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| ゴジラ〜恐怖を統べる者〜 |
| 作:ぎどらまん |
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第六章 島津は目前の光景に、思わず目をむいた。 メーサー戦車が爆発したのだ。煙の中から青白い閃光が見えたと思った瞬間であった。まぎれもなく、ゴジラの放射熱線だった。 次の瞬間、もうもうと立ち込める黒煙を突き破るようにしてゴジラの尾が現れた。 尾は俊敏に大地に叩き下ろされ、大地に巨大な窪みを作ると同時に三台の92式メーサー戦車を紙のようにつぶしてしまった。 皆が呆然としている中、ゴジラが煙の中から悠然と出現し、大きく咆哮する。 その強靭な体躯には傷一つなく,声はその力強い重低音を残したままである。 「くそ!」 島津が毒づいた。 その強烈なまでのゴジラの復活は、兵の士気に関る。 事実,島津以外の兵の大半は口を開けたまま,何もできずに突っ立っている状態であった。 (もはや,勝てない) 島津はそう直感した。 と,ゴジラの口が青白い発光を見せ始めた。 温度が変わっているのか,裂けた口の周りの空気がゆらゆらと不気味に揺れる。 (危ない!) 島津の本能が叫んだ。 「総員!車両を降りろ!!身を隠せる場所まで突っ走れ!!!」 島津は叫び,先導になるべく戦闘指揮車を飛び出した。それに続くように次々と兵が車両から飛び出し,近くの岩場に走りこむ。 ゴジラの裂けた口の横から,青白い光が飽和した。 同時に光は光線となって,地表に向けて放たれる。その延長線上には取り残されたメーサー戦車の群れがあった。 空気を裂くような音とともに飛来した熱線が,それらをいとも容易く溶解していく。 さらにゴジラは熱線を吐きながら首を後ろへ捻じ曲げた。後方の高速メーサー車部隊を狙ったのだ。 こちらも熱線の青い光を受け,真っ赤になってなくなっていく。 「グォウガアアアアアアアアアアアアアアアアアォオオオオオオオオオオオオオオオオゥゥゥンンン!!!」 大地を紅蓮の炎に包み込み,ゴジラは優越感に浸るように咆哮した。 そして,ゆっくり前方を見据えると,重厚な足取りでその場を後にした。 岩の陰から人が現れた。 島津である。その後ろからさらに大野,吉田、そして隊員たちが続く。 「吉田,無線は残ってないか?」 「ひとつだけあります。」 「本部と連絡をとってくれ・・・失敗だ・・・とな」 島津の声から,その無念を察することは容易であった。 「隊長,今回は突然のことでしたし,仕方ないですよ!本部に帰って,次の決戦に備えましょう」 島津の後ろから大野が声をかける。しかし,その声にもやはり影があった。 「次・・・か。そう,人類とはそうやって希望をもつことができる。決して叶う事のない・・・な」 突然空から声がして,島津たちは慌ててそちらのほうを見やった。 男が,浮かんでいた。白いコートに身を包んだゲルマン系の男である。 黒髪で,その目は血のように赤かった。 「な・・・なんだ,お前は!」 あまりの信じられない声に,大野が思わず素っ頓狂な声をあげた。 「吾が名は,レドリシア=ガルド。神の代理人である。」 「神の・・・代理人?」 「そうだ。私は神の代理人。かの御方の御意志に在らせられる『浄化』を実行に移さんがため,その先鋒を復活させた。」 「先鋒とは...もしや,ゴジラ!?」 島津が問いただすような声をあげる。 「そうだ。あのものの手によって人類は恐怖し、滅ぼされる。そして...」 レドリシアが右手を広げた。指の間にはあの赤黒い玉が挟まっている。 「『パンドラ』が、すべての生き物を浄化するのだ。」 「浄化...?」 吉田が,レドリシアの言葉を繰り返す。 「浄化だよ... 地球は,今病んでいる。生物の誤った進化の性でな。それをリセットしなくてはならない。新しく,美しい星を作るため...そのための『浄化』だよ。」 「傲慢な...」 「傲慢?それは君たち人類に言えるのではないかね? まるで神のように振る舞い,殺生を遊びのごとく行い,好き勝手に物を創り出すという行為を行ってきた君たちこそ,傲慢という言葉がふさわしい...」 レドリシアが嘲り笑うようにして言う。 「その傲慢の結果が...あれだよ」 レドリシアの人差し指が海に入っていくゴジラに向けられた。 「過ちとはいえ,新たな生き物を創り出すとは...それぞまさに神に対する反逆行為。死を以って報いることだな。」 そこでレドリシアは言葉を切った。その体が少しずつ薄くなっていく。 「悪いが,これ以上君たちに構ってもおれぬ。ゴジラはあくまで先鋒。その後続の準備がまだだからな...」 という言葉を残し,レドリシアはその場から姿を消した。 皆,何が起こったのか解らないような顔をしている。 ただ一人,島津だけがその顔に悔しさを浮かべていた。 「くそ!」 という言葉とともに近くの岩肌にこぶしを打ち付ける。 その手に真っ赤な血がにじんだ... |
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