学校は楽しい。でもね…。
「やっぱ彼氏欲しいよねー。」
美奈はため息を一つ。
「焦らなくてもって言われても焦るよねー。」
ナツはケラケラと笑う。いつも私を含めた三人は一緒にいる。他愛もない話をするのが楽しい。
…それとね、三人でいればきっとこーちゃんも来てくれる。
「焦った方がいいんじゃん?」
「黙れ!コクモト!」
奈月は間髪入れずに怒る。
「焦った方がいいって!ね、さっちゃん?」
急に話をふられて慌てながらも無難に答える。
「ナツも美奈もかわいいから全然焦らなくていいと思うよ。」
「美奈はまだしも、男みたいな女は焦るべきだろう。」
ナツはこーちゃんに肘鉄。痛そうだ。
「でも俺はさっちゃんみたいな子がタイプだけどなー。」
私はその白い歯をズラズラーと見せて笑うこーちゃんが好き。
「私はこーちゃんみたいな人がタイプだよ。」
冗談みたいに言ってみた。本当のことなんだけどね。
「冗談でもそんなこと言っちゃいけないよ。さっちゃんはかわいいんだから。」
こーちゃんは私の頭をペシッと叩いた。
「そうだよ!国本みたいなバカで軽くて泣き虫な奴なんて!!」
ナツはにやりと笑った。
「うるせーな!もう泣き虫じゃねーよ!」
ナツとこーちゃんは幼なじみだからなんでも知ってるの。いいなぁ。
紙パックのコーヒー牛乳は冷たくて甘くて、ちょっとにがい。それをまた机に置く。
「今日、やけに寒くない?」
美奈が辺りを見回した。
「12月だもん。仕方ないよ。」
私は窓の外を見遣る。するとね…。
「雪だ!!」
こーちゃんが座ってた私の腕を引っ張った。
こてん。
「ひゃっ!!」
コーヒー牛乳を倒しちゃって、白い手袋がコーヒー牛乳の色になっちゃった。
「うわ!ごめん!ホントごめん!」
こーちゃんが泣きそうな顔して謝ってた。
「ううん。全然いいよ。そんな高いものじゃないから。」
私はこーちゃんににこっと笑ってみた。
「家で洗ってくる!」
ひょいっと手袋取られちゃった。気にしなくていいのに。
そういえば美奈とナツは?
「雪だねー。」
「うん。雪だ。」
もう窓の近くまで行って世界に入っちゃってた。
「ねぇこーちゃん。」
「なに?」
窓の方を見て思ったの。
「今度はねゆきになるかな?」
こーちゃんはあっけにとられたような顔をしてた。
私、急に恥ずかしくなって赤くなっちゃった。
「うん。きっとこれからは真っ白な世界だよ。」
そういって私の髪を撫でて友達の中に帰っていっちゃった。
あれ?教室の外に部活の後輩がいる。なにか用かなぁ?
私は教室の外に出てみた。
「どうしたの?」
後輩はびくびくしてた。
「この子、国本先輩に用事があって…。ね?」
「う、うん。」
また、かなぁ?
「ちょっと待ってて。呼んでくるから。」
「あ、ありがとうございます!」
なんか微妙な感じ。
「こーちゃん。呼んでるよ。」
こーちゃんの詰め襟の裾をひっぱる。
「お?おう。」
教室から出ていっちゃった。
こーちゃんかっこいいし、やさしいし、話しやすいから仕方ないけど。
なんか、嫌だなぁ。