僕と綾乃さん
えっと、このことを語るには数年前、僕が高校2年の時までさかのぼらなくてはなりません。そのころも今並みに暇人やってました、たしかいつも通り帰宅し、家でゴロゴロしてたころ、
ジリリリリリリリーン!! ジリリリリリリリーン!!
僕のケータイの着信音が鳴る、このメロディはメモリ登録していないアドレスからのメールだ、「また迷惑メールか?」と半ばうんざりしながらケータイを手に取ると、
こんにちは、よかったらメル友になってくれませんか?
昔は何度かきたことのあったような内容のメールである。でも今のアドレスは番号じゃなくてアルファベットのだぞ?正直怪しいと思います、誰だって思います、今まで何度もそういう標的にされていた僕はなおのこと。「もう騙されるか!」そう思い僕は相手を問い詰めるべく毅然とした態度でメールを送信、
「あのー、どなたですか?」
普通に丁寧語である。やっぱり相手の正体が分からないのに大きな態度をとるのは危険、と僕は感じたのである。数十分後、返事が返ってきました、「綾乃です☆君は?」
・・・・綾乃?
誰だよ、綾乃って、今までそんな豪勢な名前知り合いにも友達にもいなかったぞ、綾乃、そもそも本名か?綾乃。
でも相手にいきなり「それ、偽名でしょ?」なんて言うわけもいかない、もしそれが本名なら失礼な質問この上なしである。僕は偽名も特に思いつかないので本名を送信。でも大きな疑問は残ったままである。「なんで俺のアドレスを知っているのか?」である。これも悩んでいてもしかたないので本人に直接聞いてみることに。
好きなバンドの名前なの
・・・・本当か?
今思えばありえない話である。だがそのころの僕は若かった、それだけで怪しいと思う気持ちが全てなくなっていたのである。それからメールを続けるうちにいろいろ分かってきました、「H大学教育学部の大学生であること」「北海道出身であること」そこで気付いたこと、H大学は僕の通う高校の近くにある大学なのである。つまり同じ県内の人とメル友になっていたわけである、しかも近くの大学の大学生。「好きなバンドの名前のメルアドを持ってた人が同じ県内の高校生である」・・この確率がどのくらいかは、
限りなく0である
そのことに気付くべきだった。でもその時僕はこう思っていた、
なんて偶然なんだ☆
ただの馬鹿である。でも信じきっていた僕はそんなこと思いもしない。しかも信じ続ける僕に小さな事件が起きた。美術の時間中に美術の先生と世間話をしていると
「大学生とメル友やってるんだって?」
驚きました、いやもうほんと。そんなに多くの人に話してはなかったはずなのに。しかもなんで先生が?「ちょっと知り合いなのよ」この言葉にも驚いた、なんて世間はせまい、と。それからまた安心しきった僕は進路のこと、その日あったこと、いろいろ話しました。ですがやっぱりメル友というのはなかなか続かないものでだんだんメールしなくなり、僕がアドレスを変えた事もあって連絡をとらなくなりました。
それから時は流れ・・高3へ、そして卒業式・・
僕の通っていた高校は卒業式が国立試験の十日前というそれで進学校とか謳うつもりか?というところでした。ですから卒業式後もすぐ受験勉強の続きです。塾の自習室でもくもくと勉強・・。休憩のついでに塾の友達と雑談していると、ある一人が言った言葉は
「そういやお前あれ言ったの?」
そこにいた一人の女の子が
「言ってない、ね〜言わないといけないことあったんだけど〜・・」
・・なんだなんだ?こういうパターンで「言われてうれしい」ことを言われたことが今までの人生ただの1度もない、ビクビクしながらもやっぱり気になるので聞いてみることに・・
「昔メル友で綾乃って人とメールしてるって言ってたじゃん?」
「あれ、あたしなの」
・・・・・・・・・は?
最初言われた時なんのことかわかりませんでした。いやもうマジで。周りの人間どもは笑いながら俺を見るし、そうまるで下等動物を見るかのごとく。あるものは笑い、あるものは憐れみの目を僕に向けていた・・。その中には最初に怪しいと思ってこのメル友のことを相談した友達までいたのである。しかもあとでその子に聞くと美術の先生もグルだったようである。くそ・・
はめられた・・・・
あんた(美術の教師)を信じた俺が馬鹿だったよ・・そうだよ、あんた昔授業中に、
「君、技術は中一で、集中力は小六だね」
そう言った教師だったよな・・忘れてたよ・・。それから僕のケータイにはその子のメモリは
綾乃さん
と登録されている・・。
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