歌


 昼休み、遠くでも近くでも大きな喧噪と楽しそうな笑い声が聞こえる。楽しい昼休み、私は1人で窓辺に腰をかけた。友達は近くでおしゃべりをしながらお菓 子を食べている。教室には15〜6人の人がそれぞれ楽しそうにおしゃべりをしている。私は小さな声で歌を歌った。聞こえないように。それはとても小さく、 自分でも聞き取れないくらい、高く・・・。                                                                                                                              今は友達だと思う。でも、つい最近までかなりよそよそしかった。私には友達がいなかった。休み時間が嫌いだった 。話す相手もいない。気を使って話し掛けてくれる人はいたけど、私は機械的にただ話を聞いて面白くもないのに笑ったりしていた。次の授業の用意をして、受 けるだけ。休みなんかなくてもよかった。勉強は嫌いだけど、この空間から逃れられるくらいならいっそ、そのまま授業を続けてくれたほうがましだった。学校 が早く終わってもすぐに帰った。どこにも寄らず、遊びもせず。家に居たかった。こんな思いをするならいっそ退学したかった。でも、親との約束・・・「学校 はやめない。」・・・お兄ちゃんがやめてしまったので親は神経質になって何度も同じことを言う。だから頑張って学校に行った。辛かった。逃げる方法を考え た。『死』。さぼることも考えたがそれでは親に話が行ってしまう。約束を破ってしまう。だから・・・何度考えたかわからない。でも、逃げちゃダメだと思っ た。こんなところでくたばるヤワな私じゃない。そう思い込んだ。思い込まなきゃ、逃げてしまいそうだったから。                                                                                                                  そして今・・・私は少し学校が楽しくなった 。友達が出来た。あのめげずに話し掛けてきてくれた人を通して他の人とも少しずつ話すようになった。あるグループの中に入れた。まだその子達の名前を呼ん だことはない。そのうち呼べるようになると良い。もう1人で居ても淋しさや孤独を感じることはない。    「ねー、これ食べる−?」「あ、いーな。食べる−、ちょーだい。」                                           私は歌うのをやめて友達のところへ行った。別に特別欲しかったわけじゃないし、そんなに大好きってわけでもなかったけど、妙に美味しく感じた。


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