悪ふざけ架空戦記2   暦新島上陸作戦




第61回〜第70回









「はあ。現在、一航戦、二航戦、ともに出撃準備を進めています。間もなく、攻撃隊発進準備となる筈ですが」

 ムクマー少佐は、一応ということで○○○○○○に現状を伝えた。

「○○○、○○○○でしょう。攻撃隊が出れば、○○○のみならず、○○でも酉国に○○○○○○ですね。上手く行けば、そう遠くない先には、状況は好転することになるでしょう」

 ムクマー少佐には、○○○○○○が何の事を言っているのかよく解らなかったが、○○○○○を言って○○○○と○○○○ので、何も言わず黙っていた。



「攻撃隊発進準備完了!」

 一航戦旗艦「フューチャーシンキング」の艦橋に、攻撃隊発進準備完了の報告が届いた。ようやくのことである。どちらかと言うと、「今まで何をやっていたのか」というくらいだ。すでに、艦は風上に向かって、30ノットで行進中である。

「それでは、発艦を始めて下さい」

 ゾック少将の命令により、車輪留めが外され、先ずは戦闘機から発進を開始した。発艦の順番は、機体の重量の順に、艦戦、艦爆、艦攻となっている。

 先ず、先頭の「Ang15 アンジェロ」がするすると甲板上を滑走して行き、ふわっと浮き上がって艦から離れて行った。更に何機かの「アンジェロ」機が続けて発艦し、艦爆隊の番になる。

「オーッホッホッホッホッホッホッホッ、皆の衆いくわよ〜、はっし〜ん!!」

 スター・プラスチック少佐の愛機、「Brd14 フェミヲトトリ」艦爆が、滑走を開始した。艦首を過ぎて飛行甲板が切れ、一旦宙に浮いたところで、若干機体は沈み込み、それからおもむろに上昇を開始する。250キロ爆弾を装着しているので、艦攻に比べれば重くはないが、それでもそれなりの挙動であった。

 艦爆隊の発進の次は、艦攻隊の番である。重厚なエンジン音を響かせている「Szk22 マリンランド」が、800キロ爆弾を抱いて滑走を開始した。さすがに、この機体の重量だと、発艦直後の沈み込みも並みではない。下手なパイロットが操れば、海没しかねないほどである。だが、さすがに発艦に失敗した機体はなく、全機無事に上昇し、艦隊上空で旋回を始めた。各艦の全機の発艦を待って、編隊を組んでから攻撃に向かうのである。

「いいわね、みんなよく聞くのよ!!あたいらスタプラ一家が、栄誉ある先陣を承ったのだわさ。第一目標は暦新島の酉国海軍航空隊基地、第二目標は陸軍航空隊基地。酉さんたちの頭上から爆弾の雨を降らせ、更地に変えてやるからね、解った?皆の衆!!」

「ほいほいさ〜!」

「きゃ〜っ、痺れちゃうわ〜」

「お姉さま、すてき〜」

「頑張るわよ〜」

「見てて頂戴〜」

 スター・プラスチック少佐は、一航戦のみならず二航戦も含めた総攻撃隊長に任命されている。「スタプラ一家」のいつもと変わりない様子に、苦笑している攻撃隊員も多かったのは事実だが、今さら驚くほどの事でもない。

「フューチャーシンキング」「ヒストリー」「ボッタクリー」「モンキーボード」の四隻から飛び立った第一次攻撃隊は戦闘機64、艦爆48、艦攻36の計148機。地上攻撃任務なので、艦爆も艦攻も陸用爆弾しか搭載していなかった。発艦が全て終わり、艦隊上空で編隊を組んだところで、攻撃隊は暦新島に向かう。二時間程度で暦新島上空に到達し、攻撃を開始できるはずである。
(第61回終了)




