悪ふざけ架空戦記2   暦新島上陸作戦




第111回〜第117回









「なに?こいつは敵なのか?!」

 すんでのところで銃撃を回避すると、タクヤン大尉は自機を一旦「千里馬一号」から離す。

「大尉、あの重爆は酉国機です!肥桶とひしゃくと農民の姿、酉国のマークを付けています。目視確認しました!!」

 二番機のフォース一飛の報告に、タクヤン大尉は目を剥いた。

「何だと!?いつの間にあんなものを!!」

 タクヤン大尉の知っている限りでは、酉国には重爆などない筈だった。今の今まで、その情報に間違いがあった、などとは知らなかったのだ。

「どうします?撃墜しますか?」

 フォース一飛の質問に、タクヤン大尉はしばらく考えた。

「しかし、あの敵機の機銃に死角はなさそうだな。二機では撃墜するのは難しいかも知れん・・・司令部に報告しよう」

 大尉は決断すると、通信機で「フューチャーシンキング」の一航戦司令部を呼び出し、報告した。

「接近中の敵機は酉国所属の重爆撃機。エンジン八発の未知の機体。死角なく機銃が装備されているので、二機では撃墜困難と認む。今後の行動についての指示を乞う」

 この報を受けた通信担当は、事の重大性を考え、直接ゾック少将に通信機を渡すことにした。

「大尉、ちょっと待ってくれ。今航戦司令官に代わるから」

 二〜三分で、相手が切り替わる。

「接近中の未確認機は酉国の重爆撃機とのことだが、本当に間違いないのか?」

「間違いありません。見たことがない八発の重爆ですが、二番機が酉国の識別マークを確認しました。特徴的なマークですので、見間違えていることはないでしょう」

「ふーむ、酉国も重爆を保有していたんですか・・・・・それで、進路はどうなっています?」

「依然、南下中・・・・・いや、ちょっと待って下さい。若干右に進路を変えています。・・・・・どうも、暦新島を目指しているようですね。艦隊に向かっているようではなさそうです」

「状況は分かりました。そのまま、近づきすぎないように、監視を続けて下さい」
(第111回終了)




「ということです。酉国保有の未知の機体が、暦新島を目指している、ということのようですね。レーダーの方の反応はどうでしょうか。間違いなく、敵機は暦新島に向かっていますか?」

 タクヤン大尉からの報告を受け、ゾック少将がレーダーの確認を取る。

「敵機、進路を変えています。報告通り、暦新島に向かっているようです。こちらには来ません」

 レーダー室からは、直ぐに答が返ってきた。酉国の新型重爆は、暦新島に向かっているようだ。

「暦新島に向かっているということは、やはり酉京市の様子を偵察する為に繰り出した、ということではないでしょうか?一機だけですし、それ以外の行動ではないように思えます」

 ゲッカイ中佐は状況から考え、そう判断した。たった一機で行動しているのでは、攻撃行動であるとは考えにくい。しかも、酉京市から味方は撤退し、今居座っているのは「メカジラコ」だけである。「メカジラコ」を確認に来たのではないか、ということがゲッカイ中佐の考えであった。

「まあいいでしょう。こちらに向かって来るのなら撃墜しますけど、そうでないのなら放っておくことにします。かなり堅そうな大型爆撃機のようですから、返り討ちに遭ってはたまりません。敵機を追跡している味方機には、『適当に距離を取って監視を続けよ』と命令します」

 ゾック少将も、無理に撃墜するまでのことはない、と判断した。結局、このゾック少将の判断によって、酉京市と「メカジラコ」の運命は定まってしまったのである。



「千里馬一号」の機長、鈴鳴大佐は、すれ違った敵機が、「千里馬一号」を遠巻きにしているだけで、全く仕掛けてこないのを目にすると、不敵な表情でせせら笑った。

「何だ何だあの腰抜けどもは。やはり歴史の逆転を目指す反動どもはその程度。偉大なる正義を実行する鳥産主義の敵ではない、ということだな。いずれ、お前らを完膚無きまでに叩きのめし、息の根を止めてやるから覚悟しろよ」

