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ゴジラvsフリーズガン〜銀世界の悪魔〜 
作:香月

序章 黒き闇の中で死を持つ者

彼は長い眠りから目覚めた。
(ここは何処だ・・・俺は・・・誰だ・・・)
身体を起こそうとしたが腕が動かない、
足も、尻尾までもがまるで自分の物ではないかのように動かなかった。
「おい、ここは何処だ? 俺はなぜここにいる?」
声を出したつもりだったが耳には何も聞こえなかった、返事も来ない。
テレパシーを試みてみたが結果は同じだった、
過去を振り返ろうとしても頭の中は朦朧もうろうとしていた。
(ここは何処なんだ・・・俺は何なんだ!?)
叫びたくても声すら出ない・・・。
目と首はなんとか動くようだ、彼は辺りを見回してみた。
奇妙な形をした物が無造作においたようにそこらへんに転がっていた、
ふれようとしたが這うことはおろか、転がることさえできなかった。
徐々に断片的だが記憶が戻ってきた。
(そういえばおれは昔ある島でひとりぼっちだったけ・・・。)
何百年も前、現在大黒島と言う島で彼は仲間を待っていた、
待っていれば仲間が必ず来てくれる。
そう信じて彼は待ち続けた
ある時は大声で助けを求め、
ある時は夜空に浮かぶ月に話しかけ、
またある時は絶望と戦いながら、
彼は待ち続けた・・・。
そして西暦1989、彼は抗核バクテリア弾を撃ち込まれ日本海で眠りについた。
(死ぬのだろうか・・・。)
彼は迫り来る死に恐怖した、だが数分後彼の恐怖は消えた。
(別に良いじゃないか・・・今生き抜いたとして仲間に会えるとも限らないし月もいない、
今ここで死ねたら孤独からも空腹からも解放される、それでいいじゃないか・・・。)
光も届かない深海で彼は人の呼ぶ死神の迎えを待っていた。


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