7.無名
ご存知の方も多いと思うが、現在出版のため奮闘中。
ここで苦労しているのが私が無名であることから来るリスクの存在である。
出版社は異口同音にこうおっしゃる。
「いや面白いです。オリジナリティーもあるしシリーズ化してもいい」
ここまで言われると嫌な気はしない。
脚が宙に浮いた状態で喜び勇んで帰る。
数日後封書が届く。
早速出版条件を見るとこれが手厳しい。
おなじ人間が書いたものかと思うほど。
「諸事情を考慮しましたが、ごとう様が無名の新人であること。
これを考慮するとどうしてもこの条件にならざるを得ません。」
たしかに無名であるということはキャリアがないということ。
実績がないということ。
そりゃそうだ 実績のない者がいきなり「俺を信じろ
必ずもうけさせてやるから」と言っても俺だって信用しない。
バブル崩壊の一番の恐ろしさは実はここにある気がする。
不景気はもちろんだが、それよりもチャンスが減少すること。
余剰資産が少ない銀行は信用度の高い企業や個人にしか金を貸し出すことは出来ない。
すると必然的に実績があるものが対象となる。
同じく家計も先行きが不安だから消費に当たって慎重度が増す。
そうなるとリセールバリューの期待できるものや、
ある程度費用効果が予想できるものだけが消費の対象となる。
実力重視と言いながら実際にはそこで言われる実力とは
「過去において発揮された実力」であり、現在及び将来の実力では相手にされない。
なかなか厳しい社会だ。