第一話  出会い



出会い 毎日、毎日同じことの繰り返し。

今日も明日もいつもと同じ時間に起きて、同じ時間で、 同じ手順で用意して、同じ時間に家を出る。
同じ時間に駅に着いて、同じ場所に並んで、 同じドアから電車にのる。何ひとつ変わりはない。

新学期が始まったのだ。

イレギュラー な日々からはもうおさらばだ。



でも、なんかつまらない。

なにも変わらないなんて。

だから今日は、ちょっと変わったことをしてみようと思った。
なんてことはない、ちょっと、ほんの三十分ばかり早く起きて学校に行くだけ。
早起きは三文の得っていうしね。

そう、すべてはちょっとした好奇心から始まったんだ・・・・。

不思議なもので、三十分早い朝のにおいは、いつもとだいぶ違っていた。
すうっとすんでいて、迷いのないにおい。
気温も低くて、肌寒いくらいだ。
太陽もまだ、顔をだしたばかりで、朝もやがうずまいている。

今日はなんだか、晴れやかな気持ちで学校に行けそうだ。
いつもより二本早い電車に乗って、いつもとは違う乗客をながめる。

有意義な朝。

いつもとは違う乗客。



・・・・そこに、彼はいた。


一瞬、夢かと思った。

だって、現実に存在するなんて思っ てもみなかったし・・・。
初めて見たはずなのに、私はずっと彼のことを知っていた気が した。

私の、王子様。

まるで、少女漫画から抜け出してきたかのような、端正な顔立ち。
すべてを見透かされ てしまいそうな澄んだ瞳。
何かスポーツでもやっているのか、顔に似合わず、筋肉質な腕。
チェックのズボンが、上品さをひきたてている。


一瞬にして、目を奪われた。


今思うと、あの時、心も奪われてしまった気がする。


なんだか難しそうな本を読んでいる彼は、

間違えて絵本の世界から人間界にきてしまった





孤独な王子のように見えた。








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