−白い影(2)

 更に驚くべきことには、従兄弟と妹には病院内に知り合いがいたのだ。友達が入院している、というのではなく、病院にいる入院患者のおじさんと知り合いになっていたのだ。なんでも、病院内をウロウロしているうちに顔を覚えられ、「おじさんの病室から見れるから、また来いよ」と言われたそうな。
 

 これを使う手はないと、早速おじさんがいつもいるというロビーへ向かった。おじさんはいたが、どうも話し掛けづらい。いくら向こうがいいと言ったからといっても、非常に勝手極まりないお願いだ。しかもおじさんは仲間と煙草を吸いながら談笑している。僕はおじさんとは全く面識がないので話しかけることはできないので、お二人さんが話し掛けるのを待った。

暫く経つとおじさんの方がこちらを見つけてくれて、話し掛けてくれた。かなり中居事情に詳しく、今日はまだ見れる場所で撮影をしていないとのこと。見れるところに来たら呼んでくれると言ってくれたが、それまでの時間が非常に長かった。適当な場所で患者、またはその付き添いのフリをして座っていたりしていたが、30分位経って、『おじさんは「呼んでやる」と言ったが、そもそも僕らがどこにいるのかわかるのか?』という、かなり単純な事に気がついた。その後はおじさんのいる所を伺いつつ、色々な場所を転々としていた。
 

 それから更に30分くらい経っただろうか。既に時刻は5時を回っていた。未だに出演者は1人も見ていない。従兄弟と妹は、以前ちゃんと出演者を見たという実績があり、それゆえ今回も見れるという自信があるようで、帰ろうなどという雰囲気は全くにじみ出てこない。しかし僕は半ば、というか全くもって野次馬根性でここまで来たのでここまで待たされるのなら来なきゃよかった・・・という気になっていた。しかし、1人で歩いて帰るのもしゃくなのでここは仕方なく、引き続き行動を共にすることにした。
 

 とかなんとか考えているうちに結構時間が経った。再度、おじさんの所に行ってみるが、おじさんの姿はない。あれぇ?と思っておじさんの病室に向かってみた。が、ここで従兄弟と妹の病室番号の記憶が違っていて、随分と色々な所をまわった。しかし結局おじさんは見つからなく、仕方なく最初にいたロビーへ戻ってみると、なにやら周囲の雰囲気が明らかに違う。そう、撮影を行っていたのだ!

おおっ!と思い見に行こうとしたが、場所的に見るのは無理。そこで「関係者以外立入禁止」と書いてある場所にコッソリ、いや、かなり堂々と行って見ようと試みた。既にその頃になると、僕らの他にもコネを使ってウロウロしている熱心な見物人の方々との、妙な連帯感すら生まれていた。

その仲間達と一緒に立入禁止ゾーンから覗いてみると・・・おおっ!中居正広だ!椅子に横になっている。なんだ?休んでるのか?それともああいうシーンなのか?と考えながらも少しドキドキ。てなことを考えているうちにもうそこの撮影は終わってしまったようで移動してしまった。後をつけるわけにもいかないので、暫くしておじさんとおじさんの病室へ向かった。
 

 おじさんの病室からは撮影をしている(と思われる)通路が良く見えるのだが、後で妹や従兄弟は、「前に行った時は文句を言われながらも通路の目の前で見た。」と言っていたので少々不満だったみたいである。それから30分くらいずーっと窓にベッタリくっついて通路の様子を見ていたのだが、人が小さすぎてどれがスタッフでどれが中居かわからない。見兼ねたおじさんが、通路の方へ行こうかと言ってくれた。通路は下の階にあるのでエレベーターの「↓」ボタンを押して、待っていた。
 

 エレベーターのドアが開いた。しかし、上へのエレベーターだ。なんだよぉ、と思ったその刹那、そのエレベーターに乗っている1人の男に気がついた。そう、中居正広である。僕も、妹も、従兄弟もバッチリそれに気付き、その姿を見た!しかしおじさんだけは気付かずに「ああ、上か。じゃあいいや。」みたいなことを言ってそのエレベーターを行かせてしまった。ちょっと勿体無い気がしたが、半径2m以内で中居を見たのは貴重な経験だった。

結局、そのまま中居は帰ってしまったらしく、僕らもおじさんに礼を言って帰路につくことにした。
 

 思えば沢山の人に迷惑を掛けたものだ。名も知らないおじさんを始め、病院関係者、スタッフの方々・・・。後で冷静になると、野次馬根性だけでこんなに迷惑をかけるなら行かない方が良かったかなぁとさえ思った。

 
 

あと、実は一番見たかったのは竹内結子だったので、ちょっと悔いが残ったりもした。


Home