まずは聞き込み。普通に屋内の階段付近に人がいなかったのか調べることにし
た。あの事故があった日と同じ曜日同じ時間、つまり火曜の午後二時半すぎであ
れば、状況は変わらないはずだと思った。

 しかし、私の期待していたのとはかけ離れていた。誰もいないのである。火曜
の午後の授業で特別棟を使用することはないそうだ。しかし、コーラス部が練習
するために、音楽室の鍵はすべて開けてあるとのことだった。
 落胆し、階段を一段、また一段と昇っていく。すると不意に声がしたのである。
「ヤッベー!先生だ!!」
 いや、違うぞと心の中で思いつつ、私はその声の主を追う。すぐに見つかった。
授業をさぼっていた同じクラスの男子が二人焦っている。
「私、先生じゃないよ」
 驚かすなよ、といった顔をしている。驚かされたのはこっちのほうだ。みんみ
んの亡霊かと思って背筋が一瞬凍ってしまったじゃないか。
「毎日ここにいるの?」
 彼らは顔を見合わせた。何かしら悪巧みをしているのだろう。
「いや、毎日じゃない。火曜のこの時間だけだ」
「なんで?」
 私は問いつめるのが好きだ。答えにつまり困った顔が何とも言えなく勝った気
になれるからだ。
「嫌いなんだよ、保健が」
 保健は男女別々だから、私は彼らがさぼっていることを知らなかった。
 そしてふと気付いた。彼らは「火曜の午後二時半すぎ」には、いつもここにい
るのだ。
「毎週こーやって廊下ふさいでんの?」
 彼らは声に出して笑った、廊下ふさげるほど足長くないよと。
「じゃぁ、もしかしてみんみんの事故の時もここにいたの?」
「ああ。それがどうした?」
 奇遇にも重要参考人を見つけてしまった。
「警察にはなにも聞かれてないの?」
「ああ。なんで?」
 警察もつかむことのできなかった情報をつかもうとしている。私、将来探偵に
なろうかしら?
「あの日、ここ、誰か通らなかった?」
 必死に思い出そうとしているのが痛いほどわかる。
「あ!!」
「なに!」
「通った通った!!隣のクラスの長島が男と一緒に通ったよ。サンオン(第三音
楽室の通称)に入っていったな。」
「あぁ、そうだそうだ!あいつが男連れてたからビビッたの覚えてるぜ」
 あの時サンオンには人がいたということか。
「他には?みんみんも通ったでしょ?」
 彼らはすぐに返してきた。
「いいや。通ってないな。通ったのは長島と男だけだ。間違いない」
 断定されてしまった。私の素人推理は間違っていたのだろうか。
「俺らそろそろ帰るべ」
 重要参考人に礼を言い、考え込んだ。
 彼らは事故の日、ニオン(第二音楽室の通称)とサンオンの間にずーっと座っ
ていた。きっと一時半頃から。つまり、みんみんは外の非常階段を使ったんだ。
「誰?」

To be continued.....