| トップページ----- 前のページ/ 小説一覧/ 次のページ |
| ゴジラ 怪獣列島 |
| 作:MOTHGO |
|
4 アンギラス進撃 ロシア連邦・ハンカ湖。 そこは中国とロシアの国境に位置する湿地である。 多くの野生動物が生息し、ラムサール条約にも登録されている場所だが、今は周りを中国・ロシア軍の戦車隊が包囲している。 空が青くなり、小鳥の鳴き声が聞こえてきた頃、湖の水面が激しく水飛沫を上げた。 その中から出てきたのはアンギラスだ。 それを確認すると同時に一斉砲撃が開始された。 攻撃を受けたアンギラスは悲鳴のような鳴き声を上げた。 アンギラスは攻撃を受けながらも威嚇している。 そしてアンギラスの甲羅が後からめくれはじめた。 突然の行動に戦車隊の攻撃が止まった。 甲羅はそこに生える針が正面を向くまでめくられた。 するとその針一本一本が光り出した。 そしてその光が針を離れ、戦車内に向かっていった。 シベリア低地で空飛ぶ怪獣を倒したのはこれだったのだ。 その光の針・ライトニングフラッシュが直撃した戦車は跡形もなく吹き飛んだ。 アンギラスは体を動かしロシア軍を全滅させた。 再び砲撃を開始した中国軍もライトニングフラッシュで消滅した。 先程まで戦車隊だった瓦礫に囲まれたハンカ湖を後にし、アンギラスは南へ進み出した。 アンギラスは日本海へ出た。 海上を進むアンギラスを迎え撃ったのは対洋防衛軍の護衛艦隊と戦闘ヘリ部隊だった。 一斉射撃による爆煙の中を突き進むアンギラス。 アンギラスは攻撃から逃れるために海中へ潜った。 そこには待機していた潜水艦がいた。 潜水艦から魚雷が発射されるが、アンギラスは直撃を受けながら突進していった。 そして体をひねり、尻尾の先端に出た骨の塊で潜水艦をたたき割った。 さらにそのまま海上目指して浮上した。 海上に飛び出す瞬間、轟天号を破壊した光の刃スラッシュスパイクで護衛艦を真っ二つに切り裂いた。 ミサイルを撃ち続ける戦闘ヘリにはライトニングフラッシュ、潜水艦と護衛艦には己の体とスラッシュスパイクというような使い分けで日本海の防衛隊は全滅していった。 防衛軍作戦司令室。 「状況は!?」 「潜水艦、護衛艦隊全滅。」 「戦闘ヘリ部隊、全滅。」 「F15J編隊目標を捕捉、攻撃を開始しました。」 「冷凍メーサー部隊及び90式戦車隊、あと10分で目標の予想進路上に到達。」 司令官はアンギラスの予想進路が書き込まれた地図を見た。 「新潟か・・・。」 「目標、本土上陸します!」 「第二次戦闘ヘリ部隊を要請、F15、90式、冷凍メーサーと共に目標の進行を阻止し、息の根を止めろ!都市へは入れさせるな!!」 「攻撃開始!」 新潟・上越市。 F15J戦闘機の攻撃もむなしく、ついにアンギラスは日本に上陸した。 「これ以上行かせるな!バルカン砲発射!」 ミサイルを撃ち尽くしたF15のバルカン砲がうなり声を上げる。 が、すべてアンギラスの硬い甲羅にはじき返されてしまった。 そしてその甲羅がめくれ上がり、ライトニングフラッシュの体勢になった。 その時、どこからか飛来した光線がアンギラスの右腕に直撃し、その部分を凍らせた。 「あれは・・・・・あれが冷凍メーサー車か。」 そこにはパラボラ式の砲塔を搭載した冷凍メーサー車と対陸防衛軍の90式戦車隊があった。さらに上空には新たに出撃した戦闘ヘリ部隊もいた。 戦車隊と戦闘ヘリ部隊が一斉に攻撃を開始した。 アンギラスはうまくそれを避けるが、凍った右腕のためにバランスを崩した。 