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ゴジラvsパジリグス 砂漠の守護神
作:香月

第7話 狂気

長崎県、某市。
港町の1つとして地元に親しまれてきたこの街は今、完全な廃墟と化していた。
すでに国家から見捨てられ今だ復興していない。
高知、大阪、広島よりはましだがこの街の被害の大半は上陸した怪獣ではなく、
迎撃するはずの自衛隊によるものだった。

数時間前

ゴジラが鳥取に向かっている頃、防衛庁は、パジリグス上陸予想地点を長崎に定めていた。
韓国襲撃後、パジリグスはこのまま福岡等に直進すると思われたが、突然進路を変更し日本海から東シナ海へと移動、
遺跡が得たデータから目的地は鳥取であるから、最短ルートを考えると長崎を通る確率が一番高いと判断し、西部方面隊の第4、第8師団に迎撃命令を下した。
すでに海上、航空自衛隊による警戒行動はとられているが、相手は水中にいるためレーザーや粒子ビームといった光線兵器は使えず、
環境への影響のため生物、化学兵器の使用は却下された。
超音波破砕砲やフォノンメーザーといった新兵器の使用には上層部の許可がいるのであるがいまだに許可が下りない。
業を煮やした現場の指揮官は先月配備されたばかりの先行量産型メカエビラでパジリグスを港まで誘導し、
陸と海から挟み撃ちにする作戦を立て、実行した。

港、陸自部隊
04式戦車、8式レーザー自走砲『スナイパー』、
10式牽引型粒子ビーム砲車『トールハンマー』、
11式隊怪獣ヘリコプター『エビルハンター』、
10式重機関砲車『ニードルラット』、
05式レールガン搭載車『ロングバイパー』、
07式超高熱線砲車『サラマンダー』等配備されたばかりの新型が到着した。
92式メーサー自走戦車や93式ツインメーサー砲ですら小さく見えるこれらの新兵器は全て、かつて日本を襲撃した異星人の科学技術を元に開発した物だった。
レーザー、ビーム兵器は勿論のこと、
反重力発生装置や脳波制御等のオーバーテクノロジーも完全な制御に成功した自衛隊は質、量共に世界最強と言っても過言ではないほどの物になっていた。
しかも最近の兵器はすべて遠隔操作が可能になっているため極端に言えば、リモコンをもう人間が数名いれば大部隊をも動かすことが出来るのである。
これは人数不足に悩まされる自衛隊にとってこれほど喜ばしい兵器は無かった。

翌日
メカエビラはゆっくりとパジリグスに近づいていく、
ちなみにメカエビラにもパイロットは乗っていない。
遠くの母艦からの脳波を受けて動くので生命維持装置などの装備が必要ないためにその外見からは想像も付かないほどの安値で製造できるため、量産機となったのである。
メカエビラはパイロットの思い描くように進んでいた、
ゆっくりとパジリグスに近づいていって、一撃喰らわして反転し離脱、怪獣は凶暴な性格が多いから追いかけてくるだろう。
陸自の射程まで引きつけたら海面にあがって陸自の砲撃と共に海中に潜り、パジリグスの注意が陸自に向いている隙をついて背後から攻撃する。
作戦は順調に進んだ、
だが突如としてメカエビラの動きが止まった、そして次の瞬間、メカエビラは反転するとパジリグスに襲いかかった。
だがその鋏が届くより先にパジリグスの長い身体が先にメカエビラを捕らえた。
間接部の1つ1つを締め上げ、さらに頭部に毒牙を撃ちこむ。
不快な感じを与える音を出しながら苦しむようにうごめくメカエビラの頭を食いちぎると同時にメカエビラの胴体はすべての間接部をへし折られ海も藻屑となった。
そして後日パジリグスはその長い身体を最大限に使用して、自衛官達に精神的な攻撃を開始した。
闇夜に動き、巡回にでた隊員を食い、不気味な音を出すなどの攻撃で自衛官達はノイローゼになる者まで出没した。
そして・・・・・・・・。
その精神異常状態がピークに達したとき、彼らは単なる諍いから、殺し合いを始めた。
殴り合いから、鉄パイプやナイフ、銃器、そして最後は戦車やヘリまでも持ち出して、殺し合い、そして。
すべて死んでいった。

廃墟となった街、原形をとどめていない機械、そして所々に散らばっている人間の腕や臓器、
まともな人間がみたら十中八九は胃の中の物を全て吐きだしてしまうほどの街、これでまたひとつの街が、日本から消えた。


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