種類の疾患を一斉にスクリーニングできる。 4. 9千人に一人の患者が見つかる。 5. 一番多いのはプロピオン酸血症(5万人に一人)。次はフェニルケトン尿症(6万人に一人)、次がMCAD欠損症(10万人に一人)。 6. 新生児のけいれん、昏睡などの重篤な症状発症するのはメープルシロップ尿症・尿素サイクル異常・有機酸代謝異常など。 【3次元超音波】 18トリソミーなどでみられる耳介低位やoverlapping fingersなどに有効。 【円錐切除後の頚管長】 17−23週における頚管長が25mm以上の場合は流早産リスク高くない(琉球大)。 【胎胞突出の頸管縫縮術】 1. 頸管内胎胞突出(膣内ではない)で明らかな絨毛羊膜炎がない場合は有効(富山)。 2. 胎胞突出例への頸管縫縮術で28週未満の超早産は縫縮群20%、安静群80%だった(横浜市大14日産) 3. 25週未満の胎胞形成で縫縮(マクド)を行った方が妊娠延長有意に認めた。ただしCAMない(アクティブな子宮収縮・膣のGardnerella vaginalis等の菌が検出されないこと)症例のみである(岡山医療セ15周学会)。 4. 胎胞視認(膨隆)例はRCT, retrospective cohort studyともに頚管縫縮術した方が保存療法より治療成績が良いことが判明している(2014年) 【葉酸+Lアルギニンサプリメント】 血管内皮機能改善により早期発症・重症PEの発症予防効果ありそう(名古屋市立)。葉酸0.8+Lアルギ1g/日。 葉酸サプリメント0.4mg/日内服(4週〜12週)で神経管閉鎖障害再発予防効果72%(LANCET) 【口唇・口蓋裂】 1. 先天奇形の13%で、2番目に多い(1番は心奇形)。 2. これを有する胎児の他の合併奇形頻度は25%とされる。染色体異常率も上昇する。 3. 多因子遺伝。第1児にあれば第2児発症率は4%。両親どちらかにある場合も4%。 4. 葉酸摂取で再発予防する。 【不育症のステロイド+アスピリン療法】 1. PSL+LDA療法は早産率18%あり、その早産の60%は前期破水。ステロイドによる感染増加が示唆されているが、母体副作用はない(東大)。 2. PSL+LDA療法で40週に出血性十二指腸潰瘍となり緊急クリッピングした例がある(熊大15)。低用量であっても通常量アスピリンと同程度の消化性潰瘍リスクがある。 3. アスピリンは胎盤通過する。催奇形性はおおむね否定的であるが腹壁破裂の発症リスクが指摘されている。また胎児移行したアスピリンは約一週間抗血小板作用あるため分娩直前の内服では児の頭蓋内出血のリスクが指摘されている。 4. 2012年からヘパリンカルシウムの在宅自己注射が保険収載された。適応はAPS、プロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症などに限られている。 【アスピリンによる胎児動脈管早期閉鎖】 アスピリン100mg/日内服での症例がある(姫路赤十字10)。 【臍帯静脈血流】 1. 臍帯静脈最大流速(Vm)とpulsation(UVP)の関係は、UVPはVmの早い狭小化した臍輪症例に多いことが分かった。また過捻転でもUVPは多い(昭和)。 【褐色細胞腫】 1. 妊娠合併は極めてまれ。子宮増大による腫瘍圧迫のため妊娠後期に症状出やすいといわれる。 2. 数分間で乱高下する血圧変動、一時的に生じる動機・頭痛・頻脈、吐気嘔吐(血圧下降時)。 3. 副腎髄質・交感神経節から発生しカテコラミンを多量産生分泌。血中・尿中のノルアドレナリンや尿中VMA異常高値。なおカテコラミンは胎盤通過性はほとんどない。 4. 腫瘍内出血起こすと50%死亡率ある。 5. 報告症例では突発的高血圧・肺水腫・心停止とUSGで副腎の出血性腫瘍認めている(県広島)。 6. プリンペラン(メトクロプラミド)投与で褐色細胞腫クリーゼ起こした例ある(高知医療セ11) 7. クモ膜下出血発症例もある(いしかわ総合09)。 8. 治療にはαβブロッカーによる血圧コントロール。また高血圧緊急の場合は褐色細胞腫用のαブロッカーであるphentolamine使う。腹腔鏡下副腎摘出。 【原発性アルドステロン症】 報告症例では妊娠中は高血圧でありPIHとして治療していた。産後に高血圧・四肢脱力・低カリウム・アルカローシス認めアルドステロン上昇とレニン低下、そして副腎腫瘍認めた(亀田)。 【胎児副腎腫瘍】 1. 6割が神経芽腫で残りが良性疾患。 2. 神経芽腫はほとんど自然退縮期待できる。 【Caudal regression syndrome 尾部退行症候群】 糖尿病・高血糖に特異的な奇形。下部脊柱・骨盤・大腿骨などの部分欠損(人魚体)。水頭症や髄膜瘤などもある。 【胎児不整脈】 1. 胎児不整脈の約90%が期外収縮(premature contraction)で、予後は良好でほとんど自然消失する。ただし期外収縮頻度があまりにも多くCTGとれない場合は帝王切開になるケースもまれにある。また稀に頻脈不整脈へ移行した報告もある。 2. 胎児期外収縮は90%が心房性期外収縮(PAC: premature atrial contraction)である。 3. 胎児期外収縮の原因はほとんど不明だが、母体カフェイン摂取、甲状腺疾患、先天性心疾患などの報告あるが稀。男児に多いという報告ある。 4. 徐脈型不整脈(心拍数100未満)に対して母体リトドリン投与という方法がある(兵庫こども)。 5. 徐脈型不整脈にはSSA抗体陽性のAV blockがありステロイド治療となる。 6. 抗SS-A抗体陽性母体から出生した児の10%にNLEが発症し、1%の児に心ブロックがでる。逆に心奇形のない胎児房室ブロックの半数は抗SS-A抗体に起因する(久留米大15)。 7. 頻脈型不整脈には母体ジキタリス投与がある。 8. 世界的には胎児頻脈にはソタロールが第一選択?次いでフレカイニド(日本は禁忌)か。ジゴキシンは効きが悪い(胎児移行性が悪い)し有害事象もないわけではない。(胎児心臓学会15) 9. CTGがトレースできないものは帝王切開することもある(兵庫こども)。 10. 予後は自然消失や治療要するもの、要さないものさまざま。 11. 先天性完全房室ブロック(心室拍動数50程度)にリトドリン投与し心拍数60台になり、心嚢液貯留を改善させた例あり(新潟医歯10)。 12. 心室への伝導がブロックされた心房性期外収縮による徐脈のため早剥と考えて28週で緊急帝切した症例あり(石井記念12)。児の期外収縮は胎齢33週頃から減少し自然消失した。 【胎児頻拍性不整脈】 1. 上室性頻拍(SVT)が70%、心房粗動(AF)が26%、心室性頻拍(VT)などがある。 2. 胎児水腫・心不全などがある場合、母体へソタロール、ジゴキシン、フレカイニドなどを投与することがある(岡山医療12)。しかし確立された治療法はない(群馬大医15)。 3. 心房粗動へのジゴキシン急速飽和は、まず0.5mg静注、その後8時間毎に0.25mgを2回静注。維持量は0.75mg/日内服(群馬大15)。連日血中ジゴキシン測定を(有効血中濃度1.5〜2.0 ng/dl)。その後効果なかったので(頻脈おさまらず心嚢液貯留あり)ICのもとにソタロール(160mg/日 内服)併用開始し頻脈落ち着いた(群馬大15)。その後ソタロール単独になった。ソタロール投与中は心電図で母体QT延長などの副作用監視。 4. 心房粗動は32週前後に発症することが多い(この頃にマクロエントリー回路が形成されるため)。 5. 胎児水腫例ではジゴキシンよりソタロールの方が胎児移行性が強く有効(文献15)。ソタロールは投与後3時間で最大血中濃度に達し、母体胎児の血中濃度はほぼ同じとされている(文献15)。QT延長症候群からのTorsades de pointesといった重大な副反応に注意。 【循環器内科 河野Dr.】 1. 抗不整脈にてQT延長(500以上は危険)、徐脈、Torsades de pointesなどが現れたならば、薬剤減量・中止。 2. 徐脈は薬剤中止などで自然に止まることが多いが、止まらないときは除細動。 3. 血中Kが低いと起こりやすい。Kを4以上が好ましい(K製剤飲ませることもある)。低KはQT延長しやすいので注意。 【妊婦の持続性心室性頻拍など】 妊娠中の電気的除細動は安全とされている。 【妊娠中の虫垂炎(母体)】 1. 典型的な症状を示さないことがある。妊娠前期ではMcBuney圧痛だが、中・後期では臍周囲右側の圧痛となる。発熱経度のこともある。リトドリン投与による好中球減少(白血球が上がらない)のため評価が難しくなることがある。 2. ただし最近は妊娠のどの時期でも急性虫垂炎で最も多く認めるのは右下腹痛であり、妊娠後期でも右上腹部痛の頻度は低いという意見ある。(九大15) 3. 診断は超音波→MRIもしくは造影CT。MRIでは虫垂炎の場合虫垂が直径7舒幣紊房霏腓景匹2舒幣紊砲覆襦BけCTは1回の造影剤投与で胎児甲状腺機能異常の出現可能性は低いとされている。よって単純CTを省略して造影CTしてもよい。 4. CTは被ばく量50mGy以下。10mGyの被ばくで小児がんリスクが1.4倍といわれるが、小児がんの発生頻度が0.2〜0.3%だから発がんリスクをことさら重大視する必要ないと思われる(九大15)。 5. 穿孔例では胎児死亡率が20%まで上昇するという報告ある。 6. 妊娠中の虫垂炎は開腹より腹腔鏡の方が術後合併症少ないという報告ある(2014)。 【新生児の虫垂炎】 発症は稀。 虫垂炎は虫垂内腔の閉塞を起点とする考えが有力で、新生児は虫垂基部が広く開口しているので起こりにくい。 【急性胆嚢炎(母体)】 1. 周産期では虫垂炎に次いで多い。上腹部痛(心窩部痛や右季肋部痛)、白血球やCRP上昇、総ビリルビンやアミラーゼ上昇、マーフィー兆候。CTで確認を。 2. エストロゲンによる胆汁量減少とコレステロール上昇、プロゲステロンによる胆嚢弛緩、子宮による圧迫での胆汁うっ滞などが影響する。 【腸閉塞合併妊娠】 1. 手術既往が多い。 2. 絞扼性を診断することが重要。保存療法で症状改善しない場合は早期に手術療法すること(治療の遅れはダメ)。 3. CTやMRIとCK上昇の有無が重要。 【成人Bochdaleck孔ヘルニア】 一部は成人になるまで無症状で経過する。排便時の怒責後より強い左背部痛と嘔吐で発症した例ある(和歌山医大11)。 【炎症性腸疾患:IBD(inflammatory bowel disease)】 1. 潰瘍性大腸炎とクローン。両者とも妊娠中の再燃や産褥期の再燃がある。妊娠中は改善・不変・増悪が各1/3ずつある。 2. 肛門部に活動性のあるIBDは帝王切開(会陰裂傷による病変悪化)。 3. 潰瘍性大腸炎は20代女性に好発。難治例に対しては大腸全摘を行うが術後は不妊症になることが多い。妊娠した場合は妊娠中の腸閉塞に注意。 4. 妊娠中に治療を中断すると悪化することがあるので、治療継続が望ましい。 5. 妊娠中の潰瘍性大腸炎治療は5−SAS(メサラジン)やステロイド。難治症例に対するAZA(アザチオプリン)などの免疫抑制剤はFDA分類でC・Dだがヒト妊娠への影響があったとの報告は少ない。また白血球除去療法(leukocyte apheresis: LCAP)も妊娠中使用可能。 6. 難治性潰瘍性大腸炎合併妊娠にTNF-αモノクロナール抗体のInfliximabインフリキシマブ(レミケード:FDAでカテゴリーB)が著効した例がある。しかも2010年からレミケードは瘍性大腸炎にも保険適応が拡大された(神戸医療セ10)。 7. クローン病は活動性によって妊娠への影響が異なる。緩解期では健常人と変わらないが活動期では流産早産が増加する。また緩解期が長ければ再燃しても軽症で済む。アダリムマブが2010年に適応となり、胎児・新生児への影響はないと報告されている。 【急性膵炎】 妊娠後期の発症が多く、重症の場合は周産期死亡率が10%と高まる。腰背部痛・心窩部痛・嘔吐にはじまる。血清アミラーゼ上昇、造影CTにて診断する。治療は安静・絶飲絶食・多量輸液・FOY・抗生剤・H2 bloker投与。疼痛にはフェンタニル持続投与など(福岡大09)。 【バージャー病】 閉塞性血栓血管炎。四肢(特に下肢)の主幹動脈に閉塞性血管全周炎おこし、跛行や安静時疼痛・皮膚潰瘍・壊疽をきたす。圧倒的に男に多い。妊娠により悪化し、胎盤梗塞・IUGR・胎児ジストレス多い。 【静脈管】 臍静脈と門脈・下大静脈に連結し、胎盤から心臓への過度の血液流入を防いでいる。胎児循環に特異的なシャントである。これの走行異常(下大静脈のみに流入した場合)があると心拡大や肝臓の血流不足による肝機能障害をおこしたりする(東大)。静脈管欠損症では臍帯静脈が下大静脈や右房に直接流入するため高拍出性心不全→胎児水腫・羊水過多となる。そして出生後は門脈血がこの異常血管を経由して大循環系にシャントしてしまうため肝血流が維持できない。よってこれを結紮手術する。 【静脈管無形性】 臍静脈が肝臓をバイパスし腸骨静脈や下大静脈あるいは右房に直接流入するか、門脈・肝循環に流入するかの二通り。基礎疾患にターナーなどの染色体異常やヌーナン症候群を認めるとされている。 【胎児上部消化管閉鎖】 1. 合併奇形が重篤でない場合は予後良好と言われている。 2. 臍帯潰瘍を合併し、これが破たんすると血性羊水・出血性ショックとなり多くが死亡する。 3. 臍帯潰瘍の出血は臍帯周囲の凝血塊を疑わせる高エコーあり(長崎大10)。 【胎児回腸閉鎖症】 出生後に胆汁性嘔吐・腹満・multiple bubble sign認める。穿孔・腹膜炎もある。この場合著明な代謝性アシドーシスとWBC・CPKの上昇を認める。 【胎児総胆管嚢腫(胆道拡張症)と胆道閉鎖症】 1. どちらも胎児期(20週頃から1センチ径の腫瘤発見の報告あり)に肝臓下面に嚢胞性腫瘤で認める。 2. 総胆管嚢腫は嚢胞径の経時的変化(妊娠経過とともに増大する)やのう胞に起始し肝臓へ向かう管状構造物(胆管や肝管)がある。アジア系女性に多い。 3. 胆道閉鎖症は嚢胞径は変化しないか縮小する報告がある。 4. 卵巣嚢腫との鑑別は、卵巣嚢腫は典型的には3rd trimesterで出現するが、胆道拡張症は2nd trimesterまでに発見されることが多い。どちらもMRI T2強調画像では内容は高信号である。 【妊婦の先天性胆道拡張症】 1. 妊娠を契機に判明した症例あり。発熱・嘔気・嘔吐・黄疸出現。血液所見、USGやMRIで診断(和歌山医12)。 2. 妊娠中に先天性胆道拡張症が発症する原因は、子宮による圧迫・妊娠中の胆汁分泌増加・プロゲステロンによる胆嚢収縮とエストロゲンによるOddi括約筋運動性低下により惹起される胆道内圧上昇が胆汁・膵液の逆流を増加させるため。 【新生児肝被膜下出血】 原因は分娩外傷・未熟性・敗血症・仮死・心マ・インドメサシン投与・・ 【新生児脾破裂】 稀。多くは分娩外傷(巨大児・吸引分娩)で急激な出血性ショック・腹腔内出血。治療は脾摘が選択されるが、脾摘後敗血症が認識されるようにつれ脾臓はできるだけ温存すべきと考えられるようになってきた(無脾症候群の重症感染報告ある)。 【胎便性腹膜炎】 1. 胎便が腹腔内に流出し、」これによる無菌性(化学性)腹膜炎。小腸閉鎖(腸重積)などが原因となる。死亡率10〜20%。 2. 穿孔時期と穿孔部位置により線維癒着型・嚢胞型・汎発型に分かれる。 3. USGにて胎児腹水(腸管浮腫による通過障害もある)・腹腔内の部分的な石灰化(発症が新しいと認めない)・羊水過多認める。 4. 腹膜炎の原因の一つのトリプシンに対して胎児腹腔内にウリナスタチン投与し腹水消失した例ある(京大10)。その際、羊水大量除去も併用している。 【新生児胃破裂などの消化管穿孔】 消化管閉鎖・直腸肛門奇形・ヒルシュなどに起因する場合もあるが原因不明も多い。原因不明は周産期の低酸素により部分的腸管虚血やさらに胃内圧上昇なども考えらている。最近は新生児胃破裂は減少し小腸穿孔の割合が増えている。新生児胃破裂・穿孔の死亡率は30%と高率。 【DoHaD概念】 1. DoHaD: (Developmental Origins of Health and Disease)概念は胎児期から乳児期の環境が成人や老年期の疾患発症リスクとなるというもの。おおもとはBarker仮説(2500g以下の低出生体重児に成人期・老年期の心疾患死亡リスクが高い:1986年Lancet)である。 2. SGAやFGRは心臓冠動脈径が小さかったり、後の心筋肥大や冠動脈周囲の線維化亢進(心臓リモデリング)に関与し成人期の虚血性心疾患リスク大となる。またメタボリックシンドロームのリスクもたかまる(Barkerら)。 3. FGRは推定体重だがSGAは出生時体格値の10パーセンタイル未満をいう。 4. 32週未満で出生したSGA児はその後の身長キャチアップ(基準値の―2SDを超えること)が低く、3歳までに身長がキャチアップしなければその後のキャチアップは望めない→成長ホルモン治療ガイドラインで治療開始を3歳以後としている根拠である(2008年にGH治療は保険適応となった)。 5. 在胎32週未満もしくは出生体重1000g未満のSGA児のキャチアップ率は70%程度。 6. 早産:32週以下または出生体重1500g未満の早産児は将来の収縮期血圧が高い(メタアナリシス2012)。早産児はネフロン数が少なくネフロン一個あたりで過濾過となりそれに伴って生じる糸球体硬化により残存ネフロンにさらに負担がかかり高血圧となる理論がて提唱されている(2013) 【低出生体重児】 1. 1500グラム未満のFGRでは、特に出生体重500g未満で臍帯血流途絶逆流とMCA-PSV増加(1.5MoM以上)が、2歳までの死亡や2歳での神経学的予後不良と関連した(鹿児島セ)。 2. 極低出生体重児はNICU退院時の頭部MRI所見が脳性まひ(CP)発症予測に有用と言われている。 【18トリソミー】 1. 今までは1年以内にほとんど死亡すると言われてきたが、最近は積極的医療介入(手術も)で長期生存や在宅管理(家族と一緒に過ごす)が可能な症例が増えてきた。そのために自宅で感染死亡する症例が増加した。 2. 臍帯ヘルニア・横隔膜ヘルニア・食道閉鎖などの小児外科疾患合併ある。 