(序章)
この話はウィザード(魔術師)、エルフ、モンスター、人間達が共存する一種の魔界です。この世界は現在50%以上が砂漠と化しています。
この世界にある町や村は『オアシス』と呼ばれ、そしてもっとも栄えている都市(唯一の都市)『ケント』は魔界の中枢として健在しています。
そんな世界の中で生きる彼らは黒眼、青眼、赤眼の3種類に分けられます。普通のものは黒眼。善意のあるものは青眼、そして悪意、罪を
犯したものは赤眼へと色が変わります。その中でも赤眼は得に差別を受け人間扱いされません。彼らは罪人ですから…しかし、中にはや
むなき理由で赤眼になったものもいます。そんなやつらの集まった盗賊団ZERO。赤眼という思い運命を背負いいきるやつらの物語り。
でも忘れてはいけません。彼らはどんなに良き人でも罪人に変わりないのです。
(第一章)覚醒
ヤナギ「フン!コレも何かの腐れ縁ってやつだ。長い長い眠りから目覚めたんなら俺にテメェの力とやらを貸しやがれ!」
???「フー・・・。ソレがこの邪狼(ダークウルフ)様に頼む態度か?この窮地によくそんだけ強がるな」
ヤナギ・ライコウジ、彼はハイネ・オアシスに住む十字架盗賊団ZEROの一員である。まだ若干16歳にして魔銃を使いこなしZEROの一戦闘
員として君臨している。性格はいたっておだやかでとても澄んできれいな青眼の青年である。だが、現在とても大変な事になっている。なぜ
ならウィザードの中でもかなり有名で強力な善良ウィザード『紅葉狩りのタキ』が何を血迷ったか、たった一人でハイネを襲撃しているではな
いか。彼のコレまでの行いが良過ぎたのか、ハイネを半壊させ数人の死者を出したにもかかわらず彼の青眼は一向に赤眼へと変わらない。
そして彼の強さは尋常ではなかった。ZEROの四人が束になってかかっても掠り傷すらつかない強さ、まさに最強とも言える。そして今、戦え
るのはヤナギのみ。いや、今の彼の力では100%不可能、絶体絶命。と言うより万事休すである。
リュウキ「止めろ、ヤナギ!!いくら魔銃が使えても俺達ですら勝てないやつにお前一人で勝てるわけないだろ!」
ZEROの一人の闇剣士リュウキが血まみれで倒れた体を少し上げ叫んだ。
ヤナギ「死人はチョッと黙ってろ!今俺は取り込み中だ!」
シオン「あいつの言葉遣いが明らかにいつもと違う!そのうえ何か別のやつと話をしているみたいだ…全く意味が分からん」
ZEROの一人水使いのシオンがZEROの一人シュウヤの肩を持って話した。
シュウヤ「ヤナギの心臓からもう1つの声みたいなのがさっき聞こえたか?ヤナギの体内に何かいるみたいだ・・・」
シュウヤは子供の頃から鍛えられた目以外の五感で何かを感じていた。
シオン「ああ、何処から聞こえたのかは分からなかったが確かにヤナギとは違う声が聞こえた・・・」
セシリス「もしかすると・・・彼の体の中には邪狼が住みついているのかもしれません・・・」
セシリスはZEROの女頭領である。既に力を使い果たして身動きすらとれない。
シュウヤ「邪狼とは一体・・・?」
その時、事態は急変した。
タキ「まったくクライマックスはガキ一人か・・・くだらないな。さっさと死ね」
タキの周りに邪悪な魔力が終結し全身を覆う。
邪狼「なめられてるな・・・所詮は人間。魔獣には勝てない。ましてこの俺に・・・」
ヤナギ「ごちゃごちゃ言ってないで力を貸しやがれ!俺が死ねばテメェも死ぬんじゃねぇのか!?」
邪狼「・・・御名答。しかし怒気が高まると性格が変わるところは父親と瓜二つだな。面白い!!そんだけほしけりゃくれてやる!!だが、お前の
親父ですら扱いにとまどったこの力、青二才のテメェに使えるかな?」
あざ笑うかのように邪狼は言った。
ヤナギ「犬の調教くらいアホでも出来るぜ」
邪狼「言ってくれるな・・・さァ、行くぜ!!」
ヤナギ「さァ来い!!テメェにシャバの空気をすわしてやる!!」
タキが痺れを切らして呪文を唱える
タキ「独り言はおしまいだ!消えてしまえ!ブラックレイ!!」
黒く輝いた光が一直線に向かいヤナギの心臓を一刺しにした。
シオン「ヤナギ!!クソッあんなのまともに食らったら死ぬ以外にありえねえぞ!!」
あまりにも強力な攻撃にあたりが煙で覆われた。
セシリス「ヤナギは!ヤナギは無事ですか!?シュウヤ、ヤナギの息はありますか!?」
シュウヤ「・・・。なんだ?一瞬心臓をつかれた音がしたが・・・心臓の鼓動がさっきより高くなっている!?」
ドクン・・・ドクン・・・ドクン・・・
シオン「おいおい、俺らにも聞こえるぞ・・・鼓動が・・・」
そのとき、煙から現れたヤナギは黒い邪念を帯びた魔力に包まれていた。
タキ「そんなバカな!?心臓を貫いたはずが・・・ナゼ!?しかもこの邪念は一体・・・」
シオン「す、凄い・・・魔力のデカさが違い過ぎる・・・ビリビリ感じるぜ。しかもこの鬼すらおびえるほどの邪念・・・コレじゃタキの邪悪な魔力がちっ
ぽけなものに見えてくるぜ・・・」
その恐ろしさは言うまでもなく人間の作り出せるものではなかった。まさに魔獣の本能とも言うべき恐ろしさ・・・全ての人々が凍りついたように身
動きが出来なかった。
ヤナギ「コレが・・・邪狼の力・・・なんて恐ろしさだ・・・使ってる俺まで身動きがデキねぇくらい凄い・・・」
邪狼「フッ。まだ1/2も使ってねェゼ!それに早くシャバの空気を吸わせろ!!お前がうごかねぇなら俺が動くぜ?」
そういって邪狼はヤナギの体を使いタキに向かって突っ込んだ。
ヤナギ「おい!!チョッと待て!!アイツに接近戦はヤバ・・・」
邪狼「何弱きでいやがる!!さっきまでの強気は何処にいった!?こんなクズ一撃で殺せるぜ!」
黒い炎を出したヤナギはタキに強行突破をしかけた。物凄い爆風と煙で周りは何も見えなくなり、ただただ恐ろしいほどの邪念だけがあたりを包み
込んだ。ヤナギの目が赤くなる瞬間。そして人間として見とめられなくなった瞬間である・・・。
(第二章へ続く)