 敵戦闘機が仕掛けて来ないのなら、何も恐れることはない。このまま、酉京市上空に到達し、任務を遂行すればいいだけである。

 やがて、前方に、かなり破壊された街と、その中央付近に鎮座する巨大な物体が目に入るようになった。「千里馬一号」は、酉京市に到達したのである。ここで、鈴鳴大佐は機体を旋回させ、「千里馬一号」のコースが「メカジラコ」の上空を横切るようにした。
(第112回終了)




「爆弾槽開け!」

「千里馬一号」の爆弾槽が開き、懸架されている「殲滅」原子爆弾が外の光を受け、一瞬光る。直ぐに、「千里馬一号」は「メカジラコ」の上空に到達した。

「投下!」

 鈴鳴大佐は自ら投下レバーを引くと、5.4トンの爆弾は、「千里馬一号」から離れた。落下傘が開き、ゆっくりと降下してゆく。

「爆弾槽閉じろ、全速離脱!」

 直ちに離脱しないと、爆風に巻き込まれて「千里馬一号」も墜落しかねない。鈴鳴大佐はスロットルを全開にさせ、「千里馬一号」は全速で離脱した。



「敵の重爆は、酉京市上空で爆弾一発を投下しました。落下傘付きで、ゆっくりと機械の怪物の方に降りて行きます。一体何のつもりなんだろう?」

 タクヤン大尉の報告を聞いて、ゾック少将は真っ青になった。慌ててマイクを取ると、焦りまくって大尉に命令する。

「ぜ、全機、全速で離脱!急げ!」

 突然の命令に、タクヤン大尉はきょとんとしている。しかし、手だけは素早く反応し、スロットルをフルに開いた。エンジンが轟音をがなり立て、「アンジェロ」戦闘機二機は弾かれたように加速する。強烈な加速を受けて、タクヤン大尉は体がシートに押し付けられるのを感じながら、何で司令官が「急に離脱しろ」と言い出したのだろう?とぼんやり考えていた。



 落下傘を開いた「殲滅」原子爆弾は、ふわふわと「メカジラコ」の頭上に向かって落ちて行く。下にいる「メカジラコ」は落下傘付きの爆弾には全く気付かず、尻尾を振り回しながらそこら中に瓦礫を投げつけ続けていた。ほとんど、盲滅法、当てずっぽうに投げているだけである。「拡散マッドライフ砲」によって「家鴨」を撃破したことに気を良くしたのか、いささか「浮かれて」いる様子だった。

 しかし、そんな「メカジラコ」でも、頭上からふわふわ降ってくる落下傘に、しばらくしてから気が付いた。そして、やはり瓦礫をその落下傘に向け、投げつけたのである。最初の2発は外れたが、3発目が見事落下傘に命中し、穴を開けてしまう。その結果、「殲滅」原子爆弾は、予定より早く「メカジラコ」の頭上500メートルに達したのである。
(第113回終了)




「メカジラコ」の頭上に達した「殲滅」原爆の内部では、高度計と連動して信管に電流が発し、その結果起こった起爆用の小爆発が分離してある核物質を爆縮させ、一気に臨界点に達した。

 唐突に、酉京市上空に太陽が落ちてきたかの如き強烈な輝きが発生し、周囲を熱線で焼き尽くす。一瞬の後、途方もない大音響とともに、猛烈な爆風が辺り全てのものを吹き飛ばした。爆発の直下にいた「メカジラコ」も例外ではない。もっとも、直下にいた「メカジラコ」は、何が何やら分からない内に、熱線に焼き尽くされ爆風に吹き飛ばされてしまったので、ある意味「幸福」な最期だったことだろう。まあ、所詮は機械なので、幸福もへったくれもありはしないのだが。

 核爆発は「メカジラコ」を一瞬で粉砕したのみならず、酉京市そのものを包み込み、更に熱線と爆風を広げる。そして、それに伴って発生した巨大なキノコ雲は、上空高くにまで達して行った。



