Kanon小説 眠り姫の謎
第一話 わたし・・ねむい・・・
はぁ〜・・・・。
何度目だろうか・・このため息をつくのにも飽きる頃
祐一は名雪の部屋の前に立っていた。
いつもながら眠り姫はまだ目覚めにならないようだ。
「名雪〜入るぞ〜」
寝てるだろうが一応断っておく。
鳴り止まない目覚ましの中で祐一の恥ずかしい思い出の声が
名雪を起こそうとするがやはり無駄なようだ・・・
結局あれからこの目覚ましで起きることができたのは
たったの二週間だった。
名雪の体内にはもう免疫ができてしまったようだ・・・
ある意味人間ではない・・・
今日もふさふさのかわいいかえるさん(本人談)けろぴーと
ともに眠っておいでの顔はまるで天使なのだが
ここまで人に苦労させる天使があってもいいのだろうか・・・
とりあえず真っ先に例の目覚ましを止める・・・
消さないことを約束した手前、仕方ないことなのだ。
「俺が起こしてやる」
なんて言うこと自体まちがってたんだ・・・
しかもずっとでも起こすなんて言ってしまった・・・
こんなことになるとは・・・
正直起こさなくてもいい名雪を起こしにこの騒音の中を
突き進むにはわけがあった・・・
あの録音された目覚ましを秋子さんに
聞かれるわけにはいかなかったのだ・・・
最近はそのせいで名雪以上に
あの目覚ましに起こしてもらってることになる
これほどの目覚ましの音に起きない名雪に対して用いる戦法は
常に進化していなければならない
これが名雪との付き合い方第一条だ・・・
今日の作戦はパターンナンバー32番でいこう
そう思った祐一は起こすためのネタがきれてくると
いつか使うであろうととっておいたものの封印を解いた
「にゃ〜お・・うにゃ〜ん・・・」
猫の声・・・
これしかないだろう
「ねこー、ねこー」
反応あり! 今日も何とか勝てたな・・・
「ねこー、まって〜、ねこさ〜ん・・・んにゅ?」
「起きたか?」
「くー」
「うっ! 今日は手ごわい・・・」
「すー」
ならボリュームを上げてやる
これでどうだ!
「うみゃ〜お うみゃ〜」
「ねこさん〜、ねこー」
「名雪! 早く起きないと猫さんどっか行ってもしらないぞ」
「そんなの〜、や・・・だお〜」
「ああ! 角を曲がる いいのか名雪? 見えなくなるぞ」
「だめ〜!! あれ? 猫さん・・・祐一〜? なんで???」
目をこすりながら
「わたし・・・ねむい・・・」
ここで寝られるわけにはいかない
「秋子さんがジャム出そうとしてたから
早く食べないと出してくるぞ」
「え?」
やっと起きた・・・。毎日これだから朝疲れて学校で寝る
これが最近のパターンとなってしまった。
まだ完全ではないのか名雪の頭には?が浮かんでいる。
?を消すためのある人直伝のチョップをくらわしてやる・・・
「痛い・・・今日は風邪みたい・・?」
違うだろ
「俺は先に下で待ってるからな〜」
「あ? うん。わかったよ〜」
人の苦労を知らずに・・・その上学校では北川の奴が
「また寝てたな よくそこまでと誉めておこう
今日でお前は眠った回数でこのクラスのトップに踊り出た」
「お前・・・集計つけてるのか?」
「当たり前だろ? 石橋に頼まれたんだから」
そうなんだ。なぜこんな奴がと思うがこいつが学級委員長に選ばれて
いちいち余計なことを自分で提案してやってやがる・・・
授業聞いてないことバレバレだって、この暇人が・・・
「なんかいったか?」
「言ってません。 学級委員長様」
「よろしい。居眠り回数トップ、期待の超新星さん」
「こっち来てからあんまり時間たってないのに・・・
仲いいんだね」
はぁ〜〜〜〜
こんなこと言われなくちゃならない原因をつくった本人がこれだ・・・
「なんとなくわかるけど・・・大変ね。相沢君も」
「僕をわかってくれるのは君だけだよ香里さん」
「言う相手が違うわよ」
そう言い残し自分の席に戻る香里から視線を戻すと
例えようのない瞳で見つめる名雪が・・・
「・・・・・・・」
「名雪・・・やめてくれ その目は」
「祐一・・・私のこと嫌いになった?」
「そんなことないぞ」
「・・・・・・・」
「だ〜、いろいろ大変なんだよ、俺も」
「・・・うん。わかったよ。祐一のこと、信じてあげるよ」
はぁ〜〜〜〜〜
(俺、卒業できないかも・・・)
「なんなら一時間分消すのに200円で手を打つぞ」
「お前はワイロで儲けるためにやってるのか・・・それ」
「いや、そういうわけでもないが。香里の大親友である水瀬の
・・・ってことで大サービスだ」
「わかったから今は消えてくれ」
「消えてなんていっちゃだめだよ〜」
こんなうっとおしい毎日を続けてるんだ・・・
おかしくならない俺は偉いな・・・
そして今日も明日の攻撃に備えて準備を整えて
寝なければならない
誰か、代わってくれと思いたくなるのが人間だろう
延々と人間について語ってから(頭の中で)
その日は眠りについた。