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| ゴジラvsフリーズガン〜銀世界の悪魔〜 |
| 作:香月 |
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ある夜、ゴジラは海上にいた、 はじめて会った仲間、フレイラスを殺してしまった自分の行為が正しかったのだろうか、 彼は新月となった月に静かに訪ねた。 (もっと早く出会うべきだったのか、それとも始めから出会わなければ良かったのか?) 月は何も答えてくれなかった、 彼は無言のまま背を向けて去った。 第7章 大阪炎上 「キシャァァァァァ!!」 深夜の大阪の街にビルギルスの咆哮がこだまする。 青森で自衛隊との戦闘後、羽化したビルギルスはさらに大きく成長していた。 身長はゴジラ(身長84m体重4万2千t)より一回り大きい。 しかも長い首の先端裂けた口から見える牙は幼虫の時よりも一層鋭くなっている。 揚羽蝶を思わせる巨大な翼に描かれた複数の目の中央にある紅い瞳は生き物の様にうごめいていた。 自衛隊のメーサー戦車の砲塔が青白い光の束をビルギルスに放つ。 だがそれはビルギルスには届かない。 射程が足りないのではない、光線が拡散し翼の目に吸い込めれているのだ。 ビルギルスは身をかがめるとメーサー戦車を一台つかみあげ、かじりつくと中にいる自衛官を喰った。 ビルギルスは触角を器用に使い、 無反動砲を構えた自衛官を捕まえると片手の爪で薄く切り裂くと1つずつ口に入れていった。 まるで刺身のように。 さらにビルギルスは触角から光を放ち自衛官達を焼いていった。 (生は少々、焼き肉はどうかな・・・。) ビルギルスは焼けこげた死体を数個つかみ上げると、口に運ぼうとした。 その時、ビルギルスに向かって戦車隊の砲弾が降り注いだ。 ビルギルスはひどく慌てた様子で避けると片腕を顔の前に出した。 すると片腕の鎌状の部分が光輝き、鎌が大きくなったように見えた。 (・・・切断光線・・・・・・。) 光は鎌のような形状を保ちながら飛んでいくと戦車隊の隣に立っているビルを切り裂いた。 ビルの上の部分が崩れ落ち戦車数両を下敷きにした。 ビルギルスは嬉しそうに笑うと、前に進もうとした。 だが彼は進めなかった。 なぜならそこにゴジラがいたから、ゴジラはビルギルスをにらみつけた。 ビルギルスもにらみ返す。 まさに大阪は嵐の前の静けさ状態だった。 ゴジラは目の前にいる怪獣に敵意を持っていた。 高知で自分が敗退した冷凍怪獣と同じようなものを感じているためだ。 ゴジラにとって宇宙怪獣は敵である。 このビルギルスも地球の怪獣にはとうてい思えないし、思いたくもないのだ。 ゴジラは背鰭を光らせると右腕に電流を流し爪先に集中してビルギルスに襲いかかった。 これに対しビルギルスは冷静にゴジラの腕を掴むと合気道の技のようにゴジラをすさまじい勢いで地面に叩きつけた。 しかしゴジラはあまりダメージを負ってはおらず、回転して尻尾による強打を叩き込む。 だがビルギルスはその巨体からは想像も出来ないほどの素早さでゴジラの一撃をかわすと触角をゴジラの首に巻き付けた。 細い触角がワイヤーの様にゴジラの首に食い込んでいく。 取り外そうともがくゴジラだが触角は徐々にゴジラの動脈に迫っている。 ビルギルスは勝利を確信した、だがその瞬間に隙を生まれる。 ゴジラは触角を掴むとすさまじいほどの力で引っ張った。 油断したビルギルスはゴジラと目と鼻の距離まで引き寄せられた。 ゴジラは口を大きく開けてビルギルスの右目に噛み付く。 