 ルドルフ・ナンバー将軍は、暦新島からかなり離れた輸送船上で、「殲滅」原子爆弾の爆発による大音響を聞き、吹き上がった巨大な雲を目にした。一瞬呆けた顔になった将軍だが、すぐに怒り心頭に発する。

「おにょれおにょれ、何ということをするのデス!暦新島に核をぶち込むとは!!こんなマネをするのは、狂人米鉢以外にある訳もアリマセン!!」

 ルドルフ将軍は拳を振り上げ、米鉢次帥への怒りを露わにした。これでは、将軍は目論んでいた「酉京市攻略」どころではない。核汚染されてしまったので、当分の間酉京市に近づくことはできなくなった。いや、それどころか、暦新島自体も、残留放射能の為に当分上陸すらできないだろう。

「将軍閣下。撤収作業中の味方に、若干被害が出ています。酉京市からはそれなりに離れているので、致命的な損害は今のところありませんが、爆風と熱線でダメージは受けたようです」

 スカイラーク中佐が報告した。

「撤収を急がせるよう命令してクダサイ。こうなってしまっては、暦新島から一刻も早く離れなければナリマセン」

 ルドルフ将軍の返答を受けると、スカイラーク中佐は通信室に向かう。将軍は、巨大なキノコ雲が上がっている、暦新島の方を眺めた。折角の攻略作戦は失敗し、敵によって核汚染させられてしまったのでは、二度とここに来ることもないかも知れない。「暦新島攻略」にこだわりを持っていた将軍は、かなりの感慨を持って、暦新島を見つめていたのである。
(第114回終了)




「殲滅」原子爆弾が、「メカジラコ」の投げた瓦礫によって落下傘をぶち破られ、予定より早く爆発高度に達してしまったことの影響は、もちろんこれを投下した側にも出ていた。先ずは、原爆を投下した「千里馬一号」は退避が間に合わず、爆風に吹き飛ばされ、機体は空中分解してバラバラになり、海に落ちて行った。鈴鳴大佐も当然機体と運命をともにしているので、大佐が最後に何を思ったのかは、永遠の謎となってしまっている。続いて、同じく退避中のタクヤン大尉の「アンジェロ」戦闘機も爆風に巻き込まれた。こちらは機体が分解したりはしなかったものの、強烈な爆風に翻弄された結果、完全にコントロールを失って、錐もみ状態で墜落していった。こうなってしまっては、コクピットのパイロットは遠心力に振り回されてしまい、何もできる状態ではなくなる。フォース一飛の二番機も当然同じで、揃って一直線に海に落ちて行った。「千里馬一号」と「アンジェロ」戦闘機二機、双方とも海の藻屑となり、残骸すら回収されることはなかったのだ。



 雑談港沖で沈んだ「家鴨」から脱出し、ボートに移乗していた図茂艦長は、酉京市で起こった閃光と途方もない爆発音、そしてキノコ雲を目撃し、唖然として二の句が継げなくなっていた。あまりと言えばあまりの事態に、一時的に精神が「ブッ飛んで」しまっていたからだ。何も図茂艦長に限った話ではなく、同乗していた街番五航海長以下全員が、同じ状態になっている。しばらくしてから、図茂艦長は気を取り直すと、ボートを暦新島から離れる方向に移動させるように命じた。風向きから行って、放射能が飛んでくることはない筈だが、いつまで今の風が吹いているかは分からない。それに、核を撃ち込まれた暦新島から救助が来る訳もない。取り敢えず、島からは離れる方向で、救援が来るのを待つしかないのである。それでも、艦を脱出する間際に、鳥酉艦隊司令部宛に救助要請は出してあるので、通信を受け取っていればいずれは救助が来る筈だった。とは言っても、図茂艦長自身は、米鉢次帥や田岡参謀長を当てにする意欲は全く失せていたので、同時に近隣の海軍部隊にも救援要請を行っている。どちらかというと、そっちが図茂艦長が救援を期待している方ではあったのだが。

