雲一つない晴れ渡った青空。
うむ、これなら私の蒼い翼が目立たない。
これで周りが平和なら優雅に空中散歩と行きたいのだが…
無理そうである。。。


幻想魔遊伝 
             〜第一章〜
written by TENKU


 「くそ、この仕事はハズレだ!」
隣で相棒が愚痴をこぼしている。
まぁそうであろう…今回の仕事は盗賊退治、名目上はそうだった。
だけど今我々を取り囲んでいるのは人とは似てもにつかない怪物共。
その数ゆうに20はいるだろう。
確かに馬車等を襲って食料を奪ったりはするだろうが、次元が違う。
本当なら魔物退治に分類されるであろうこの仕事。
しかし私の相棒、ラグナはこの仕事を引き受けた。
おまけに料金は前払い、ついでに言うと人間相手の数しかもらっていない。
……怒るのも無理はないだろう。
だが今はそんな場合ではない。
「敵さんは殺る気十分なんだ…さっさと構えた方が身のためだぞ?」
「ちくしょーー!やってやらぁ!!」
それを合図に魔物達は、一斉に襲い掛かってきた。
ラグナは刀を抜き一番近くにいた奴の上半身を下半身から切り離した。
この黒髪の青年のどこにそんな力があるのか、いつも不思議に思う。
そう思っている間にラグナはまた二匹の魔物を屠った。
今、我々が戦っている相手はリザードマン、知能は程々だがその力は侮れない。
奴らは集団で行動し、比較的おとなしく友好的なので、町の守衛をしたりしている。
知能が高いものは人語が話せるため行商をやったりして生活している。
おそらくこいつ等は何か問題を起こし、町から追い出されたならず者はなのだろう。
「ラグナ、この中にこいつ等のリーダーがいる。そいつさえ殺ればこいつ等は鳥合いの衆になるはずだ。」
私は六匹目にとりかかっている相棒に話しかけた。
「ならルシェル、お前に任せた!俺、今日は魔法を使えない人だ…昨日の戦いで使いすぎたから…」ラグナはその金色の瞳をこちらに向けず、まっすぐの敵を見据えている。
「それは使いすぎたお前が悪い。…だがこのままではいつになっても私の定位置に戻れないからな…待っていろ、仕留めてきてやる。」
そう言って私は相棒の頭の上から空高く飛び上がって、下を見下ろした。
下でもラグナとリザードマン達の死闘が繰り広げられていた。
その中で一匹だけその輪から離れている奴を見つけた。
おそらくそいつがリーダーで他の者に指示を送っているのだろう。
だとすればこいつ、なかなか頭がよい。
たぶん、人語も話せるだろう…
本当なら説得を試みるのだが、そんなことをしていると我が相棒は奴らの剣に真っ二つにされてるか、体中を突き刺されて血の海に沈んでいるだろう。
「我、放つは闇に染まりし黒き槍!」
私の前に黒い玉が生まれ、それは徐々に槍を象っていく。
「ゆけ!」
合図と共にそれは敵目掛けて飛んでいく。
ドシュ!
目標と貫通するとそれは帰依、それと同時に敵は断末魔の叫びをあげて倒れた。
すると今までラグナと戦っていたリザードマン達は戦うことをやめ、散り散りになってどこかへ去って行った。
おそらくリーダーが倒れて目的がなくなったので、自分の過ごしていた町へ帰っていったのであろう。
「あ"あ"〜しんどかった〜!」
相棒がその場に倒れ込む…おいおいそこは血の海だぞ?
「おい、クリーニング代が馬鹿にならなくなるぞ?起きてさっさと町に戻るぞ!」
「う"〜…鳥のくせに生意気な!」
「その鳥に助けられた人間はどこのどいつだ?」
「くぅっ…分かったよ!起きて帰ればいいんだろ?帰れば!!」
ラグナは悪態をつきながらも渋々と立ち上がった。
それにしても今日の仕事はハズレだった…これからは仕事を選ぶときに盗賊退治はなるべく避けよう…私は良くてもこやつの身が保つかがわからん。
今回みたいな事が起こって、また魔法が使えなかったりしたらしゃれにならん。
こんかいはたまたまリーダーを倒せば終わりだったが、魔族の中ではそれが通じない奴らもかなりいるしな…。
「なぁ、ルシェル…」
不意にラグナが私を呼んできた。
「なんだ?どうかしたのか?」
ラグナは遠くを見つめてこちらを見ない。
「まずいぞ…町が襲われてる!」

つづく...

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