5月の津波

第3章  唇の味

自分では解からないが、多分今の自分の顔は真っ赤だろう。
当然だ。初めて女子に告白という物をしたのだ。
ユイは下を向いて黙ってしまった。
少し、沈黙の後、ユイが口を開いた。
「私は・・・ユウジの事・・・、好きやに。」
ユイの顔は真っ赤だった。
その時はは夕方で、少し暗かったがそれでも、
ユイの顔の赤さがわかるほどだった。
多分、ユイから見たら俺の顔もそうなっていただろう。
「だから・・・、もしよかったら、私を、ユウジの彼女にしてくれやん?」
女子からの告白は初めてではなかった。
しかし、これほどグッと来る物はなかった。
正直言って、俺は結構もてるほうだ。
今まで告白された事は少なくない。
今までは全て無理矢理な言い訳をつけて断ってきた。
『今、他に好きな人がいる。』
『今そういうことに興味がない。』
『嫌いじゃないけど、君をそういう感じで見る事は出来ない。』
大体こんな感じだ。
だから今まで付き合った事はなかった。
だけど今は・・・。何かが・・・・・違う・・・!
「いいよ・・・。俺もユイのこと好きやから・・・。」
「ありがとう・・・・。」
二人が自然に向き合い、顔が近づいた・・・。
周りに人はいない。
もし友達に見つかったら、ただではすまない。
唇が重なる。
この瞬間、彼女いない歴14年に終止符をうち。
ファーストキスという物を味わった。
マンガなどでよくある、キスの味。
特にこれと言う味はない。
少し気落ちした。
しかし、ユイの、いや、ユイだけじゃないかもしれないが、
この柔らかい感触。
今までに、唇で感じた事のなかったなかった感触だった。
マシュマロとも違う・・、また何か不思議な・・、
暖かい・・・それでいて優しい・・、感触だった。
これが・・・キスか・・・。
自分の中で不思議なほど納得していた。
唇が離れ、ユイの顔を見た、ユイも俺の顔を見ている。
瞳と瞳が合う。
「好きだ。」
小声で言うと。
「うん、私も。」
小声で帰ってきた。
ユイの後ろに手を回し、抱きしめた。
ユイも俺の後ろに手を回し、抱きしめ合う形になった
少し身長の差があるが、大した問題ではない。
ユイは少しあごを上げ、上を見るように、
俺はあごを引き、少し下を見るように、
そしてお互いのあごが相手の肩の上に乗るように・・・。
耳と耳が触れ合う、なんともくすぐったい感じだ・・・。
髪の香り・・・。シャンプーの香り。
とてもいい香りだ・・・。
少し鼻の頭に当たるのがくすぐったい。
手回してわかったユイの細い体。
しかしとても柔らかい、暖かい・・・体・・・。
他の女子と比べると、少し大きく膨らんだ胸・・・。
服を通して、暖かさと、柔らかさが伝わってくる・・・。
その後、ゆっくり身体を離し、
両手をユイの肩に置いて、
俺はユイの額に、やさしくキスした。
唇とはまた違った、固い感触。
だけどやっぱり少し暖かい。
唇を額から離して、ユイを見る。
ユイはこっちを見て優しく微笑んだ。
俺もそれに答えるように、ユイの瞳を見ながら、微笑んだ。
それから手をつないで家まで帰った。
久しぶりにユイと手をつないだ。
昔の記憶はまだハッキリしないが、なんとなく懐かしい感じがした。
いつの間にか、ユイの家の目の前まで来ていた。
手を振りながら、
「バイバイ。」
とお互いに言い合う。
その後、一人で家に帰り。
ベットに寝転びながら、
もう一度あのシーンを思い出す。
近づくユイの顔・・・、唇の感触。
それと同時に、幼稚園時代の思い出が蘇った。
小さなユイの顔、今の顔をそのまま小さくした感じだ。
当時から、とても大人びて美人だった気がする
今思い出した。幼稚園の時、ユイとキスをしたのを。
その時は、確か・・・、
「ケッコンしよ。」
とか言ってたかな。
なんて生意気なガキ達だ・・・。
かなり恥ずかしくなってきた。
ユイはこの事を覚えているのだろうか・・・?
そんな事を考えていたら少し眠っていた・・・・。
夢でも、キスしてた気がしないでもないな・・・。



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