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ゴジラ 怪獣列島
作:MOTHGO

 1 すべての始まり

1945年8月6日、そして9日、広島と長崎に原子爆弾が投下された。
これにより多くの人命が失われ、日本は世界で唯一の核被爆国となった。
そのため第二次世界大戦終戦後、日本人は核を恐れ、核保有国に反核を訴え続けた。

 終戦から9年後の1954年、ついに事件は起きた。
アメリカのビキニ環礁水爆実験である。そしてそれによる第五福竜丸事件。
水爆によって発生した放射性物質、通称「死の灰」をあびたマグロ漁漁船「第五福竜丸」の船員が死亡した。
彼は死に際に
「核による被害者は私を最後にしてほしい。」
と言い遺したといわれている。
 これにより日本の反核運動はさらに活発になった。
だが同年8月、核による被害で史上最大の事件が発生した。
大戸島。ここは漁業を主とした人々が住む質素で平和な島だった。
だがある嵐の夜、この島に巨大生物が上陸する。
生物は民家を破壊し、家畜を喰らい、死者まで出した。
その生物は島に伝わる「呉爾羅伝説」から火炎巨獣ゴジラと名付けられた。
研究者達によるとゴジラは度重なる原水爆の実験により目覚めたものだと推測された。
そして人々が恐れていたことが現実のものとなった。
ゴジラが東京湾に現れた!
その年に設立されたばかりの自衛隊はゴジラの首都東京への進入を防ぐため、海岸線に5万ボルトの電流が流れる電線を張り、戦車隊やジェット戦闘機隊を編成、ゴジラ撃退作戦を展開した。
そしてついにゴジラが上陸する。
 ゴジラは5万ボルトの電線をいとも簡単に引きちぎった。
戦車隊の砲弾は硬い皮膚に弾かれ、ジェット戦闘機隊は口から吐き出される放射能火炎によって撃ち落とされた。
結局、自衛隊の作戦は何の効果もなく、ただゴジラが海に帰っていくのを見ているだけしかなかった。
戦後、復興したばかりの東京は跡形もなく破壊された。
これは日本が経験した第4の核による被害だった。
だが自衛隊は対怪獣軍隊として対陸防衛軍、対空防衛軍、対洋防衛軍、そして対生防衛軍からなる防衛軍と新設され、復興を開始した東京も再び新たな一歩を歩み出した。
だがしかし日本の怪獣災害は始まりにすぎなかった。
 翌1955年、無人島の岩戸島に遭難した飛行士が新たな巨大生物を目撃した。
それは古代暴竜アンキロサウルス(通称アンギラス)だった。
その時は海に姿を消したアンギラスだったが、数日後突如大阪湾に出現した。
 防衛軍の戦車隊が出撃し、撃滅作戦を開始するもゴジラと同等の強さのアンギラスには効果がなかった。
大阪は火の海となり、アンギラスは太平洋の彼方へと消えた。
 ゴジラとアンギラス。
東京と大阪という日本最大の2大都市を破壊された日本は経済的打撃に苦しめられた。
と、同時に防衛軍の責任も大きかった。
その後もゴジラとアンギラスが出現し続けたのだ。
その2体に影響されたのか全く新しい巨大生物も何度も出現していた。
様々な特殊兵器の開発で防衛軍は幾度と無く怪獣を倒していた。
だが一向にゴジラとアンギラスを倒すことは出来なかった。
攻撃力のゴジラと俊敏さのアンギラス。この2大怪獣に対抗する術は何一つなかった。

 そして最初のゴジラ上陸から45年経った1999年、国会議事堂。

 「賛成多数により、対巨大生物兵器開発特別法案は可決されました。」
 対巨大生物兵器開発特別法案とはあらゆる巨大生物に対抗できる兵器を開発することが許される、とういう内容である。
これによりいままでにない最強の対巨大生物兵器の開発が可能になる。
だがそれからいくつもの問題があがった。
まずこれほど強力な兵器を持って外国との関係を保てるかと言うことだった。
そして税金の問題。
これを開発するための資金は国民の税金が使われるのだ。
だがその国民は巨大生物に対しての恐怖心が植え付けられており、対巨大生物兵器の開発は着々と進んだ。