そしてそこに五台の冷凍メーサー車から冷凍波が発射された。 冷凍波はアンギラスの体の各部を凍らせていった。甲羅も凍り付いているためライトニングフラッシュは撃てない。 「今がチャンスだ、一気にトドメだ!」 各部隊から一斉にアンギラスめがけて砲撃が集中する。 アンギラスは爆煙の中に消えた。 「やったのか?」 「ヘリ部隊、目標の確認できるか?」 「爆煙の中で確認は不能。レーダーでももうしばらく・・・・・・」 その時、爆煙の中から巨大なものが飛び出した。 それはアルマジロのように丸まったアンギラスだ。 アンギラスは高速で転がり、甲羅の針で冷凍メーサーと90式戦車を押しつぶしていく。 さらにその衝撃は甲羅の氷を砕いた。 自由になったアンギラスはライトニングフラッシュを放ち、F15と戦闘ヘリを次々に落としていく。 「攻撃隊、全滅。」 司令官は状況の悪さに唸った。 「次の攻撃準備にどれくらいかかる。」 「およそ10分。」 「それまで野放しか。 部隊は市民の避難誘導に全力を尽くせ。これ以上被害を出すな!」 市民の避難誘導が続けられる一方でアンギラスは市街地を横断していた。 ありとあらゆる手を尽くしてきた防衛軍であったが、アンギラスの前では避難活動によって一人でも犠牲者を減らすことしかできなかった。 飛騨山脈麓。 それまで普通に進撃していたアンギラスは、山脈を見上げると土砂を巻き上げながら地中に潜りはじめた。 「絶対に見失うな、生体反応、地震計、熱反応すべてサーチしろ!」 「目標、さらに深く潜っていきます。山脈に阻まれて感知できません。完全にロストしました。」 「くそ、一体どこに現れるんだ・・・・・・」 アンギラスがどこに出現するか全く予想が出来ないため、中部地方全域に避難命令が発令された。 範囲が広いため避難にはかなりの時間が必要だったが、人々はパニックを起こし避難完了は遅れるばかりだった。 当然避難区域には名古屋も含まれており、加藤の妻幸子も避難の準備をしていた。 鞄に荷物を詰めているとインターホンが鳴る。 幸子は小走りで玄関へ向かい、鍵を開けた。 そこに立っていたのは一人の少女であった。 髪をポニーテールに結い、にこやかな顔は性格が明るいことを予想させる。 パーカーにミニスカートという格好も活発そうに見える。 「こんにちは〜!避難準備してますか〜?」 「あら、果歩ちゃん、いらっしゃい。」 見た目通り元気の良い挨拶をしてきたのは新星の娘の果歩である。 果歩は偶然にも加藤の実家近くで一人暮らしをしていた。 加藤と新星が親しくなったのもそれが理由である。 「ウチは特に持っていく荷物とかないんで手伝いに来ました。」 「ありがとう。じゃぁ手伝ってもらおうかな。どうぞ。」 「お邪魔しま〜す!」 二人は避難準備を始めた。 必要なものとそうでないものを分けながら果歩が口を開いた。 「あの〜、ウチのお父さんについて何か聞いてたりしてませんか?」 「え?そうねぇ・・・・・・相変わらず元気そうだけど、なんで?」 「え゛、いやぁ・・・その・・・・・・お父さんあれでも結構アホだから周りの人に迷惑かけてないか心配で心配で・・・・・・」 「でもそれ以上にお父さんのことが心配なのね。いつもうちに来るとお父さんの話ばかりして。」 果歩は顔を真っ赤にして、 「べ、別にそういうワケじゃ・・・ないこともないんですけど・・・・・・お母さんが死んじゃって、家族二人しかいないのにムリ言って一人暮らししてるから、ちょっとは気を遣ってあげないと・・・その・・・・・・」 「優しいのね、果歩ちゃん。」 