3. FGRに羊水過多を伴う場合18トリソミーを疑う。 4. 羊水過多・小脳低形成(小脳前後径で評価する)・手首過屈曲と拘縮・揺り椅子状足底(踵が突出)・DORVなどが特徴(広島市民11)。 【13トリソミー】 1. 多くが流産となるが、継続した場合は母体にPIHが多い。近年PIHの病因の一つとして13q12にあるs-fit1遺伝子が注目されており、13トリソミー妊娠では母体血中のs-fit1が増加しているという。 2. 全前脳症は30〜50%染色体異常があり、そのもっとも多いのが13トリソミー。 3. 偽性13トリソミー症候群は染色体異常はないが13トリソミー様の多発奇形認める。 【細胞増殖因子(GF)とNEC】 1. 消化管の成熟には特にEGFが重要で、羊水や母乳中にEGFが多く存在し(人工乳にはない)消化管細胞の増殖・分化にかかわっている。 2. 母乳栄養早産児は人工栄養群よりNEC発症少ない。つまり超早期授乳がよい。 3. 超早産児において母乳が出るまで分娩時に採取した羊水を経腸投与することでNEC防げた(大阪市立母子)。 4. 未熟児の母乳保育は発達において認知機能・運動機能が良い、網膜症の発症が少ない、脂質異常が少ないことが報告。 5. WHOガイドラインでは「32週以上・1500g以上あれば直接母乳だけで必要な栄養を摂取できる可能性がある」としている。 【母乳保育】 新生児に母乳以外のものを与える義務のあるケースは、出生体重1500g未満、32週未満出生、早産児、SGA、分娩時低酸素性ストレス、母体糖尿病、低血糖、重症脱水、体重減少8〜10%、シーハン症候群、原発性乳腺発育不全、母乳産生不良、授乳時の激痛、である。 【先天性尿路通過障害】 1. Glickらの腎機能分類(資料1)が有用。胎児治療(腎盂―羊水腔シャント)はgood prognosis群のみに行う(府立母子)。胎児尿路穿刺で検査する。 2. good prognosis群では90%高度腎機能障害を回避しえたがbad群は0%(府立母子)。 3. 後部尿道弁が閉そく性尿路疾患のうちもっとも頻度が高い。 4. 腎盂拡大は横断面で腎盂前後径が7〜10mm以上で診断。 5. 腎盂拡大が20mm以上の場合また腎杯拡張認めた場合は生後に医療介入を要する頻度が有意に高かった(成育15) 6. 腎盂拡大例の25%が生後2週間で拡大消失した。ただし生後に拡大消失した8例中2例が尿路感染・尿道狭窄で乳児期に治療を必要とした(成育15)。胎児期に軽快・消失した腎盂拡大の9%が生後に悪化し3%が手術に至ったという報告ある(Sinorelli: 2005) 7. 無羊水症例で腎機能評価のために30週で臍帯穿刺し、臍帯血中のシスタチンCやβ2ミクログロブリン高値を認め腎機能障害(renal tubular dysgenesis)疑った例ある(国立長良15) 【prune-belly症候群】 大量腹水・腎水尿管症・尿道閉鎖・鎖肛・腹壁筋形成不全 【尿嚢腫:urinoma】 尿路狭窄などで尿路圧が上昇し腎杯破裂から腎周囲の被膜下に尿が漏出して嚢胞を形成。腎臓部の腫瘤エコー(充実部を含む嚢胞エコー)で認める。急速に進行する。自然消失も多い。 【body-stalk anomaly:BSA】 腹壁欠損・四肢短縮や欠損・著しい側湾・巨大臍帯ヘルニア・過短臍帯 【Fryns症候群】 両側横隔膜ヘルニア・羊水過多・特異顔貌・四肢末端低形成・Dandy-Walker奇形などのあるAR遺伝疾患。多くは致死的。 【Dandy-Walker】 ほとんどが孤発例。90%に水頭症合併。精神運動発達遅滞は10〜50%。後頭蓋窩の液体貯留は嚢胞性病変で発生学的なものとされている。 【Noonan症候群】 低身長・心奇形・眼瞼下垂・耳介異常・側湾・凝固系異常などのAD遺伝病。 【Beckwith-Wiedemann症候群: BWS】 1. 臍帯ヘルニア・巨舌・巨体。また胎盤腫瘍(絨毛膜血管腫)や臍帯過長・羊水過多ある。またplacental mesenchyamal dysplasiaを合併することがある。 2. 2005年のDanielらの論文ではBWS診断は、臍帯ヘルニア・巨舌・巨体の主所見のうち2つがそろう、または主所見一つと腎肥大・副腎肥大・遺伝子異常・羊水過多の副所見のうち2つがそろえばよいと言っている。 3. 11番染色体の短腕領域でのgenomic imprintingの破たんが原因。 【Cantrell5徴症】 腹壁欠損(正中臍上部)・胸骨下部欠損・横隔膜前方欠損・横隔膜部心膜欠損・心奇形 【新生児ヘモクロマトーシス:NH】 胎児期に肝臓などに鉄(ヘモジデリン)が沈着し、出生直後より肝硬変・肝不全などの臓器障害が発現する極めて予後不良疾患。原因不明。反復率高い。近年原因に母児間の免疫学的機序(Gestational Alloimmune Liver Disease: GALD)が言われており、high-dose immunoglobuline(IG)による胎児・新生児療法が有効との報告ある。これはNH既分娩母体に妊娠14週から分娩までIG(1g/kg/週)投与するもの(15)。これによりNH既分娩妊婦からの出生時生存率が13%から95%に向上したと(Whitington 2008)。 【子宮破裂】 1. ほとんどは瘢痕子宮破裂だが、なかには切迫早産管理中の破裂もあるので異常な腹痛には注意。 2. 92%は前回帝王切開妊婦で発症。傷のない子宮の自然破裂は20000例に1例とされているが、瘢痕子宮では0.17%(600分の1)に上昇する。また筋腫核出後妊娠は0.24〜5.3%と報告されている。 3. 子宮腺筋症手術後は筋層菲薄化が激しく、子宮破裂リスクを考え30週〜31週で帝王切開することある(札医15)。この時期の破裂が多いとの報告あるため。 4. 破裂はなくとも離解(dehiscence:羊膜を透見できる状態)を認める瘢痕はある。これはMRIで診断可能だがガドニウム造影撮影がさらに明瞭(防衛10)。 5. 離解(dehiscence)による胎児死亡や新生児死亡の報告はない。 6. MRI診断で3rd. trimesterにおける下部筋層が2.5mmより薄い場合は離解を考える(防衛11) 7. 3rd. trimesterにおける下部筋層が2.0mmより薄い場合はTOLAC中の子宮破裂予測感度は90%以上といわれる。 8. 過強陣痛などの子宮破裂は、子宮峡部の全層破綻(子宮破裂)や部分破綻(不全子宮破裂)である。子宮峡部の病的な過伸展が収縮輪の異常上昇である。子宮体部と峡部に血腫像(ダルマ型子宮)認める場合は不全子宮破裂。 9. 子宮破裂の鑑別疾患に子宮頚管挫滅創があり、ガーゼ圧迫などで止血できる。 10. 卵管間質部妊娠の手術痕が破裂した症例あり(妊娠34週であった:横浜市大10)。 11. 前回帝切切開創に着床し穿通胎盤となり20週で子宮破裂した例ある(京都第二赤十字10)。性器出血と突然の腹痛であった。 12. CTにて腹腔内の多量出血を確認する。 13. TCR術後妊娠での子宮破裂・癒着胎盤・前置胎盤などを認めた報告がある。 14. 産褥7日目にCRP12.5と高値で、CTにて子宮筋層断裂→漿膜下や広間膜内に血腫認めた不完全子宮破裂あり(聖マ12)。 15. 腹腔鏡下子宮筋腫核出術は縫合不完全による子宮破裂可能性ある(日赤和歌山12)。 16. ただし現在は熟練した術者によるLMはその後の周産期予後に悪影響与えないという見方が主流(三重医療セ15) 17. 手術既往のない初産婦に子宮裂孔認め卵膜脱出した症例(緊急帝切)ある(昭和大14日産)。 18. 帝王切開後の傷の子宮破裂はほとんど陣痛発来時だが、筋腫核出後の子宮破裂は30%は37週未満である。 【存続絨毛症・頸管妊娠など】 1. 頚管妊娠に対し:Etoposide内服(50咫body/日、3週間)を1〜4コース施行で血中hCG陰性化した例あり(島根県中10) 2. 頸管妊娠へのMTXはhCGが5000IU/l以下でないと成功しにくい(現産10 福山医療セ)。 3. 帝切瘢痕部妊娠に対し:MTX(20咫body/日、5日間)施行したがhCG低下不良でUAE施行した上で流産手術施行した症例あり(島根県中10)。 4. 頚管妊娠は胎児心拍陽性、hCG≧10000、9週以上、CRL≧1僂MTX全身投与は効果不十分の可能性高い→子宮鏡で局所投与。電極挿入部から21Gエラスタ―針(八光)挿入し37.5mg/bodyを2回隔日投与。hCGが300になった時点で子宮鏡で削り取る。(静岡厚生 日産婦会15)。 【異所性妊娠へのMTX療法プロトコール】 1. 八尾市民:MTX 50mg/m2をday0, 4に筋注しday7にday4と比較し血中hCG低下率≧15%なら1週間毎に測定し陰性化確認、血中hCG低下率<15%ならMTX 50mg/m2筋注。day11に測定しday7と比較し血中hCG低下率≧15%なら1週間毎に測定し陰性化確認、血中hCG低下率<15%ならMTX 50mg/m2筋注。day14に測定しday11と比較し血中hCG低下率≧15%なら1週間毎に測定し陰性化確認、血中hCG低下率<15%なら外科治療(八尾市民 日産婦会15)。 2. 北里:静脈麻酔下で経膣超音波ガイドに23Gロングエラスタ―針にてMTXを25〜40mg/回局注(多くの場合37.5mg/回:投与間隔は1~2日)。血中hCG下降見ながら50%ブドウ糖の局注を追加(平均7.3回)。退院目安は入院時のhCG値の10%以下。99%成功。治療開始前血中hCGは平均7082IU/L (102〜120771)。平均入院日数17.1日。(北里 日産婦会15) 3. 神戸市立医:全身状態良好・破裂兆候なし・胎児心拍陰性が条件。hCG<なら待機療法。それ以上はMTX療法。投与法はMTX 50mg/m2筋注しday4〜7でhCGが15%以上減少なら1週間毎に検出感度以下になるまで測定。15%以上減少なければMTX 50mg/m2筋注。hCG>5000の症例の成功率は50%、5000未満は約70%。(神戸市立医 日産婦会15) 4. ACOG 2008プロトコール:MTX 50mg/m2を筋注し、day 4, 7にhCG低下率15%を確認。その後1週間おきに血中hCG値を検出感度以下になるまでfollow up。もしhCG低下率15%ない場合はMTX 50mg/m2を追加筋注し、ここからday 4, 7にhCG測定。以後これを繰り返す。 5. 卵管未破裂・hCG値5000以下・腫瘤径4儖焚爾里垢戮討鯔たすならMTX全身療法OK(日産婦ガイド)ACOGでは胎児心拍陽性例は禁忌。 6. MTX全身療法が奏功しにくい要素は、妊娠9週以降・胎児心拍陽性・hCG値10000以上・CRLが10舒幣紂 【異所性妊娠】 1. 異所性妊娠はhCG分泌量が正常妊娠より低値で、倍加時間(正常妊娠では約2日)が延長している。 2. 血中hCGが2000IU/mL以下で48時間間隔で測定したhCG値が上昇しない場合には、待機療法で88〜96%が治療可能と言われている。 【間質部妊娠】 1. 超音波診断:胎嚢が子宮内膜と連続性がない。胎嚢と子宮内腔の間に筋層を認める。腫瘤周囲の筋層は菲薄化または一部欠損有(北里大 日産婦会15)。 2. 北里大:静脈麻酔下に21Gエラスタ―針内針で経膣・経子宮筋層的に胎嚢辺縁に穿刺。胎嚢周 囲にMTXと50%糖を局注。胎嚢径が1儖幣紊△譴估睛撞朧除去。FHM陽性はCRLが1.5〜2儖幣紊覆KCLでfeticide行う。平均投与回数MTX 2回、糖6.3回。入院期間9〜27日。hCG陰性化に要した日数 28〜227日(平均57日)。(北里大 日産婦会15) 3. MTX単独でhCG低下のない症例や、病変部血流豊富な症例はUAE併用が有効(防衛12)。 【帝王切開瘢痕部妊娠:CSP Cesarean scar pregnancy】 1. まれな異所性妊娠。妊娠初期に子宮破裂に至る可能性が高い。ほとんどの症例でfirst trimesterでのターミネーションが行われるがそれ以降になると子宮破裂や母体死亡のリスクが上昇する。主な症状は性器出血だが無症状もある。 2. 切開創に着床し、脱落膜欠損のため絨毛組織が筋層へ嵌入する。膀胱と胎嚢間の筋層が欠如または菲薄化。カラードプラーにて胎嚢周囲の血流確認。MRIも診断有効。 3. そのままD&Cすると大出血になることがある。 4. 子宮温存のためにMTX療法する。βhCGが5000mIU/ml未満や妊娠8週未満はMTXが有効。これを超えるとMTX全身投与では失敗が多いため胎嚢内直接注入も選択される。これとUAE併用しD&Cする症例もある。しかし原則は子宮全摘第一選択。 5. 10週までならMTXの子宮動脈内注入・UAE・D&Cで対応可能(滋賀医科12)。 6. 瘢痕部妊娠を厳重入院管理し、34週の選択帝切で生児を得てその後単摘した例あり(北大11)。 7. 神戸市立医セ調査(日産婦会15):頚管妊娠治療法は、Feticide、MTX全身投与、TAE下のD&C,などがある。8週以下なら胎盤が未だ筋層に侵入不十分のため、TAEスタンバイ下などでD&Cも可能かと言っている。 8. 明石医療セ:8週以上、8週未満でもFHM陽性、hCG>10000はMTX局注(50mg)を選択。それより軽症は全身投与。(日産婦会15) 【内外同時妊娠】 卵管間質部と正常同時妊娠症例あり。7週にて開腹で卵管角切除し36週に帝王切開施行(大阪市大12)。 【腹腔妊娠】 胎盤付着部位は腸管が半数(一番多い)。その他に大網、広間膜、子宮、付属器・・。胎盤剥離の際に栄養血管を確実に結紮することが重要。 【Sheehan症候群】 1. 分娩時の多量出血で下垂体壊死を起こし、下垂体前葉機能低下おこす。その結果副腎皮質機能不全となり鉱質コルチコイド分泌低下となりAVP分泌抑制がかからなくなり水の再吸収が促進され低Na血症となる。 2. 乳汁分泌不全が初発症状として多いとされるが数年後に診断されることも多い。産後数か月〜数年で発症と言われる。 3. 府立母子の報告では産褥数日で発症。 4. 低Na血症(SIADHによる)・・Sheehan症候群早期診断に極めて重要。見当識障害とけいれん。 5. 頭部MRI検査や内分泌検査で診断。 6. 治療はhydrocortison補充、DDAVP補充、甲状腺ホルモン補充など。 【輸血関連急性肺障害 TRALI】 1. TRALI(transfusion-related acute lung injury) 2. 輸血後6時間以内に急性両側性肺水腫・多量泡沫状喀痰認め、重症化が多く死亡率は5〜20% 3. 免疫性(ドナー血の抗HLA抗体・抗好中球抗体・抗リンパ球抗体などによる免疫反応。ドナー血と患者検体とのクロスマッチで陽性化すれば確定)と非免疫性あり。 4. 治療はARDSに準じ、人工呼吸とステロイド・好中球エラスターゼ阻害剤(siverstat:エラスポール)投与。 5. ステロイドは心血管系のα・β受容体発言増加、交感神経活性化、血管内皮機能亢進、炎症時の血管透過性減弱などの効果ある。 6. 類似症状にTACO(下記)あるがTRALIは高血圧がない。 【輸血関連循環過負荷 TACO】 1. TACO(transfusion-associated circulatory overload). 2. 過剰輸血によるうっ血性心不全から肺水腫を起こす病態。 3. 輸血直後(2時間以内に)の高血圧・頻脈・呼吸困難(肺水腫)・低酸素血症・肺のすりガラス影で利尿剤が有効。 4. TRALIと鑑別重要。高血圧があることや、ドナー血の抗HLA抗体がないことなどが決め手。 5. 分娩後などは循環血液量が増加しているので発症注意。 【妊娠中の母体の循環】 1. 血漿量は10週から増加し始め32週でピーク(150%)、その後一定あるいは緩やかに増加。 2. 心拍数は32週でピーク(120%)。 3. 心拍出量は20-24週でピーク(150%)、その後一定。 4. 大動脈圧と全血管抵抗が週数とともに低下して循環量増加を代償する。 【分娩後の循環血液量】 産褥48時間まではまだ非妊時の40%増。2週間して非妊時に戻る。 【TTP 血栓性血小板減少性紫斑病】 1. ADAMTS-13活性低下が原因で、AR遺伝のUpshaw-Schulman症候群と後天的自己抗体(ADAMTS-13インヒビター陽性)によるものがある。 2. ADAMTS-13はvon Willebrand因子の特異的切断酵素。これの活性低下で血栓できる。 3. TTPの5徴候は、血小板減少・溶血性貧血・腎機能障害・発熱・動揺性精神障害。 4. TTPは妊娠中や産褥期にも発生する。 5. 全身性紫斑、破砕赤血球(塗抹標本)認める。 6. 治療は血漿交換(連日)が第一選択。ステロイドパルス療法併用。FFP輸血。 7. 血小板輸血は禁忌的である(血栓増悪のため)。 【溶血性尿毒症症候群(: hemolytic uremic syn.)】(資料→ケースファイルへ移動) 1. 溶血性貧血(破砕赤血球伴う)・血小板減少(TTPより軽症)・乏尿無尿などの急性腎不全(TTPより重症)。また意識障害やけいれんなどの中枢神経症状もある。 2. …牡表亰貔大腸菌(O-157等)感染による血性下痢の数日後に起こる典型的HUSタイプ。△海譴蕕里覆と鹽儀薪HUSタイプのふたつに分類される。 3. 非典型的HUSはTTPのようにADAMTS-13活性低下が認められることがある。 4. 治療は血漿交換。 5. 血小板輸血は特に非典型的HUS においてはTTP同様に禁忌的である(血栓増悪のため)。典型的HUSにおいても外科的治療や出血傾向のあるときのみに施行する。 【自己血輸血】 1. 合併症として血管迷走反射(VVR)。 2. 妊婦に対するエリスロポイエチン(EPO)投与は、妊婦の血中EPO高値のため一般化していない。しかし埼玉医科(11)ではHb10g/dl以下の症例に、EPO24000IUの皮下注をおこない、ある程度効果を得ているとのこと。 3. 全血冷蔵保存の場合保存期間14日超えると凝固活性とFibrinogen値の有意な低下認めた。しかし成分分離自己貯血による自己FFPは変化なかった(山梨大09) 4. 300mlの自己血採取時に胎児のMCA-PSVが採血3時間後に一過性に増加。子宮動脈は変化なし(群馬大13)。