 2004年・対生防衛軍司令本部。

 「松岡大佐、本日より対巨大生物兵器艦長に任命する。」
 そこでは対巨大生物兵器艦長の任命式が行われていた。
任命されたのは松岡隆章、対生防衛軍の大佐であり、防衛軍内でも特に実力のあるエリート集団の一人だった。
任命式が終わり、廊下を歩いている松岡に一人の男が近寄ってきた。
 「松岡さん、おめでとうございます。」
 「おぉ、加藤じゃないか。」
 加藤忠志。彼も対生防衛軍に所属するエリートの一人だった。
松岡と加藤は年齢も階級も一緒だが、まるで兄と弟のような関係だった。
というのも松岡の面影が死んだ加藤の兄とそっくりだったらしい。
また、加藤が対生防衛軍に入隊したのはそれが関係していた。
 「松岡さんなら必ずやってくれると思っていました。」
 「自分でも艦長やれるとは思ってなかったけどな。・・・・・・ところで、おまえは艦長やりたかったのか?」
 「・・・・・・はい・・・」
 少しためらいながら答えた加藤に対して、松岡は意外な返事を返した。
 「そうか。俺はおまえには絶対やってほしくないな。」
 加藤は驚きの表情を隠すことが出来なかった。
 「え?それはどういう・・・」
 「お〜い、松岡く〜ん!」
 突然叫びだしたのは防衛軍トップエンジニアの新星衛だった。今回の対巨大生物兵器の設計、及び建造指揮も担当している。
 「じゃぁなかったな。松岡艦長か、まずはおめでとう。で、やはり艦長ともなると兵器の性能や搭載している装備のことも知ってなくちゃぁいけないだろう?」
 「は、はぁ・・・(しまった!この人は・・・)」
 新星は日本の、いや世界の中でも5本の指に入る優秀なエンジニアだった。
が、そんな新星にも欠点がある。
メカについて話し出すと平気で時計の短針が半周以上回ってしまうのだ。
しかも防衛軍内ではこの人に捕まっていない人間の方が少ない。
 「さて、現物を見ながら私と語ろうじゃないか。はっはっはっはっは・・・」
 「ハハっはハは・・・」
 ひきつった松岡の顔が元に戻り加藤に振り返った。
 「加藤、おまえ来週から休暇で実家帰るんだろ。そこでじっくり休んで戦う意味を見つけるんだ。」
 そう言うと松岡は再び顔をひきつらせ新星と歩き出した。
 「戦う・・・意味?」

 愛知県名古屋市・加藤の実家。

 「お帰りなさい。」
 加藤を出迎えたのは7年前に結婚した妻の幸子だった。
 「ただいま。今日はもう寝るよ。明日は忙しくなるからな。」
 「早いものね、あなたのお兄さんが亡くなって15年も経ったのね。」
 15年前、加藤の兄が住んでいた大阪にゴジラが上陸し、その戦いに巻き込まれた加藤の兄は瓦礫の下で無惨な姿となって発見された。
幸子は加藤の幼なじみでその事はよく知っていた。
そして加藤がゴジラに復讐するために対生防衛軍に入ったことも・・・。
 「・・・今日はもう疲れたから早くフトン敷いてくれ。」

