この日記はアスキー24に連載中のコラム「メディア呑氣堂」第十五回と第十六回の企画として
計画実行された「1週間の無電力生活」の記録です。
八月十二日 土曜日 晴天
世間では盆休のはじまり、我は本日より百年前の生活。
起きると成る程これが明け六つかという薄明。
早速浴衣着用。麦茶をわかす。
朝飯には味噌汁、と思うがあいにく米飯がないのでゆでそうめんを味噌汁に
入れたにうめん式のものとす。昨日市場で買った枝ごとの枝豆もゆでたがこれ
も驚く程うまい。それにしても日の出前というのに台所で焚き物をしていると
暑くてたまらぬ。
枝豆を枝から切り離すにも、煙草すうにも茶をのむにも、いちいち縁先なら
ぬベランダに出て行う。手巻煙草には煙草盆が欲しくなったので空箱を工夫
す。ネットをチェック。井上氏、ののした氏、美緒ちゃんからメール。これか
ら縫い物など。
まだ八時にもならぬらし。が、日向は燃え、蝉が五月蝿い。
着物でやっかいなのは、やはりいちいちじゅばんに襟を縫いつけねばならん
ところだろう。浴衣が一枚しかないので合い物の着物用じゅばんに襟つけをし
ておく。つけ終ったら、じゅばんをたたんでしまわねばならないが、これにい
ちいちマニュアルが要る。着物は好きだが決して慣れ親しんでいるわけではな
いので、じゅばん一つたたむにも解説本(『着つけと帯結び』講談社刊)とく
びっぴきである。つくろいものの途中でようやっと八時の時報が鳴る。早起き
すると一日が長いわい。
部屋を移動するごとに電気のスイッチに反射的に手が伸びてしまう。さっき
もトイレの電気をうっかりつけてしまった。
だいたい昔の日本家屋だと、はばかりには灯りとりの窓があるもので、日中
には照明などいらなかったものだ。マンションの密閉便所には、だから照明と
換気扇が必要。ともかくいちいちろうそくを消費するのは勿体ないので扉をあ
けたまま用を足す。これなら隣室の窓からの外光があるので不便はない。八時
をすぎて後、室内温度上昇しつつあり暑い。
ロンドン、ヘイワードギャラリー『Force Field』展のカタログを発掘。これ
は一九二〇〜七〇年代のキネティックアートを様々に紹介したもので、つまり
は「動く芸術」展である。一緒に行ったりつこさんは「テクノロジーにまだ明
るく楽しい未来があった時代の芸術って感じ」と言っていたけど、まさにその
通りのすがすがしさ也。出展作の一つに、大きめのスパンコールを使ってすだ
れを作っただけの作品があった。それだけだけど、光をあてると不定形のミラ
ーボールのように輝く大変ごきげんなモビールだ。これの簡易版をつくろうと
す。材料、針金ハンガー、つり糸、いらないCD-ROM。CD5枚をつり糸でむす
んで行き、これをのばしたハンガーとつり糸で、ベランダにつるす。案の定シ
マが注目。風鈴もいいのだが、風が強いとやたら鳴ってうるさいから、これは
音のない風鈴というわけ(ちょっと鳥おどし風だが)。午後になって陽が斜め
になれば、キラキラ反射するはず。ま、いらないCD-ROMの活用法としては気
がきいてるだろう。つり糸をさがすついでにレンズ付きの万華鏡を戸棚から発
掘。いつもはかえりみられないこうした玩具に目が行くのは、TVをつけないせ
いでもあらん。
三度目の時報が鳴ったので十時のはずである。帯を絞めて出かけることにす
る。着崩れを直して又もマニュアル参照しつつ帯結び。簡単な蝶結びも一度で
は出来ず、二度目で完了。日傘がわりの雨傘をさして出かける。傘をさすだけ
でかなり暑さが和らぐので助かったが早速鼻緒ずれができた。
ラボによって、実は十時半と思ったのは十一時半だったと知る。時報を数え
間違えたか、それとも以前は朝八時から鳴っていた時報が九時からになったの
か。おかげで喫茶で昼食としてモーニングを食すつもりがランチメニューに
なってしまう。
帰るとCDモビールに陽があたり、反射光が乱舞していた。午後は暑いので大
人しく読書と思い『図書館警察』(スティーヴン・キング)読み始めるもあま
りの暑さに頭がボー……となったところ、電話。すずかちゃん来。実家のお土
産、のりとごま油いただく。おかげで暑い盛りの二、三時間を気散じにすごせ
た。陽が傾いてきたので、日のある内に食事と思い、彼女と共に出る。スー
