歌をつかむ瞬間(とき)



僕は幸せな時 歌を歌わない
平穏な時 歌を欲しがらない


自分の奥底に眠る生温かい感情の全てを
薄い不幸に乗せて歌う
水溜りの中の金魚を掬い上げるように
僕の中に眠る音楽に陽を当てる


どうしてこの世界にはこんなにも
哀しい歌が溢れているのだろう
どうせなら全部幸福な歌であれば良いのに
どうして僕の心はこんなにも
音楽に縛られているのだろう
歌えないということが僕を不幸にする


僕は幸せな時 歌を歌わない
平穏な朝に 歌を欲しがらない


人の声ほど優しく哀しく響くものはない
どんな幸せな歌にも不幸が見え隠れしてる
どんなちっぽけなモノにでも
光を当てれば影が出来る様に


僕は幸せなだけの能天気な歌を好まない
幸せと不幸せが張り付いて
時々顔を覗かせるような歌が好き。


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