なお母体収縮期血圧が20以上低下すると胎児心拍異常が見られるという報告がある。 5. 筋腫合併妊娠の貯血は破棄率が高い。逆に癒着前置胎盤の貯血は同種血輸血までのつなぎの意味合いが強かった(杏林15)。 6. 総出血量が2000mlくらいまでは凝固因子の少ない自己血貯血でも対応可能だが、3000〜4000ml以上の出血では凝固因子補充が必要となり自己血だけでは賄いきれないことが多い(杏林15) 【持続的血液濾過透析】 1. CHDF:continuous hemodiafiltration 2. 敗血症性ショック、早剥、羊水塞栓などのDICが適応。 3. 施行時間は24~100時間。 4. サイトカインなどの低下で全身性炎症反応症候群(SIRS)に対抗する。 5. 間欠的血液浄化よりも心血管系に与える影響少ない。 【LBW】 2500-1500g 【VLBW】 1500g-1000g 【ELBW】 Extremely low birth weight 1000g未満 【不育症】 1. 60%は原因不明でこれは未だに治療方針が定まっていない。 2. 基礎疾患としては凝固阻止因子欠乏症(AT-III欠損・Protein C, S欠損)、自己免疫疾患(抗リン脂質抗体症候群・SLE)、染色体異常、甲状腺機能異常、子宮奇形などがあり、抗凝固療法などで70%が生児獲得できるようになった。 3. 本邦では妊娠したことのある女性の38%が流産経験あり(日産婦誌11) 【流産】 1. 12週未満の自然流産は80%ちかく染色体異常あり(成育10)。 2. 12週〜22週自然流産は子宮内感染・破水・胎胞脱出などが多い。染色体異常も46%あった(成育10)。 【胎児の脳梗塞】(鹿児島母子10) 1. 胎児心拍異常があるにもかかわらず、臍帯血所見に重度のアシドーシス認めないのに新生児脳梗塞となった場合は、低酸素脳症ではなく胎児期発症脳梗塞を考える。 2. 症例の病理所見で臍帯動静脈内に多数の血栓みとめ、胎盤は絨毛膜炎と多発梗塞であった。 3. 母体PaO2が60mmHgを下回ると胎児も低酸素状態に陥るとされる。 【Intrauterine fetal brain death】 variability著しく減少、音響刺激に無反応、decelerationもなく出生後に眼球・呼吸・嚥下・四肢の運動一切なく重度の脳機能障害あるが、臍帯血所見は悪くない。診断基準は確立されていない(富山医12)。 【側湾症合併妊娠】 呼吸障害:肺活量が著明に減少しているため日中酸素投与や夜間NIPPV使用。通常脊椎麻酔は禁忌。 【Fontan手術後妊娠】 1. Fontan手術後妊娠は特にリスクが高く、妊娠を避ける方がよいと言われている。妊娠中は心内血栓発症、不整脈、心機能悪化あるためヘパリン駆使する。 【完全心内膜欠損症術後妊婦の死亡】 妊娠中は心機能悪化なかったにもかかわらず産褥期に致死性不整脈で死亡した例がある(神戸大09)。 【QT延長症候群】 1. 心室頻拍や心室細動など重症心室不整脈生じ、失神や脳虚血、突然死ある。βブロッカーによる治療行う。 2. 乳幼児突然死症候群との関連報告ある。 3. 15種類の責任遺伝子同定されており、AD遺伝型のRomano Ward症候群(聾を伴わない)とAR遺伝型のJervell Lange Nielsen症候群(聾を伴う)がある。ADが多い。 4. QTの正常範囲は350-440msec 5. 妊婦は分娩時のいきみや疲労・産褥期の不眠や内分泌変化により多形性心室頻脈(Torsades de Points)による失神・心室細動・心停止などの可能性がある。リトドリンはダメ。また産後9ヵ月間に心イベントリスクが有意に上昇するので注意。 6. 胎児不整脈(種類は一定していない)の原因ともなる。胎児の洞性徐脈発症や基線細変動消失の報告ある。 7. 胎児除脈・一過性頻脈欠如となった例がある(北大12)。 【洞不全症候群(sick sinus syndrome: SSS)】(現産08) 1. 徐脈性不整脈(洞機能不全と伝導障害のため)で妊娠分娩時に増悪(無症候性から有症候性へ変化)することがある 2. 血流障害によるIUGRや多血症などの胎児への影響の報告ある。 3. 房室ブロックも含めて徐脈性症状にはアトロピン投与が一般的だが妊娠時には効果が芳しくないために、ペースメーカー植え込みが第一選択となる。ペースメーカー植え込み後は安全に分娩できることが報告されている。 【胎児の洞不全症候群(sick sinus syndrome)】 胎児徐脈が見られ胎児期の脳虚血の原因になりえる。イソプロテレノール投与行う。先天性心疾患に合併するものと、家族性もしくは特発性のものもある。 【妊娠禁忌心疾患状態】(資料1) 1. 肺高血圧(Eisenmenger syndrome) 2. 大動脈弁高度狭窄、>40〜50mmHg 3. NYHA 慧抂幣紂LVEF<35〜40%の心不全 4. マルファン症候群で大動脈拡張期径>40mm 5. 人工弁(機械弁) 6. チアノーゼ性疾患(酸素飽和度<85%) 7. フォンタン術後 ※心疾患は母体死亡の8%を占め、NYHA機Ν凝戮0.4%、掘Ν古戮7%と報告あり。 ※帝王切開適応は:心機能低下・血圧変動を回避すべき場合・チアノーゼ・緊急症例 ※上記以外は硬膜外麻酔下の経膣分娩可能だが第2期の怒責回避のための吸引や鉗子分娩推奨。 ※硬膜外麻酔禁忌は:大動脈弁狭窄・閉塞性肥大型心筋症・有意の右左シャント・Eisenmenger syndrome・人工弁置換後の抗凝固療法中。 【Marfan症候群】 常染色体優勢遺伝。fibrillinの先天的欠損による全身性結合織代謝疾患。妊娠中は大動脈中膜がステロイドホルモンの影響で浮腫状になり軟化することと循環血液増加で大動脈解離や大動脈瘤破裂(突然死)を起こしやすい。 【肺高血圧合併妊娠】(現産09) 1. 肺高血圧は安静臥床にて平均肺動脈圧が25mmHgをこえるもの。女性に多く20〜30代に多い。 2. 妊娠により進行性の右心不全のおそれがある。母体死亡は産褥期に多い。母体死亡率30-50%と言う報告もある。 3. 軽症の場合は、硬膜外麻酔による経膣分娩可能のこともある。帝王切開は血栓・塞栓リスク、循環動態の急変による肺高血圧増悪リスクもある。 4. 分娩中はスワンガンツカテーテルによるモニタリング、分娩は吸引分娩で時間短縮。 【肥大型心筋症】 1. 常染色体優性遺伝。 2. 中でも肥大型閉塞性心筋症は左室出口部狭窄があり突然死がある。左室流出路圧較差が重症度の目安となる。 3. 状態が安定している場合は妊娠中の増悪は稀と言われている。これは循環血漿量増加が左室流出路狭窄を軽減するように働くため。塩酸リトドリンは病態悪化の恐れあるためマグネシウムを使う。全身麻酔が最も安全とされる。 【拡張型心筋症合併妊娠】 1. 心筋収縮力低下による心不全。心エコーとBNPにてうっ血性心不全をチェック。 2. 分娩後子宮収縮により大静脈への圧迫減少のため静脈環流が増えるので注意。 【周産期心筋症:PPCM (peripartum cardiomyopathy)】 1. 心疾患既往のない妊婦が分娩1か月前から産褥5カ月までに左心機能低下による心不全を呈する病態のこと。1971年にDemakisらが提唱。拡張型(うっ血性)心筋症の一亜型。約60%は心機能は正常化する。改善しなければ高率な死亡率となる。重症者は心移植が必要となることもある。 2. 欧米の発症率は3000~4000分娩に1例。 3. Elkayamaらの報告ではPPCMの80%が分娩後8日以内発症。 4. 突然の湿性咳嗽(がいそう)(上気道炎と間違われやすい)・呼吸困難・多呼吸・SpO2低下・胸水貯留・左室拡大・僧房弁逆流(左心系拡大による二次性のもの)・EF 50%未満・浮腫など。心エコーで壁運動低下や左室駆出力低下(50%未満)認める。右心系拡大はなく肺塞栓が否定される。 5. 診断:左室駆出率(LVEF)<45〜50%、左室短縮率(%FS)<30% 左室拡張末期径(LVDd)/体表面積>27mm/m2  6. 危険因子は高齢・多産婦・PIH・多胎・長期のリトドリン投与・黒人など。また次回妊娠で高率に再発する。 7. BNPは正常値は18.4 pg/mL以下だが、当症例では400〜1500などに上昇する(小牧市民16)。 8. 治療は一般的な心不全治療。急性期は利尿薬(hANP有効:カルペリチド)・強心剤(NGC:にとろ)・βブロッカー・Ca拮抗薬。後治療にACE阻害剤・アンギオテンシン receptor blocker: ARB・スピロノラクトン(アルダクトンA)などの利尿剤・カルベジロール(アーチスト)などのαβブロッカー。非侵襲的用圧換気療法(NPPV)、大動脈バルーンパンピング必要なこともある。 9. 近年ブロモクリプチン(パーロデル)が周産期心筋症に効果あるとのこと。これはPPCM発症に異型プロラクチンが関与しているとの説に基づく。 10. 腹腔内臓器(肝臓など)のうっ血による腹痛が初発の症例あり(トヨタ記念10) 【BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド brain natriuretic peptide)】 1. 心不全のマーカー。正常妊娠中でも週数とともに母体の心負荷を反映して漸増するが正常範囲内である。 2. 先天性心疾患母体ではすべての週数で正常妊娠よりBNP高値であったがejection fractionとの相関はなかった(岡大12) 3. BNPは血管平滑筋、心筋、腎尿細管上皮細胞などに存在し、血管拡張作用・利尿作用・ナトリウム再吸収抑制などで体液量や血圧調整に働く。 4. FGRでは心容量負荷が高い状態に長期間さらされるためにBNP上昇する。 【心不全血液マーカー】 BNP、CK-MB、トロポニンTなど 【透析患者の妊娠】 羊水過多は早めに透析回数を増やすことで防げるかもしれない。 【腎移植後母体】 高血圧や腎機能悪化、児心音低下などで緊急帝切・早産多い(東邦医療セ12)。 【Ehlers-Danlos症候群合併妊娠】 1. 常染色体優性遺伝。コラーゲン遺伝子の変異。 2. 血管破裂・臓器破裂などで母体死亡報告ある。 3. 分娩により膣血腫や後腹膜血腫みとめ輸血や動脈塞栓施行した症例(沖縄中部母子10)。 【治療的頚管縫縮術】 1. 東京慈恵(10)では妊娠16週〜30週で頚管長25舒焚爾CAMなし症例に施行し妊娠継続期間延長認めた。また胎胞形成症例にも有効。 2. 静岡こども(10)は28週未満で頚管長15侈に・リトドリン150γ以下で収縮抑制可能かつCRP<1/dlで縫縮施行し有用性認めた。 3. 日本早産予防研究会は16週0日~26週6日で頚管長25侈にに縫縮術し有効性あり(多施設prospective study 10)。 4. 岡山医療センター(現産09)では25週未満で子宮収縮なく出血なく膣からGardnerellaなどの早産原因菌が認めない胎胞突出例に縫縮を行って、保存療法群より妊娠期間延長を得ている。 5. 経膣的頚管縫縮困難症例に経腹的縫縮を行うことがある(藤田保健11)。 6. 28週未満の早産の20%は頚管無力症が原因と言われている(2010) 7. ACOGは34週未満の早産歴があり、24週未満で頚管長短縮(<25mm)ある単胎症例に治療的頚管縫縮術を推奨している(2014年) 【円錐切除と早産】 1. 円切後で妊娠24週で頚管長25舒焚爾侶欧呂修谿幣紊侶欧茲34週未満早産が有意に多かった。ただし予防的頚管縫縮の効果は不明だったとのこと(昭和10〜11)。 2. 円切後妊娠は物理的問題以外に免疫機能低下による子宮内感染→流早産増加が考えられている。 【広汎性子宮頚部摘出術(RT:radical trachelectomy)】 1. 日本ではRT後の妊娠で21週までの流産は35%もある。不必要な拡大手術のせいか?(日産婦誌11) 2. 術後新しく形成された膣部をneo-cervixという。 【子宮癌と妊娠】 1. 進行期Ia1期以下ならば円切にて妊娠可能 2. 進行期Ia2期〜Ib1期の扁平上皮癌に対して、子宮温存広汎子宮頚部摘出術が試まれる。 【子宮体癌】 1. 妊孕性温存療法(Ia1期の高分化型類内膜腺癌もしくは内膜異形増殖症に対する高用量メドロキシプロゲステロンMPA投与)後の妊娠では、後期流産やPIH、低出生体重児の割合が多かった(東大11)。 【妊娠中の頚管ポリープ】 endocervical polyp の場合とdecidual polypの場合があり後者は切除後の早産や流産・長期入院があるので注意。 【子宮奇形】 1. 多い順に中隔子宮(35%)、双角子宮(25%)、単角子宮(10%)、重複子宮(8%)との報告ある。 2. 中隔子宮の未手術群は流産率が高く、双角子宮の未手術群では早産やIUGRが多い(岡大09)。 3. 完全重複子宮の穿通胎盤症例は妊娠側子宮の膣上部切断術のみで、対側子宮は温存できる。 【帝王切開の子宮縫合】 PDSでの2層目Z縫合が陥凹瘢痕や術後後屈を防ぐ(富山県中10)。理由は子宮復古は6週間かかるのでこの期間張力を保つPDSが有効(通常吸収糸は2〜3週間で50%張力になる)。 【後方後頭位】 積極的に用手内回旋で帝王切開を有意に防げる(愛育10) 【血友病A】 1. 凝固第式子低下か欠損。(血友病Bは第9因子欠損) 2. 第式子活性による重症分類:1%以下は重症、1〜5%は中等症、5%以上は軽症。ただし妊娠中は第式子活性が変動するため注意。 3. 遺伝性はX染色体による伴性劣性遺伝。3分の1は突然変異発症(孤発例)。 保因者の女性の子供は男子の50%が血友病となり、女子の50%が保因者となる。また血友病の父親と保因者の母親からはまれだが女性の血友病が生まれる。 保因者の診断には第式子活性とvon Wilebrand因子抗原量の比が低値(0.6以下)であることを3回確認する。 保因者(母親)は妊娠中第式子活性が一時的に上昇するが分娩3日後から急激に活性低下するので分娩後出血のリスク高い。よって分娩時に第式子活性を50%以上に保つように凝固因子製剤予防投与する。 4. 先天性と後天性(第式子インヒビターによるもの) 5. 先天性は関節内出血が多いが、後天性は皮下出血や消化管出血が多い。 6. 新生児期には著明な出血は少なく、5%程度に帽状腱膜下出血・頭血腫など新生児発症がみられるのみ。その他はハイハイを始めたころに肘や膝の紫斑で発見されることが多い。 7. 推定保因者胎児の分娩は吸引・鉗子分娩避ける。帝王切開の優位性については結論出ていないが英国ガイドライン(2011)では症例毎に帝王切開も考慮することとなっている。 8. PT・フィブリノーゲン・血小板は正常でAPTT延長と第8因子活性の単独低下。 9. アミノグリコシド系抗生剤はAPTT延長させることがあるので検査上注意。 10. 後天性血友病Aは後天的に第8因子自己抗体産生による。若い女性では分娩を契機に発症することが多いとされる。極めてまれな疾患(100万人に一人)。治療はステロイドパルス療法・活性型第7因子製剤補充によるバイパス療法。外陰・膣壁血腫とAPTT著明延長認める。 11. 妊娠を期に後天性血友病を発症した母体から第8因子自己抗体が児に移行し、新生児に皮下出血などを伴う後天性血友病を発症した例がある。しかし母体からの移行抗体だけなので新生児の症状は自然に軽快した(近大09)。 12. 活性型第7因子製剤(ノボセブン)は適応外だが止血困難な産科出血にも使用される報告が増えつつある。豪州ではこれを使用する産科ガイドラインもある。(現産10) 13. 胎児診断がついても経膣分娩が第一選択だが、吸引分娩や鉗子分娩は避ける。 ■ 主な検査項目のポイント 〃貍板数:正常、⊇亰貉間:正常、プロトロンビン時間(PT):正常、こ萓化部分トロンボプラスチン時間(aPTT):延長、ヂ茘式子または第衆子活性:恒常的な低下(数回測定し、最低値で重症度を判断する)、Εぅ鵐劵咼拭叱〆:初回は必ず実施する。初めて輸注したら半年までは毎月実施。インヒビターがある者は推移を見る。インヒビターがない者も年1回程度は実施。     バイパス製剤 インヒビターが発生すると、血友病の場合第式子や第衆子製剤を投与しても、インヒビターに妨害され、第式子や第衆子による凝固経路は機能しませ ん。このような状態のときに、供↓察↓尚子およびその活性型因子があると、第式子や第衆子が関与する凝固経路を迂回(バイパス)して、凝固を促進、 止血を図ることができます。このような治療法を「バイパス療法」といい、具体的にはバイパス製剤と呼ばれる第供↓察↓宗↓尚子およびこれらの活性化された因子を含んだ「活性化プロトロンビン複合体製剤(APCC)」、および「活性型第三子製剤:ノボセブン」を投与します。 【遺伝子組み換え活性型第7因子製剤】 1. 商品名ノボセブン。産科DICで著効した例ある(名古屋赤十字・聖マリアンナ10)。 2. 子宮内反症や弛緩出血に伴う重篤なDICにノボセブン4.8mgの数回投与にて止血し得た(東北周産セ09) 3. 活性型第7因子は血小板上で活性型第尚子(FXa)を生成する。これが第弘子と血小板を活性化しその結果トロンビンが大量に産生され凝固反応(フィブリンクロット形成)を数十万倍に加速する。 4. 活性型第7因子の効果を有効にするためには血小板数やFibrinogen値を正常にしておく方が良い。できれば血小板5万・Fibrinogen 100 mg/dl以上。つまり投与時には十分量のFFPと血小板補充が必要ということ。 5. 活性型第7因子は鋭的外傷には効果ないとの報告ある。oozingなどには効果ある。 6. オーストラリアやACOGでは産科出血に対する活性型第7因子投与が定められている。 7. 投与後は血栓予防も考慮する(特に妊婦は静脈血栓症のリスクが高いため)。 8. 抗線溶剤(トラネキサム酸)との併用は血栓症を助長させる可能性があるので注意。 【第?因子欠乏症】 分娩後等に大出血する可能性があるため、FFP投与する。症例では第?因子活性は35%であった(北大12)。 【第XIII因子欠乏症】 腹部手術創のケロイド著明。創部癒合不全による子宮破裂ある(県立広島12)。 