パーに買い出し。購うた板氷、かちわりでビールと冷酒ひやし、梅おにぎり、
冷奴、朝の味噌汁(具にわかめ)とトマト一ケ。ベジタリアン風に仲々充実。
食後冷水浴。汗まみれの浴衣を浴槽で洗い、干す。まだ日があったので助
かった。今夜は朝襟をつけたじゅばん着て寝ることに。縁先ならぬベランダで
ビール片手に夕焼け堪能していたところ、電話。和子が唐突に「9月上旬、韓
国いかへんか?」。三万ぐらいときいて大いに揺れるが、ヨーロッパで散財し
たばかりだし、行けばまたうれしがって予定以上に散財するのは目に見えてい
るので、大変残念ながら辞退す。七時半頃か、外光はなくなった。たよりない
ろうそくの灯ではちょっとした用事にも不便であるので早々に寝ようと思う。
八月十三日 日曜日 晴天
今朝も明け六つ時起床。沐浴後、乾いた浴衣着る。室内では帯も伊達じめも
必要あるまいと思うので、腰紐のみでだらだらした書生のような着付。二日酔
(まったく日本酒は呑みすぎるものではない)で気分悪。麦茶わかし、りんご
一ケ、ジャム付パン、紅茶の朝食。かっぽう着をきて洗い物、歯磨(磨き粉を
つかえないので爽快感いま一つ)緑茶入れて墨すり、日記に向かう。日の出の
時刻がわからぬので、はっきりしたことは言えないが、そろそろ7時だろう。
起きぬけに浴室の電気を誤ってつけてしまう。腰紐のあたる辺がむずがゆく
てたまらない。発作的にTVをつけたくなることが時々。これらのことは、鼻緒
ずれと同じで慣れの問題也。
昨日より蒸し暑いせいもあろうが、今朝の気分がすぐれぬのは、やはり浴衣
生活に体が抵抗しているのだろう。夜は肩だの脚だのが凝ってよく眠れなかっ
た。寝がえりのたびにじゅばんの縫い目がぷちっと破れる音がする。今日はま
ずそのつくろいから始めねば。
昨夜寝たのは、もう十一時頃であったろうか?酒をすごしつつ『図書館警
察』を読んでいたが、Sキングの小説でひと晩たった六十数頁というのはあり得
ない。だいたい一晩か二晩でぐいぐい読んでしまうものが、そうはならな
い――結局、一冊の本が長持ちする――のは、やはり燭光のせいだろう。ろう
そくの灯は、本を読むには暗すぎるのだ。楽に読もうとすると、燭台にかなり
近づかねばならない。ところがそこには火が燃えているので当然あつい。この
問題の解決についてちょいと思いついた事があるので、本日実行せん。
又、ろうそくの火には知らず知らず目がひきよせられる。すると催眠効果の
ようなもので、とりとめもない考えが次から次へうち寄せる。結果、読書は進
まない、という事だ。ギリのアルコールランプをともした小屋のことが思い出
された。今日はメールチェックをよしておくかわりに手紙を書こう。
中西氏に手紙を書く。大まかな内容は控えておいたが、この「控えをとる」
という行為を驚異的に簡便化、半ば自動化したのがワープロソフトとEメールだ
ろう。手紙狂の江戸川乱歩は、人に出す書簡の全てをカーボン紙で複製し保存
していたというが、コピーもカーボン紙もない筆と墨の時代には一体……出し
てしまった便りは口から出た言葉と同じで所詮とりもどせやしないのだから、
控えなどとらなくてもいいようなものだが、公式の書簡はやはり控えが必要
で、それこそお城につめている書記係だの、お店の番頭さんなどがいちいち筆
写していたのだろう。
書き終ってみると、もう腹がへっている。ちっとも時報が鳴らないのでかい
もく時間がわからないが、まだまだ午前の早い時間――普段なら私が絶対起き
ていないような――であるのは間違いないが、腹がへったものは仕方ない。昨
日の残りの冷奴と枝豆――クーラーバッグに入れた板氷はわずかに溶け残って
いた。だから冷たくてうまいし、悪くもなっていない――それと梅干一ケ、朝
ゆでたとうもろこし食って、ベランダで一服していると、やっと時報が鳴る。
これはきっと九時だ。
さて、今日のお楽しみは、ネット通販で買った学研『大人の科学 エジソン
式コップ蓄音機』だ。コップに針でみぞをきざむことで録音と再生が出来る、
というのは以前教育TVの科学番組で見て、自分でもやってみたく思っていた
が、それが誰にでも簡単に組みたてられるキットになっているのだ!
