『魔人』
作・武堆 仁
「どっーひゃー!!!」
今、俺は自分に起きている現実を夢かと疑った。
俺は、萩原正樹。とりあえず普通の高校生(あくまで自分はそう思ってる)、んっでもって、心の奥底ではあわよくばいつの日かこの世界を征服してやろうなんって思ってる。
えっ?
世界征服をしようと考えてる俺のどこが普通の高校生だって?
まぁ、誰だって『世界は俺を中心に回っている!』なぁんて一度ぐらい思ったことがあるだろうし、実際本気で世界征服しようなんて思っちゃいない。
ただ、もしも、そんなことができるのだったら一度ぐらいは(一度ぐらいってどういう意味?)やってみてもいいかなーって………
それが今、現実にかなえられる立場にあった。
ある晴れた日の夕方、部活でくたくたになった俺は一人で家路へとついていた。
そして、とある公園を通りかかったとき砂場の中で光るなにかを見つけた。
この公園は昼間こそ小さなガキンチョでいっぱいになってはいるが夕方、しかも、ほとんど日が暮れってしまった今はもうシーンと静まり返っていた。
ははぁ、どこかのガキンチョが砂場にビー玉でも忘れていったんだなぁ。
そう思いながら、何事もなく砂場を通りすぎようとしたときだった。
「おっ、おーい、誰か助けてくれへんかぁ。」
妙な関西弁(?)がどこからともなく聞こえてくるような気がした。
気のせいかなぁ。とか、思いながらあたりを見回すが俺の見たところこの位置から見える半径二十メートル四方には誰もいない。
やはり気のせいかなぁ。しかし、確かに、聞こえたような気がしたのだが?
そう思いながら、また歩き出すと…
「おーい、誰かおらへんのかぁ?」
やはり、どこからか妙な関西弁が聞こえてくる。
それは、どうやら砂場の中(地中)から聞こえてくるようだった。
まっまさか、関西人が砂場の中で生き埋め???
そう、思って(普通そうは思わないと思うけれど…)
砂場に駆け寄った。
そして、砂場を少し掘ってみると中からカレー屋さんなどでおめにかかるルーを入れる容器が出てきた、さっきビー玉と思ったのはどうやらこの容器の蓋のってっぺんにある丸いとっての部分だったようだ。
しかし、なぜ、こんなところにこんなものが?
そして、次の瞬間!!!
ドッカーン!!!
「どっーひゃー!!!」
今、俺は自分に起きている現実を夢かと疑った。
容器の中からはいかにも怪しいヘンテコナ人(?)が出てきた。
「よぉ、お前はんがわいを魔法のランプから出してくれたんやな。」
こっこいつなにもんだ?
「あんたいったい誰?」
「なんでなぁん。
あんた、わいがなにかとも知らずにたすけたんかぁ?」
別に助けたわけでもないのだけれど………
「いやー、わいはランプの魔人や。」
???
ランプの魔人???
「昔話で聞いたことぐらいあるやろ」
確かにカレーの容器ではなく、魔法のランプにも見えるが………なんとも安っぽい。
「まっ、マジで本物の魔人!!!」
うーっむ、これはっびっくり。
「お決まりやけど、あんたの願い事を三つかなえてやりましょう、でんがな、それでは・3・2・1・Q。」
おっ、俺にもついにこんなとてつもない大チャンスがめっぐってきたぞ。
「こっこれって、夢じゃないよな?」
すると、魔人は力いっぱい俺のほっぺたをつねった。
「いってってってって。
やめろよ!」
すると魔人は手を離した、ふーうなんという馬鹿力だ。
「なんでなん。
こんな無駄なことに願い事を二つも使うなんて変わったお人やなぁ。」
うっ、もしかして、今のも願い事の内に入るの?
なっなんてケチな魔人なんだ。
なんかむかつくー。(どちゅ)
「あっそんなに怒らんでよー、最後のひとつはちゃんとまともな願いをかなえてあげるさかい。」
まぁ、いいだろう、もともと、俺の願いはただひとつ〜
世界征服だ!
「そう、そう、意地悪した、代わりにいいこと教えてあげようでんがな。
耳寄りな情報でっせ。
え、これを聞くと願い事のうちに入らんかって?
そんな事ありまへーん、これはサービスですから。
あのですねぇ、今は一九九九年の七月、でっしゃろ、
ほんのあと数分でノストラダムスの予言当たるんですよ、そして世界の最後がくるんですねん。
すごい、いい情報聞いたでっしゃろ。
だから、この世界無くなるまえに願い事いってもらいまへんとな。」
あっ、あんまりだ、世界征服をしても世界が無くなってしまったらいみが無いじゃないか。
くそー、ぷん。ぷん。
「しかたない、最後の願いは、………」
………そして………
そして、世界はすくわれた。
って誰もしんじないだろーなぁ。
と思う今日このごろだった。