【クリオプレピシテート】 FFPを―70度以下で凍結後、4度で融解した後の沈殿分画から調整される(成分:フィブリノーゲン・第式子・第XIII因子・VWF)。 しかし止血のためには第式子濃縮製剤の方がはるかに上(第式子濃度が10倍もあるため)。 (以下WEBより) 本来は血友病とフォン・ヴィルブランド病に用いるクリオプレシピテートは,現在では出血を伴う急性DICにおけるフィブリノーゲンの供給源として,また尿毒症性出血の治療や,心胸郭手術(フィブリン糊),常位胎盤早期剥離およびHELLP症候群などの産科の緊急時に,またまれに第将薫子欠損において使用されている。一般に,他の適応症には使用してはならない。 【膣血腫・後腹膜血腫など】 1. 膣血腫や後腹膜血腫は外陰血腫に比べ重症化する。治療法も一定の見解を得ていない。前者は患者訴え乏しい。開腹、経腟の両方からアプローチすべき。 2. 会陰切開と膣血腫は異なる場所に存在することが半分はある。 3. 膣血腫は責任血管同定難しくまた解剖学的に血腫腫大が起こりやすい。動脈塞栓術必要なことが多い(沖縄中部母子12) 4. 疼痛が診断のきっかけになることが多いが、血腫が後腹膜下まで伸展すると症状に乏しくhypovolemic shockで気付かれることがある。 5. ペンローズドレーン留置で血腫コントロールできる。 6. 骨盤造影CTにて造影剤の血管外漏出を認めたら、動脈塞栓が行える。 7. 後腹膜血腫は大量かつ重篤な臨床像を呈する。開腹か動脈塞栓が必要になる。 【ドレーン】 出血を確認するドレーンを、アラームドレーンと言う。 【帽状腱膜下血腫】 1. 帽状腱膜と頭蓋骨膜の間の導出静脈の断裂により生じる。吸引分娩に伴い発症することが多い。出生1万に1人くらいと稀だが、NICUに入院するような児はその1/4が死亡するとの報告もある。 2. 頭囲が1儚搬腓垢襪瓦箸北250mlの出血認めるという報告ある。ショックとDICおこしやすい。 3. 血友病Aの同症例あり(都立大塚12) 【吸引分娩】 適応は35週以降。ST−0まで下降していること。また総牽引時間20分以内ルールと総牽引回数5回以内ルールがある。 【慢性関節リウマチ】(資料2) 1. 妊娠によって70%は改善するが産褥2カ月以内にほとんど元に戻る。 2. RA因子は胎盤通過しないため胎児・新生児にRA症状は出ない。 3. 活動性の評価にはDisease Activity Score in 28 joints ( DAS28)を用いる。 4. MTX治療中に妊娠しその影響による絨毛の小型化・IUGRとなった症例あり(聖路09) 【成人スチル病(adult onset Stills disease:AOSD)】 1. 若年関節リウマチ(JRA)の全身発症型。発熱・関節痛・発疹など。リウマチ抗体や抗核抗体は陰性。 2. AOSDは妊娠中に増悪することが多い。一方JRA既往女性は産褥期に悪化することが多い。 3. ステロイドで治療する→多くのSLE症例報告などによってもステロイドによる胎児異常報告はほとんどない。 【中大脳動脈の血流再分配(FGR)】 brain sparing effect 【多発性筋炎】 CK異常高値(10000U/L以上)で気づかれる。針筋電図で診断。横紋筋のび慢性炎症で近位筋群の対称的筋力低下が特徴。 【黄体化過剰反応(HL: hyperreactio luteinalis)】 1. 妊娠や絨毛性疾患にともなう両側性卵巣の多嚢胞性病変。 2. hCGに対する感受性が過剰になって発生するので、OHSSとは異なる。 3. 血清テストステロン上昇が特徴。 4. 通常は産後6カ月以内に正常大に縮小する。 【食道静脈瘤破裂】 肝硬変の女性の妊娠で循環血増加、子宮による腹腔内圧上昇が原因。内視鏡的静脈瘤結紮(EVL)を緊急に行う。 【Mirror sydrome ミラー症候群】 1. 胎児水腫・母体全身浮腫・胎盤浮腫(placentomegary)が3主徴(Ballantyne syndrome, triple edema, maternal hydropsなどとも呼ばれる)。 2. 貧血・低たんぱく血症だが血圧正常・尿酸値正常などがPIHと異なる。 3. 重症例はhCGが10万以上のことが多い(重症度とhCG値は相関する) 4. 水腫化した胎盤で絨毛細胞が破壊され、血中に多くのhCGが放出されそのためにIL-6やVEGFなどのサイトカインを誘導し、血管透過性が高められたという仮説ある。 【腎炎合併妊娠】 1. 慢性腎炎合併妊娠の加重型妊娠高血圧腎症発症頻度は25%。 2. 岡山大(10)では15年間の腎疾患合併妊娠84例の内、68例は慢性腎炎でそのほとんどはIgA腎症であった。 3. 岡山大(10)では妊娠前腎機能低下群は24hCCRが70ml/min未満であり、中程度低下群は50-70ml/min、高度低下群は50ml/min未満としているが、高度低下群は全例早産を余儀なくされた(母体腎機能悪化やFGRのため)。 4. 妊娠そのものは腎疾患を悪化させないとの報告ある。また加重型妊娠高血圧腎症も腎疾患への直接影響ないと報告(岡山大10)。 【IgA腎症】 腎生検にて進行度把握。妊娠23週に透析必要となり、産褥期にまた悪化した症例あり(名古屋10)。IgA腎症は発症年齢ピークが20歳代のため妊娠合併腎炎として最も多い。 【再生不良性貧血】 1. 近年増加傾向にある。 2. 妊娠進行により悪化することがあり、妊娠中に輸血を繰り返すようになれば妊娠を中断する必要がある。 【MCTD】 1. SLE・強皮症・多発性筋炎などの症状。抗RNP抗体陽性。ただし活動性をみる有用なマーカーは補体も含めて存在しない。 2. 産後に心タンポナーデ(頻脈・心エコーにて診断)起こした症例あり(岡大10)。 3. 重要な合併症の肺高血圧の有無は妊娠継続の可否診断に影響するため、Swan-Ganzカテーテル検査にて肺動脈圧を測定すべし。 【SLE】 1. 妊娠中は軽快し産後に増悪すると言われるが、活動期にあるSLEはこの範囲ではない。20人に一人は妊娠中に命にかかわる状態になると言われる。また産後半年は活動性が変化しやすいので注意。 2. 妊娠中の増悪の程度は妊娠前の活動性に相関する。すなわち妊娠した時点で活動期にあるものはやばい。活動性なしと認められてから12~18か月・少なくとも6か月あけてからの妊娠が薦められている(Kongら)。しかし妊娠許可条件に関係なく妊娠中のSLE増悪・再燃は50〜70%ある。 3. SLE妊娠許可基準は:10カ月以上寛解状態・原疾患やステロイドによる重篤臓器障害なし・免疫抑制剤使用なし・本人家族の了承あり。 4. 腎機能:血清クレアチニン1.4/dl未満なら妊娠による腎機能悪化は少ない。3/dl以上なら妊娠許可出さない。 5. 妊娠中の活動性評価標準化のためLupus Activity Index in Pregnancy(LAI-P)が提案されている。(妊娠による補体価上昇・白血球上昇・血小板減少・蛋白尿などのため非妊時同等の評価は難しいため) 6. 岡山大では妊娠中活動性評価は主に臨床症状・補体価・抗ds-DNA抗体価を使用(現産10)。補体価は正常範囲内でも、非妊時の25%以上の低下は再燃を疑う。 7. 初発症状は顔面・下腿浮腫、関節痛。増悪すると呼吸困難・肺臓炎・胸膜炎・心膜炎・腎不全。 8. 治療はステロイドパルス(1000咫3日など) 9. プレドニゾロン内服30mg/日未満なら胎児への影響(口蓋裂・副腎機能障害・・)なかったとの報告ある。つまり臨床用量では胎児に明らかな危険性の懸念はない。 10. 胎盤にはプレドニゾロンを不活性化する2型の11β-HSDが豊富。また授乳も問題ない。 11. 長期ステロイド内服患者は、副腎機能が抑制されているため手術や分娩ストレス時に相対的副腎不全となるためステロイドカバーが必要。 12. SLE患者の1/4は抗リン脂質抗体症候群(APS)合併。抗リン脂質抗体(aPL)陽性SLEでは流死産・FGR・PIHなどの周産期合併症が多い。特にループスアンチコアグラント・抗カルジオリピン抗体・β2GPI依存性カルジオリピン抗体の3種のaPL重複は最悪。 13. SLEの40%が抗SS-A陽性でその妊婦の20%の新生児が新生児ループス(NLE)になる。 14. NLEは先天性心ブロックまたは亜急性皮膚ループス様皮疹を主症状とする症候群。NLEのほとんどは母体血清抗SS-A陽性である。NLEの症状は多くは一過性だが、先天性完全房室ブロック(CHB)は非可逆性である。CHBの多くは16~24週に胎児不整脈で発見される。 15. 抗SS-A抗体陽性母体から出生した児の10%にNLEが発症し、1%の児に心ブロックがでる。逆に心奇形のない胎児房室ブロックの半数は抗SS-A抗体に起因する(久留米大15)。 16. Anamiらは二重免疫拡散法(DID法)で抗SS-A抗体が32倍以上をNLE中リスク、4〜16倍を軽度リスク、4倍未満はリスクなしとしている(2013文献) 17. BuyonらはNLE出産リスクのある妊娠で胎児エコーによるPR間隔の延長があれば、経母体的にデキサメサゾン投与で心ブロック発症予防するという方法を提案している(2003文献) 18. ループス腎炎妊娠許可基準は6か月以上活動性がないこと。 19. ループス腎炎の再燃所見は血尿・細胞性円柱の存在が重要。腎外症状・抗DNA抗体の上昇、補体の低下なども参考となる。 【劇症型抗リン脂質抗体症候群】 抗リン脂質抗体陽性で微小血栓を伴う多臓器不全を急激に引き起こす。産後に意識消失・痙攣があり、MRIで微小多発脳梗塞や肝梗塞・腸管梗塞を認めた症例ある(阪大11)。治療はPLS増量・抗血栓療法・大量γグロブリン・FOY。 【重症抗リン脂質抗体症候群】 抗凝固療法に反応しない場合、妊娠初期の大量γグロブリン療法が考慮される(成育12)。 【抗リン脂質抗体症候群:APS】 1. APSは全身疾患をもたない原発性APSと膠原病などの自己免疫疾患を伴う続発性APSにわかれる。特にSLEはAPSを多く有する。 2. APS妊婦の標準的治療はLDA+ヘパリンだがこれに抵抗性のある症例が問題で、これに対してIVIG療法(γグロブリン大量療法)が臨床研究開始されている(2015) 【抗SS-A抗体や胎児心ブロック(CAVB・CHB)】 1. 抗SS-A/Ro抗体や抗SS-B/La抗体はSLEやシェーグレン症候群(SS)で認めるが、健康女性も1%は保有する。SLE・MCTDなどでも検出される。 2. 抗SS-A抗体陽性母体の1%の児に心ブロックがでる。80%以上は24週までに発症する。CHB児出産既往の場合、次回妊娠でのCHB発生率は10倍になる。完全房室ブロックは不可逆性で、5〜10%に拡張型心筋症発症。胎内治療はβ刺激剤投与(胎内ペーシング:心室拍数の増加と胎児水腫の改善?)とステロイド投与。 3. ベタメサゾン(リンデロン)4mg/日・・成育2015(胎児心2015)。ブロックの治療には無効だが心不全(心筋炎・心内膜線維弾性症などの心筋障害進展の抑制)に有効。 4. CHBは胎内治療・早期娩出が予後改善するエビデンスはない。ただし16週以前からの母体ステロイド投与は予防に有効で、成育では13週からリンデロン2mg/日行っている(胎児心:成育2015) 5. ヒドロキシロクロロキン(抗マラリア薬)がCHB予防に有効か? 6. 母体SS-A/SS-B抗体陽性の児に完全房室ブロック(CAVB)が心内膜繊維弾性症(心内膜肥厚と弾性繊維・膠原繊維の増加:EFE)へ移行した場合、死亡率が高いといわれている。CAVBなくてもEFEがあり胎内死亡となった例もある(群馬小児09)。また拡張型心筋症へ移行し心不全になることもある。 7. 抗SS-A/Ro抗体や抗SS-B/La抗体が16週以降に経胎盤的に胎児の房室結節に作用するためと言われている。 8. CAVB児を出生した女性は次回妊娠におけるCAVB児出生確率は18%にも上昇する。 9. 母体SS-A/SS-B抗体陽性の児には房室ブロック発症しなくても、洞性徐脈やQT延長と言った心電図異常が報告されている。 10. 最近は胎児のPR間隔延長が見られた場合に、胎盤通過性ステロイド(デキサメサゾン母体投与4mg/日やベタメタゾン4mg/日投与)による胎内治療が検討されているがFGRや羊水減少、胎児神経系発達への影響、母体耐糖能障害などの副作用の可能性もある。このようなステロイドには抗体価減少と胎児心筋保護作用(心筋の炎症抑制)も期待されている。 11. 母体SS-A/SS-B抗体陽性で心嚢液が増加してきた胎児CAVB症例に、ベタメタゾン4mg×14日間、2mg×7日間:径21日間の母体投与で心嚢液の軽減を見た(周産期学会15静岡こども) 12. プレドニン使用していた抗SS-A抗体陽性母体が妊娠で使用をやめた場合、ブロックが出やすくなると(胎児心臓学会15) 13. 抗体価32倍以上が新生児心ブロックの危険因子だという(九大11)。 14. 胎児心室拍動が55bpm以下の場合は児の予後は不良と言われている。この場合や胎児水腫を認める場合に経母体的リトドリン投与(25?/minで開始)で60bpm程度に維持できた例ある(鳥取大11)。EFやCTARなどで心機能も検査する。 15. CCAVBで僧房弁・三尖弁閉鎖不全や心拡大ともなった症例に、リトドリン200?/minまでアップして心症状回復した例がある(筑波12)。 16. 胎児心拍モニタリングできない場合は帝王切開となる。 17. 出生後に児にはβ刺激剤の塩酸イソプロテレノール静脈投与。いずれ内服に移行する。 18. ほとんどの出生児はペースメーカー導入となる。 19. 新生児の心ブロックにプレタール(cilostazol 抗血小板薬:抗血小板作用と血流増加・脈拍増加作用ある)使用し、ペースメーカーなしで管理した例ある(鳥取大11)。 20. シェーグレン症候群(SS)はサクセンテストやシルマーテストで診断。 21. 胎児心胸郭断面積比(CTAR)拡大や心嚢液認めることがある。 22. 2:1房室ブロックでパルスドプラを利用し肝静脈血流波形を観察し心房収縮140bpm確認し経膣分娩した(徳大12)。 【ステロイド剤】 1. プレドニンは抗体価を下げる。フッ化ステロイド(デキサやベタメ)は怒っている炎症を抑える作用がある。 2. プレドニゾロンは胎盤の11βhydroxysteroid dehydrogenaseによって不活化されるが、フッ化ステロイドはされない。 3. 妊娠中母体ステロイド投与は、口蓋裂、FGRなどや母体高血圧、妊娠糖尿病のリスクとなる。 4. 胎児への影響はプレドニゾロンで30mg/日以下、ベタメタゾンで0.7mg/日以下なら児への影響ないとされる(日産婦2014) 5.  ステロイド剤(WEB) (資料2)  天然のコルチゾール(ハイドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン)は、糖質コルチコイドとして、強い抗炎症作用を有するが、同時に、電解質コルチコイド活性を有している為、多量に投与すると、体内にナトリウム(Na+)貯留させてしまう。  コルチゾール(cortisol)の電解質コルチコイド活性を減少させた、合成の糖質コルチコイドが開発され、副腎皮質ステロイドホルモン(ステロイド剤)として、アレルギー疾患などの治療に、使用されるようになった。  プレドニゾロン(prednisolone)は、コルチゾール(cortisol:hydrocortisone)の1位を二重結合にしたΔ1-cortisol。  プレドニゾロンは、コルチゾールに比して、4倍の抗炎症作用(肉芽腫抑制作用)を有するが、電解質コルチコイド活性(ナトリウム貯留作用)も、コルチゾールに比して、0.8倍程度有する。プレドニゾロンは、コルチゾールに比して、3.6倍の糖質コルチコイド活性(糖質代謝作用:肝グリコーゲン蓄積作用)を有する。  デキサメサゾン(dexamethasone:9α-fluoro-16α-methyl-prednisolone)は、プレドニゾロンの9α位にフッ素を、16β位にメチル基を導入した化合物で、コルチゾールやプレドニゾロンより、抗炎症作用が強いが、電解質コルチコイド活性(ナトリウム貯留作用:電解質作用)は、弱い(全く無い訳ではない)。  デキサメサゾンは、食欲増加、体重増加、皮膚線条などの副作用が強く、便へのカルシウム(Ca)排泄も、亢進する。  表2 ステロイド剤の作用の比較  化合物   抗炎症作用   糖質コルチコイド活性   電解質コルチコイド活性   血中半減期  1日投与量  1錠中含有量  コルチゾール      1       1        1  1.4〜3時間   80〜150mg  10mg  プレドニゾロン       4       3.7        0.8  120分前後  20〜40mg  5mg  メチルプレドニゾロン       5        5.4       <0.5   2.1時間  16〜32mg  2mg  デキサメサゾン     30     154       <0.5  約200分  2〜4mg  0.5mg 【母体の完全房室ブロック】 妊娠に伴う心拍数増加がないため、失神発作を起こす危険がある。また数秒の心停止もある。分娩時に一時的ペーシングや硬膜外麻酔が用いられる(ペースメーカー植込みのない症例)。 【川崎病後】 川崎病後妊娠は冠動脈病変伴うことがあり、その場合は抗凝固療法(ヘパリン自己注射)必要。 【原発性心内膜線維弾性症】 左心系に多い。心内膜の肥厚(弾性繊維や膠原繊維の増生)による収縮機能低下(壁運動低下)による心不全起こす。心室壁内エコー輝度上昇特徴。新生児・乳児期に多く胎児期心不全は稀。 【自己免疫疾患とTORCH】 TORCH症候群に対するIgM偽陽性症例は自己免疫性疾患の増悪と関係があるとされている。Toxoplasmosis(トキソプラズマ症) Other(その他多く:B型肝炎ウイルス、コクサッキーウイルス、EBウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルスなど) Rubella(風疹) Cytomegalovirus(サイトメガロウイルス) Herpes simplex virus(単純ヘルペスウイルス) 【妊娠糖尿病 GDM】 1. 