さっそく組立開始。作業しながら感動が胸にこみ上げてくる。この解説書の
簡にして要を得た図解と文章はどうだ?パッケージをあけた時、意外と部品が
多い――妙な形に切られたパネル多数、様々な長さ大きさのボルト、ナット、
ワッシャー、配線、モーター、コップに縫い針、なぜかホック?こりゃお手上
げかも……と思ったが、手順どおりに部品を間違えぬよう組んでいくと、ある
べき物があるべき所にきちんきちんとおさまっていく快感。ひょっとして日本
のエンジニアリング最高峰というのはIT通信関連なんかじゃなくて学研の科学
編集部かも(くやしかったら情報通信ハード・ソフトのマニュアルも、これぐ
らいわかりやすくかいてみろ!)。エジソンは天才だが、このキット作った人
たちも間違いなく天才……と感動にふるえてるうちに出来上がり、さっそくふ
きこんでみるが……あれ?ダメ?しかしこんな場合のトラブルシューティング
もちゃんとマニュアルに書いてある。ピックアップのネジをしめすぎていたん
だ。軽く動くようにゆるめて再挑戦。わあっ、ほんとにエジソンのレコードみ
たいな音がするよ!ふきこんだのは勿論メリーさんの羊である。そうだ、明日
からこの蓄音機で音の日記もつけよう!いいなぁ、ほんとにわくわくする
なぁ。この感動をつたえるべく、アンケートに答えて投函しよう(抽選で記念
品がもらえるかもしれない!)。
昼間は暑いから出歩かないでおこう、ということも、台風九号の接近で、そ
うとも言っておれない。ぎらぎら照っているかと思うと、さーっと雲が覆う。
ぐずぐずしていると降ってくるかも。浴衣着直し、帯絞めて出かける。驚いた
ことに今日は3分とかからず一発できちんと蝶結びできた。慣れやなぁ。どう
せなら、もっと複雑で粋な結び方も、この機会に練習すれば出来るようになる
かも〜と思うが、クーラーなしでそんなチャレンジをすると大汗かくのは目に
見えているのでやめておく。祖母は何十回と、解いては結びをくり返して練習
したというが――。
モスバで昼食第二弾。ナンカレードッグ、冷コー、野菜不足を懸念してグ
リーンサラダ。楽しみにしていた新聞を読む。あすのこよみに、日の出五時十
七分、日の入り十八時四十八分とある。してみると今朝の目覚めは四時半頃に
やあらん。台風は関西には上陸しないらしい。ポテチにトカゲねぇ……新聞を
読んで最もむなしいのは番組欄だ。「わぁ、これ見たい!」と思っても見られ
ないもん。パリヤでかいもの。日本酒にこりたので、ひえてなくてもうまい酒
としてボルドーの赤購入。また板とかちわりの氷をかう。あとカップメン2
ケ。インスタントは邪道かもしれないが、保存がきくし、あいたカップはコッ
プ蓄音機のバージョンアップ部品として使えるのだ。天候がよめぬので、今日
は浴衣を洗濯したくないなと思っていたが、帰ったとたん滝のように汗がふき
出る。やっぱ洗わんと。
これでもまだ一時だ――が、朝の内に仕事や企画のメモもつくったことだ
し、午後は水風呂につかって読書でもしよう。でないとじっとしていても汗が
にじむばかり。
しまった。また風呂の電気をつけちゃった!
さて、水風呂につかってゆっくり読書、と思うが、採光の悪い風呂場の水
は、プールのようにはいかず三十分もつかっていると三、四時間もプールでは
しゃいだ小学生のように体がひえきってしまう。たまったもんじゃないので、
体と頭をあらいにかかるが頭皮の脂はせめてお湯を使わないと、とてもとれな
いな……仕方ない、明日にしよう。ああ、歩いて行ける距離に銭湯さえあれば
なぁ。
まだ日盛りだ。風は強いが浴衣を干した。この分だと寝るまでに乾くかもし
れない。化繊のじゅばんより、浴衣の方がやっぱりいいしな……ぬれた浴衣か
らはかすかに塩素の匂いがした。
時報鳴る。まだ二時?もう三時?いいやどっちでも。早くも冷やしたビール
あけて、ベランダはプールサイドのよう。干してある浴衣の写真をポラでと
る。デジカメは一杯になっちゃって、パソコンに転送するわけにもいかないの
で。昨日の枝豆を食べ切った。
みるみる乾く浴衣。直射日光ってすごいわ。でも浴衣は陰干が原則なんだけ
ど――安い浴衣はワンピース一着分ぐらいなんだから、もう一枚買っときゃよ
かったが。
八月十四日 月曜日 曇 風有
昨夕はまたもあれこれ考え事――着物は実はちっともきゅうくつじゃない、
とか、着物を着ていることなんぞより、コンタクトレンズが使えぬことの方が
苦痛、そしてこんなにも自分が時刻を気にしているのは案外だ、着物の動作と
ヴァチカンの聖職者のゆっくりした歩き方は、同じ種類のものなのかもしれな
い――等々、とりとめもなく考えをめぐらせ、同時に『図書館警察』を読み進
めた。日が没し、雲が桃色に染まる頃、文字が読みづらくなってきたので早々
に寝る。
途中八時半か九時頃だろうか、幼女が歌うひどく懐かしい童謡で目が覚め
る。何の唄だったか今では思い出せないが、近所の子が親に風呂に入れてもら
いながら、はしゃいで歌っているらしい。それからまたしばらくは寝ていた
が、腰紐のあたるおなかの部分があせもみたくなって、かゆくてたまらないの
と、腹が減ったのでとうとう起きてしまう。おそらく丑三つ時だろう。夜明け