「いいえわ〜た〜し〜は〜 イッチョカミのパ〜 お気の済〜む〜ま〜で〜 カ〜むがいいわ〜 アナタは遊びのつもりでも〜 地獄の果てまでイッチョカむ〜」

 スター・プラスチック少佐はすっかりご機嫌で、鼻歌が飛び出している。

「anoo,sokomade rakkan shiteite iindeshouka? watashi ha rokudemonaikotoni naruyounakigashite shouganaindesuga」

 後席のギーモン中尉が、スター・プラスチック少佐に話しかけてくる(ちなみに、上記のセリフは横文字で書いてはありますが、単なるローマ字なので、普通に読んで下さい)。

「ほ〜っほっほっほっほっほっほっ、イヤぁねぇ〜、ギ〜モンちゃん。そんなこと気にしないでもいいのよ〜。ほ〜っほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっ」

 とにかく、やたらにハイテンションで楽しそうな、スター・プラスチック少佐であった



 暦新島上空には、「カネカシテクレー」偵察機を迎撃した時に、「矢鴨」が何機か出てきていたが、「カネカシテクレー」を取り逃がしたあと、出撃した機体は基地に戻っていた。「矢鴨」は迎撃戦闘機であって、制空戦闘機ではない。巡航速度での滞空時間はそれほど長くはないので、そう長い時間は上空に張り付いていられないのである。この点は、酉国海軍の「舌切雀」戦闘機の方が、優れていた。

 しかし、どちらにしても、海軍航空隊も陸軍航空隊も上空警戒をやっていなかったので、あまり意味はなかった。ちゃちゃちゃ海軍の空母艦載機が暦新島上空に到達した時には、一機も敵戦闘機の姿はなく、攻撃したい放題と言えるような状況である。

「それゆけ〜、あははははははははは、ワリャ!(笑)

 スター・プラスチック少佐は、愛機が酉国海軍第222航空隊基地の上空に達したところで、急降下を開始させた。戦闘機どころか、対空砲火も撃ち上げられてこない。眼下の基地には、ずらりと各種航空機が並んでおり、攻撃してくれと威王、もといイワン、いや言わんばかりである。

 高度計の針が五百メートルを切ったところで、スター・プラスチック少佐は投下索を引き、爆弾を機体から切り離した。黒い塊は一直線に目標の格納庫とおぼしき建物を目指し、ドンピシャリで命中する。

meichuu! honki no toukashita bakudan ha kakunouko ni meichuu shimashita」

 後席のギーモン中尉が、戦果を確認した。続いて、後続の各機も立て続けに急降下を開始し、思うままに250キロ爆弾を叩き付けた。すでに、眼下の敵基地では、何発もの爆弾が炸裂し、収拾のつかない状況になってしまっている。

 艦爆隊の攻撃が終わると、続いて艦攻隊が編隊を組んだまま滑走路上空を横切り、先頭から順番に爆弾を投下した。滑走路上で八百キロ爆弾が炸裂すると、コンクリートの破片が大量に舞い上げられ、周囲に飛び散って行く。無理に発進しようとした「舌切雀」が、八百キロ爆弾の爆風によってひっくり返り、ガソリンに引火して炎上する。とにかく、酉国海軍航空隊基地は阿鼻叫喚の地獄と化し、一切の能力を失ってしまったことに間違いはないようだ。
(第62回終了)




 陸軍航空隊基地の方は、同じようにはいかなかった。攻撃隊が上空に到達する寸前に、何機か「矢鴨」が発進して迎撃に上がって来たので、「アンジェロ」隊は先ずそれに対応せねばならなかった上に、眼下の基地には、敵機の姿がほとんど見えていない。というのは、暦新島の酉国陸軍航空隊基地の周囲は森に囲まれており、その中の航空機用掩体壕に、機体や燃料弾薬を分散収納していたからである。これでは、周囲の森全てを焼き払いでもしない限り、敵機に対する攻撃はできない。しかし、周囲の森全てを焼き払える程の攻撃力はないので、そんなことは不可能である。それこそ、戦略空軍の「スーパー・エントロピー」機を動員し、ナパーム弾を山のようにばらまきでもしない限りは。結局、通り一遍、酉国陸軍航空隊基地を攻撃したが、滑走路を復旧されたところで、直ちに基地機能が回復するであろうことに疑いない、という程度の打撃しか与えられなかった。