 2004年・某防衛軍基地会見室。

 「カメラの準備良いか。」
 「いつでもいけます。」
 新聞記者、TV局取材者が騒ぐ会見室で今日、ある発表があるのだ。
記者達が静まってしばらくすると、防衛軍官房長官が姿を現した。
と同時にカメラのフラッシュがまぶしく光る。
 「1999年に対巨大生物兵器開発特別法案が可決され、5年が経ちました。
そして我々はついにあらゆる巨大生物に対抗できる最強の兵器を完成させました。
それがこの最強軍艦〔轟天号〕なのです!」
 官房長官の後の大きなカーテンが開くと、その奥に巨大戦艦とその格納庫が現れた。
再びフラッシュが激しく光る。
 「では、この轟天号について新星博士から説明があります。」
 「新星です。この轟天号はゴジラ、アンギラスに限らず、今までに出現した数々の巨大生物のデータをもとに開発されました。
全長70メートル、重量29000トンの巨体を持つ轟天号は空中をマッハ3、水中を60ノット、地中を時速50キロで移動できます。
外装は特殊金属CKK−1を利用した耐熱・放射能遮断合金でゴジラの高温の放射能火炎を完に防御することが出来、怪獣の体当たり攻撃にもビクともしません。
次に装備ですが、通常兵器として4連誘導弾発射機2基と6連ロケット弾発射機2基、魚雷発射管2基を搭載しています。
これらは通常弾以外に、ナパーム弾、照明弾などの特殊弾頭弾の発射も可能です。
他に轟天号のために開発された特殊兵器が4種類あります。
一つ目は怪獣の動きを封じる電子砲です。アンギラスのような俊敏な怪獣に命中すれば動きが鈍くなり、その他の兵器の命中率も上がります。
二つ目はアンギラスのような地中を移動する怪獣に対抗するために開発された地中潜行爆弾TSB−09です。これは弾頭にドリルを装着し、地中の目標めがけて進みます。
しかしこのTSB−09は射程距離が短いので轟天号本体の機首にも巨大ドリルを装着、地中の怪獣を地中から攻撃するのです。
三つ目はゴジラ専用の兵器です。様々な研究者の研究結果によりますとゴジラの心臓部は原子炉と同じような構造だということがわかりました。
そこでその心臓部の活動を抑えるカドミウムを注入したカドミウム弾を搭載します。
核エネルギーを自らの活動エネルギーとしているゴジラの心臓部を抑えられれば、我々に勝機はあります。
その決めてとなるのが四つ目の最強兵器、轟天号の目玉〔冷線砲〕です。
この冷線砲は−273,15度の絶対零度の冷凍波を発射します。
この冷凍波はあらゆるものを凍らせ、粉砕する威力を持つ轟天号の最終兵器です。」
 首相官邸。内閣総理大臣に一報が入った。
 「総理、伊豆大島上空に未確認飛行物体が現れました。生物反応がでています。」
 「何?・・・対空防衛軍出撃、その生物の確認を。状況次第では轟天号出撃。」
 総理の命令でF−15Jイーグル戦闘機2機が飛び立った。

 小笠原諸島上空。F−15J戦闘機の前方を巨大な怪鳥が飛行している。
 「目標の翼長約40メートル、飛行速度マッハ1出ていません。」
 『了解、目標へのミサイル攻撃を許可する。』
 怪鳥が旋回して戦闘機に向かってきた。紙一重でそれをかわす戦闘機。怪鳥は降下し海面すれすれの位置を飛行している。
 「逃げようったってそうはいかねぇぞ。安全装置解除、発・・・」
 「ちょっと待て!あれは何だ、海面が光っているぞ!」
 怪鳥の前方の海面が確かに光っていた。そしてそこから光線が発射された。
怪鳥はそれを避けたが、戦闘機の一機が避けきれず爆散した。
 『どうした、何が起こった!』
 光っていた海面から巨大な物体が姿を現した。そいつは・・・・・・
 「ゴ、ゴジラ・・・ゴジラだ!ゴジラに一号機が墜とされました!」
 『ゴジラ!?二号機、すぐに帰投せよ、すぐに帰投せよ!』
 旋回し、帰投しようとする戦闘機。だがゴジラはその戦闘機めがけて放射能熱線を発射した。
うまくかわす戦闘機だがいつ命中するかわからない。そしてついに・・・
 「うわあああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」

 対空防衛軍司令本部。
 「二号機との通信、切れました。」
 「早速の犠牲者か。轟天号に出てもらうしかないようだな・・・・。」


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