までまだまだ間がある。まるで豆腐屋の起床時間。又はラジオ深夜便愛聴者っ
てところだ。とりあえずきつねどんべえ食べて麦茶わかし、二日に一度のメー
ルチェック。おや二通しか来てないよ。お盆ですね。
浴衣の下に体型補正用のタオルをまくことにする。腹巻みたいなものなの
で、暑くてたまらんだろうと、今まで使用してなかったが、最初からつけてお
けばよかった。これがあれば紐でしめつけられてお腹がかゆくなるようなこと
はなかったのだ。歯をみがき、一服つけてもまだまだ闇。一体何時だ?しよう
がないので墨をすって、この日記をつけ始める。昨夜はろうそくをつけるまで
起きていなかったので活躍の機会がなかったが、昨日工作――といってもうす
い板にカッターで切れ目を入れてぱきっと折ったもの――した卓上屏風を燭台
のうしろにたてる。こうすれば風で火が消えるということもなく、また間接照
明効果で手元がより明るくなるのだ。
我ながらいい考え。屏風って、着替えしてるとこを隠すとか、すき間風よけ
という機能の他は大して意味のない、むしろ美的な鑑賞物、ぐらいに思ってた
けど、照明機具としてもすごく役立つ!ということを知る。明るい色の和紙を
はったり、俳句のかきつけでもはって張交(はりまぜ)屏風にしてもいいな。
おやおや、まだ明けないよ。まいったね。ろうそくの灯でスティーヴン・キ
ングを読むってのも怖すぎるので別の本でも読もう。『ベニスに死す』(トー
マス・マン)を三分の一ほど読んだところで、ようやっと薄明るくなって来
た。かと思うと雨の匂いがして、さーっと降ってきた。久々の雨。昨日の最高
気温は三十三度ぐらいだろうか。台風の低気圧だから、じめっとしてとても爽
やかとは言えないが、涼しくなるのは歓迎。ベランダに出て足先に雨粒をあて
ながら残り物のとうもろこしを食べ切り、梅干一ケ、一服。涼しいのはいい
が、この天気では室内がろうそく必要な程暗く、陰気くさい。今日はベランダ
で読書かな。
あまりにうっかり電気をつけてしまうことが続くので、浴室やトイレのス
イッチにべたべたガムテをはりつける。ふせたり隠したりできない液晶表示の
時計(ビデオデッキなど)は、黒ガムテでかくしてある。
それにしてもようやっと三日目だ。きつい手巻煙草をすい続けているので、
気分はけっして良くないし――フィルター付の軽い煙草がすいたい!そうでな
くても体がどうにもだるいのだ。
ベランダで読書してるうち――本にはブックカバーをつけた。『図書館警
察』の表紙絵は怖すぎる――また腹が減ってきたので、ジャム付パン、コンソ
メのカップスープ、リンゴ一ケ、紅茶。お二階さんが起きたようで、TVと掃除
機の音がする。そろそろ7時、いや8時かな?さっきまでの涼しい風はぱた
り、ととまった。これは炎天よりも始末のわるい蒸し暑さ。体はどんどんだる
くなり、じとじと汗ばんでくる。
何をするのも面倒になる前に、と思い、コップ蓄音機で本日分の音日記をつ
ける。
あんまり気が悪しいので、風呂に入ることにする。昨日で水風呂には懲りた
ので、いちいちやかんに一杯湯をわかし、それを湯舟の中においたたらいにあ
けること三回。この湯を水でうめながら頭、顔をあらい、体にかける。うーん
気持ちいい!百年前のイギリス人の風呂という感じだな。腹の汗疹は巻いたタ
オルのせいで、よけいにひどくなっていた。行水おわってからタイガーバーム
をぬっておく。時報鳴る。八時かな?いや九時だろう――爪を切って、ややリ
フレッシュ。どうせ暇なんだもの。一日に何度も風呂に入ったっていいじゃな
いか!
この浴衣生活のうちにビデオを返しに行かねばならん。ちょっと遠い。幸い
今日は曇だから歩いてもさほど汗かかぬであろう、と出かけると十時の時報。
気温はまだ三十度に達しておらぬだろう。ラボで焼き増しの写真受取り、ビデ
オ返却。ついでにクーラーの涼しい書店で立ち読み。桜玉吉先生の『のんきな
父さん』購入。十一時になったので、チャンポンをかべで冷めんを食う。今日
はどうせ新聞休刊日だから、無理に新聞をおいている喫茶へ行くこともな
い――家から一番近いファミレスに新聞があれば助かるのだが――をかべには
TVがあるけど、高校野球って興味ないしな。湿気のこもった雲がみるみるふき
はらわれ、思いもよらぬ快晴になる。をかべでは昼間っからうまそうにビール
を飲っている人が何人も――やはり盆休みなのだな。そうだ、私も帰ってビー
ルを呑もう。ビールは真昼の酒だ。天気は上々となり、こんな日に湖岸(琵琶
湖まで車で5分)へ出かけたらさぞ愉快だろうと思うが、そうもいかぬので、
プールサイド=ベランダビールにするか。
コンビニで氷やつまみを購入。一応体に気をつかって牛乳もかう。すごい晴
になったが、湿気はなくなり、又風もあるのでリゾートの天気のようだ。これ
ならあきらめかけていた汗くさい浴衣の洗濯もできるだろう。帰宅して一服。
正午の鐘。朝方の陰鬱な気分もけろっとはれた。
又水風呂に入って冷え切る。ま、こんなにキラキラギラギラとした日盛りに
はかえってよかろう。しかしお肌のあちこちがちくちくむずがゆいのは、水道
水の塩素?カルキ?のせい……?
