その秋、僕らは恋の色を知った。



恋は水色



「ねえ、美紅。恋は何色だと思う?」



僕の突然の問いかけに美紅は少し驚いた様に目を見開いたが、すぐに笑って聞いた。
「どうしたの急に。」

僕は立ち止まって、振り返った美紅に微笑みかけた。

風が少しある。
さっきから僕らのまわりを何枚もの落ち葉が舞っている。



広々とした公園の真ん中を通っているこの洒落た並木道は、僕の家からそんなに遠くないこともあって二人でよく訪れた。
“よく”なんていってもまだ片手で数えられるほどで、夏の終わりから始まったこの恋は、木々が色づく季節になってもまだぎこちなさが隠せなかった。
でも紅葉した街路樹は僕らに落ち着きを与えてくれ、ドラマみたいにこのまま時間がとまればいいと何度も思った。

姉さんに、今日のデートは並木道を散歩した、なんていったら「老夫婦みたいなお付き合いね」なんて笑われたけど、僕はいいと思う。
街に出て映画を観たり、買い物するのも好きだけど、二人で歩いてるとそういうことをするよりずっと多くいろんな美紅が見れる。

犬を見れば目を輝かせて立ち止まらずにはいられない。もっとひどいと、僕の存在を忘れて犬についてその飼い主と話し込んでしまう。
きれいな夕焼けをみればこっちがうれしくなるするくらい感動するし、
暗くなり始めた空に浮かんだ三日月を見て「マジカルナイトだね」なんて子供みたいなことを少しもはずかしがらずに言う。




美紅の髪に落ち葉が一枚ひっかかった。
とってあげると「あ、ありがとう」といって少し赤くなった。


「父さんがよくかけるレコードにポール・モーリアのベストがあるんだけど、そのラストナンバーが“恋は水色”なんだ」
「水色なの?」
「うん。何でだと思う?」


「・・・・・純粋だからかな」
「純粋だから、か・・・」
「おかしかった?」
「ううん、美紅らしいなって思った」
「不二君は何でだと思う?」
「え?」
「恋は何で水色なんだと思う?」
「うーん・・・・・わかんないけど」
「けど?」
「美紅は水色だと思う」
「私?」
「美紅のイメージは水色かな」
「そう?」
「ピンクもかわいいけどね」
「・・・・・・・・・」
「恋は水色だからさ」
「?」



「美紅は水色なんだ」






「僕の恋の色」







苦笑いして僕を見てるその目も


でも真っ赤になってるその耳も


夕日に照らされたその髪も


少しだけ力が入った、繋がれたその小さな手も


僕の恋を水色に染める君




「不二君は白だよ」




「白?」
「私の中のイメージ」
「白かあ・・・」
「嫌?」
「ううん。そうかなって」
「そうだよ」







「雪が見たいな」

「もうすぐ見れるよ」

「でも紅葉が終わっちゃうのはやだな」

「終わる前にもう一度来ようか」

「うん!来たい!」

「美紅はお弁当担当。僕はカメラ担当」

「ピクニック?」

「少し寒いけどね」

「楽しみ」

「美紅」

「何?」


















あ、また赤くなった。

















                                                         あとがき