「敵、大編隊来襲!海軍航空隊基地を爆撃中!!」

 報告を受けるまでもない。乱舞する敵機が立てる爆音と、炸裂する爆弾の爆発音が、嫌と言うほど鳴り響いている。

「全軍に命令。対空戦闘を開始して下さい」

 里在三将軍は、麾下陸軍部隊のみならず、航空隊や海軍にも命令を発した。一応、暦新島防衛軍の総司令官は里将軍なので、海軍航空隊や海兵隊にも命令を出すことはできる。しかし、それは酉国陸軍参謀本部・酉国海軍軍令部経由で伝達されるので、目と鼻の先にいる海軍航空隊や海兵隊に、直接指揮を取れる訳ではない。

 しかし、陸軍部隊と陸軍航空隊の行動は素早かった。酉京市や周辺に駐留している部隊では、高射砲に兵が取り付き、応戦の準備がすぐに行われている。それどころか接近してきた敵機に、早くも対空砲火を浴びせ始めている高射砲もあるくらいだ。また、陸軍航空隊では、爆撃を受ける寸前に、何機かの戦闘機を発進させている。それ以外の機体は素早く掩体壕に待避し、被害を極限させていた。やはり、直接指揮下にあるのと、間接指揮下にあるのとでは、対応のスピードが違ってしまうのだ。とはいえ、ちゃちゃちゃ海軍航空隊が、酉国海軍航空隊基地を優先して攻撃したからこそ、この差が出たことは否めないのだが。



「第一次攻撃成功、我、敵酉国海軍航空隊基地を粉砕せり。しかし、敵酉国陸軍航空隊基地の損害は軽微。第二次攻撃の要ありと認む」

 スター・プラスチック少佐機からの打電が、「ドッグボード」のヨン艦隊司令部に届くと、○○○○○○は○○○そうな○○○た。

「手ぬるいようですね。海軍航空隊基地を潰せても、陸軍航空隊基地は駄目だった、というのですから。やはり、『○○○』が○○○○○○○は、○○○○○○○ようです」

 ○○な○○を○○○いる○○○○○○であった。
(第63回終了)




「まあしかし、完璧に敵航空戦力を潰せなかった、というのであれば仕方ありません。第二次攻撃の準備を命令して下さい」

 ○○○○○○は、更に第二次攻撃隊の発進準備を指示した。

「あのー、三航戦はどうしましょう?もっとも、三航戦と言っても、この『ドッグボード』だけなんですけど」

 ムクマー少佐が、遠慮がちに質問した。

「○○○○?この『ドッグボード』は、まだ戦闘に参加していないんですか?」

 ○○○○○○は○○○○○に言う。

「はぁ。特にヨン提督やテイラー提督からは、指示がありませんでしたから」

「やはり、○○○○○○○は○○○○○○○ね。○○○○○○○ら、こんな○○が○○○になるんだか。でも、○○○○○となれば、○○○○○は○○○せん。早く、この『ドッグボード』の攻撃隊も出せるようにして下さい」

 ○○○○○○の○○○○○○○では、ヨン提督ののんべんだらりとしたやり方は、○○○○○○が○○○○。これでようやく、『ドッグボード』も、マトモに戦闘に加入することになりそうだ。



「暦新島が攻撃を受けているぞ?!ちゃちゃちゃのキチガイどもか?」

 雑談港港外の戦艦「家鴨」の艦橋で、図茂艦長は航海長の街番五中佐に質問した。「家鴨」の艦橋から、暦新島の酉国海軍航空隊基地に加えられている爆撃の様子は、遠目にはなるもののよく見える。雑談港からの距離もそうないし、見通しも良いからだ。それに、爆撃による轟音が、そこら中に鳴り響いていた。