浴衣を干していて、朝顔につぼみ一つ発見!わぁ、明日が楽しみだよ。さ
て、まだ2時前だが、ビール呑んだくれて本でも読むかぁ。
『図書館警察』『のん父』読了。『浜辺とトップレスの社会学』(ジャン=ク
ロード・コフマン)、『ラカンの精神分析』(新宮一成)など乱読している内
に睡魔が――5時頃?寝る。8時前に一端目が覚め――窓外のイエローハット
の看板がまだ点灯しているので時間がわかるのだ。焼肉屋と韓国製の陶器の夢
を見て(こんな夢を見るのも、しっかりとしたものが食いたいという欲求の現
れなり)また近所の子の入浴音で目がさめる。腹がへったので今度は起きる。
幼い子が風呂に入れてもらう時間なのだから十一時より遅いということはなか
ろう。カレーヌードルを食う。もっとちゃんとものを食いたいが、暑い中で煮
炊きしたくないという気持ちはそれより強い。ベランダに出ると月がきれい
だった。氷で冷やしておいたトマトがあるから、それを肴にのみ直すか。
八月十五日 火曜日 晴天
結局寝たのは四時頃だった――新聞配達のバイク音を聞いたから、これは間
違いない。月があんまりきれいだったもので、ビールやワインを次々にあけな
がら本を読んだり考え事をしたりしていたのだ――酒に酔って考えた事という
のは、その時には大変いい考えに思えるが、寝て起きると胡散霧消しているも
のだ。
あぁ、何を考えていたか思い出した。こうして暮らしていることが、何とも
無意味に思われたのだ。二○○○年の現在にも、冷房装置なし風呂なしトイレ
炊事場共同という部屋に暮らしている人は多いだろうし、そういう人の中には
TVも冷蔵庫もなく、お客様の都合で電気も電話も止められているというケース
もあるだろう。又、夏場に家でくつろぐ折には必ず浴衣、という仁がいてもお
かしくはない。私のやっている“百年前の生活”というしろものは時代考証も
何も無視――だからファーストフードでめしも食うし、コンビニだって行っ
ちゃうのだ――ただのごっこ遊びに過ぎない。それにしてもこの暑さに一枚き
りの浴衣と長じゅばんをとっかけひっかえ着替えて生活というのはやはり苦痛
だなぁ。浴衣は綿の絞り地、いってみればサッカーみたいなゴワついた生地だ
から、腰のところでしっかりしめると汗疹が出来てかゆい。じゅばんはその点
楽だけど、化繊なので汗をすわないし、第一外出できない。百年前の日本人に
とって和服が洋服よりらくで快適だったというのは当然だ。当時の洋装はコル
セットで体をしめつけ、かたいカラーやカフスをしっかりつけなくちゃいけな
かったのだから。そんなものより浴衣がラクなのは当然だし、今ならTシャツと
ジーンズがラクなのは、これまた当然――あ、今は作務衣というのがあるけ
ど――。
まぁそういったことを考えていたのだな。それにしても日記を書くより他に
することのない人間の日記は長くなるな、際限もなく。
本当に面白い人生を送っている人の日記というのは絶対に読めないかもしれ
ない。そういう人は日記書いてるような暇はないはずだ。
ともかく、やっと四日目。目覚めると日は高い。外はすごい暑さだろうが、
日のあたらない奥に布団をしいてあるし、風が通るよう、風呂場の窓を開けて
あるので、いくらでも寝ていられるのだ。が、しかし今日はゴミの日なので回
収車が来る前にさっさと出しておこう。
外へ出て空を見上げる。立派な入道雲。この日の高さからすると八時九時と
いうことは絶対にない。十一時か、ひょっとしたら正午かも。タイミングよく
時報鳴る。甲子園では今ごろ黙祷が行われているかも。終戦記念日だからね。
そうだ、朝顔はもうしぼんじゃったかな?ベランダに出ると、小ぶりで淡赤
紫、白い星入りのがまだ咲いていた。この夏初めて、いや小学校以来の一輪な
ので大変嬉しい。早速ポラで撮影――二枚もとったけど、どちらも花の色が白
くとんでしまって失敗。
朝食にジャム付パン、コンソメカップスープ、トマト一ケ、紅茶。たすきを
かけて洗い物。麦茶わかし、墨をすり、一服つけてから日記を書き出すとい
う、いつもの行事。二度目の時報鳴る。一時かな。それにしても、どんなに環
境をかえても結局朝四時に寝て昼に起きるというぐーたらな生活は変えられな
いものよのう――。今日はメールチェックをしない。かわりに郵便物をチェッ
ク。DMの他、名古屋のバスルームさんからフリーペーパー『MIX POT』とどく。
ここには毎月連載しているので刷り上がると送ってくださるのである。ロンド