新基準採用することでGDMの頻度は2倍になった。 2. 新基準GDMは旧基準GDMと同様に正常よりもLGA率や帝王切開率が高率であった。 3. 新基準GDM群に治療介入したが、周産期予後において無治療群や正常群との差は認めなかった(筑波大母子11)。 4. 75gOGTT 1 point陽性GDMはLGAや帝王切開リスク高いが、食事療法やインスリン療法でリスク低減可能性あり(琉球大12)。 5. 75gOGTT 1 point陽性GDMでも18%はインスリン導入必要であった(慶応12)。 6. リトドリン内服によって、GCT陽性者は増加しないが、GDM陽性者(75gOGTT精査した者で)は増加した(成育11)。 7. 血糖コントロール目標(岡大12):早朝空腹時≦95、食前血糖≦100、食後2時間≦120 8. 血糖コントロール目標(日産婦):空腹時70〜100、食後1時間≦140、食後2時間≦120、HbA1c≦5.3、グリコアルブミン≦15.7%。 9. GDMは分娩後6~12週で75gOGTTする。 10. GDM既往女性の2型糖尿病発症相対危険率は妊娠中正常女性の7.13倍。 11. SMBG(self monitoring of blood glucose) 12. HAPO studyでは母体血糖値の上昇とLGA発症頻度は直線的に増加し閾値が存在しないと確認された。 13. 日本の多施設研究では妊娠中期に全例に75gOGTTすると8.5%がGDMと診断された(新基準で)。(16) 14. GDM症例を産後2か月で75gOGTTすると40%が境界型となった(富山市民 16)。 15. GDM症例は、授乳期を長くしたり生活改善でDMになるのを防げるという報告ある。 16. 妊娠初期のHbA1cはGDM群が他より高かった。GDM群:正常群=5.41:5.18 (京都府立医16) 【グリコアルブミンとHbA1c】(資料2) 妊娠中の管理目標は15.7%以下。HbA1cは5.3以下(日本糖尿病・妊娠学会09)。 【非自己免疫性 劇症儀薪尿病】 1. 2000年に今川らが提唱。日本人特に妊娠中発症多い。HLA解析(DR4-DQ4ハロタイプ)に特徴がある。21%は妊娠中に発症する! 2. 前駆症状に全身倦怠感・感冒様症状あり。口渇・感冒様症状(全身倦怠感・咳・呼吸苦・頭痛)・消化器症状(嘔吐)・・まぎらわしい 3. 急激に糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)出現。高血糖・血ガスにてBE低下(代謝性アシドーシス)出現し尿中Cペプチド少なく発症時にはインスリン分泌能は枯渇している。膵外分泌酵素上昇ある。しかし膵β細胞関連自己抗体なくHbA1cも正常のことがある。 4. DKAによる脱水・アシドーシス→子宮胎盤循環悪化、胎児高血糖やアシドーシス→胎児心筋収縮力低下などからNRFSとなるため胎児死亡率は70%もある。急速分娩(帝王切開)が必要。 5. 通常の糖尿病におけるDKAでは母体治療・症状改善により胎児状態も改善するため母体治療を優先する(当疾患と異なる点)。 6. DKAの治療は生食急速輸液(1000ml/時間→2~3Lを2〜3時間で)・インスリン急速投与(即効型を5〜10単位静注しその後持続点滴→強化インスリン療法開始)。(資料2) 7. DKA時のインスリン静注投与法例 血糖:200〜249 1単位/時間、249〜299 2単位/時間、300〜349 3単位/時間、350〜399 4単位/時間、400 5単位/時間(富山中央16) 8. 33週で発症し胎児死亡例あり。突然の嘔気・嘔吐が初発症状出あった(阪南中央10)。 【ケトアシドーシス:DKA】(資料2) 1. 非妊時は300/ml以上の高血糖で発症することが多いが、妊娠時はそれ以下でも発症する。 2. 妊娠中症状:多飲・多尿・口渇・筋力低下・子宮収縮、クスマウル呼吸や呼気のアセトン臭、胎盤機能不全。 3. 嘔気・嘔吐などの消化器症状もある。 4. 動脈血pHなどで代謝性アシドーシス診断。 5. 妊娠中の誘因にはリトドリンやベタメサゾン投与もある。 6. 妊娠中のDKAで胎児は低酸素・アシドーシスになりNRFS示すが、母体状態を安定させれば児心拍は4~8時間後に正常に戻るとされる。低酸素・アシドーシス状態の児を娩出するよりモニターしながらDKA治療優先(緊急帝王切開よりも)。 【妊娠中のHbA1c】 妊娠初期から中期にかけて減少する。 【糖尿病合併妊娠】 1. 母体へのステロイド投与(肺成熟療法)により、必要インスリン量は増加した(東京女子11)。 【母体自身の出生体重】 母体自身の生下時体重は自分の子の出生体重に関連する(成育10) 【うつ病と妊娠】 うつ病は産褥期に増悪しやすい。 【中枢性尿崩症】(資料2) 1. MRIではT1強調画像での下垂体後葉の高信号消失。 2. 多尿・口渇・高Na血症・低張尿(血清浸透圧より低い)・意識障害。 3. バソプレッシンを分泌する下垂体およびその上位中枢の障害。プロラクチノーマによる発症あり(高知大12)。 4. デスモプレシン(DDAVP)点鼻で改善。 5. 等張性生理食塩水の多量投与。 6. 妊娠中に頭痛・視野障害・口渇・多飲・多尿出現しMRIにてトルコ鞍〜鞍上部の嚢胞性病変を認めた下垂体卒中による尿崩症あり(名古屋大11)。 【妊娠中の血小板減少】 1. 妊娠中の血小板減少は正常妊娠の5%に認める(それほど珍しくはない)。 2. 内訳は、妊娠性血小板減少(gestational thrombocytopenia 妊娠中の生理的減少で治療必要なし)が大部分(65%)(広大10)で次がITP(19%)(広大10)、そしてPIHやHELLPが数%。 3. 妊娠性血小板減少は病態不明だが、通常は7万以上。また産後1~2ヵ月で正常化。 4. ごくまれに先天性血小板減少症がありステロイドやグロブリン無効。広大の先天性血小板減少症症例母体の児は出生直後血小板減少しているが自然回復した(広大10)。 【ITP】 1. ITPは新生児にpassive autoimmune thrombocytopenia発症するが、PAIgGの値の大小や、母体血小板が5万以上か否かということが児の血小板数に相関していなかった(横浜市大10)。 2. ITPの児の14%に血小板10万以下の新生児血小板減少が発症するが、予知は困難。 3. ITP母体の10%が新生児血小板5万以下、5%が2万以下。 4. ITP母体の児における血小板減少を予見するパラメーターは前児の血小板減少のみだった(阪大10)。 5. ITP母体で、胎内ですでに頭蓋内出血を発症している例あり(阪大10)。 6. 母体血小板5万以上でも新生児頭蓋内出血例あり(慶応12)。 7. 児は最初血小板高値でもその後急激に血小板減少することある(阪大12)。 8. 臍帯穿刺の出血リスク(1%胎内死亡など)は頭蓋内出血リスクより高い(周産期必修知識)。 9. 脾摘後妊娠のほうが新生児血小板減少発症リスクは高いとの報告あるが否定する論文もある。 10. 脾摘後にもかかわらず母体血小板減少をきたすのは、脾臓以外の網内系(肝臓など)における血小板破壊のため(渡邊Dr.) 11. ITP合併妊娠は1/1000発症。妊娠経過とともに増悪する。妊娠許可基準は妊娠前の寛解である。 12. 妊娠維持は3万以上、自然分娩は5万以上(帝王切開は8万?)目標。 13. 英国血液学会ガイドラインでは血小板8万以下では、硬膜外麻酔やくも膜下麻酔は不可と言われている。 14. 血小板5万以下の症例に手術する場合は、免疫グロブリン大量療法や血小板輸血をおこない血小板数を増加させることが必要。 15. 免疫グロブリン大量療法は施行後5~10日で血小板数が最高値となる(Schmidt)。 16. 免疫グロブリン大量療法不応例は血小板輸血行う(慶応12)。 17. 免疫グロブリン大量療法やステロイド治療中でも授乳OK(妊娠ITPガイド) 18. 妊娠中のピロリ菌除菌・トロンボポエチン受容体作動薬・脾摘は推奨されない(妊娠ITPガイド) 19. 難治性ITP合併妊娠(血小板3万前後)の帝王切開において、血小板輸血を術前6時間に5単位・術中に15単位・術後に40単位行った(防衛医12)。 20. 血小板輸血による予測血小板増加数は次の計算式になる。 血小板濃厚液5単位には1×1011個の血小板がある。 ※予測血小板増加数=輸血血小板数/循環血液量(ml)×103×2/3 循環血液量は体重の70%と計算。 通常は血小板10単位輸血する。体重60kgなら10単位輸血でおよそ34000上昇する。 【先天性アンチトロンビン祁臻馨鼻 1. 常染色体優性遺伝で、妊娠中や産褥期・手術などを契機に静脈血栓塞栓発症するが、再発性で動脈も含めた複数の血栓症をおこす。下肢静脈エコー施行する。 2. 妊娠初期から中期にDVT発症することが多い。 3. 治療は妊娠中DVT発症例は一時的下大静脈フィルター留置・ヘパリン持続点滴・AT掲蚕明什淌衢拭7貅霈端困器質化後はフィルター除去し退院。外来でヘパリンCa皮下注・AT景篏偲宜おこない、D-dimer増加やAT軍萓測定でフォロー(神戸大10)。ヘパリンカルシウム投与(10000単位/日)。AT-景篏次産後はワルファリン投与。ワルファリンは胎盤通過性あるため。APTTが2倍になるように管理。 【妊娠中の静脈血栓塞栓症(VTE: venous thromboembolism】 1. VTEで臨床的に問題になるのはDVTとPTE(下述)。 2. 妊娠中VTEリスク上昇の原因は_甼展如紛展杷出郷福Ψ貍板活性化・プロテインS活性低下)⊇性ホルモンによる静脈平滑筋弛緩作用子宮による腸骨静脈・下大静脈圧迫つ覯切開による総腸骨静脈領域の血管内皮障害と術後臥床による鬱滞。 3. 欧米では帝王切開時の予防に低分子ヘパリン(クレキサン・フラグミン)が最も多く使用される(出血傾向少ないため)。(大阪医科12) 4. クレキサンは1回2000IUを12時間おきに1日2回皮下注。出血の危険性が高いときは1回投与。ACT(活性化凝固時間)、PT、APTTは本剤に対する感度低いため薬効モニタリングには使えず、出血等の臨床症状を注視する。硬麻はクレキサン投与10時間後に抜去し、2時間あけてから再投与開始。帝王切開術後24時間からの投与が多い。帝王切開投与で重篤な出血副作用なし。また75%は授乳していたが異常なし(浜松医療セ調査2013)。米国胸部疾患学会(ACCP)では授乳婦へのクレキサン投与はGrade 1B(強く推奨)。 【深部静脈血栓症(DVT : deep vein thrombosis)】 1. 肺血栓症(PTE: pulmonary thromboembolism)の90%以上がDVT原因。しかしPTEの50〜80%は臨床的なDVTが先行せず(無症候性DVT)発症する。 2. DVTの75%は妊娠中に発症。発症時期は9〜13週(悪阻等による濃縮)と30週頃(切迫安静)の2相性のピークがある(Rutherfordら)。 3. 左下肢発症がほとんど。左総腸骨静脈が右総腸骨動脈の後方を交差するため圧迫を受けるから。 4. Homan’s sign。歩行困難・下肢腫脹と圧痛。白血球・CRP上昇。エコーで血栓確認。鼠径部痛で発症することもある。 5. CTで総腸骨静脈〜膝窩静脈までくまなく血栓を捜索する。 6. DVTのスクリーニングはD-dimer高値が有効で、これが陰性の場合は血栓症否定できる(陰性的中率が高い)。妊娠初期のD-dimer高値であることがDVT発症と関連した(近大10)。 7. D-dimerは妊娠経過とともに徐々に増加するが平均値+2SD以上の高値例は血栓症などの検索が必要。D-dimer上昇は子宮胎盤循環が主な原因。D-dimer値と胎盤重量は相関関係がある。 8. DVTの検査に超音波・MR venographyでの血流途絶。 9. 巨大筋腫が誘因となることもある。 10. DVTの治療は薬物(抗凝固療法:ヘパリン自己注射など)・下大静脈フィルター(IVCフィルター)。DVTフィルター挿入し分娩誘発(高知日赤 (現産10))。 11. 急性DVT発症時は、まず未分化ヘパリン5000単位をbolus静脈投与。次に15000〜20000単位/日持続点滴開始。持続点滴後6時間でAPTTが1.5〜2.0倍となるよう調節。下肢痛は3~4日で減少し1週間程度で消失。歩行開始はヘパリン投与開始から3日後に許可。DVT部位の血流が再疎通したらヘパリンの皮下注5000単位1日2回に切り替えて分娩まで継続。産褥はワルファリンにして授乳はOK(愛育病院 2015周産期医学誌) 12. IVCフィルター留置部位は妊娠中は子宮による下大静脈圧迫が強いため腎静脈上が多い(非妊婦は下)。 13. 多胎妊娠では正常妊娠よりさらに過凝固状態。 14. PTEは帝王切開が経膣分娩の22倍の発症率ある。 15. 妊娠成立まではワルファリン内服→妊娠後はヘパリン皮下注に変更。この管理中に卵巣内出血起こした症例あるので臓器出血には注意を(千葉大10)。 16. ヘパリン治療の基本はAPTTの2倍延長。(資料2) 17. DVT発症時(PTEなし)はヘパリンナトリウム5000単位静注後、15000~20000単位+生食100mlを5ml/時間から開始し、APTTの2倍延長目指して調節し持続投与。最低5日間の投与が推奨されている。急性期離脱後は他に血栓性素因のある場合はヘパリン5000単位皮下注を一日2回、分娩時・分娩後まで続行する。(周医) 18. ヘパリン持続点滴にてエコーで血栓の器質化を確認してからヘパリン皮下注に変更することもある(筑波11)。 19. ヘパリン投与によっても血栓遊離可能性高ければIVC-F留置検討。その場合は回収可能型のフィルターを推奨。(永久留置型は長期合併症がある)。IVC-Fは通常腎静脈分岐部より下方に留置するが、妊娠子宮の圧迫によるフィルターの変形や変位を避けるため、妊娠中期以降は腎静脈分岐部上方へ留置する。 20. 産褥8週まで凝固亢進状態は続くためその間もVTEリスクがある。 21. 分娩にヘパリン中止が間に合わなかった場合、硫酸プロタミン50mg点滴による中和をはかることがある。分娩の約6時間前に中止するのが望ましいと言われている。低分子ヘパリンは投与後12~24時間効果が遷延する(半減期長い)が、未分化ヘパリンは6時間で完全に代謝されるため分娩などを視野に入れた調節がしやすい。 22. 分娩後はワルファリンカルシウム内服開始。指標はPT-INRが2.5〜3(資料2:正常値は1.0)。ただしワルファリンの生涯内服は出血があるのでバイアスピリンに変更してゆく。 23. ワルファリンはビタミンK拮抗薬。内服中はプロテインSやCも低下する(プロトロンビン供VII、IX、X因子などと同じでビタミンK依存性に肝臓で合成されるため・・ただしAT-靴K依存性ではない)。 24. 最近はワルファリンの代わりにイグザレルト錠内服がある(16)。イグザレルトはPT-INRを考慮せずに使用できるのと半減期が短いなどの使いやすさがあり内科医師推奨。 25. 妊娠中DVT診断にMRA有用(総腸骨・内腸骨静脈の血栓示唆 町田市民12)。 26. ヘパリン持続点滴中に肝機能悪化を認め、ダルテパリン(フラグミン)に変更することがある(札医12)。 27. POP(pelvic organ prolapse):骨盤臓器脱患者では32%にD-dimer上昇(0.71μg/ml)と13.3%にDVT認めた(杏林14日産)。 【肺血栓症(PTE: pulmonary thromboembolism)】 1. PTEは帝王切開が経膣分娩の22倍の発症率ある。 2. 発症は妊娠中が22%、分娩後が78%。死亡率14%。 3. 妊娠初期(エストロゲンによる凝固因子増加と悪阻による脱水など)、妊娠後半期、産褥の三相性ピークがある。 4. 突然の胸部痛と呼吸困難。術後の歩行開始時発症が多い。・・別資料参照 5. パルスオキシメーター・心エコー・造影CT・MRA・・・で検査。 6. 心エコー所見は右心負荷所見。 7. 【治療】右心機能正常な場合は未分画ヘパリン5000〜10000単位静注しAPTTが正常の1.5〜2.5倍となるよう持続投与。引き続きワルファリン内服開始。右心機能障害あるものはクリアクター(組織プラスミノーゲンアクチベータによる血栓溶解)使用も考慮。ただし出血注意。クリアクターは1A160万単位でこれを1Aを約2分で静注する。 【septic pelvic thrombophlebitis】 1. 胎盤剥離後の感染により子宮筋層内の小血管に血栓を生じ、血栓が子宮外に広がってゆく病態で9000分娩に1例の頻度。 2. 発熱・下腹部痛にはじまり、D-dimer上昇しMRIやCTなどで子宮静脈血栓症などが見つかることがある(箕面市立12)。 3. 治療は抗生剤とヘパリン投与など。 【先天性低フィブリノゲン血症】 1. 無フィブリノゲン血症より出血傾向が軽度で見逃されやすい。 2. 胎盤の子宮接着に関与するため、本症は分娩時の早剥のリスクが上がる。フィブリノゲン活性と量のどちらも低下する。 3. 濃縮乾燥フィブリノゲン製剤(1000mg)3本点滴して帝王切開した例あり(山口赤十字12)。 【先天性無フィブリノゲン血症】 フィブリノゲンは止血のみでなく接着因子のため、補充療法なしでは必ず流産となる。妊娠初期は60mg/dl以上なら出血なし。必要量は妊娠経過とともに増大し妊娠中は100mg/dl以上に保つことが望ましい。陣痛開始後は早剥防止に150〜200mg/dlが望ましい(浜松母子12)。 【重症妊娠悪阻・摂食障害】 1. 摂食障害の発症誘因は家族の過干渉、特に過保護で支配的な母親像の存在が指摘されている。 2. 摂食障害既往女性の22%が妊娠中再発する。 3. 低K血症は不整脈や心不全の原因となる。 4. 早剥は痩せ妊婦に多い傾向がある(胎盤形成不全か?)。逆に肥満妊婦では少ない。 5. bacterial translocationによる敗血症の報告ある。 6. 妊娠悪阻で低K認めるときは、リン・マグネシウムも測定する。 7. Refeeding syndrome:RFSに注意する。 