「間違いありません。ちゃちゃちゃ海軍の空母艦載機による空襲です。先ほど、航空隊基地から、ちゃちゃちゃ海軍機による攻撃、と何度か打電していましたから。今では、無電施設が破壊されたらしく、通信は途絶してしまいました」

 状況の急変に、街番五中佐も青ざめている。まだ、敵機の攻撃は「家鴨」の方には向かって来ていないようだが、上空援護なしに空襲を受けた場合、最悪「家鴨」が撃沈される可能性もある。「チーズ奪取作戦」の時、「百舌鳥」が敵艦載機の空襲でほとんど損害を受けなかったのは、僥倖もいいところであったのだから。

「そうか。それでは、その内この『家鴨』にも、敵機の空襲があるな。さっさと逃げ出すか、上空援護を要請しなければならんだろう。おれとしては、キチガイどもの相手なぞは真っ平御免だ。逃げる方を優先したいところだな」

 図茂艦長は、「家鴨」を暦新島近辺に置いたまま、戦闘に参加する気はあまりないらしい。

「しかし、攻撃を受けている場所からいきなり脱出するのでは、あまりに・・・・」

「別に構わんだろう。大体、おれたちの任務は、輸送の護衛なんだからな。物資の揚陸も、それなりに終わっていて、今はやることがあまりないくらいだ。敵と戦え、という命令でも来れば話は別だが、そうでなければ問題はない。鳥酉艦隊司令部の阿呆どもが、そんなまともな指示を出すとも思えないしな」

 結局、図茂艦長の考えは、鳥酉艦隊司令部からグダグダ言ってくる前に、さっさと逃げだそう、というものであった。戦艦一隻に駆逐艦が少々程度の戦力で、空母部隊とやりあうなど、心底から真っ平御免だ、と考えていたのである。

「そういう訳だ。退避行動の為、出港準備。キチガイどもが向かってこない内に、逃げ出すぞ」

 何の躊躇いもなく、街番五中佐に命じる図茂艦長であった。
(第64回終了)




 鳥酉艦隊司令部にも、「敵艦載機、暦新島海軍航空隊基地を空襲中」の報は届いている。しかし、司令長官の米鉢次帥も、参謀長の田岡中将も、その意味が解っているんだか解っていないんだか、訳の解らない対応しかしようとしなかった。


「田岡は、まだ状況は判明していないと思うぞ。

#敵艦載機の空襲は確かに暦新島に加えられました。
#しかし、まだ敵の意図は解りません。
#今のままでは、情報不足です。

 情勢が判明しない以上、対応はしばらく待った方がいいと田岡は思うぞ」


 田岡参謀長は、結局は事なかれ主義のようだ。あまり積極的には動きたくないらしい。

「いよいよ、核武器の出番かも知れませんね。いつでも、使用できるように、連絡をしておいて下さい」

 米鉢次帥は米鉢次帥で、激烈な対応をいきなり行おうとしているようだ。一応、暦新島は酉国領土であるのに、核兵器の使用を躊躇うことはないようである。

「米鉢閣下、さすがに核兵器は止めにしませんか?被害範囲が広すぎますよ。そのようなモノを、国内で使用するのはちょっと・・・・」

 ムエ少佐の意見は、たちどころに却下されてしまった。

「何度言ったら解るのですか!核兵器ではなく、核武器です。偉大なるチョソン民族の呼称を、蔑ろにしてはいけません!!それと、外道な敵に対抗する為には、ある程度の犠牲もやむを得ないのですよ」

 米鉢次帥は、ムエ少佐の提言を聞くつもりは全くないようだ。何が何でも「核武器」を使うつもりらしい。いつの間にか、途方もなく過激になっているようである。



「海軍航空隊基地壊滅。全施設の使用不能、航空機の大半が地上で撃破された模様。しかし、陸軍航空隊基地の損害は軽微にて、間もなく一部滑走路の修復が終わり、戦闘機の発着が可能となる。敵空母部隊の規模は不明だが、今後空襲が繰り返される恐れあり」

