危機的状況にある徳島の周産期医療


1.周産期医療とは

周産期医療とは妊娠22週目以降の妊婦さんと胎児,そして生まれてから生後1週間までの赤ちゃんを含めた医療のことです.
ただし生後1週間以降の赤ちゃんの治療なども,実際には周産期医療に含めてもいいと思います.


2.各県の周産期医療レベル評価法

医療体制の違いによって,それぞれの県の周産期医療レベルが異なってしまいます.
その評価法としては主に以下のようなものがあります.

どれをとっても言いたいことは,ようするにその県がどれくらい安心して妊娠できて,
そしてお産できるかを示しているということです.


3.徳島県の周産期医療レベル

残念なことに徳島県の周産期医療レベルは,これらの評価法で他府県と比べると,常に最下位クラスになっています.
そこで過去数年間の徳島県の成績をざっと紹介します.(全国47都道府県中における徳島県のワースト順位です)

っと,まあこんなかんじです.
勿論これ以外の年でもほぼ最下位クラスの状況が続いています.
つまり徳島県は全国で最も不安に妊娠とお産をしなければならない県になってしまっていると言うことです.
残念なことです.
・・・ではなぜこんな事態になってしまっているのでしょうか.

4.徳島県がだめな理由

これだけ他府県とくらべて常にだめだということは,
なにか具体的に他府県と異なる点,劣っている点があるはずだと思うのが普通でしょう.
実はあるんです.
それを紹介します.

徳島県が他府県と比べてだめな理由

  • NICU(新生児集中治療室)病床がきわめて少ない.
  • 周産期医療ネットワークが確立していない.
  • 新生児専門医師が少ない.

この内,現在一番問題になっているのがNICU(新生児集中治療室)病床不足の問題です.
NICUとは,未熟児をはじめなんらかの治療をしなければならない赤ちゃんを,
専門の医師と看護婦が特殊医療機器などを使って,高いレベルの医療を行う場所です.
そしてその必要病床数(必要ベッド数)はその地域の出生数との割合で決まります.
徳島県の年間出生数は約7千数百です.全国平均ではこの出生数の場合,NICU病床は約15床となっています.
つまり全国レベルになるには徳島県にNICUが15床必要と言うことです.
しかし現在の徳島県には正式なNICUは6床(徳島大学)しかありません.
徳島県にはNICUが9床も足りないのです.
ただし本当にこれだけのNICUしか存在していないのならば,徳島県はもっとひどいことになっていたのでしょうが,
そこで何とか踏みとどまっているのは徳島市民病院の働きがあるからです.
つまり徳島県に足りないNICU9床分の仕事を徳島市民病院が,がんばってやってきているのです.

5.徳島市民病院のはたらき

徳島市民病院には新生児センターという部所があり,
昭和58年から現在までずーっと,とても多くの未熟児や治療の必要な赤ちゃんをみてきました.
そんな赤ちゃんにはここに来る道のりが2通りあります.
1つは他の施設で生まれた後に,治療が必要になって送られてくる赤ちゃんで,これを新生児搬送といいます.
もう1つは妊娠中になんらかの危険が発生した場合に,お母さんのお腹の中にいるあいだに
お母さんとともに徳島市民病院の産婦人科に送られてきて,
治療を受けた後に生まれた赤ちゃんです.これを母体搬送といいます.
現在,徳島県全体のほとんどの新生児搬送と,約半分の母体搬送を徳島市民病院が引き受けているのです.
つまり徳島県の周産期医療の中心的役割を徳島市民病院がはたしているわけです.

6.徳島市民病院のかかえる問題

このように徳島の周産期医療をささえてきた徳島市民病院にも実は,
抱えている大きな問題があるのです.それは

  • 新生児センターは正式なNICUではない
ということです.
このことについて,次のページでお話しすることにしましょう・・・

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