【ATL:HTLV-1】(資料2) 1. HTLV-1はCD4陽性T細胞に感染するレトロウイルスで、約5%のケースで感染後平均60年でATL発症する(2015)。 2. スクリーニングはPA法かCLEIA法。スクリーニング陽性者をWB法で再検査すると55%は陰性であった(成育)。WB法で再検してから授乳禁を決めるべき。 3. WB法は感度が低いため10%は判定保留になる。この場合は自費(20000円)でPCR法(BMLなどで)を勧めることもある。 4. キャリアは40歳過ぎからおよそ年間キャリア1000人に一人の割合でATL発症する(キャリアの5%。ほとんどが発症後1~2年で亡くなる。発症を阻止する手段は見つかっていない:2015)。キャリアになってから40年くらいで発症(潜伏期40年)。 5. 感染経路は母乳がメイン→ただし母乳なしでも2〜3%母子感染ある。その他輸血(現在はまずない)・性交(精液中:男性→女性のみの感染。しかし成人でキャリアになっても発症は恐らくない。)・母子感染(唾液や分泌物中にも感染リンパ球はいるが数が少ない。 6. 感染率:長期母乳(3か月以上)20%、短期母乳(3か月未満)2%、凍結(細胞破壊)母乳3%、完全人工乳2〜3%(感染経路は不明)。 7. 短期母乳の根拠は母体からの移行抗体(中和抗体)が母乳を介したウイルス侵入をブロックすることや、感染Tリンパ球への曝露期間が短いなどだが十分なエビデンスはない。 8. 短期母乳は3か月で母乳を止める(3か月目に入れば徐々に人工乳に切り替える)。しかし母乳中止ができないこともある(日産婦誌15)。 9. 凍結母乳は-20℃以下の家庭用冷凍庫で24時間以上冷凍後、溶解して与える。 10. 最近の瞬間冷凍冷蔵庫は細胞破壊が少ない(風味が損なわれない:cell alive system:CAS)ためATLには無効かも!また冷凍母乳では母乳がすぐに止まってしまい長期母乳ができないケースが多い(日産婦誌15)。 11. 2010年にHTLV-1総合対策が策定され妊婦健診検査が公費負担で全例実施することとなった。 【先天性中枢性肺胞低換気症候群】 呼吸中枢のCO2に対する換気反応の低下。睡眠時の低換気(無呼吸)。PHOX2B遺伝子の変異が原因。 【細菌性膣症 BV】 1. screening陽性者にメトロニダゾール(フラジール)投与施設あり。 2. フラジール投与(内服や膣錠)は細菌性膣症で保険適応あり。 3. 細菌性膣症はLactobacillusがGardnerella vaginalisやMycoplasma hominis、Ureaplasma urealiticumに置き換わった状態。 4. 細菌性膣症は妊婦の10〜30%に認める一般的なもので、スクリーニングや抗生剤投与は効果ないという報告もある。 5. Nugentスコア―(早産 参照)。4点以上の高スコア群は治療しないと早産率高い(島根母子12)。 6. Gardnerella vaginalis の検出率は26週未満の破水例で40%と高く、それ以降の破水例では12%であった報告あり(現産08)。 7. BV群は正常に比べて高率な早産率であった報告あり(獨協11)。 【新生児壊死性腸炎】 母体のCRP高値で、胎盤の炎症が強い症例がなりやすい(和歌山大10)。 【臍帯ヘルニア】 1. 10週の終わりころに中腸は腹腔内に退縮し臍輪も閉鎖する。 2. 臍帯ヘルニアはしばしば染色体異常や他の奇形を合併する。 3. 臍帯ヘルニアは2008年にCDHを抜いて死亡率トップになった 4. Beckwith-Wiedemannに合併。 5. Body stalk anomaly:腹壁異常・臍帯ヘルニア・肺低形成・側湾。 【臍帯内ヘルニア】 臍帯ヘルニアの一種で径4冖にの臍輪形成し、ヘルニア内容は小腸のみの場合をいう。 【尿膜管遺残】 1. 尿膜管は胎生期に臍と膀胱を交通する構造物で、8週ころに閉鎖し正中臍ひだとして索状物となる。遺残すると膀胱と臍に連続性(膀胱造影)認める。 2. 胎児臍帯内の嚢胞として発見されることがある。自然破裂して臍輪から脱出した例ある(阪大10)。また尿膜管遺残に臍帯水腫を合併する例がある。 3. 手術で摘出する。 【膀胱臍瘻】 尿膜管の形成不全・下降不全で膀胱と臍が交通した疾患。臍帯起始部の嚢胞(20週で2儼臓砲波見(安城更生12)。 【胎児腹壁破裂】 1. 頻度は10000分の0.3.だが近年増加傾向(福島医科15)。 2. 染色体異常や合併奇形は少なく、予後良好(生存率90%以上)と言われている。 3. 男女差なし。臍帯の右側が多い。 4. 原因は腹壁形成不全・生理的臍帯ヘルニアの破裂・腹壁の血行障害などの説ある。 5. 母体若年齢が発症に相関あるといわれ、20歳未満の女性に多いとされている。初産に多い。また喫煙・アスピリン・イブプロフェン(NSAIDs)もリスク因子。 6. FGR(SGA)が多い。 7. 腸管絞扼壊死や穿孔による胎児死亡もある。 8. MRIによって腸管絞扼や捻転を診断する必要がある。 9. 羊水過多、腸管拡張、腸管壁肥厚などの所見は予後不良因子。 10. テガダームを用いた閉鎖法が報告されている(福島医科10)。 11. 34~35週での娩出が良いと言われている。 12. 分娩様式による予後の差はないという報告が多い(福島医科15)。 【後部尿道弁】 1. 閉塞性下部尿路疾患でもっとも頻度が高い。 2. 10〜40%が腎不全に至る。 3. 弁切開後も膀胱のコンプライアンス低下による機能不全から上部尿路拡張と腎機能障害を起こし、難治性尿失禁となるvalve bladder syndromeがある。 4. 男児でエコー上、拡張膀胱とそれに連続するやや拡張した後部尿道をみとめるkeyhole signが特徴。(九大15) 【母体バセドウ病など】 1. TSHレセプター抗体(TRAb)、TSH結合阻害免疫グロブリン(TBII)陽性または甲状腺刺激抗体(TSAb)陽性。新生児一過性甲状腺機能亢進はTSHレセプター抗体移行で起こるため、母体の治療状態が重要。新生児一過性甲状腺機能亢進症はバセドウ母体からの出生1%に見られる稀な疾患。新生児甲状腺機能亢進症は生後4日〜20日と発症が遅い。これは母体から移行した抗甲状腺薬に比べTRAbの半減期が長いため。 2. 最近はTRAb第2世代法(%)に比べ感度・特異度の高い定量法の第3世代法(IU/L)が普及している。 3. 胎児移行したTRAbにより胎児頻脈が発症したが、母体MMI投与により改善した例がある(久留米母子12)。 4. 妊娠中は抗TSHレセプター抗体価低下とともに活動性低下し産後に悪化するのが一般的。まれに妊娠中に亢進症から低下症になった症例ある(島根母子09)。 5. TBII異常高値かつ抗甲状腺剤投与量が多い場合、新生児は機能低下から機能亢進に転じることが多い(名古屋市立)。 6. 妊娠直前のHSGで使用したヨードにより胎児甲状腺機能低下をおこし胎児甲状腺腫となった例がある(九州厚生11)。 7. 以前甲状腺ホルモンは胎児移行しないと言われていたが、近年はわずかに移行すると言われている。コントロール不良のバセドウ母体で、胎児に移行した母体甲状腺ホルモンが胎児の下垂体-視床下部-甲状腺系を抑制し、出生児に一過性・中枢性甲状腺機能低下症状(哺乳不良、活気低下、低体温など)が出現した例がある(加古川市民12)。 8. 妊娠初期の汎血球減少が顕性化していないバセドウの発見契機になった例がある(自治医17) 【抗甲状腺剤】 1. MMI(メルカゾール:チアマゾール)内服による先天性頭皮頭蓋欠損症との関連が議論されている。 2. この先天性頭皮頭蓋欠損は日齢とともに皮膚欠損部は閉鎖するが頭頂骨欠損は残る。 3. MMI投与85例で3例の臍帯ヘルニアと1例の頭皮欠損認め、MMI投与に関連ありとのこと。全例妊娠成立前からの内服(成育12)。 4. PTU(プロパジール:プロピルチオウラシル)が第一選択だが重篤な致死性肝障害もあるので注意。またこれによる新生児一過性甲状腺機能低下と思われる症例あり(東邦医療11)。 【橋本病合併妊娠】(資料1) 1. 橋本病:抗サイログロブリン抗体(TgAb)、抗甲状腺ペルオキシダーゼ(抗TPO)抗体陽性、抗マイクロゾーム抗体陽性でび慢性甲状腺腫(腫大)ある。機能低下から正常までさまざまある。 2. 無痛性甲状腺炎とは橋本病経過中に組織の破壊により一過性に甲状腺中毒(亢進状態)となること。自然に回復するがその後機能低下となることが多い。産後に一過性甲状腺機能亢進(または低下)することがある。稀に妊娠中にも起こる(名古屋赤十字10)。 【母体のヨード過剰摂取】 昆布過剰摂取によるヨード過剰摂取による甲状腺機能低下症の報告ある(国立岡山09)。同様に胎児にも甲状腺腫と機能低下を認めた症例あり(昭和大10)。ヨード過剰摂取するとWolff-Chaikoff効果(甲状腺ホルモン合成と放出抑制)おこる。MRIのT2画像にて胎児甲状腺腫が高信号の場合は機能低下が考えられる。ヨード過剰摂取の原因は薬剤(アミオダロン:抗不整脈薬)・リピオドール・イソジンなどもある。 【胎児甲状腺腫(母体薬剤投与による)】 1. レボサイロキシンは胎盤通過しないため羊水腔内投与が必要となる。胎児甲状腺機能低下は胎児の神経発達に影響するといわれているので速やかな治療必要(久留米セ15)。ただし過剰投与により胎児頻脈・胎児心不全・FGR・周産期死亡報告あり慎重に投与量決める(久留米セ15)。 2. 母体への抗甲状腺剤(ATDs)投与のために、胎児甲状腺腫大(9兌囲径)と反屈位・羊水過多認めた。これに対し32週でレボサイロキシン250μgを羊水腔内注入し改善させた例あり(成育12)。 3. 母体への抗甲状腺剤投与で胎児甲状腺腫大(8兌囲径:正常は3.6〜6.0)。29週の臍帯採血にてfT4:0.51 ng/dL(正常は0.6〜3.4)、TSH:616μU/L(正常は0.2〜20)であったためレボチロシン200μgを30週から7回羊水腔内投与を行い胎児甲状腺縮小させた症例。この際羊水のTSHが2.6(正常は0.1〜0.5以下)であったが治療とともに低下し、治療指標の一つとした。母体血中TSHは胎盤通過しないため羊水中のものは胎児由来とした。(兵庫こども16) 4. 31週の臍帯採血のfT4:正常は0.98±0.23 ng/dL、TSH:正常は6.9±3.3 μIU/mlだと(久留米母子15) 5. 上記各論文の羊水腔内レボサイロキシン投与量は、Miyataらの報告(2007)により、一回注入量(1日で投与する量)=15μg/ kg/day×7日分・・・だいたい200μgを一回投与し1週間様子見るということ。1週間後にまた追加するかどうかを再検討する。 【クッシング症候群】 1. 慢性の高コルチゾール血症により高血圧・耐糖能異常・肥満を呈する。副腎腫瘍によるものが多い(画像診断)。 2. コントロール不能な高血圧でPIHと鑑別必要。 【多発性硬化症:multiple sclerosis MS】 1. 中枢神経の炎症性脱髄疾患。時間的空間的に多発し、視力障害・複視・四肢麻痺・小脳失調・感覚障害を繰り返す。生殖年齢の女性に好発。 2. MSによって流早産・IUGR・奇形などは増加しない。 3. 妊娠中は再発率が減少するが産褥期に増加する。 【中大脳動脈血流収縮期最高速度 MCA-PSV】 1. 妊娠週数における中央値の1.5MoM以上の増加のとき、胎児輸血適応の重症貧血を想定する。Mariらの報告がおおもと。 2. 1.3MoMまでは軽度貧血と言われる。 3. 26週でMCA-PSVが83/sと重症貧血示したため、O型Rh(―)のRCC 25ml×2回で改善した例あり(長良医療12)。 4. 34週超えると偽陽性となる場合があるという報告ある。 5. 計測のコツは、プローブを強く押し付けない・MCAとの角度をつけない(つく場合は角度補正を)・MCA血管を完全に描出する・Willis輪の分岐直後で測定・sample volumeは1mmに設定(長良医療セ13) 【分娩後の予防的オキシトシン投与】 1. 重症出血例を有意に減少させた(府立母子10)。 2. オキシトシンやエルゴメトリン投与で冠動脈攣縮による、胸痛・ST低下・心筋虚血などが起こりうる。その際はβブロッカーのランジオロール(オノアクト:子宮には収縮作用に働く)20〜75單衢燭撚善させた(順天浦安11)。 3. 帝王切開術中のオキシトシンルーチン投与は推奨されなくなってきた。オキシトシンは血管拡張(低血圧)、心筋に対する陰性変力作用、ST変化(エルゴメトリンより高い)。(埼玉医科12) 4. 帝王切開時のオキシトシン子宮筋注は効果発現に10分かかる。静注は2分だが収縮期血圧低下や頻脈認めた(浜松医科17)。だいたい5IU使用している。 【シナジス(パリビズマブ)】(資料1) RSウイルスによる下気道疾患抑制のために使用する。早産児やBPD・CHD児でないと保険適応にならない。 【新生児細菌性髄膜炎】 1. 致死率が高く予後不良。起因菌はGBSが多く、次いで大腸菌が多い(この二つで80%)。 2. ESBL(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)産生大腸菌による母体からの垂直感染で重症髄膜炎(髄液の細胞数増加・糖の低下・炎症反応などから診断)になった新生児症例あり(北里15)これはメロペネム投与で解熱。 【羊水検査】 500例中流産率は0.4%であった(自治医10)。 【胎児脳梁欠損:agenesis of the Corpus Callosum】 後角優位な側脳室拡大を示す。単独の場合は予後良好。 【水頭症を伴わない脳室拡大】 側脳室後角幅10舒幣19例で、脳梁欠損5例、脊髄髄膜瘤4例、染色体異常2例、原因不明7例等であった。(千葉大12) 【軽度脳室拡大】 26~32週で10弌15个38例。脳梁欠損3例。24例はその後拡大縮小(10侈に)。増悪は4例でうち2例は脳梁欠損。(府立母子12) 【Arnold-Chiari奇形】 1. 小脳と脳幹(後頭蓋窩に存在する組織)が下方に偏位し脊柱管内に下垂した状態。水頭症の有無と程度が予後に関係する。 2. キアリ奇形2型は脳室拡大・頭蓋のレモンサイン・脳幹部の脊柱内逸脱・脊髄髄膜瘤。脊髄髄膜流は母体血清AFP上昇ある。 3. 下位神経症状や四肢麻痺をきたす。 【新生児硬膜外血腫】 ほとんどが吸引分娩による。頭蓋骨と硬膜間の微小血管破たんか、頭血腫の硬膜外腔への進展。外科的に除去することで良好な結果を得られる。 【MRI】 American College of Radiologyでは他に代わる診断法がない場合は妊娠のいかなる時期でもMRIを行って差し支えないといっているが、FDAは細胞分裂の盛んな第一三半期(1st. trimester)はMRI避けた方が良いと言っている(14週以降)。 【一過性骨髄増殖症:transient abnormal myelopoiesis(TAM)】 ダウン症の10%に見られる。多くは自然治癒するが、中には重度の肝障害(肝線維症)などで死亡する例がある。なかには胎児期発症(肝腫大・出生時白血球100万台)らしいものもある(岐阜多治見11)。TAM診断には末梢血中の芽球の存在とGATA1遺伝子変異が必須。 【先天性副腎皮質過形成: congenital adrenal hyperplasia(CAH)】【21水酸化酵素欠損症】 1. 常染色体劣性遺伝。 2. 副腎皮質の副腎ホルモン合成酵素欠損により、コルチゾールやアルドステロン産生が低下しACTHが過剰分泌され副腎が過形成される。またACTHの代謝産物によるアンドロゲンの過剰分泌(アンドローゲンシャワー)のため男性化が起こる。副腎不全による低Na血症・低K血症・低血糖・低血圧。皮膚の色素沈着。 3. 胎児が女児の場合性器の男性化が問題となる。21-水酸化酵素欠損症(21-OH-D)はCAHの一種で最も多い(90%)。21ヒドロキシラーゼをコードするCYP21遺伝子変異による。 4. 21-水酸化酵素欠損症の胎児治療は確立していないが、デキサメタゾン(胎盤通過性あり)投与(1.5mg/日内服)でA女児の外性器男性化を軽減できる報告あるが、女児の外性器男性化は8週までに起こるので早期治療が必要(周学会15愛媛大)。妊娠では9週未満からデキサメサゾン投与開始し、9−11週で絨毛生検施行し核型診断・遺伝子解析し男児か非罹患児なら治療中止する。絨毛解析しない場合は15−20週で羊水検査し同様の検査を施行する。 5. 妊娠中のデキサメサゾン投与のリスク。性別判明前から投与することで、両親が保因者の場合、児が患児で女児である確率が1/8であるのに治療を行うこと。妊娠中の長期投与の安全性は不明であること。妊婦に浮腫・体重増加・血圧上昇のリスクがあること。児の疾患自体が完治することはないことなどであろ。 【Ambiguous genitalia:不明瞭な外性器】 小陰核と尿道下裂の存在。精巣や卵巣の超音波的確認、副腎皮質機能検索が必要。早期に治療開始する必要ある。 【血性羊水】 早剥などで血清羊水となった場合、凝血塊が胎便と同様に肺へ吸収されるため羊混と同様の早期の吸引処置が必要(聖マ10)。 【薬剤と母乳】(周シンポ28:成育) 1. 母乳/母親血漿濃度比(M/P比)。RID比(relative infant dose):母体への投与量に対する児の摂取割合。この二つで児移行性を評価する。RID比は10%以下なら安全と評価される。 2. ロキソニンのM/P比は0.012程度。RID比は0.1%程度。これまでに明らかな児への有害報告はない。 3. デパスのM/P比は0.15程度。RID比は1.5%程度。 4. ノルバスク(カルシウム拮抗)はRID比は2.7%程度であった。 【胎児骨盤不均衡】 Fetopelvic disproportion: FPD 【妊娠中卵巣嚢腫】 1. 手術時期は12週以降が望ましいといわれている。(黄体嚢胞は14週まで待機) 2. 6センチ以下は経過観察・6〜10センチで単房性は経過観察でそれ以外は手術・10センチ以上は手術(11ガイドライン)。 3. 妊娠中腹腔鏡(気腹下)手術で問題なし。二酸化炭素は母児に悪影響なし。原則体外法でやる。 4. 気腹圧低目設定(8〜10mmHg)の体外法が原則で(気腹時間が少ない・簡単)、14~15週でやる(周産期学会15川崎病院) 5. 