夢であるように




どれぐらい経っただろうか。

和也は焦げ臭いにおいが鼻を突き、目を覚ました。

目を開けると、何も見えなかった。

ただ、焦げ臭かった。

「なんでこんなに真っ暗なんだ?」

まるで車の上から黒いシートを被せられたように、車内は暗闇だった。

幸い、体は無事なようだ。

座席が壊れ、運転席と助手席のシートに挟み込まれる形で和也は横になっていた。

「こいつのおかげで」

夜目が利いてきた和也は、うっすらとシートの存在に気づいた。

「いったいここはどこなんだ、助けを呼ばないと」

ドアを開ける。不思議なほどすんなりと開く。

外に出て、車の状態を調べようとした、その時。

突然土砂が崩れ、和也の車はあっさりと飲み込まれてしまった。

「なっ・・・」

あと少し遅れていたら・・・。

今までに感じたことの無い恐怖が、ひしひしとこみ上げてくる。

夢であればいいのに、和也は思った。

「ここにいてもしょうがない。助けを呼ぼう」

和也は歩き出した。

歩いていくうちに、和也は異変に気づいた。

「一本道?」

周りは異様なほどの木々に囲まれ、歩いている道だけが綺麗に伸びている。

その一本道はどこまでも続いていた。

まるで、行く先が決まっているかのように。

歩くしかない、和也は思った。

「この先に何かがあるかもしれない」

今ある手段はこの道を歩くことだけだった。

車は土砂に飲み込まれ、ここはどこかも分からない。

持ち物は何も無い。

歩くことだけが、唯一の救いだと思った。


どれぐらい歩いただろうか。

和也は足の痛みに耐え、歩いていた。

肩で息をし始めた。

「疲れた・・・」

そうつぶやき、ふと目に留まった物があった。

「明かり??」

うっすらと明かりが見えている。

和也に力がみなぎる。

喜びと不安で戸惑う心を抱え、早歩きを始めた。

「これで、これで助かるかもしれない」

明かりは徐々に鮮明になっていく。

明かりの正体が、ようやく分かった。

「家だ・・・。一軒家だ・・・。」

目の前には普通の家が建っていた。

周りは木々であふれ、一層家が浮き上がって見える。

表札は無く、二階建ての上の階に明かりが灯っていた。

「誰か・・・いるのか?」

入るか入るまいか・・・。

戸惑った末、入ることに決めた。

「ここにいてもしょうがないんだ」

引き戸式タイプのドアは特殊なガラス張りになっており、ここからでは中が見えない。

インターホンも見当たらなかった。

ドアを叩いてみる。

「すみません、道に迷ったものですが、どなたかいらっしゃいませんか?」

ドラマでありそうなベタなセリフに、和也は苦笑した。

返答は無い。

もう一度。

やはり返答は無かった。

「こうなったら、入るしかない・・・」

和也は意を決して、扉に手をかける。

「お邪魔します」

見上げた先には、異様な光景が広がっていた。



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