果歩は顔を真っ赤にしたままうつむいて作業を再開した。 荷物をまとめ終えた果歩は立ち上がり、 「これで最後ですね。結構時間かかっちゃったから早く行きましょ。」 「名古屋空港だったわよね?」 「え〜っと、名古屋空港からヘリコプターで避難区域外まで行くそうです。私ヘリコプターって近くで見るの初めてなんですよ!怪獣が来るのは怖いけどちょっと楽しみ!」 やはり父親似で機械好きなのか、と思いつつ幸子は荷物を持って立ち上がった。 「じゃぁそろそろ行きましょうか。」 果歩も荷物を持ち上げ後に続いた。二人は加藤家をあとにした。 そのころ加藤は一人で悩んでいた。 なぜ松岡は自分を出撃させてくれないのか、ということを。 なぜいけないんだ・・・・・今までずっと一緒に闘ってきたからあの人のことはわかっているつもりだった。 俺が産まれる直前、父は病気で死んでいた。 俺を産んだ母も後を追うように死んでいった。そして俺は兄貴と一緒に親戚の家に引き取られた。 親戚といっても居候である俺たち兄弟はまともに暮らすことなど出来なかった。 食事すら余り物を夜中につまみ食い程度に食べることしか出来ず、いつも二人で部屋の隅に固まっていた。 そしてあの日、俺は熱を出した。 当然親戚一家は全くの無視、兄貴が「病院に連れて行って欲しい」と頼んだ時にこう言ったことを覚えている。 「勝手に行けばいいだろ。」 兄貴はもうこの家には戻ってこないつもりで親戚の財布から金を抜き取り、俺を病院に背負っていったらしい。 俺が4歳のときだ、ほとんど覚えていない。 その日の晩、親戚一家は全員死んだ。アンギラスに家を潰されて。 施設に引き取られた俺たちはやっと普通の生活を手に入れた。 小学校にあがった俺と初めて学校に通うことになった兄貴。 幸子と出会ったのもこの施設の中だったか。 共に辛い思い出があるのでお互いに施設に入った理由は聞かないことにしている。 もちろん今も。 だがその辛さを乗り越えた俺たちは普通の生活を送り続けた。 ずっとこの生活が続くと思っていた。 だが違った。 俺が高校生の時、施設を出て社会人となった兄貴が暮らしていた大阪にゴジラが上陸した。 そして兄貴とは二度と話すことはなくなった。 悲しみに打ち拉がれていた俺を救ってくれたのは幸子だった。 だが俺の気はそれで収まらなかった。 俺はゴジラを倒そうと防衛軍に入ることを志願した。 厳しい訓練をも乗り越えた俺はそこで松岡さんや新星さんと出会った。 同時に怪獣達との戦いで何人もの仲間が死んでいくのを見ることとなった。 そして今、今度は松岡さんがここ「防衛軍緊急病棟」の病室で眠っている。 まだ面会の許可は出ていないためロビーのソファに座っている 。轟天号の修復は出来ているらしいが、最低松岡さんが目を覚まさなければ艦長不在で出撃できない。 アンギラスはいつ暴れ出すかわからない。 ゴジラは倒したという保証がない。 一体どうすれば良いんだ・・・・・・) だがその時、加藤の苦悩をさらに苦しめる最悪の放送が病棟内に響いた。 『緊急事態発生、緊急事態発生。 ゴジラ出現、日本本土に向けて進行中。 繰り返します、ゴジラ出現、日本本土に向けて進行中。対生防衛軍関係者は・・・』 ゴジラは生きていた。 加藤の予想は現実のものとなった。 ゴジラとアンギラスの両方に攻められたらどれほどの死傷者が出るか全くわからない。 加藤はソファに置いていた荷物を持って病棟を走って出ていった。 |
| トップページ----- 前のページ/ 小説一覧/ 次のページ |