ンで会った友人に焼き増しした写真を送ろうと思う。やはりロンドンのブリ
ティッシュライブラリーのショップで手に入れた水彩画の用紙――ジャストポ
ストカードサイズで、旅先でのスケッチをそのまま絵ハガキにして送れる、と
いうもの――があるので、それに今朝の朝顔を水墨画風に描いて同封しようと
思いつく。暑いので網戸ごしにしぼみかけの朝顔を写生。けっこううまく出来
た!が、書き添えた筆文字は感心できない。これだけ毎日長文の日記を筆で書
き続けても、字は上手くならないということだ。仕方ない。スキャナかコピー
で絵の控えをとっておきたいように思ったが、やめておく。封をする。
海外郵便だから郵便局へ行って切手を買わねば。これが今日の用事である。
暇やなぁ……。コップ蓄音機に今日の音日記を録音し、外出の準備をする。
郵便局まで歩いていったらのどがカラカラになったのでモスバでオレンジ
ジュースをのむ。ここでは新聞が楽しみ。日経一紙しかないのが不満だが――
また少年の暗闇が爆発したのか。明日も晴で気温三十三度ねぇ。満月は今夜ら
しい。大した記述がないところを見ると台風九号はそれたのかな――等々。い
い加減腹がへってきたので戻りがてらファミレスへ。ハンバーグとサラダをた
べる。肉食にこだわるわけではないが、あっさりしたものばかり食っている
と、すぐ腹がへるのでせわしくていけない。たまにはこういう胸にもたれる消
化の悪いものを食べないとね――。『図書館警察』の後に入っていた『サン・
ドッグ』を読む。最後までコーヒーおかわりしつつ読むつもりがクーラーきき
すぎのため水風呂につかったように体が冷えてきたので出る。ローソンでおき
まりの氷と豆腐を買う。時計は5時。郵便局で三時だったから、やはり今日の
起床は正午前だったのだな。うまく寝つけるだろうか?夜更かしするのはかま
わないが、ろうそくがどんどんへってしまう。スキポール空港で買ったデルフ
ト文様のろうそくも、八時間もつというふれこみの(そんなにもたない)キャ
ンプ用ろうそくもほとんど燃えつきた。帰って早々戸棚をあさって、昔非常用
に買った亀山ろうそくを出しておく。
もう六時だ。しばらくはベランダで夕暮れを楽しもう。ビールもそろそろ冷
えているだろう。
七時の鐘が鳴って、もうてんで文字が読めなくなるまで外にいた。蚊に喰わ
れたので蚊取線香をたく。思えば今まで意外なほど蚊が少なかったから助かっ
ていたようなものだ。さて、風呂にでも入るか。今日はやかんに五杯ほど、
たっぷりと湯を沸かすつもり。
湯量を増やしたので風呂は快適だった――すぐ水でうめてしまうにしろ。新
潮社の広報誌よみつつぼんやりつかっていると八時の鐘。浴衣を洗って干す。
慣れてきたのでもう暗闇でも干し物が出来る。まぁ街灯のあかりで、ろうそく
一本の室内より、ベランダの方が明るいぐらいなのだが。それに月が昇ったよ
うで、東の空がぼうっと明るい。昨日ほどではないが、やっぱりかゆいお腹に
タイガーバームをぬっておく。小腹がへったので、さっき買った冷奴でも食う
か。あとはひたすら酒々、本々である。
それにしても夜は静かだ。お二階さんは駐車場に車がないことから、どうや
ら旅行か帰省中らしいし、お隣さんも10時過ぎには静かになってしまう。戸の
あけたてひとつにも気がねするようなこの静寂は、本当に私の家かしら?いま
まで午前二時だろうが三時だろうが遠慮なく風呂に入ったりドアをドタバタ開
閉していたのはすげー迷惑だったかも。どうやらTVやステレオの音が間断なく
鳴っているから気がつかなかったようだ(これも大迷惑)。
しごく当然なことに気がついた。外から子供の声が響いてくるのは、そこに
子供がいるからで、秋虫の声がするのもそこに虫がいるから。ガラスのふれあ
う音がするのは、今私がガラスのコップをふれあわせたから、という因果律が
ある。が、TVやステレオから流れる音はそういう因果から無関係だ。ステレオ
のスピーカーに固定されて、何が起きても、起らなくても、音が流れ続ける。
『ベニスに死す』読了。満月とはいっても雲ひとつない夜空に月だけギラギラ
しているのは多少趣を欠くな。寝たのは一時か二時頃であるらし。
八月十六日 水曜日 晴天
時報が鳴っているのを聞いて目覚めるが、そのまま布団の中。何といっても
ここはひんやり涼しくていい気持ちなのだ。
時報を五回ほどもやりすごして、やっと起床。二時?三時?いや、この日の
傾きは四時前ってことはなかろう。あきらかに寝過ぎ――そのせいかものすご
