若様の下剋上日記


ども、日吉若です。
好きな言葉は下剋上!(いい言葉だぜ)
ここ氷帝学園テニス部で日々虎視眈々と正レギュラーを狙ってる準レギュラーです(ケッ)。


さすが全国常連校だけあって俺の下剋上リストはいつもいっぱいだ。
今日も早速下剋上にかかるか・・・。


ん?
・・・いいカモがいたぜ。
だいたい俺は前からあの人がレギュラーなのが納得できなかったんだ。

下剋上だ!



「向日先輩」
「お、日吉じゃん。どうした?お前打つ相手いないのかよ」
「はい、先輩お願いできますか」
「いいぜ。あっちの空いてるコート行こうぜ」

はっ。楽勝だな。












・・・・・おかしい!
データではもう勝ってもいいころ・・・おっと、キャラ間違ったぜ。
この人相手ならとっくに勝ててるはずだ・・・!
跳ぶだけがとりえの体力ないミソ相手に・・・!!


「先輩、なかなか、やりますね」(キーン)
「先輩が、(バシュ)後輩に負けらんねーからな!」

この人、へんなとこでこう、男らしいというかなんというか・・・。

「・・・先輩、そろそろ(すぅー・・・)体力切れるんじゃないですか」(キーン)
「生意気言ってないで、(バシ)お前ももっと跳んでみそ!!」

そろそろ決めとくか・・・。



あーーー!!!ピヨシとがっくんが試合してるー!!」
「うそーー!?あ、ホントだーー!!」
「ちょっとちょっと!どっちが勝ってんのよ!?」
「ねえあんた!今何対何なの!?」
「ファ、5−2です!!」
「どっちがどっちよ!?」
「ひ、日吉が勝ってます!」
「やだ!それじゃがっくんが下剋上されちゃうじゃない!」
「がっくんがんばってー!!ピヨに負けたら落ち武者だよー!」
「ピヨの弱点は前髪だよ!パサつく瞬間を狙ってー!!」
「あはははーなにそれー!?」




・・・うるさい。

声の主は見なくてもわかる。
俺の下剋上ブラックリストの一番上にリストされてる二人。


「ねえ千佳千佳!がっくんのためにかわいいチアが必要だよ!!」
「あ、そうだね!よし、美穂レッツダンスだよ!!」
「ガッテン承知さ!!L・O・V・E・ミソ・ガクト!!」
「ゴーゴー・V前髪・ミソ・ガクト!!」


秋間千佳先輩と金子美穂先輩だ。

マネージャーのくせに、いつもふらふら遊んでて騒ぎだけ騒いで逃げる。
いわゆる最悪なタイプのマネージャーだ。
選手の心を癒すどころか傷つけてるように思う。

なぜか俺は入部当初から目を付けられてて(本人たちは“目をかけてる”なんてほざいてるけど)、
ピヨシとか、ピヨとか、下剋上とか、キノピオとか、若様とか!
俺が嫌がるような呼び方を見つけては遠くから呼び続ける(俺が返事するまで)。

ともかく俺はあの人たちが苦手だ。
むしろ嫌ってる。
いや憎んでるといっても語弊はないだろう。
彼女たちに下剋上することが俺の最終下剋上だ。



「おいやめろよ千佳!美穂!集中できないじゃんか!」
「なによがっくんたら・・・。もしかして負けたら宍戸みたいに断髪しなきゃかもなんだよ!?」
「チョキチョキファサ・・・かもだよ!?」
「その前に『レギュラーからはずせ!』ビクッ!かもよ!?」

「なんだよ、それ俺をバカにしてんのか」
「あ、宍戸君じゃない」
「え〜?別にそんなんじゃないよ〜?」
「俺の心の傷口えぐるなんて、やるねー・・・」
「あら滝君!」
「お二人ともいらしたの?やだわぁ、私たちあのミソっ子がっくんの専属チアやってただけですわよ」
「そうですわよ。あら千佳さん、そろそろ洗濯機止まるころですから私、いきますわね☆」
「私もドリンクの用意始めようかしら?じゃあごめんあそばせ〜☆」



逃げ足の速さなら宍戸さんの瞬間移動並だろう。
もうとっくに姿はみえない。

「ったく、あいつらのせいですっかり萎えたぜ。おい日吉、今日はこの辺で・・・」
「逃げるんですか?先輩」
「バッ!ちげーよ!そろそろサーブ練とか始まるだろ!?」
「言っておきますけど5−2で俺が勝ってますよ」
「わかってるよ、うるせーな。また相手してやるからすねんなって!」
「・・・・・・・・・・」


下剋上失敗だ。
それもこれもあの人たちのせいだけどな。
今のうち休憩しといてあとで跡部部長にでも下剋上するか・・・。





振り向いた俺の目に入ってきたその人に俺の体は一瞬停止した。


小島愛先輩だ。
一人で健気にタオル用意している。


うちの部は部員が200名いるので、マネージャーの仕事もハンパない。
三人いるマネージャーのうち、二人はあんなだから愛先輩はテニス部の天使だ。
唯一マネージャーらしいマネージャなんだ。

ったく、あとの二人はどうしたんだよ!?
仕事しろってーの!
愛先輩にばっかやらせんな!


