監修者のことば
首藤基澄
夏目漱石といえば、近代の日本を代表する小説家という評価が高く、熊本時代に熱中した俳句は余技とみなされ、それほど注目されることがありませんでした。近代俳句の祖といわれる正岡子規は夏目漱石の俳句の特色を、(1)意匠斬新(奇想天外)、(2)滑稽思想、(3)漢語、俗語の使用、(4)雄健真面目、と捉えています。古今まれに見る学識とユーモアの持ち主である漱石は、これだけでもう余人のまねのできない句境をきり開いているといえますが、さらにまた者(物)へのやさしい眼差しで、人間味あふれる世界を表現しています。
このたび、カルタを通してそうした漱石の世界へ参入するという試みが、こうして実現することになりました。絵と書は高校生の手になるものです。多様な漱石俳句のイメージを理解する一助となれば幸いです。
「漱石俳句かるた」への思い
森口 恵美子
平成8年、熊本市を中心にして夏目漱石来熊百年記念「’96漱石博」が開催され、さまざまなイベントが行われました。
熊本時代の漱石は旧制第五高等学校の英語の教師として活躍しましたが、そのかたわら俳句にいそしみ、「紫溟吟杜」という俳句の結社をつくりました。漱石の全俳句の中で、約四割にあたる句が熊本時代に詠まれています。
また、美術に対する好奇心も旺盛で、自筆の絵、書などの作品が残されているほか、友人にも心のこもった絵入りのハガキを多数送っています。
この『漱石俳句かるた』はそんな漱石先生を偲び、難解といわれている漱石文学に親しみ、人間らしい漱石の心の一端に触れることができればうれしいという思いから制作することになりました。
「かるた」という昔なつかしい子供たちの遊びをとおして、気軽な遊び感覚で漱石の俳句に親しんでいただければと思っています。家庭や学校などで、家族や友達と一緒にみんなで楽しくかるた会など開いていただければなおさいわいです。
また、選ばれた句には、郷土と深いつながりのあるものや句碑に刻まれているものも多く、付録の地図を利用して、家族や友達同士で文学散歩をしていただければと思います。
なお、かるたの制作に当たっては、「芸術・国語」教育の一環として、熊本市立高等学校(現・必由館高校)の生徒さん、先生方に全面的にご協力いただいたことに心から感謝しています。
「漱石俳句かるた」について
1 制作者 「漱石俳句かるた」制作委員会
2 監修者 首藤基澄 熊本大学文学部教授
3 委員名 委員長 白石 修 熊本市立高等学校長
4 委員 森口 恵美子 元熊本市図書館職員
委員 田中 征一 熊本市立高等学校教諭
委員 小林 孝夫 熊本市立高等学校教諭
委員 永田 満徳 熊本市立高等学校教諭
委員 田島 道孝 熊本市教育委員会指導主事
5 制作 絵 札 美術選択者・美術部(指導・小林 孝夫)
読み札 書道選択者・書道部(指導・田中征一)
解 説 永田 満徳
地 図 田島 道孝 (題字・白石 修)
※企画・発行 森口 恵美子
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2001年6月20日 |
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