く怖い夢を見た。ああ、怖かった。しかし起きてみたら午後四時、というのは
私の人生においては珍しくも何ともないことなので、仕方がない。午前中の涼
しい時間を有効につかって――なんて、笑わせるぜ。こうなったら日が落ちて
からゆっくり出歩くとしよう。
浴衣をとりこむ。昨日の朝顔がしぼんで、今日のが咲いている。明日は二つ
咲きそう。朝食?に日清ごんぶと天ぷらうどん。洗い物をして麦茶をわかす。
今日の昼中眠り惚けたのは結局良かったのかも。そして今までは大変にラッ
キーだったのかも……と思う。風がそよともふかない。昨日まであった風がぱ
たりと止まってしまったのだ。大変に蒸し暑い。室内もベランダも同様に暑
い。日課のコップ蓄音機に音声日記をふきこみ、殺風景だった枕屏風に墨絵の
朝顔、和紙の半切れ、外国の切手などをでたらめにコラージュして張交屏風を
つくる――てなことをしていても暑くてたまらぬ。夜もこの調子かと思うと全
くうんざりする。それに腹がへってきた。メールをチェックして帯を絞めたら
出かけよう。もう日も暮れた。
夜歩きは快適だ。十分ほども歩いてCoCo壱へ。ビーフカレーを食う。腹一
杯。帰りにモスへ寄ってコーヒーのみながら新聞をチェック。大したニュース
はない。八時半頃まで『明治のおもかげ』(鶯亭金升)を読む。明治時代の見
世物小屋には青大将をつるしたすだれの下をくぐらせる肝だめしがあったと
か、縁日には猿を矢で射らせる遊びがあったとか仲々トンでもな記述が多くて
興味深い。
いつものように帰りがけ、ローソンでビールと氷を買って出ると鼻水が出て
きた。汗をかいたところへほんの一時間ちょっとクーラーにあたっただけで風
邪をひいてしまったのだ。一日の大半をクーラーなしで生活しているというの
に!ここいらは郊外なので皆空調のきいた車で店にのりつけ、家でもクーラー
づけだから夏でも汗をかくことなどないのかもしれぬ。せっかく冷えたビール
をかってきたというのに呑んでもうまくないし、ベランダにいてもひっきりな
しに団扇をゆらしていないと暑くてたまらぬ。日中外出しなかったのに浴衣は
べとつき汗臭くて気色わるいし、だいたいあれほど寝たのに眠くてぼんやりす
る。今日は水風呂で体をひやすようなことはやめておいた方がいいかもしれな
い。
あと二日もこの生活をするのかと思うとうんざりする。唯一のなぐさめは昼
に作った張交屏風くらいのものだ。
八月十七日 木曜日 晴 薄曇
昨夜は一時過ぎ頃床についた。どんよりぬるくて重い空気がよどんでいて往
生したが、案外すっと寝入ったらし。目覚めると明るく、また時報を一回二回
と聞き流す。寝過ぎている時のお決まりで、また夢を見る。怖い夢ではない
が、同じテーマの夢を繰り返し見るとは気になるものだ。
電話のベルで起きる。クワレコのピラミちゃんであった。先方の用件も聞か
ずに「今何時?」ときく私。
「今ね、午前の……十一時半だよ」
ねてた?ときかれ、ねてたけどよい、と答える。電話や宅急便に起される生
活というのは相変わらずやな。
クワレコリリースの次のコンピに一曲頼まれる。締め切り一週間後。この一
週間は、本を読むぐらいのことしかしていないので、あさってから鬼のように
忙しくなるのは目に見えている。まぁ、エアコンさえあればこっちのものだ。
DATの送り先住所をきく――墨を捨てないままにしておいてよかった。電話を
切ったら真昼の朝ごはん。冷奴、そうめん、枝豆、梅干一ケ。朝顔愛でつつ一
服。麦茶わかし洗い物。昨日より少しは風があるらし。たすかる。
今日の音日記をコップに刻む。うまくいったらクワレコに納品する曲に使う
つもりで。ソファで本を読んでいたら空が曇り、遠雷。おや降るのかな、それ
ならそれで有難いが――と思っていたらじきに晴れた。『サン・ドッグ』読
了。読了という言葉には、何かをはっきりと終え、しっかりとモノにした、と
いうような響きがあるが、ヤクザな活字中毒者にとっては、ジョッキのケツを
思い切りよく上げ、のみほす程度でしかない。中身が娯楽小説であろうと学術
書思想書の類であろうと、ゴクゴクのみほし、あとにはビールの酔い(それは
翌日までも残らない)程度というわけ。
本読みながらもぼんやりとした眠気が間断なく寄せてくる。煙草の本数も
減ったようだ。手間のかかる手巻煙草でも、はじめは日に十五本ばかりすって
いたようだが、今では十本程度に落ちている。これすなわち夏バテというこ
と?
