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| ゴジラ〜人の創りしもの〜 |
| 作:ぎどらまん |
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第九章 バン!という机をたたく音がして、一同はスティングスが居座るオフィスに目を向けた。 そこには、鬼の形相で座るスティングスと、それを青い顔で見つめるジョイの姿があった。 「国連軍に邪魔された…ですって?」 「はい…」 答えるジョイの声はどこかか細い。 「それで,何で相手が国連軍だと?」 「ホフマンがそういったので…」 自分で確認しなかったのか、という目で、スティングスはジョイを睨み上げた。 「いえ、私服ではありましたが、確かに一般人とは異なる様子で…あとから確認したところ、どうやら本当に国連軍のメンバーでしたし…」 ジョイがしどろもどろの様子で言い訳を口走った。 相変わらず、スティングスの目は鋭い。 「・・・で、誰だったの?」 「島津です。」 スティングスの問いに答えたのは、先ほどまでデスクに向かっていたはずのホフマンであった。 「シマヅ…というと、あの?」 「ええ、特戦自時代からゴジラと幾度となく争い、レドリシアとも相対している男。我々が、最もマークすべき相手です。」 ホフマンが朗々とした調子で答える。ホフマンも、渡りに船を得た様子で頷いた。 「しかし、そんな相手ならば、なおさら…」 「退くべきだったんです。」 今度は、ジョイが切り出した。 やっと自らの意見が言えるようになり、先ほどまでの硬直した顔とは打って変わり、いつもの冷静さを取り戻している。 「あそこで無駄に抵抗を見せれば、国連軍に我々の計画が知られかねません。 そうすれば、国連を通じてどんな阻止工作が行われるかわかったものではない。 ただでさえ、前回のハワイの被害は、国連におけるわが国の立場を揺るがそうとしているのにもかかわらず、です。」 「君沢が国連軍にかくまわれてしまう可能性は?」 「考えられません。彼女がなぜキューバーを隠しているかを考えれば…」 やっと納得した、という様子でスティングスは椅子に深く座りなおした。 「なるほど、君沢は確かに、『遺跡』が開いた場合のことを恐れて、キューバーを隠している節が強い…と、なれば、ゴジラ討伐に新戦力を欲している可能性のある国連軍に手渡せば、利用されて大変なことになるかもしれない…」 「ですから、君沢はあのあと自宅に逃げ帰った可能性が高い、と考えられます。」 ジョイが自信たっぷりに話を結んだ。 「確かにね。判ったわ。作戦を切り替えましょう。少し危険だけど、彼女のマンションに張り込んで、隙を観て部屋に突入、確保しなさい。」 まだ彼女は自分たちの手の中にある。スティングスは、内心ほっと胸をなでおろしていた。 2006年4月10日の昼時を、島津は作戦室でぼんやりとすごしていた。 前夜のあの女の行動が頭をよぎっているのだ。 「おかしい…」 思わず、こんな言葉が口をついて出てくる。 「昨日の女ですか?」 大野が話しかける。 「ああ…彼女を追っていたやつらは、どう考えてもただのチンピラなんかじゃない。そのして助けられた後の彼女の行動…」 「私たちが国連軍と知ってからのあの慌て様。何か隠してますね。」 島津の言葉を、吉田が続ける。 「うむ。エーベルバッハ。」 島津が後ろを向き、長身のドイツ人に呼びかけた。 「はっ。」 「お前、部下をつけて張り込みをしてくれないか。」 「その…女の店ですか?」 「いや、女をつけて家を探れ。そっちのほうが動きを調べやすい。」 「了解しました。」 エーベルバッハが敬礼し、作戦室を出た。 島津はまた椅子の姿勢を元に戻し、険しい顔で机上の図に目を落とした。 アメリカ西海岸の地図である。 「そろそろ、出る頃かも知れんな…」 島津の言葉で、室内に一気に緊張が走った。 アメリカ西海岸、ロングビーチ沖上空を、真っ白の機体が無機的な飛行を続けていた。 アメリカ空軍無人偵察機のプレデターである。 白色の機体から、僅かながら光が輝いた。 どうやらカメラのフラッシュのようだ。 その光の下には、海面を滑る黒い陰の姿があった。 大統領官邸執務室に、CIA長官のフーコーが呼び出されていた。 「どうだ、キューバーの捜索の様子は?」 「は、所有者はすでに発見しております。恐らくは1両日中に…」 ハワード大統領の問いに、フーコーは自信を持って答えた。 しかし、その答えに、ハワードは意外にも曇った表情である。 「何か…?」 フーコーがいぶかしげに問う。 対して、ハワードは黙って一枚の写真を取り出した。 フーコーがそれを覗き込み、そして絶句した。 「ゴジラ…」 そこには、恐ろしいほどのその巨体を鮮明に映し出された、ゴジラの像があった。 「先ほど、プレデターが捕捉した。確実に本土に向かっている。恐らく、12時間以内には…」 「急がせます。」 フーコーの顔つきが、一気に緊張する。大統領が大きくうなづいた。 ニューヨークにある国連軍本部の屋上に、大爆音がこだました。 午後2時のまぶしい日差しを受け、眉根を寄せた北条が上空を見上げる。 その目にヘリの姿が映ると、彼の眉間にはますます皺が寄った。 |
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