声にもならない悲鳴を上げてもがくビルギルスだがゴジラに触手と片腕を掴まれているので離れることも出来ない。 肉がちぎれるような音を立ててようやくビルギルスはゴジラから離れた。 ゴジラはくわえていたビルギルスの右頭半部をかみ砕くと左腕を力強く振り下ろした。 瞬時にブレード状に変化し電気を帯びる。 エレキブレードが完成するとゴジラはビルギルス目がけて振り下ろした。 この速度と力ならビルギルスの心臓に刃が通るとゴジラの脳は計算し実行したのだった。 しかし計算も万能ではない、ゴジラはビルギルスの羽を計算に入れていなかったのだ。 ビルギルスの羽はエレキブレードの刃を受け止めると、電気エネルギーを吸収し怪しく光る。 ゴジラはエレキブレードを抜き、熱線を放った、至近距離ならダメージを与えられると判断したからだ。 だがこの攻撃もビルギルスのエネルギーになるだけだった。 状況を判断したゴジラはエレキブレードを解除した。 その時ゴジラは見た、ビルギルスの不気味な笑みを・・・。 ゴジラは苦戦していた。 熱線を撃っても、エレキブレードで斬りかかっても、ビルギルスに力を与えている様なものなのだからだ。 (・・・・どうする・・・。) 力はゴジラの方が上だが、機動性ではビルギルスの方が圧倒的に有利だ。 飛びかかって首をへし折ろうとしようにも先ほどのように地面に叩きつけられるのがおちだ、だが逃げるわけにはいかない、あの羽さえどうにかできれば。 しかし、後ろに回り込んで引きちぎろうにも高層ビルが密集しているこの地形では身動きが取りづらい。 ゴジラは敗北を悟った。 ゴジラとビルギルスの戦いは自衛隊にとっても重要な出来事だ。 対岸の火事のように考えることは出来ない。 だが借りに戦闘に介入しても2体の怪獣の戦いのとばっちりを喰らって自滅するだけだ。 師団長は両者の消耗を待ち、ここぞという時まで動かぬよう、全軍に命令した。 だが彼は迷っていた。 (ゴジラはいま不利な状況だ、だが助けてどうする、おまえの友を奪った者を救う気か、 ここで奴に恩を売っておけば後先になにか利益につながるかも、空論で判断するのは命取りだ。) 心の中でたくさんの自分が意見をぶつけ合う、そして彼は副官の一言で決意した。 「使用できる全ての火力をビルギルスに集中しゴジラを・・・・・・っ援護せよ!!」 その命令を待っていたとばかりに、砲弾、ミサイル、ロケット弾、ビーム、レーザーとあらゆる武器がビルギルスに突進していった。 ゴジラは驚いた。 人間からの攻撃が来たのだが、自分には当たらず、ビルギルスにだけ集中しているのだ。 ビームやレーザーは熱線と同じく翼に吸収されるが、砲弾やミサイル等に実弾兵器はビルギルスに絶対的なダメージを与えているのだ。 翼が燃えている、それを確認したゴジラは再びエレキブレードでビルギルスに斬りかかった。 「ギシャァァァァ・・・。」 エレキブレードがビルギルスのもう片方の目を貫いた。 さらにゴジラはビルギルスの胸、肩、足と凄まじい勢いで切っていく。 ビルギルスの身体からは血が流れ出し、真っ赤に染まった。 さらにゴジラはビルギルスの喉元に食らいついた。 ゴジラの白い牙がビルギルスの紫色の肉体に食い込み、さらに血を流した。 「キ・・・キェェェェェ・・・・・・。」 比較的静かな叫びがとぎれ、ビルギルスの喉から上は宙に舞い、くるくる回って落ちた。 ビルギルスの首からは血が噴水のように飛び出し、ゴジラをも赤く染め上げた。 ゴジラは右腕でビルギルスの身体をなぎ倒し、近くに落ちた頭を踏みつぶすと空に向かって勝利の咆哮をあげた。 |
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