集まった僕ら




ヤマグチは別に昨日見た、ネタがすぐ分かってしまうような手品を得意げにしているマジシャンを思い出したり、

近所のひもにつながっている犬が、自分に飛び掛ろうとしてはきそうな顔をしているところを思い出したり

よく分からないおじさんが「いや〜、10本じゃなくて20本だよね」といっているところを思い出して笑ったのではない。

とにかくヤマグチは笑いたかった。

ヤマグチは時に気が狂ったように笑い出す。

医者は病名がよく分からないといった。

母親はそんな自分を捨てた。

自分にマンションを与えてくれた。それだけだった。

金は母親が払ってくれる。でもそれだけだった。

いつしかヤマグチは愛情というものは忘れていた。

ヤマグチと似たような症状を持った若者は、今日もナガイの家に集まった。

訳も分からず笑い出す面子。

なんとなく気があった5人。

サイトウはヤマグチと中学からの同級生。

ナガイはサイトウと高校が同じだった。

イデナカはヤマグチ、サイトウとバイト先が同じ。

イシイはなんだかよく分からないのだが、ただふらっとやってきて友達になった。

よく分からない5人は毎週土曜日になるとナガイの家に集まる。

なぜナガイの家がいいかというと、広いからだ。

ナガイは妙に金持ちで、周りが嬉しがっていた。

詳しくは話したくないらしい。

そのことについては、誰も聴こうとしなかった。

サイトウはとにかく「ガンダム」が好きだ。

ヤマグチはシャアとかしか知らない。

イデナカは銃の知識を持っていた。

パイソンはよく当たるとかガトリングは人の名前なんだよとか、同じ事を毎日言っている。

ヤマグチはイデナカからモデルガンをもらったことがある。

AK47とかいうアサルトライフルだったのだが、見た瞬間笑いがこみ上げてきた。

なぜ自分が笑っているのか分からなかったのだが、とにかく笑っていた。

いつの間にかトリガーに手をかけていて、後ろにのけぞった瞬間弾が発射された。

ナガイの家のあらゆる物が砕け散っていくさまを見て、みんなが爆笑した。

ナガイは半泣きでヤマグチを怒った。

「どぅしてくれるんだ!!俺の家だ!!」

その光景を見て、サイトウはカエルのように飛び上がって笑い、イシイは変な笑い方をした。

「あー、あー」と言いながらそこら辺を駆け回っていたのはイデナカだった。

「おー、すごいですな。これは核弾頭です」

などと訳の分からないことを呟きながらヤマグチはイデナカに銃を返した。


今は訳も無く笑い出していた。

周りは「こいつ噴火するぞ」という目でヤマグチを見ていた。

「おい、ヤマちゃん、そろそろやめなよ。肺が破裂するよ」

サイトウが不思議そうな目で見る。

「いやいや、そうじゃなくてさ、飛び道具が僕の懐にさ」

などとヤマグチは今日も訳の分からないことを言っていた。



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