「それにしても、一体何ということをするんでしょうね、ちゃちゃちゃ国は。人口が密集している都市に核を撃ち込むなど、外道も外道、大外道のやることじゃないですか!」

 街番五中佐が、相当なまでに憤った様子で、ちゃちゃちゃ国を非難した。しかし、図茂艦長は冷静だ。

「お前さんの言う通り、ちゃちゃちゃ国のキチガイどもがやったのなら、許せることじゃない。しかしな、本当に連中がやったことかどうか、まだ分からんとおれは思うな」

「そんな馬鹿な!ちゃちゃちゃ国でないというのなら、一体誰がやったことだと言うんです!?」

「いやな、あの馬鹿げた機械怪獣は、当然ちゃちゃちゃ国が持ち込んだものだろう。酉国では、そんなものは作っていないからな。機械怪獣の効果で、『家鴨』は沈められるわ、陸軍も手も足も出ないわ、と圧倒的不利な状況にあったのはおれたち酉国の方なんだぜ。この状況では、いくらちゃちゃちゃ国がキチガイ連中だとしても、自分たちで持ち込んだ機械怪獣を吹っ飛ばしてまで、核を撃ち込む必然性はないだろう。むしろ、味方の犠牲は覚悟の上で、機械怪獣ごと始末する為に、酉国側がアレを撃ち込んだと考える方が合理的だ。おれは、これは米鉢あたりが、ブチ切れてやったことじゃないかと思う」

「・・・・・・・・・・・・・」

 図茂艦長の指摘に、街番五中佐は目をぱちくりさせている。図茂艦長の推察は的を射ていたのだが、街番五中佐にはその考えが直ぐには信じられなかったのである。

「し、しかし、いくら鳥酉艦隊司令部が支離滅裂でも、そこまでするものでしょうか?わ、私には、そこまでの沙汰は、到底信じられないのですが・・・・・」

 狼狽えたような街番五中佐の物言いに、図茂艦長は静かに答えた。

「さあな。米鉢の仕業じゃないかというのは、所詮はおれの推測に過ぎんよ。証拠など何もない。そもそも、今ここで真実に迫ることは、確たる情報がないので不可能だ。酉国に帰れたら、その内何か分かるだろう」

 図茂艦長は、驚愕したような顔としている街番五中佐から目を逸らし、再度暦新島の方を見つめた。巨大なキノコ雲と、遠雷のような爆音は、未だに続いている。図茂艦長は、内心では、「暦新島の復活は、もうないかも知れないな」と感じていた。別に根拠がある訳ではなかったが、この時図茂艦長には、何となくそう思えたのである。
(第115回終了)




「それで、艦隊司令部の方からは、何か連絡はないのですか?」

 一航戦司令官ゾック少将は、通信参謀ライカ少佐に訊ねた。

「いえ。特に何もありません。但し、陸軍のルドルフ・ナンバー将軍の方からは『作戦中止、全軍撤退』の指令が全部隊に向けて発せられていますから、我々だけで作戦を続ける必然性は全くありません。早く撤収した方がいんじゃないでしょうか」

「それはそうでしょう。攻略目標の暦新島が核汚染されてしまったのでは、これ以上の作戦行動の継続は困難です。撤退が妥当なところですね」

 ゾック少将もライカ少佐と同じ判断のようだ。というか、もう誰が判断しようと同じだろう。

「しかし、この期に及んでも、艦隊司令部の方からは何も言ってこないとは、全く以て不可解極まりないですなぁ・・・・・・」

 作戦参謀ゲッカイ中佐が呆れている。ヨン艦隊司令部は、酉京市に核が投下された後も完全に沈黙状態で、麾下の部隊に何の指示も出していない。これでは、司令部などあっても無くても同じである。

「ま、『あの』ヨン提督が司令官ですからね。こんな反応でも不思議ありません。元々、司令官も参謀長も支離滅裂な上に、司令部内でのスタッフの意志の統一も皆無ですからね。もう、何がなんだか分からなくなっているんでしょう。ということですので、一航戦司令部の判断としては、ルドルフ将軍に倣って撤収です。我々も、ちゃちゃちゃ国に帰還しましょう」