 里在三将軍のもとに、状況についての正確な情報が入ってきたのは、小一時間ほど経ってからの話である。

「また、派手にやられましたね。セオリー通り、航空兵力への攻撃からですか。とにかく、陸軍航空隊基地の復旧を急いで下さい。戦闘機を空中哨戒させないと、次以降の空襲に対処できません」

「ところで、雑談港沖にいる、海軍の戦艦『家鴨』はいかがしましょうか。敵が上陸して来るのなら、『家鴨』の艦砲の支援が欲しいところですが、そうだとするなら敵機が『家鴨』を見過ごす訳がありません。海軍のことは海軍でやれ、と言いたいところですが、海軍航空隊基地が壊滅してしまった以上、『家鴨』にそのまま留まって貰いたいのなら、上空援護の戦闘機を出さなければなりませんね」

 参謀長の可口可楽大佐が、里将軍に意見した。
(第65回終了)




「難しいところですね。敵が上陸して来ないのなら、いっそのこと『家鴨』には、退避して貰った方が良いのですが・・・・」

 里将軍がそう言ったところで、「家鴨」の挙動についての報告が入る。「家鴨」は錨を上げ、出港し遠ざかって行く、とのことであった。

「何と・・・・さっさと逃げ出してしまった、ということですか。まあ、取り敢えずはいいでしょう。『家鴨』の戦力が必要になった場合、鳥酉艦隊司令部に要請し、呼び戻す命令を出して貰えば良いでしょうから」

 指図するまでもなく、逃げてしまった「家鴨」の事は、いつまでも気にしていても仕方がない。里将軍の指揮下にある部隊という訳でもないことでもあり、逃げて行ってしまったとしても、あまり文句は言えないのだ。

「ところで万が一の話ですが、敵が上陸して来た場合はどう対処しましょうか。私としては、このまま酉京市から動かすべきではない、と考えていますが」

 里在三将軍は、可口可楽大佐に意見を問う。

「それでよろしいかと。都市に籠城しての便衣兵戦術こそが、我が酉国陸軍の王道を行く戦法です。正義は我にあり、何も臆することはありません」

 可口可楽大佐も、里将軍に賛同した。里将軍も「我が意を得たり」と言わんばかりに大きく頷いた。

「その通りですね。戦時国際法がどうのこうのと言う、イカレた戦争キチガイどももいるようですが、我が国への侵略が行われた場合、攻めてくる方が悪辣であり、一方的に悪いのです。その悪辣な敵に、どのような対処をしたところで、道義的に悖ることはありません」

 結局、里将軍は「酉京市でのゲリラ戦」以外、やるつもりはないようだった。水際陣地での防御などの選択は、考えてもいないようである。



 ヨン艦隊から暦新島への第二次攻撃は、それから三時間ほど経ってから行われた。今度の出撃機は、戦闘機36、艦爆24、艦攻18の計78機。第一次攻撃隊よりかなり少ない。すでに、ヨン艦隊にとっての最大の脅威である、海軍航空隊基地を叩き潰してしまっているので、第二次攻撃は前に比べれば少数機で行われたのである。しかし、話はそう簡単ではなかった。しばらく時間が空いた為、陸軍航空隊基地の復旧が間に合い、暦新島上空では「矢鴨」戦闘機50機が待ち受けていたのである。
(第66回終了)




 暦新島上空を旋回している「矢鴨」を発見したところで、「アンジェロ」隊の半数は「矢鴨」に突っかかって行き、残りの半数は艦攻と艦爆を守っている。しかし、明らかに「矢鴨」の方が数が多いので、突っかかっていった「アンジェロ」隊が「矢鴨」の全機を引き付けることはできない。「アンジェロ」を振り切った「矢鴨」隊は、艦攻と艦爆を狙って、攻撃隊に突っ込んでくる。数少ない「アンジェロ」が、何とか「矢鴨」を追い払おうと奮戦するが、所詮は多勢に無勢、艦攻や艦爆を守りきれるものではなく、たちまち被撃墜機が続出した。

