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ゴジラ〜恐怖を統べる者〜
作:ぎどらまん

第九章

2004年7月2日,午前11時。

4隻の艦艇が,房総半島沖を進んでいた。
イージス艦『さがみ』を旗艦とする『おだわら』,『よこはま』,『かわさき』から成る艦隊である。
1984年のゴジラ上陸後,政府は特殊戦略自衛隊設立と同時に陸海空それぞれの自衛隊の強化も行っていた。
その一環として創られた艦隊である。

『さがみ』艦橋
ドアを開けオペレーターが司令室に入ってきた。
艦長大道寺の前に立ち敬礼する。
「目標が麻酔弾の射程距離に入りました!」
報告を聞き大道寺が頷く。
「空自の様子は?」
「おびき出しの準備にかかった模様。」
「よし,目標が海面に現れた瞬間が勝負だ!」
「了解!」
全員の顔に緊張が走った。

一方,艦隊の前方では航空自衛隊の主力戦闘機『三菱T-00・隼』がしきりに対潜ミサイルを海面に向かって撃ち込んでいた。

『隼』は、1984年以来の自衛隊強化に基づいて,航空自衛隊が2000年に完成させた新型戦闘機である。
『F-15』を基にしており,形は似ているがステルス機能を搭載しているため機首がやや角張った形をしている。
メーサー砲を塔載した「隼改」もあり、こちらは特殊戦略自衛隊が装備していた。

15機編成の『隼』部隊は縦一列になり順番に海面ぎりぎりまで降下しては、ミサイルを撃ち込んだ。
ミサイルは海中深くへと潜航し、やがて爆発する。

「ミサイル命中率、57パーセント」
「目標の動きは?」
大道寺が冷静に尋ねる。
「ミサイルに敏感に反応している模様...浮上を開始しました!」
「相当頭にきてるようだな。よし、航空隊は高度を上げるように連絡しろ」
「了解」

大道寺の指示どおり『隼』編隊はゆっくり旋回しながら高度を上げ始めた。
すぐ下の海面からは次第に水泡が立ち、水を切り裂くような音が大きくなってきている。

「目標、海面現出まであと30秒。目標の全長は180メートル、尾と思われる部分を除けば80メートル。
体重は、測定不能。放射能を大量感知。目標がゴジラである確率...100パーセント」
オペレーターが正確にデータを報告する。大道寺はそれを聞きながら、ゆっくりと視界の先―ゴジラが浮上している地点―を見据えた。
「ゴジラの半身が出たら速射砲を発射。
奴は怒りをこちらに向け、熱戦を発射しようとするはずだ。その隙を突き麻酔弾を発射しろ。
いいな、口以外に当てても、跳ね返される可能性が高い。必ず口に当てるんだ!」
『隼』編隊の航空高度が3000フィートを越えたそのとき。
彼らの真下の海面が真っ二つに割れた。同時に割れ目から巨大な水柱が立ち上がる。
そして、水柱が崩れ去ったそのとき、真っ青な海面に漆黒の巨体が、悠々とその半身を誇示していた。
間違いなくゴジラである。
「グゥガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァォォウウウウウウウウウウウウウンン!!!」
全てを押し潰すような重低音の方向があたりを包む。
「撃て!」
大道寺が叫んだ。
『さがみ』の120ミリ速射砲が発射される。
『おだわら』『よこはま』『かわさき』もそれに続く。
とたんにゴジラの体は黒い爆煙に呑まれた。
「グゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアアゥゥゥゥ!!!」
咆哮するゴジラ。その声に端々から怒りが漏れる。
血走った白濁色の目で艦隊を睨み付け、口を開ける。背鰭から口へと、青い光が移動していく。
「麻酔弾、放て!」
しめたという顔で、大道寺が命じた。
同時に、各艦の後部甲板に装備された発射装置がゴジラに発射口を向ける。
そして、轟音とともにゴジラ向かって四発のミサイルが飛び出した。
耳を劈くような大爆音とともにゴジラを大爆発が襲った。
三発は腹部に命中していたが、『さがみ』の放ったミサイルは、作戦どおりゴジラの口の中で爆発していた。ゴジラの動きが一瞬鈍る。
「さすがは即効性麻酔だ。もう効果が出ているのか」
しかし、その動きの鈍りも一瞬だった。
ゴジラの口内に、再び青白い光が灯り始めたのである。
「な、効いていないのか?」
大道寺のこの驚きの叫びが、彼の最期の言葉となった。
新鋭イージス艦『さがみ』は、放射熱線の一撃で木っ端微塵となってしまったのである。
「グゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアゥゥゥンン!!!」
『さがみ』に立ち上る火柱向かって咆哮したゴジラは、残る3隻を睨みつけた。
「退け!」
旗艦をやられては艦隊として成り立たない。
『おだわら』『よこはま』『かわさき』は次々と反転し、港向かって引き上げ始めた。
が、それを許すようなゴジラではない。
比較的後方に位置していた『よこはま』『かわさき』にその視線を合わせると、巨大な口をぐわっと開き、熱線を放射した。
熱線は青白い曳光を放ちながらぐんぐん2隻に近づき、まず右の『かわさき』の後部甲板を吹き飛ばし沈没させた。
さらにゴジラは熱線をはきつづけながら左を向き、『よこはま』の艦橋を解かし尽くした。
『よこはま』はしばらくの間海上に浮かんでいたが、ついにゴジラの体当たりを喰らい、海中へと没していった。
しかし、それでもゴジラの進行は止まらない。
『よこはま』『かわさき』を葬っている内に、前方を航行していた『おだわら』に差をつけられてしまったのである。
ゴジラは海上を進みながら眉間にしわを寄せ、さらに厳しい眼つきになると、上半身を一気に倒し、大きな水柱を立てながら、海中へと姿を消した。



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