 ゾック少将の命令で、一航戦所属の各艦は反転し、ちゃちゃちゃ国への帰途についた。二航戦も直ぐに一航戦に倣い、続行している。艦隊司令部が座乗している三航戦も、しばらくしてから反転し、一・二航戦の後に付いて行った。司令部が判断したのだか、空母「ドッグボード」の艦長が判断したのだか不明だが、三航戦だけが取り残されることは、さすがに嫌ったようである。



「暦新島酉京市が核攻撃され、市内壊滅」との情報は、恐ろしく早く世界を駆けめぐった。酉国からは、鳥酉艦隊司令長官米鉢次帥による声明が発表されている。

「悪辣なちゃちゃちゃ国の侵略を暦新島に受けた我が共和国は、遂にはこの極悪非道な敵による核武器の攻撃を受け、30万市民の犠牲を含む甚大なる被害を被った。酉京市壊滅については、侵略者ちゃちゃちゃ国に全ての責任がある。我々は、この悲劇を『酉京大虐殺(とりきんだいぎゃくさつ)』と命名し、ちゃちゃちゃ国の戦争犯罪を未来永劫糾弾し、国際社会に30万人虐殺の悪を訴え続けるものである」

 自分から核を使用しておきながら、「全てはちゃちゃちゃ国の戦争犯罪で大虐殺なのだ」と言い張り、多く見積もっても10万人しかいなかった酉京市の人口を三倍に膨脹させる米鉢次帥の厚顔さは大したものだが、次帥本人は自分の「正義」に、何ら疑義を差し挟んではいない。「ちゃちゃちゃ国の戦争犯罪行為による、酉京大虐殺の犠牲者は30万人」ということを、心から信じているのである。これに対し、米鉢次帥の厚顔無恥さに呆れ果てたのか、ちゃちゃちゃ国政府の反応は鈍かった。それでも、数時間後には政府報道官による、アンジェロ首相の声明が発表されている。

「我がちゃちゃちゃ国が暦新島において行っていたことは,通常の戦闘行為であって,それが国際法上認められるものであることを疑う余地は全くない.その戦場,しかも自国領土で核兵器を使用し,無辜の市民多数を殺戮したのは,間違いなく酉国の仕業である.それだけでも許し難い行為であるのに,その責任を我が国に押し付けようとは何事であろうか!ふざけるのもいい加減にしろ!!我が軍による『酉京大虐殺』など,過去にも現在にも未来にも,全く存在する訳がない.酉国が勝手に核兵器を使用し,自国民を殺戮しただけである!!」

 アンジェロ首相の怒りが大きかった為か、いささか感情的になった感のある声明だが、ちゃちゃちゃ国の立場としては、これ以外に言いようがないところだろう。この後、総統もとい相当なまでの長期間、「ちゃちゃちゃ国の戦争犯罪・酉京大虐殺」と言い立てる酉国と、「酉京大虐殺など存在しない」と反論するちゃちゃちゃ国の間で、宣伝合戦が繰り広げられることになる。
(第116回終了)




 ・・・・・・・結局、「暦新島上陸作戦」は、双方に取って得るものが何もない戦いに終わってしまった。酉京市は失われ、暦新島自体も放射能汚染の為に、当分の間誰も近寄ることはできなくなってしまった。酉京市市民十万以上が死亡または行方不明となり、その中には、酉京市から離れる時間的余裕がほとんどなかった、里在三将軍の部隊も含まれている。雑談港沖、10キロ以上離れた海上を漂流していた図茂艦長以下の「家鴨」乗組員たちは、飛んできた飛行艇に救助されたが、全員大した怪我はなかった。しかし、目の前で核爆発を目撃したショックで、全員がかなりの精神的打撃を受けている。ほとんど全員が、取り敢えずはそのまま病院に直行ということになった。それにしても、通常の上陸作戦のはずが、毒ガスに機械怪獣、最後は核兵器の使用と、酷い結果に終わったものだ。