 それでも、何とか陸軍航空隊基地を攻撃はしたものの、効果は僅少である。戦闘機にまとわりつかれながらの攻撃で、正確に目標に爆弾を投下できる訳はない。それはそれで当然の話だ。

「第二次攻撃は、敵戦闘機の妨害より効果少なし」

 攻撃隊隊長の「ドッグボード」隊デヒ少佐から、ヨン艦隊に報告が入る。



「どうも上手くないようですね。まだ敵の航空戦力を完全に叩き潰せてはいません」

 デヒ少佐からの報告に、○○○○○○は○○○だ。攻撃隊を二回放って、敵の海軍航空隊基地は潰せたものの、陸軍航空隊基地はまだ健在である。

「第三次攻撃の準備の方はどうなっていますか?」

 第二次攻撃隊は、二航戦と三航戦からのものだったので、次は一航戦と二航戦の残りの機によるものとなる。戦闘機72、艦爆48、艦攻48、合計168機。第一次攻撃隊より規模が大きい。なお、すでに日は傾きかけており、さすがに日没後の空襲は不可能なので、この攻撃が最後になる。

「間もなく発進可能となります。第二次攻撃隊が帰って来る前に出せるようですが」

 ムクマー少佐が返答すると、○○○○○○は一応頷いた。

「それにしても、本当に対応が遅かったですね。やはり、○○○○○○では○○○○○○ん。そこ○○○○○○○の○○○で、○○と○○な○○を○○○○ものです」

 涎を垂らして熟睡しているヨン提督を○○○○○○○○である。しかし、ヨン提督はそんなことは知らず、実に幸せそうな顔をして眠っていた。偶に何かぶつぶつ寝言を発していることもあるようだが、あまり意味を為した言葉が出てこないので、何の夢を見ているのか誰にも解りはしない。

「・・・・・・・」

 ムクマー少佐としては、○○○○○○が○○○○を○○○○○○いたところで、何か口を差し挟むことはなかった。○○○○○に、下手に○○○○○になっても○○○○○ので、知らんフリをしている訳である。

「ヤッ、ド〜モ。ドモドモ、ド〜モ。J.U.テイラーです。でわでわ。(^^)/」

 しばらく大人しくしていたと思ったら、またテイラー代将が騒ぎ出したようだ。しかし、○○○○○○は、○○○に○○○○○○で一瞬代将の方を向いただけで、○○○○○○○している。ムクマー少佐も相手にするつもりはない。
(第67回終了)




「でわ、今度は二航戦の空母に、暦新島への艦砲射撃をかけるように命令しましょう」

 テイラー代将が命令を発するが、誰も取り合わないので、話はそれで終わってしまう。思い付きで支離滅裂な命令では、それも当然だろう。そもそも、空母で艦砲射撃を加えても無意味である。空母には、高角砲しか搭載していない。それで艦砲射撃をやってやれないことはないが、そのような任務は、基本的に戦艦や巡洋艦のものであり、空母を使用して艦砲射撃を行う、という話はあり得ないのだ。そんな馬鹿げた命令を下しているようでは、テイラー提督が相手にされなくなっても、致し方あるまい。



「どうなんですかね?空襲の成果の方は」

 ルドルフ・ナンバー将軍のもとには、「第一次攻撃効果あり。第二次攻撃効果僅少」との連絡しか来ていない。これでは、暦新島の敵部隊にどれほどの打撃を与えたのか、まるで解らない。

「さぁ・・・・・よく解りませんが。まあ、普通にやれば、負ける訳ないのですがね。戦力は圧倒していますから」

 グラス・スカイラーク中佐も思案顔だ。ヨン艦隊の後方を低速で航行中の輸送船団では、海空戦についての情報を得ることはできない。ヨン艦隊は海軍、ルドルフ将軍が陸軍とくれば、情報のスムースな伝達も望み薄である。一応、統合幕僚本部はあるものの、陸海軍間が仲が良く意志の疎通がスムースだということは大概の国家についてあり得ない話であるし、ちゃちゃちゃ国についても当然の如く、そうであった。