妊娠中に破裂したチョコレート嚢胞(7兮隋砲諒鷙陲△襦並膾絨綢11)が妊娠中のチョコレート嚢胞の管理指針はない。 6. CA-125は妊娠初期に300U/ml位まで上昇することがあり、中期以降減少する。妊娠中に生理的上限は300でよい。 7. 妊娠中上昇するマーカーはCA-125. AFP. TPA. SLX。妊娠影響ないのはCA-199. IAP. SCC. CEA。 8. AFPの妊娠中上限値は300〜400ng/mL 9. SCCの妊娠中上限値は3ng/mL 10. CA-199・CEAは妊娠影響受けない。 11. 茎捻転は60%は妊娠10週から17週の間でおこる。20週以降の発症は6%と(住吉市民15)。 【子宮内膜症性嚢胞】 1. 妊娠中に内膜細胞がプロゲステロンの影響で脱落幕細胞化し、乳頭状(充実性)になりまるで悪性のようになることがある。MRIでT1、T2ともに乳頭部分は胎盤とほぼ同じ信号強度となる(周産期医学2015)。 【子宮筋腫分娩】 1. 頸部筋腫合併妊娠で帝王切開後に血流障害から筋腫が壊死して筋腫分娩となった例がある(現産09)。またUAE後やGnRHa治療後などに血流障害のために変性した筋腫が分娩することがある。 2. 筋腫分娩に対しては膣式子宮筋腫核出術を行う(周産期学会15愛育)。 【二分脊椎】 1. 開放性と潜在性がある。 2. 開放性は90%に水頭症・Chiari II型奇形を伴う。潜在性は伴わない。 3. 開放性は生後48時間以内に修復術を行う(感染予防)。潜在性は乳児期早期に手術(係留脊髄症候群症状が出るため)。 4. 開放性は羊水中や母体血中のAFPやacetylcholinesterase上昇ある。 5. 脊髄破裂の場合、神経構造が未発達のまま露出し発達停止を示す神経構造(neural placode)が見られる。(資料2) 【massive ovarian edema】 1. 正常卵巣構造と間質の浮腫を認める。卵巣のび慢性腫大。 2. 男性化認める。 3. MRIでは多数の嚢胞を伴い、T1で低信号、T2強調で高信号となる。 4. 原因:卵巣管膜の部分的捻転でうっ血した。(現産10) 【妊娠中イレウス】 1. 閉塞の原因は癒着が60%。軸捻転が20%。腸重積5%。 2. 癒着イレウスの77%に開腹手術歴ある。腹腔鏡でも起こりうる。 3. 数時間にわたり持続的に白血球が上昇する。数日後に脱水による赤血球やヘモグロビン上昇。 4. 嘔吐などによりHCLが失われ、低クロル性アルカローシスとなる。 5. 妊娠中はMRI検査をおこなう。 6. 妊娠28週でイレウス→脱水・長時間手術・妊娠子宮による静脈圧迫血流停滞などで肺塞栓死亡例あり。 【妊娠中の腎動脈破裂】 破裂前の診断は不可能。側腹部痛で発症しUSG・CT・MRIなどで血腫を確認する。胎児ジストレスによる帝王切開が多く、その際に後腹膜血腫で診断される。腎臓摘出となることが多い。 【臍帯血ナトリウム利尿ペプチド】 特にBNPは胎児期末期のストレス・成熟度と関係し、高値の場合は低いApや症候性PDAと関連した(聖マリア09) 【臍帯血LDH値など】 新生児血中GOT・GPT・LDH・CKなどは分娩時ストレスによる各種臓器の細胞障害を反映するといわれている。臍帯血のLDHが同ストレスを反映し新生児の呼吸障害・神経学的所見の有無と関連示唆した(日赤09)。 【硬膜外麻酔・無痛分娩など】 1. 新生児血中からの薬剤代謝に関してはマーカイン(bupivacaine)やキシロカイン(lidocaine)は早期に代謝されるが、カルボカイン(mepivacaine)は24時間以上残るので注意(淵レディース09)。 2. 成育(09)によれば高年初産婦にフェンタニルとアナペイン(ropivacaine)またはマーカイン(bupivacaine)併用による自己調節硬膜外鎮痛法(PCEA)施行(2004年から2007年まで)したところ、非麻酔群に比べ帝切率は差がないが、分娩停止や胎児機能不全による器械分娩が有意に増加した。 3. 成育では2007年から無痛分娩の方式を脊髄クモ膜下硬膜外併用麻酔(CSEA: combined spinal epidural analgesia)に変更し麻酔医が24時間体制で対応。無痛分娩中の緊急帝切が減少したと報告。しかし一般的にはCSEAはNRFSの発生頻度が増加するといわれている。 4. 正期産児で蘇生時に呼吸障害出現し酸素投与やマスクCPAP使用した頻度は無痛分娩で29%、非無痛16%で有意差あり。しかしその後の継続治療や入院に有意差なし(成育12)。 5. 北里(北里10)での硬膜外は0.2%アナペイン(ropivacaine)10mlか0.1%アナペイン(ropivacaine)+フェンタニール0.0002%(10ml/h)、脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔(CSEA)はマーカイン(bupivacaine)2.5mg+フェンタニール25μgくも膜下投与し硬膜外を持続。持続くも膜下麻酔(CSA)フェンタニール25μg/hもある。 6. 無痛分娩は分娩第二期延長、オキシトシン使用、鉗子や吸引分娩の頻度は上昇する。また硬膜外麻酔では骨盤底筋の弛緩により回旋異常(後方後頭位・低在横定位)の頻度が高まる(新生児予後との関連は示されていないが)。また硬膜外では母体発熱(換気抑制による熱放散の減少か?)頻度が高く、余分な抗生剤投与が発生している。(日産婦誌11) 7. 35歳以上の高齢妊娠で無痛分娩はコントロール群に比して出血量および1000ml以上出血例(大部分が弛緩出血)が有意に多かった(東大12)。 8. フェンタニルの静脈投与は胎盤通過するが胎児で速やかに代謝される。しかし一過性の呼吸抑制が起こるという報告もある。 【脊髄くも膜下麻酔(脊痲)】 1. 帝王切開時の脊痲で仰臥位低血圧症候群(supine hypotensive syndrome: SHS)と相まって、母体の心室性頻脈(Ventricular tachycardia: VT)起こした例ある。リドカイン100mg投与で対処した。この症例はVTにより胎児の低酸素おこした(東京女子12)。VTとは100/分以上の頻脈と心室性期外収縮が3連拍以上続くものでQRS波形変化があるもの。 2. Shenらの報告(帝切254例)では脊痲による不整脈は、50以下の徐脈(6.7%)、房室ブロック(3.5%)。 3. 前投薬のアトロピンは心筋梗塞の徐脈や房室伝導障害に使用した場合、過度の迷走神経遮断のより心室頻脈や細動をおこすことがある。 4. 脊痲の低血圧予防の大量膠質液術前投与はその効果が否定されている。 5. Crawfordらは帝切時の脊痲後に仰臥位にすると左側臥位にくらべて臍帯血pHが前者で有意にアシドーシスだったと報告している(7.27vs7.31)。 【一過性大腿骨萎縮症】 妊娠に好発する。股関節の一過性疼痛(歩行障害)と骨萎縮を認めるが、数か月後に自然に消失する。原因不明。 【胎児の心臓腫瘍】 1. 多くは良性(横紋筋種など)だが発生部位や大きさによっては胎児心不全や腹水をきたす(香川大09) 2. 胎児期に見つかる心臓腫瘍は大半が出生後に縮小するといわれる。 3. 横紋筋種の50%以上、また多発性ならば100%が結節性硬化症を合併する。 【遺伝子組み換えヒト・エリスロポイエチン】 未熟児貧血治療に広く用いられている。これは赤芽球系の増殖・分化・成熟を促進するが、同時に骨髄系幹細胞の分化を一部赤芽球系に変化させ、結果的に骨髄球系細胞を抑制してしまう(好中球減少などの症例がある)ことがわかっている。 【母児同室】 生後早期からの母児同室により頻回授乳となることで、早期の胎便排出をうながしビリルビンの腸肝循環の抑制につながることで特発性新生児黄疸が減った(青森母子09)。 【正期産児の核黄疸】 本邦では近年報告例がない。 【新生児の黄疸】 日本人の新生児生理的黄疸は黄色人種の中で最も強い。 【新生児脳梗塞】 正期産で危険因子のない児(普通の分娩)での脳梗塞が報告されてきている(島根県中09)。左中大脳領域に多い。無呼吸発作や瞳孔左右非対称、筋緊張低下など。観察不能な胎内での低酸素状態が関与しているのか? 【正期産児の無呼吸発作】 1. 20秒以上の呼吸停止もしくは20秒未満でもチアノーゼや徐脈認めたもので調査すると、33例中5例に頭蓋内出血、2例に多血症、その他感染症などがあった(旭川医科12)。 【予定日超過・分娩誘発】 1. 成育(11)は41週台に分娩誘発を行っている。 2. 欧米のメタアナリシスでは予定日超過に対する誘発が帝王切開率を上昇させることはないと報告しているが、頚管熟化不良群は誘発不成功のハイリスク群と考えられている。また初産・高齢・肥満・巨大児もハイリスクと指摘されている。 3. 成育(11)は2日以上の薬剤投与によっても有効陣痛得られなかったものを陣痛未発来として帝王切開している。 4. 成育(11)は41週以上で薬剤使用開始時のBishopスコアと子宮口開大度が帝王切開リスクと関連すると言っている。また帝王切開群では母体BMIが30以上・40歳以上の症例が有意に多かった。 5. 日本ではプロスタグランディン製剤の経膣投与による熟化法が認められていないため、器械的頚管熟化を行わざるを得ない(文献的考察がほとんどない)。 6. メトロは滑脱から臍脱までにタイムラグがある(神奈川こども11)。児頭持ち上げ効果のために臍脱起こす可能性があるので注意。 7. メトロによって緊急帝切になる理由には臍脱、上肢先進などがある。 8. 薬剤による誘発中は1時間毎に母体バイタル(血圧・脈拍)必要。 9. PGE2最終内服から1時間以上経てから点滴開始。逆も1時間あける。 10. 尿道用のフォーリーカテーテル16Frを30ml生食注入で内子宮口付近に留置。Bishop5点未満の症例に使用。約10~12時間で脱出するが、Bishopの有意な上昇を見た(川崎・滋賀医12)。 【臍帯脱出】 1. 用手還納はよくない。臍帯に触れることで臍帯圧迫や血管攣縮が起こりさらに臍帯循環が悪くなる。よって臍脱の際は臍帯を触らず、児頭を押し上げて間隙を作って可及的速やかに帝王切開(周産期医学誌2015)。 【母体体重】 1. 日本人の食事摂取基準(2010厚労省)は普通の体格の妊婦(非妊時BMI18〜25)が40週で3000gの児を生むのに必要な体重増加が11kgとしてエネルギー付加量を計算している。個人差が激しいことを認識すべきだ。 2. 肥満妊婦からの巨大児発生は、妊娠中の体重増加よりも妊娠前の肥満度が強く影響するためいくら妊娠中に体重増加抑えても巨大児発症防止はできない(日産婦誌11)。 3. 非妊時BMI18以下の痩せ妊婦は肥満群や標準群に対して切迫早産や前期破水が多かった(さいたま市立11)。 4. 巨大児の定義は日本では4000g以上。(諸外国では4500gも) 【子宮頚部静脈瘤破裂】 子宮膣部からの激しい出血となる。ヨードホルムガーゼ圧迫やマクドナルド法にて対応した例がある(名古屋日赤11)。 【総排泄腔遺残症】 1. 女児のみ発症。直腸・子宮・膀胱の3つの出口(総排泄腔)の分離不全。会陰部に開口は一つしかなく肛門や膣口は存在しない。胎便性腹膜炎・胎児腹水などを起こすことがある。 2. これの術後で妊娠した場合、膣・会陰の伸展性が悪いために帝王切開を推奨する意見ある。(府立母子15) 【世界初の女性産婦人科医】 トロゥラ・デ・ルッジエーロ。11世紀のサレルノ医学校。(日産婦誌11) 【陣痛発来】 1. 陣痛発来時は羊膜からはPGE2が、また脱落膜からはPGF2αが産生される(日産婦誌11)。 2. 内因性のオキシトシンは分娩経過において子宮口が全開大した後に血中濃度が上昇することが知られている(日産婦誌11)。オキシトシンの血中半減期は数分。 【会陰裂傷】 4度裂傷は男児(胸郭などの骨格差のためか)が危険因子であった(大阪急性期11)。 【インフォームド・チョイス】 によって帝王切開を選択するという表現などがある。 【妊娠中の骨量】 1. 非妊婦と妊婦の骨量(音響的骨評価:OSI)に有意差はない(昭和大11)。 2. 産褥婦の20%に骨密度(BMD)減少を認めた(新潟市民11)。 【環境由来物質】 全妊婦の母体静脈血・尿・臍帯静脈血から水銀・カドニウムが検出された。特に水銀では母体血中より胎児血中での濃度が高い傾向にあり世代間濃縮傾向が示唆された(産業医科11)。 【急性妊娠脂肪肝 AFLP】 1. 嘔気、心窩部痛(不快感)、腹痛、多飲多尿、数日後に黄疸・肝機能障害出現。進行するとDIC。 2. 50%が妊娠高血圧症候群合併。 3. アンチトロンビン活性の低下、GOTとLDH上昇、かつ尿酸値の上昇が診断基準。 4. アンチトロンビン活性の低下が、急性妊娠脂肪肝の前段階に認められる(早期の発症予測)(JA北海道)。 5. 妊娠後期に発症し、肝不全・脳症併発し母体死亡になることがある。肝機能異常・低AT-III・D-dimer上昇・白血球増加。また総ビリルビン値とPT-INRを用いたscoreが予後判定に有用という報告もある(文献2014)。 6. 確定診断は肝生検。 7. 治療は早期の妊娠中断とDIC治療。ただしAFLPは早剥に比べて低フィブリノーゲン改善が遅延する(DIC改善が遅延する)。 8. AFLPの原因は母体の脂質代謝障害や胎児ミトコンドリアの脂肪酸β酸化異常を引き起こすLACHD欠損が関与されると言われている 9. 最近診断基準にSwansea Criteria(下記10〜23の6項目以上満たせばAFLPと診断)などが推奨されている。(聖隷浜松15) 10. ? Vomiting 11. ? Abdominal pain 12. ? Polydipsia/ polyuria 13. ? Encephalopathy(脳症) 14. ? Elevated bilirubin > 14 μmol/l 15. ? Hypoglycaemia < 4 mmol/l 16. ? Elevated urea > 340 μmol/l 17. ? Leucocytosis > 11 x 10? /l 18. ? Ascites or bright liver on ultrasound scan 19. ? Elevated transaminases (AAT or ALT) 42 > IU/l 20. ? Elevated ammonia > 47 μmol/l 21. ? Renal impairment; creatinine > 150 μmol/l 22. ? Coagulopathy; prothrombin time > 14 seconds or APPT > 34 seconds 23. ? Microvesicular steatosis on liver biopsy 24. AFLPの一か月死亡率を予測するする指標としてMELD score(一般の肝不全予後予測に使われる)が使用できる(聖隷浜松15) 【異所性脱落膜変化】 妊娠中のプロゲステロン作用で子宮表面や卵巣表面に発症し、出血の原因となる。腹腔内多量出血で緊急帝王切開した例がある(京大11)。 【妊婦の食道破裂】 激しい嘔吐により発症。頸部・胸部CTにより皮下気腫・縦隔気腫認めた。絶食と抗生剤・PPI(プロトポンプ阻害剤 タケプロンなど 胃酸分泌抑制)投与で保存治療した。既往にマロリーワイス症候群あり(泉大津11)。 【尿路結石】 1. 自然排石や妊娠終了によって軽快するが、一部は結石性腎盂腎炎・敗血症となり経尿道的尿管ステント留置や最悪、腎瘻造設の必要がある。 【脳低体温療法】 1. 低酸素性虚血性脳症に対する当治療はILCOR consensus 2010で推奨されている。しかし副作用として徐脈・低血圧・PPHNなどがある。 2. 新生児の低酸素性虚血性脳症の治療法として、現段階では脳低体温療法は国際的に唯一有効性が証明された治療法。 【乳癌:妊娠中】 1. 中絶は予後を改善しない(Kingら1985)。 2. 34週以前は手術か化学療法。34週以降は児を娩出し治療。 3. 化学療法は初期は催奇形性問題だが中後期は影響少ないとされている(Lancet 2004)(放射線とホルモン治療や分子標的薬は禁忌)。 4. 妊娠中に最も頻用されているレジメンはACやFEC。 5. 妊娠産褥で予後不良なわけは、乳腺発達による発見の遅れのため。一般に腫瘤触知は2僂らでありこの時期にはすでにstage兇某聞圓靴討い襦 6. 一般に抗がん剤の多くは胎児移行する。 7. ER(-), PgR(-), HER2(1+)のトリプル乳癌という(遠隔転移率たかい)。妊娠中乳癌はホルモン受容体陰性割合が高い。 8. 妊娠中は血流やリンパ流の増加で転移が起こりやすい。 9. 卵巣卵管切除は普通のホルモン受容体陽性の進行乳癌予後に差がないといわれて近年は積極的に施行されない。しかしERCA1, ERCA2遺伝子変異を持つ女性では死亡率を減少させることが確実。(名市大15) 10. 妊娠中のマンモグラフィーの際の腹部遮蔽は必要ないと思われる(九大15) 11. 授乳期乳癌は術前に乳汁分泌を止めることが乳癌ガイドライン(2013)で推奨されている。 【放射線の胎児への影響】 1. 50mGy未満の被ばく量では奇形発生と被ばく量の関連は認めない。 2. 腹部CTの平均胎児被ばく量は8mGy。ERCPでも3.1mGyである。(聖マリ15) 【高齢妊娠】 1. 40歳以上分娩では34週未満早産やp-PROMは多胎・体外受精・卵子提供症例で多かった。またPIHは初産と卵子提供に多く、前置胎盤は体外受精と卵子提供に多かった(昭和大12)。 2. Robertら(Lancet 2001)は卵子提供にPIHが多い理由として、提供卵子と母体の免疫拒絶による胎盤形成障害のためと推測。 3. 高齢妊娠に前置胎盤が多いのは子宮内膜が加齢による障害を受けており、比較的健常な下方の内膜に着床しやすいという説がある。 4. 40歳以上症例の50%は帝王切開であった(埼玉医科12)。 5. 高齢妊娠ではPIH・GDM・前置胎盤頻度上昇。早剥は関係なし。早産はむしろ24歳未満の経産婦が増加(多くは子宮内感染症)。