酉国

酉国海軍・・・・戦艦「家鴨」沈没。海軍航空隊作戦機200機以上喪失。重爆撃機「千里馬一号」喪失。暦新島配備の海兵隊喪失。
酉国陸軍・・・・里在三将軍の陸軍歩兵旅団喪失、司令官の里将軍も行方不明。陸軍航空隊作戦機150機以上喪失。

 酉京市市民及び陸軍歩兵旅団他の死者、行方不明者十万以上。


ちゃちゃちゃ国

ちゃちゃちゃ国海軍・・・・海軍航空隊作戦機30機以上喪失。
ちゃちゃちゃ国陸軍・・・・ルドルフ・ナンバーSS装甲擲弾兵師団。戦死1500、負傷2000。なお、撤退が遅れた部隊のうち、放射能汚染の可能性がある人員は3000名以上。毒ガス中毒の後遺症患者500人以上。
マッドライフ犬柳田研究所・・・・機械怪獣「メカジラコ」喪失。「空野田M−99」中破。


 相対的に見れば、核爆発を受けた酉国側の方が、被害は遙かに多い。しかし、ちゃちゃちゃ国側も、ルドルフ将軍が自信満々で立案した上陸作戦は失敗し、暦新島酉京市の攻略は成らずに終わっているので、作戦目標を達成できた訳ではない。ちゃちゃちゃ国の攻勢を撃退した酉国が戦術的には勝ち、酉国の国土に大きなダメージを与えることができたちゃちゃちゃ国が、戦略的には勝った戦いである、と言えるだろうか。



 暦新島が失われた影響は大きかった。ちゃちゃちゃ国と酉国が直接交戦する場が消滅してしまったので、戦おうにも戦うことができなくなってしまったからである。酉国とちゃちゃちゃ国、どちらも本土にはそれなりの戦力を保持しているので、どちらの側からも攻勢を掛けることができない。また、積極果敢な攻撃をモットーとするルドルフ将軍が、この後直ぐに軍から退役し、行方もくらましてしまったので、ますます相手側に攻め込むようなことはなくなってしまったのだ。更に、この後、ちゃちゃちゃ国内で不協和音が発生し、酉国との戦争どころでなくなってしまったことも、この状況に至った理由としてあげられるだろう。酉国とは事実上休戦状態で、ちゃちゃちゃ国内では内部抗争に明け暮れている始末であり、そのまま今でも続いている。当分の間、対外戦争どころではなさそうだ。


 戦いは終わった。この後、この世界では、いかなる歴史を築くことになるのであろうか。それは未だ、誰にも分かりはしない。



暦新島上陸作戦(完)




後書きのようなもの

 二年半余りに渡り(酉板で始めた第一回目は、下の通り2000年の5月頭です)、

>悪ふざけ架空戦記2 投稿者:不沈戦艦  投稿日:05月05日(金)23時36分07秒
>
>暦新島上陸作戦
>
>
>「何と?上陸作戦ですか!?直接酉国に侵攻すると!!」

 週一ペースでじわじわと連載して来た「暦新島上陸作戦」ですが、これで終了です。前作「戦艦『百舌鳥』大作戦!」の続きの話として始めましたが、始めた当初と現在とでの「NC4系その他のネット界の状況」が激変してしまったので、それなりの古参の人でないと「意味がよく解らん」ということになってしまうでしょうけど、それはご寛恕願います。それに、期間が長かった割りには、前作より短いので、ボリュームとしては物足りないものになってしまったかも知れませんね。また、酉板はなくなってしまうし、色々騒動もあったりと、この二年半程の間はなかなか大変でしたねぇ。

 さて、この後ですけど、差し当たってこの続きを書くつもりはないです。今の日本茶界隈の状況は、パロディにする意欲が湧くようなもんじゃありませんから。それこそ「シャレにならん」ので、このシリーズはこれにてお終いとさせて頂きますが、悪しからずご了承願いますね。











悪ふざけ架空戦記2 第101回〜第110回


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