これから部活行ってくるね、ばいばーい!
そう告げた彼女は十数分後に地面に叩き付けられた。
「パーン」
的の中心に矢が刺さる。調子いいかも。もう一本…。すっと腕を動かす静寂。
「バシュッ」
あれ?おもいっきりはずれた。その瞬間にまた違う音が遠くに聞こえた、ドン
という何かが落ちた音。そして叫び声。
「誰か、救急車!!」
嫌な予感がした。私は練習場の外に出た。人集りができていた。歩いていた足
はいつのまにか走っていた。人をかき分け最前列に。
予感はあたってしまった。血だまりに横たわるのは、みんみんと皆に呼ばれる
比較的仲の良かったクラスメートだった。高校二年の冬、死にゆく友達を見た。
「美樹ぃ…。」
沙羅は私の制服の袖を引っ張った。木魚の音は同一のリズムを刻む。まるで聞
く者の心のざわめきを鎮めるがごとく。
沙羅の頬に一筋の涙。私の涙腺をゆるませるその涙。
「事故、なのかなぁ…?」
私の問いかけに沙羅は私の顔を見つめた。
「校長先生はそう言ってたけど…。」
私は違う気がした。
「沙羅はどう思うの?」
目をそらし、もっと近寄ってきた。そして耳元で呟いた。消え入りそうな声で、
違うと思う、その一言を。
私は翌朝、みんみんが叩き付けられたコンクリートの上に立っていた。見上げ
ると特別棟と付属の非常階段。噂によると、非常階段の三階と四階を結ぶ踊り場
から身を乗り出して、持っていた学生鞄が落ちそうになりバランスを崩して落下
したのではというのが警察の見解だそうだ。その証拠に、踊り場でみんみんの靴
の片方が見つかった。なぜ、特別棟の四階にみんみんは行ったのか。その答えは
簡単だ。最上階の四階には音楽室があるのだ。その第三音楽室で、コーラス部は
毎日のように練習をしている。
これから部活行ってくるね
きっとみんみんはその言葉通りに行動したのだろう。でもどうして非常階段な
んて使ったのだろう。確かに誰でも使うことができるけれど、特別棟の中にある
普通の階段を使えば良かったのに。
なぜかこの時、ふと思ってしまったのだ。”みんみんは普通の階段を使って四
階に行ったのでは”と。この疑問が私を動かした。
To be continued.....