(日赤セ12) 6. 年齢増加(基準を25~29歳初産においている)とともにPIH・GDM・前置胎盤頻度・帝王切開頻度上昇。Apスコア―と呼吸管理は45歳以上初産と24歳以下の経産婦が危険因子。吸引・鉗子分娩も年齢とともに上昇。(日赤セ15) 7. 加齢による「子宮筋老化」の考え方。子宮収縮因子の受容体感受性低下などで42歳超えると誘発しても反応弱い(日赤セ16) 8. 厚生労働省は不妊治療への支援事業を2016年から43歳未満の年齢制限もうけた。根拠として43歳以上妊娠の妊産婦死亡率・自然流産率・PIH・周産期死亡率増加。 【VAC(vacuum assisted closure)療法】 離開した創部治療のためにおこなう陰圧閉鎖療法。2010年から保険適応となった。創傷を閉鎖環境下で持続的または間欠的に陰圧をかけ創傷治癒を促進する。創内の浸出液や血液を持続吸引する。おもに形成外科担当。 【胎児胸腺嚢胞】 稀。前縦隔から頸部にかけて単房性で血管などと交通のない嚢胞があればこれを疑う。 【臍帯遅延結紮など】 1. 2010年国際蘇生連絡委員会は1分以上の臍帯遅延結紮を推奨(蘇生を必要としない児)。効果は正期産児では鉄分の貯蔵改善、早産児は血圧安定と頭蓋内出血や輸血頻度の減少。問題点は光線両方の頻度上昇。 2. 早産児では臍帯ミルキング効果ある。効果はHb-F増加により組織での酸素供給が増えることと多くの幹細胞移行で感染症や神経細胞障害の予防になる。 3. 臍帯血採取バッグ(ニプロ:未認可)では正常産で96±28g採取できた(東京女子14日産)。 4. 28週未満のリサーチで、ミルキング(30僂らいの臍帯で)は10ml/kg程度の血液が児に流入することを確認した(日大 細野茂春2016周産シンポ) 【仮性子宮動脈瘤破裂】 1. 子宮筋腫核出術・帝王切開・子宮内容清掃術などの子宮手術後の妊娠で起こる。17週で左下腹痛・USGで拍動性腫瘤・造影CTなどで診断し内腸骨動脈結紮・血腫除去した症例あり。術後帝王切開で無事分娩(滋賀医科12)。 2. 仮性子宮動脈瘤は内膜・中皮を欠いた動脈瘤で、最近は経膣分娩後(産後18日目など)にも発生する報告がある。動脈塞栓術が有効(周産期学会15熊本赤十字)。 3. USGでは子宮体部筋層から内腔へつながるlow echoだがカラードプラーで血流認める。 【卵巣動脈瘤破裂】 1. 産後7日目頃に背部痛、側腹部痛、貧血あり、造影CTにて卵巣動脈瘤とその破裂が疑われた。開腹切除した(日大板橋12)。 2. 帝王切開後3日目に腹痛腰痛にて発症、CT・動脈造影にて後腹膜血腫・卵巣動脈瘤破裂と診断しIVRで止血例(こどもとおとな15) 3. 妊娠による血流増加とホルモン環境の変動による血管壁の脆弱化が関連。妊娠回数が多いほどリスク高い。多くは産褥早期(0〜5日)だが1か月後の報告もある(大津赤十字16)。ダイナミックCTと血管造影で診断し動脈塞栓にて治療。 4. 後腹膜血腫の原因として卵巣動脈破裂が多く産褥2〜5日が多いと(竹原ら)。 5. 卵巣動脈破裂は右が多い。理由は妊娠子宮が右に傾くことが多いのと右側には肝臓があり後腹膜に圧迫が加わりやすいため。発見には卵巣動脈起始部より上部レベルからの大動脈造影が重要。 【新型出生前診断】 MPS法:massively parallel genomic sequencing method 2011年10月に米国と中国で臨床サービスがスタートした。 【母体の骨代謝】 1. 単胎妊娠では約30gのカルシウムが母体から胎児へ供給される。双胎妊娠では骨代謝マーカーが単胎妊娠より早期から現れ増加の程度が大きい(徳大12)。 【新生児薬物離脱症候群(NAS:neonatal abstinence syndrome )】 1. 抗精神薬、麻薬投与の母体からの出生児。中枢神経(多呼吸・振戦・筋緊張亢進や低下)、自律神経、消化器症状など。 2. 多剤併用がリスク高い。 3. フェンタニル(デュプロパッチ)を長年神経因性疼痛のために使っていた母体の児が生後48時間で興奮・原始反射亢進・振戦・筋緊張亢進・激しい指しゃぶり・哺乳不良など認めた(太田記念16)→フェノバルビタールで治療する。 【新生児の咽頭-食道穿孔】 出生時の過度な鼻腔口腔内吸引が原因したことがある(秋田大12)。 【出生時の臍帯late clamp】 正期産児では乳児期の貧血を予防するため世界的に推奨されているが、光線療法の施行率が3%から5%に上昇する欠点も指摘されている(聖路加12)。 【サイヌソイダルパターン】 1. 血液型不適合妊娠感作例、母児間輸血、また絨毛羊膜炎でも出現することがある(船橋母子セ12)。 2. 児の低酸素血症や中枢神経の低酸素状態、自律神経障害に関連する。 【アスピリン喘息】 アスピリンだけではなく、種々の酸性非ステロイド性消炎鎮痛剤(non-steroidal anti-inflammatory drug:NSAID)により誘発される喘息。投与後10分前後から数時間以内に発症し、重症で、意識障害やショックなどを伴い、致死的なこともある。喘息患者の約10%に存在すると言われている(逆に言えば90%は薬剤投与可能)。 【母子同室や混合病棟について】 1. MRSA発症は母子異室と混合病棟で多い。また児の預かり時間が長いほど多い(府立母子12)。 2. ロシアのペテルスブルグの産科施設の改善策の検討では、母子同室と夫・子供への面会が育児放棄を減少させた。 3. 分娩は健康棟で行うべき(府立母子12)。 【先天性喉頭閉鎖】 1. 発生の過程:喉頭腔は最初一時閉鎖し10週までに再開通する。再開通しないと上記になる。 2. 喉頭閉鎖は他の合併奇形多い。 3. 喉頭閉鎖で気管食道ろうがある場合、食道挿管による蘇生に反応する可能性がある。 【亜鉛欠乏】 1. 新生児は亜鉛貯蔵量が少なく母乳で補充することが必要。欠乏すると皮膚症状(皮膚炎)・脱毛・下痢の3兆候示す。 2. 低亜鉛母乳による発症ある(都立大塚13)。治療は胃潰瘍治療薬のポラレジング(亜鉛含有している)。硫黄亜鉛は商業ベースでは販売されていない。 【Bezold-Jarisch反射 ベツオルト ヤーリッヒ反射】 帝王切開時の脊椎麻酔や、仰臥位低血圧によって静脈還流が減少し、また患者の過緊張などもあり反射的に心拍出力や心拍数が増加しすぎると、逆に迷走神経反射が起こり徐脈や心停止に至ることがある反射。 【過去のデータの検討】 historical studyという。 【HFNC:high flow nasal cannula療法】 1. 高流量の加温・加湿された酸素と空気の混合ガスを経鼻的に投与し呼吸補助する新しいタイプの非侵襲的呼吸補助療法。2013年から日本で新生児使用が可能となった。 2. 鼻咽頭に貯留しているガスのwashout、設定した酸素濃度ガスの供給可能、気道内を陽圧に保つ効果、呼吸仕事量の軽減効果などがある。 3. NCPAPの鼻マスクによる鼻周囲損傷ある児やNCPAPを嫌がる児に有効(周産期学会15女子医). 【アナフィラキシーショック】 1. 帝王切開時の抗生剤投与にてショックとなった症例がある(周産期学会15甲賀病院)。 2. アレルゲン同定は皮内テスト・スクラッチテスト・プリックテストがあるが、異常反応から4〜6週間経過してから行うことが望ましい。 【選択的帝王切開】 1. 前回早産歴や今回妊娠での切迫入院歴がある場合は、緊急帝王切開になる率が高い(周産期学会15奈良医療セ) 【臍帯動脈血栓】 1. 臍帯の奇形・過捻転や圧迫が原因とされ、過長・過短も原因と言われる。 2. 母体糖尿病・血栓性素因も関係あるとされる。 【胎児心エコー覚え書き(胎児心2015)】 1. TCD:総心横径・・22週以降はほぼ、週数×mmが正常。 2. 心臓の位置:左胸心:levocardia、正中心:mesocardia、右胸心:dextrocardia、右方偏位(ヘルニアなど):dextroposition、右方回旋:dextroversion 3. 全内臓逆位:situs inversus totalis, mirror imageは臓器に異常認めなくても20〜25%に原発性線毛運動不全を呈したKartagener症候群(慢性副鼻腔炎・気管支拡張・男性不妊など)を合併する。 4. 円錐動脈管奇形:TOF・TGA・ DORV・ 総動脈管症 【帝王切開、横切開時の腹直筋切開】 Maylard法と言う. 【幸帽児娩出】 1. 1000g以上の児では困難なことが多い。 【子宮下節】 子宮峡部のこと 【仮性動脈瘤】 1. シロッカー術に伴う仮性動脈瘤発生の報告ある。 2. USGでは拍動性のlow echoic lesionでドプラ法で内部に渦巻状の乱流とto-and-fro-patternが認められる。陰陽図様ともいう。 3. 治療はトロンビン(1000U/mL)を徐々に注入して乱流の消失を見る(周産期医学2015) 4. 子宮仮性動脈瘤は帝王切開・筋腫核出・子宮内容除去などで子宮に流入する動脈を傷付け、漏出した血液の周囲を血管外膜や結合組織が覆うことで形成。真性動脈瘤のような血管三層構造ないため破裂しやすい。性器出血と止血を繰り返す特徴あり。子宮動脈塞栓で治療(熊本赤十16) 5. 自然軽快するものもある(自治医17) 【産褥期卵巣静脈血栓症】(慈恵医大 16) 1. 比較的予後良好だが時に肺塞栓などをおこす。 2. 産褥早期の発熱・下腹部痛が主症状。D-dimer高値となる。造影CTが診断決め手。 3. 右側発症が多い。理由は右卵巣静脈の方が長いことや妊娠子宮の右ローテによる圧迫が多いことなど。 4. 治療は抗凝固療法。 【食道閉鎖】 1. 羊水過多・上部食道盲端像・胃泡が小さい見えない。 2. C型(食道気管支瘻のある)では胃泡が正常である場合がある。 3. 胎内診断がない場合、不適切な経口摂取でチアノーゼや窒息の危険がある。 【右心低形成】 1. 異常原因の場所から、肺動脈狭窄・閉鎖、三尖弁閉鎖、単心室に分けられる。 2. 正常妊娠では四腔断面でLV/RVは1以下。 3. 肺動脈閉鎖における類洞交通とは、右室内腔と冠動脈との交通形成で純型肺動脈閉鎖(PAIVS)にしばしば合併する(30〜70%)。類洞交通の血流は拡張期には冠動脈から右室へ、収縮期は右室から冠動脈へと双方向性。類洞交通が大きい場合、出生後手術の二室修復で肺動脈が開通した際に右室圧が下がり、冠血流が低下し心筋虚血となる。よって類洞交通合併例は二室修復が困難となり単心室修復となる。よって類洞交通の評価は治療方針決定に重要(徳大16) 【色素失調症】 水泡・色素沈着・脱毛・歯牙欠損・網膜剥離などの症状で、X染色体優性遺伝。男児のほとんどは胎生致死的(胎内死亡)。生存罹患男子は47XXYか体細胞モザイク。 【妊娠関連急性心筋梗塞(PAMI: pregnancy associated acute myocardial infarction)】 非常に稀。妊娠は急性心筋梗塞のリスクを3~4倍に増加させる。 【重要臨床課題】 CQ: clinical questionという 【脳死母体】 から生児出生した報告ある(熊大16)。首吊母体。 【Refeeding syndrome:RFS】 慢性飢餓状態の患者に急激に摂食再開やブドウ糖を投与すると、体液・電解質異常(低リン・低カリウム・低マグネシウム血症)が出現し心不全となる。これは急激に糖質やアミノ酸が生体内に流入し、インスリン分泌され糖質が細胞内に取り込まれATP産生や蛋白合成が惹起される。この際に大量のリンが消費されカリウム、マグネシウムも細胞内に移動する。またビタミンB1も消費されWernicke脳症出現する。インスリンによりNa再吸収が促進され浮腫となる(心不全も増悪する)。低リン血症は血清リンが1.0mg/dlとなると意識障害・痙攣・筋力低下・不整脈・心不全・呼吸不全・乳酸アシドーシス引き起こす。RFS起こしそうな患者にはあらかじめB1と総合ビタミン、リン・マグネシウム・カルシウム・カリウムなどの微量元素剤投与を行う。必要栄養量の50%以下または20kcal/kg/日以下から投与開始する。 【Chronic histiocytic intervillositis:CHI】(宮崎大16) 1. 胎盤絨毛間腔に母体由来の単核球浸潤みとめる。母児間のガス交換障害などを起こし胎盤機能不全となる。 2. 習慣流産、IUFD、FGRとの関連が示唆されており、抗リン脂質抗体症候群などの自己免疫疾患を背景に持つことがある。免疫抑制療法や抗凝固療法が試みられている。 【妊婦と飛行機】 ACOGは合併症ない妊婦の空の旅制限を推奨しておらず、また2nd. trimesterが最も安全に旅行できる期間としている。多くの航空会社は36週までの搭乗が許可されている。 【産前休暇】 労働基準法は単胎は34週から、双胎は26週からとしている。 【妊娠中の便秘】 1. 妊娠中は黄体ホルモン、増大子宮の腸管への圧迫で約半数が便秘になる。 2. 便秘に対する酸化マグネシウム投与では母体血中マグネシウム濃度の有意な上昇はなかった(名古屋大15) 【クリステラー】 1. 1867年にドイツのKlistellerが提唱した。 2. これによる有害事象の明確なエビデンスは存在していない。(北里15) 3. 子宮圧迫は手拳でおこない、子宮底部から骨盤誘導線に向かって圧迫する。(北里15) 4. 同手技によって臍帯動脈pHの有意さなし。(北里15) 【新生児予後】 新生児アウトカム 【腎血管筋脂肪腫 破裂】 1. 妊娠はこれの増悪因子で、妊娠中の急速増大や破裂、胎児死亡、母体出血性ショックの例ある(京都市立15)。妊娠による循環血量増加、子宮圧迫、血圧上昇、エストロゲンによる平滑筋増殖作用による易破裂性。 2. 腎の良性腫瘍で時に増大した腫瘍の動脈瘤などが破裂し出血性ショックとなる。治療は選択的腎動脈塞栓、腎部分切除など。 3. 20〜30%は結節性硬化症に合併。 【重症筋無力症】 1. 母体の抗アセチルコリンレセプター抗体が胎児に移行して胎児の嚥下運動が障害されて羊水過多になる。 【出生直後の新生児の行動】 1. 生後15分まで:安静覚醒状態で運動あまりなし。 2. その後25分〜40分まで:動的覚醒で母の乳輪・乳頭を把握するような行動する。手を口元に持って行く。 3. 100分頃から2時間まで:母の乳輪をとらえ吸綴開始。 4. その後:深い睡眠に入る。 【胎便吸引症候群:MAS】 1. MASのメカニズムは胎便暴露によりサイトカイン(TNFやIL-8など)発生でこれが肺障害や肺血管収縮をおこしPPHNになると(福島医科15)。 2. 生後早期にデキサメタゾン投与はサイトカイン抑制などの機序でMASともなうPPHNに有効(福島医科15)。 【裂手裂足異常症:split-hand/foot malformation】山本症例市民 1. 四肢先端部位形成に重要な外肺葉細胞のAFRのシグナルリング維持不全が原因で、染色体・遺伝子異状により発症する。裂手は手術が多い(美容上と運動機能向上のため)。 【家族性高コレステロール血症】 1. 高LDLコレステロール血症による動脈硬化から冠動脈疾患発症する。 2. 妊娠中はスタチン製剤禁忌のためにLDLアフェレシスにて管理した例ある(国循15) 【ダンピング症候群】 1. 一般的には胃切除後に見られる。食後早期ダンピングと後記ダンピングに分けられる。食事早期は消化管ホルモン急激放出により発汗・動機・めまい・頻脈などが出現、食後2〜3時間後にインスリン過剰分泌による低血糖症状出現。 2. 胃管による食道再建既往の妊婦がダンピング症候群となり、持続血糖測定(CGM)を使用し、細やかな分食と食物繊維追加で良好な血糖コントロールできた例(宮崎大15) 【産科医療補償制度】 1. 平成27年から補償対象となる脳性麻痺基準が変更となった。 【NIPT: Noninvasive prenatal genetic testing】 1. 母体血漿中の胎児DNA濃度が4%未満になると判定保留となる。またBMI 23以上の母体はそれ未満に比べて有意に判定保留が多い。判定保留は0.3%にでる。 2. 検査の陽性率は1.8%。よって98%以上の妊婦が羊水穿刺を回避できている(15)。 3. この技術はマイクロアレイで診断されるレベルの染色体微小欠失症候群や広範囲な単一遺伝子病の診断にも利用可能な画期的手技。 4. 陽性者の真陽性率は、21triは96%、18triは81%、13triは89%。 【睡眠障害】 初産婦では分娩前の1か月間の睡眠障害が微弱陣痛のリスクになることがわかった(昭和大15) 【ART妊娠】 1. ART:IVF-ET とICSI 2. 胎盤異常(位置異常+癒着胎盤)は自然:0.4%、non-ART:0.5%に対しART:7.6%(約2倍)であった(国立呉15)。また帝王切開率も自然:24%、non-ART:34%に対しART:45%。 【サーファクタント】 1. コクランレビューによれば投与タイミングは生後2時間以内投与の方がそれ以後より新生児死亡・気胸・PIE・CLDなどを有意に減少させる(神奈川こども15)。 2. 天然サーファクタントの方が合成サーファクタントより新生児死亡・気胸を減らす(神奈川こども15)。 【骨盤形態】 近年は女性型骨盤よりも類人猿型骨盤が増えていると。過去50年で女性型は20%減で類人型は40%増加していると(浜松医科17)。 【乳幼児突発性危急事態 apparent life threatening events: ALTE】 1. 児が死ぬのではないかと思う無呼吸・チアノーゼ・顔面蒼白・筋緊張低下・窒息などのエピソードで、生命予後は良好とされるが一部にてんかんや精神発達遅延の合併が指摘される。また反復症例に死亡例もある。 2. 2013年成育の調査:発症週齢は中央値が7週。症状は顔面蒼白(80%)、筋緊張低下(43%)、呼吸障害(32%)、全身チアノーゼ(26%)。ALTEに気付いたタイミングは授乳中や授乳後30分以内が多く、覚醒時が多い(SIDS:sudden infant death syndrome発症は睡眠中が一般的)。 3. 原因診断としては胃食道逆流が最も多い。


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