「それが問題なのです。『普通であれば』結構ですが、普通ぢゃないですからね。ヨン提督たちは。○○○○○○サンあたりが、○○○○○にいてくれれば大丈夫ですが、そうでない場合は大変でしょうネ」

 ルドルフ将軍も、ヨン提督らの問題点について、聞いたことがない訳ではない。一応「痴呆提督」についての噂くらい、陸軍にも届いている。

「ハハハハハー、ワタクシは『○○○○○○○』を名乗らせていただいておりますので、○○○○サンには期待しているのですよ。○○○に働いてくれれば、○○○○○○サンほど、熱心な人もいません。仮にヨン提督が昼寝をしていても、彼に任せておけば大丈夫でしょう(キッパリ!)」

 状況が解らないまま放言しているルドルフ将軍だが、ここでは上手いこと「○○○○○○サンが○○○に働いて」いるので、将軍の言った通りになっていた。しかし、将軍には客観的情勢は知りようがないので、それは確認できないようである。



 第三次攻撃隊は、午後遅くなってから、ようやく発艦していった。すでに、午後三時半を回っており、日はかなり傾いている。攻撃が終了し、帰って来る頃には、かなり薄暗くなっているだろう。さすがに夜間の発着艦はできないので、これ以上の攻撃は不可能である。戦闘機72、艦爆48、艦攻48、合計168機を予定していたが、艦爆と艦攻が一機ずつ、直前で故障が発生し攻撃隊から除外されていた。結局、166機が出撃した。
(第68回終了)




「○○○○○、これでかなりの成果をあげられるでしょう。○○○○○○○とは、○○○○○○んですよ、私は」

 攻撃隊発進を見守りながら、○○○○○○は楽しそうに笑っている。なお、ヨン提督はまだ熟睡中で、○○の笑いも何も全く知らない。一体、一日何時間寝ているんだ、と思わず不思議になる程、よく寝付いている。涎は垂れ放題だが、鼾や寝言はないので、静かなものだ。○○○○○○が○○○○も、ウンともスンとも言わないくらいでもある。テイラー提督の方は、誰に対して言っているのか、いつもの「ヤッ、ド〜モ。ドモドモ、ド〜モ。J.U.テイラーです。でわでわ。(^^)/」を繰り返しており、訳が解らないままだった。



 本日最後の攻撃隊が暦新島上空に到達した時、上空にはやはり「矢鴨」戦闘機が待ち受けていた。しかし、先ほどの迎撃より少なく、40機しかいない。72機の「アンジェロ」戦闘機の方が数が多く、最初から圧倒した戦いとなった。「アンジェロ」隊は直援戦闘機を20機ほど残すと、後の全機が「矢鴨」隊に襲いかかってゆき、各機が思い思いの空中戦を展開する。それを突破して攻撃隊に突っかかろうとした「矢鴨」が全くなかった訳ではないが、ほとんどの機体が「アンジェロ」との空戦をこなすのに精一杯で、艦爆や艦攻を攻撃する余裕はない。数機がそれでも攻撃隊の方に突っかかって来たが、たちまち直援戦闘機に撃退され、何の戦果もあげることはできなかった。

 攻撃隊が暦新島の酉国陸軍航空隊基地上空に到達したところで、艦爆隊は撃ち上げてくる対空砲火をものともせず急降下を開始し、ピンポイントで250キロ爆弾を投下し始めた。艦攻隊は、艦爆隊の攻撃が終わった後で、編隊を組んだまま滑走路への水平爆撃を敢行する。この攻撃で滑走路が大破した為、陸軍航空隊基地の機能は、差し当たってはほとんどゼロとなってしまうことになる。