部屋の汚れ――その大半はフワフワした猫の抜け毛だ――が気になったので
床をほうきで軽くはき、ちりとりを使って集める。三時半頃電話。欧行中の相
方から。今オーストリアのインスブルックにいて、あちらも大そう暑いらし
い。さて、日が傾いてきた。腹もへってきたのでそろそろ出かけるとしよう。
またモスバに行って新聞チェックしつつ食事。ロシアの潜水艦にも電気がな
いのか。絶望視されているが、どうか助かりますように。スパイシーモスバー
ガー、グリーンサラダ、ポテトS、コーヒーで腹一杯。またスーパーで氷など買
い物す。五時半頃帰宅。ベランダで牛乳のみ乍ら『一週間でマスターするJava*
Script』(毎日コミュニケーションズ)をざっと読む。パソコンも触れぬのに
この手の本を読んでわかった気になるのは空しいのう。空はみるみる曇って
うっとうしい天候になってきた。夕焼けは望めず。さて、風呂でも入るか。
八月十八日 金曜日 薄曇
やれやれやっと最終日である。
昨夜床についたのは十一時過ぎでもあるらし。比較的涼しかったのだが仲々
寝つけなくて困る。起きて活動している時間が半日もないのだから当然か。明
け六つ頃、日の出頃からひんぱんに目が覚め、九時頃に起床す。空が曇って日
のありどころが判らんので物の影を見るのだが、午前中というのは間違ってな
いだろう。ジャム付パン、トマト、紅茶の朝食。麦茶わかし洗い物。さて煙
草――と思うに、煙草の葉がもうほとんどないのに気づいてガクゼンとする。
これはあと二本ほどしか巻けないのではないか。煙草を巻く紙がなくなるので
はないかと心配したが、たっぷりあった葉の方がなくなろうとは思いもしな
かった。せいぜい節約して、食後などに限って喫うようにしなければ。愛煙家
を通りこして中毒であるような我身には、電気が使えないことなどより禁煙の
方がつらいのだから。
まだベランダに陽があたらず、涼しいのでしばらく外で本を読む。猫も出し
てやると蝶々など追いかけて遊んでいる。今日は朝顔は咲いていなかったが、
つぼみは沢山ついているので、これからどんどん咲くだろう。
足元に日向が迫り、暑くなってきたので室内に入り、墨をすって日記をかき
はじめる。今まで俳画だか水墨画だかの練習用紙に書いてきたのだが、三十枚
綴の用紙はことごとく下手糞な墨文字で埋められた。ここからは普通の便箋に
書いている。
小腹がすいてきた。氷のとけ残りがあるうちにそうめんでも食ってしまうか
な。さっき食ったばかりであるが。
昼食後、コフマンの『女の身体、男の視線――浜辺とトップレスの社会学』
読了。これ、バカンスの浜辺でトップレスになる人の行動を三百人のインタ
ビューから分析するというアホくさくも面白い真面目な研究本。「男の視線」
とタイトルにあるが、むしろ女性同士の視線のかくされたやりとりが、自由で
開放的であるはずの浜辺をルールでがんじがらめにしている――というあたり
が面白い。彼の著作はこれが初の邦訳らしいが、他にも「一人暮らし女性と王
子様幻想」「家事労働についての考察」「洗濯ものに見る夫婦関係の分析」な
ど、やたらと面白そうなものがあるので、誰か訳してほしい。
腹がへるたびにリンゴだのとうきびだのをかじりつつ『ラカンの精神分析』
を読了――っていうか斜め読みだが。途中うとうとして、夢を見た。石けんを
たっぷり使って熱い風呂に入っている夢。くぅ〜、たまらんね。それももうあ
と少しだ。
コップに最後の音日記を録音。いよいよお腹にごまかしがきかなくなってき
たので出かけようと思う。
ファミレスでカレー、サラダ、コーヒー。『明治のおもかげ』読了。その脚
で本屋へ寄るが、目当ての本は在庫なし。ここでまだ四時すぎだったと知る。
スーパーでちょっと食料を買い、コンビニでビールを買う。もう氷は買わな
い。帰ってベランダでビールをあけ、我慢していた煙草をていねいに巻いてす
う。うまい。午後遅くに砂浜ですう煙草の味がする。
汗びっしょりなので風呂に入ることにするが、もういちいち湯を沸かしたり
しない。水風呂で十分。浴衣も洗わない。明日クリーニングに出してしまえば
いいからだ。寝て起きたら、クーラーをがんがんにかけて、たまりにたまった
仕事を片づけるのだ。
『北溟』(内田百間)読了後、午後七時就寝。
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