そんなこと思いながら見てたから、後ろから近づく禍々しい気配に気付くのが遅れた。


「「わ・か・さ・ま!!」」(ガバッ!)
「!?」
「な〜に見てんの〜?」
「愛ちゃん見てんの〜?」
「やだ〜若様ったらストーカーくさ〜い」
「そ、そんなんじゃないですよ!重いです離してください」
「でも目つき悪いからそんなんじゃガンつけてると思われちゃうよ〜?」
「(聞いちゃいねえ・・・!)」
「ラブビーム送んなきゃ!」
「だからそんなんじゃないって・・・!」
「うそ〜ん、ピヨシが愛ちゃんにラブなのは知ってんだぞ〜?」
「!!」
「がんばれワカゾー!!」
「あ!おっしー来た!!お〜っし〜!!」

「あら、秋間さんいっちゃった」
「金子先輩、いかなくていいんですか」
「景吾まだだもん」
「・・・・・・・・」
「委員会あるんだって〜。んもう、部活来る意味ないよねえ」
「(何しに来てんだこの人・・・!)」
「じゃあ若様、愛ちゃんウォッチングもほどほどにね」
「だからちがっ・・・!」
「あ!ちょ〜たろ〜!!」


・・・・・・・・・。




とりあえず休もう。
下剋上三回分くらい疲れたぜ。
・・・タオルでももらい行くか。



「先輩」
「あ、ピヨ」
「・・・・・・・・」
「お疲れ様!はいタオル」
「・・・・先輩、これ俺のじゃないです」
「え!?うそ!あ、ごめん。はい・・・」
「これでもないです。あの白いのですよ]
「あ、ご、ごめんね」
「小島先輩、そんなんでうちのマネージャー務まるんですか?」
「・・・ごめん」

しまった・・・!
ついやってしまった!
何で俺はこう可愛げがないんだ!
愛先輩うつむいちゃったじゃねーか!
可愛いじゃねーかちくしょう!!

「・・・・・せ」

「あ!!!日吉が愛先輩いじめてる!!」
「!?」

「愛先輩、平気ですか!?」
「え、だ、大丈夫だよ?」
「きっとなんかかわいくないこといったんでしょ?こいつ」
「あ、違うんだよ、そうじゃなくて・・・」

駆け寄ってきたのは俺と同じ二年で正レギュラーの鳳。
後輩の鑑みたいなヤツで俺とは正反対。
今一番下剋上したいやつだ。

「ったく、日吉は。女の子相手でも毒舌なんだから・・・。愛先輩、気にしないでくださいね?」
「う、うん。ありがとう・・・。」
「素直じゃないだけですから。本当はだれより愛先輩のこと思ってるんですよ」(にこっ)(ミリオンすまいる)

!!

下剋上だ・・・!


「あ、日吉!どこ行くんだよ!?」

天然なのがタチ悪いぜ。
そんなに笑ってられるのも今のうちだ・・・!


ドン。


痛え。


「あん、もう若様ったら邪魔なとこいるんだから!」

金子先輩・・・。


「ちょーたー、なに逃げてんのよ〜」
「え、に、逃げてなんかいませんよ!日吉が愛先輩いじめて・・・」
「逃げたって・・・美穂、またなんか長太郎にしたんでしょ」
「してないもん!ちょっと後ろから抱きつかせろって迫っただけだもん!」
「・・・美穂、そういうのをセクハラって言うんです」
「ち・が・う!スキンシップ!!」
「長太郎が嫌がった時点でセクハラなの!」
「そんなことないも〜ん。千佳のほうがひどいも〜ん」




「樺地〜!力コブ触らせて〜!」
「・・・ウス」
「あ〜ん、筋肉たまらない〜」
「・・・ウス」
「腹筋!私の(所有格)腹筋を触らせなさい!」
「・・・・・・・ウ、ウス」
「あ〜、抱いたまま寝たい〜」
「・・・・・・・・・・・」




「ほら、あれをセクハラって言うんです」
「・・・う〜ん、美穂と千佳ちゃんのセクハラは種類が違うんだよ」
「千佳先輩は直接的で、美穂先輩は遠まわしでイヤラシイですよね」
「ちょっとちょーたろー!生意気なこと言うとキスするわよ!!」
「す、すみません!そんなつもりじゃ・・・!」
「つい本音が、ってやつだねー」
「なんですとー!!」
「ちょ、ちょっと愛先輩!火に油注いで・・・」



「あの。」




「あれ?若様いらしたの?」

!!

この人、俺を突き飛ばしておいて・・・!


「俺、まだタオルもらってないんですけど・・・」
「あ!!ごめん!」


いや、愛先輩は悪くないです。
むしろ俺はこの二人に謝ってもらいたいです。


「あ、ピヨのタオルね」
「はい?(げ!秋間先輩・・・)」
「名前かいてなかったから私と美穂で書いといたよ」
「うん、愛ちゃん困ると思って。本当、私たちぴよに贔屓しすぎだな〜」
「ね〜。これじゃ樺地や長太郎がヤキモチ焼いちゃうね〜」
「・・・それはないと思います。それより、タオルに何書いたんですか(絶対普通に名前だけ書くわけない)」
「お!さすが若様!察しがよろしいこと〜」
「まあ、見てからのお楽しみですよ!」





・・・・・・・・。


ありえねえ・・・!!!




『愛先輩のハートに下剋上が叶いますように☆1ねん1くみ ひよし・K・わかし』



俺は常識人だ。
一時の感情に任せて殺人や強盗を図るやつはバカだと思ってる。
気持ちのコントロールは常に忘れてはならない。



でも俺は今・・・・。



じいさん、ごめん。
日吉流秘儀を殺人に使います・・・!!