 日が暮れ始めた頃、第三次攻撃隊はヨン艦隊の各空母に戻って来た。間もなく日没が訪れ、辺りは闇に閉ざされる。翌朝まで、空母部隊の作戦行動はやりようがない。

「夜の間に、暦新島との距離を詰めておきましょう。充分だったとは言えませんが、今日の攻撃で敵の航空戦力はかなり潰せました。空襲を受ける心配はあまりないので、接近しても大丈夫な筈です」

 ○○○○○○の指示で、ヨン艦隊は暦新島に向けて接近を続けた。敵の航空部隊の脅威が減ったので、なるべく暦新島に接近してパイロットの負担をなくすことは、当然の話である。



 夜に入って、里在三将軍の司令部でも、被害の集計が済んでいた。日中の空襲で海軍航空隊基地は壊滅、陸軍航空隊基地も滑走路や一部施設を破壊され、機能喪失状態となってしまっている。更に、空中戦で「矢鴨」戦闘機15機が撃墜され、10機が被弾して損傷していた。但し、被撃墜機でもパラシュートで脱出した者が多かったので、パイロットの損害はあまり多くはない。なお、陸軍航空隊基地の方は現在必死で滑走路の修復作業中であり、夜明けまでには再使用可能とのことだった。しかし、海軍航空隊の方はどうしようもなく、復旧には一ヶ月以上かかりそうな状況である。
(第69回終了)




「陸軍航空隊の方は何とかなりそうですが、海軍の方は駄目ですね。問題は、この攻撃が明日も続くのか、ということでしょう。敵情が不明で、何を意図しているのか、さっぱり解りませんから」

 里将軍は、参謀長の可口可楽大佐に話しかけた。未だ、里将軍は敵艦隊が上陸船団を伴っており、暦新島への上陸作戦を狙っている、ということを知らないのだ。しかし、それはそれで仕方あるまい。海軍の偵察機が事前に発見したのは機動部隊だけで、その後方をノロノロ進んでいた上陸船団までは発見していない。実際、機動部隊発見だけで逃げて行ってしまっているくらいなのだから、それもそうだろう。上陸作戦を伴うのか、それとも機動部隊による空襲だけで済むのか、情報が少なすぎて解らないのだ。

「一応、参謀本部の方には問い合わせているのですが・・・・有益な情報は送ってきてくれないですね。未だに」

 可口可楽大佐が愚痴をこぼす。

「しかし、どんな事態にも、対処できるようにしなければなりません。敵の上陸も要素としては入れておきましょう」

 里将軍は、そう言うと可口可楽大佐と一緒に、麾下部隊の配置状況について、再検討を始めた。



 夜明け直後、○○○○○○の指示で、再度暦新島に対する空襲が行われる。更に、一日中の反復攻撃で、暦新島酉国陸軍航空部隊はほぼ全滅。それだけでなく、地上部隊への攻撃も行われ、高射砲部隊などに、そこそこの損害を出していた。しかし、さすがに酉京市に対して絨毯爆撃などを行えた訳ではないので、市内に籠もっている里在三将軍の陸軍部隊は、さほどの被害は受けていない。



「ちょいと、『もづ』はどこへ行ったのよ?あの後、全然行方が知れないんだけど」

 一航戦「フューチャーシンキング」では、スター・プラスチック少佐が不満を漏らしている。「家鴨」の存在を確認しているのに、一度も「家鴨」への攻撃隊出撃命令が下りず、そうこうしている内に、「家鴨」自体の行方が解らなくなってしまったことが、不満なのだ。

「さぁ・・・・・どうやら、暦新島から遠ざかって行ってしまったようなんですよね。島の上空に貼り付いている偵察機からも、『百舌鳥級戦艦を発見した』という報告はありませんから。だとすると、今更暦新島に近寄って来ることはないでしょう。航空戦力も壊滅してしまったことですし」

 ゾック少将が告げると、少佐はプリプリと怒り始めた。
(第70回終了)











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