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ゴジラ 怪獣列島
作:MOTHGO

7 ゴジラ対アンギラス

 対空防衛軍岐阜基地。滑走路に轟天号が降下してくる。軽い衝撃と共に轟天号の巨体は滑走路に着陸した。同時に何台ものジープやらが近づいてくる。
その中で、加藤は収容された民間人の生存者名簿を見ていた。そしてその中から2つの名前を見つける。

 加藤 幸子。
 新星 果歩。

 加藤は思わず安堵の溜息をついた。今轟天号から降りて基地内に向かっている民間人の中に二人ともいるのだろう。そんなことを考えていた。
 「艦長、民間人の移動完了後の行動は?」
 「各部のチェック、及び応急修理を施し、再び名古屋に戻る。」
 「今度こそゴジラとアンギラスを倒すのですね。」
 「ああ。・・・・・・だが、その前に・・・・・・少し任せても良いかな?」
 副艦長ははじめ「は?」としか言いようがなかった。が、先程まで生存者名簿を眺めていた加藤の顔を思い出し、言った。
 「こんな状況で艦長たるものが個人の理由で動くのはどうかと思いますが・・・」
 副艦長は考えるフリをしてから、
 「今回だけなら良いのではないですか?」
 と言った。
 「ありがとう。」
 加藤はそう言ってから艦長座席を降りて出ていった。
 「しょうがない人だ。」
 ゴジラとアンギラスはお互いに押し合いをしていた。力ではゴジラが勝っているようで、アンギラスは不利と見たのかゴジラを受け流し、自分はジャンプで間合いをとった。
離れた敵にゴジラは熱線を発射する。ゴジラが口から発射する熱線に対し、アンギラスは高速で走り回ってそれを回避している。
先程までアンギラスが暴れていたため、名古屋には障害物となるものが無く、アンギラスの俊敏性は遺憾なく発揮されていた。
ゴジラはアンギラスを追って熱線を放ち続けていたが、アンギラスは突然真後ろにジャンプして熱線を飛び越えた。
一瞬の出来事にバランスを崩したゴジラに向かってアンギラスは突進、すぐ脇を通り過ぎるかと思いきや、尻尾の棍棒がゴジラの腹部を直撃。ゴジラは苦痛の叫びと共に倒れ込んだ。
だが同時にアンギラスも空高くに跳ね上げられていた。カウンターとしてゴジラも尻尾の一撃を与えていたのだ。落下するアンギラスは背中から遠くの建物へ突っ込んだ。
起きあがったゴジラは、頭を振って意識を確かめるアンギラスに再び向かっていった。

 対空防衛軍・岐阜基地内。
 「あ、あそこ!」
 走って近づいてくる加藤を見つけた果歩は叫んだ。
 「二人とも大丈夫だったか!?どこも怪我してないか!?」
 「私は大丈夫だけど、果歩ちゃんが・・・」
 「あ、えっと、ちょっと打撲がいくつか・・・。」
 果歩の白い足には青紫色のアザがあった。
 「ごめんね、我々防衛軍がもっと早くにアンギラスを倒していたら・・・。君のお父さんがすごく心配してたよ。」
 「いえ、別に防衛軍のせいだなんて思っていませんから。・・・でも、お父さんに心配かけないようにしようと思ってるのに、逆に心配かけてばっかりで。」
 加藤は果歩の肩をそっとたたいて言った。
 「大丈夫だよ、それも君のせいじゃない。それに心配してくれる人がいることはとても良いことなんだよ。心配してくれるってことは、それだけ大切に思ってくれているんだ。戦いが終わればお父さんも来られるだろうから、そしたら思いっきり甘えなさい。」
 果歩はしばらく加藤の顔を見つめてから応えた。
 「・・・はい。」
 「よし。じゃぁそろそろ行ってくるよ。」
 「行くって、名古屋に?」
 「あぁ、今日こそはヤツらを倒す。」
 「気を付けて・・・。」
 そっとつぶやく幸子に微笑み返してから、加藤は再び轟天号へ向かって走っていった。

 今度はアンギラスが攻撃を仕掛けていた。甲羅を展開し、ライトニングフラッシュをゴジラに向けて放っている。
ゴジラは崩れきっていない建物の陰に隠れてアンギラスの攻撃を防いでいる。だが崩れかけのビルでは完全に防ぐことは出来ない。
ゴジラは背ビレを光らせ熱線を発射した。
熱線はビルを突き抜けてアンギラスに向かった。アンギラスはまたしてもジャンプでそれを回避する。
ゴジラは再び熱線でアンギラスをねらい撃つが、その連続攻撃でもアンギラスは俊敏に反応して回避している。
遠距離攻撃では不利だ、と判断したのか、アンギラスは熱線の間をぬってゴジラに接近。先程と違うのは、今回は光の刃・スラッシュスパイクを形成している。アンギラスはスラッシュスパイクでゴジラの首を狙う。
それに気付いたゴジラは、前屈みになりその鋭い背ビレで受け止めようとする。だがゴジラが狙っているのはそうではなかった。
2体が交差する。アンギラスは立ち止まり、ゴジラも一歩前に出たところで止まる。お互い後ろ向きのまま静止する。
その時、2本あるスラッシュスパイクの1本が消滅し、それを形成していたアンギラスの甲羅の針が離れ落ちた。
ゴジラが狙っていたのはスラッシュスパイクそのものではなく、それを形成する針の方だったのだ。アンギラスは苦痛の叫びを響かせながら倒れる。
ゴジラは振り返り、アンギラスに向かって熱線を発射。アンギラスはなんとかその直撃を避けるものの、先程のダメージで反応が遅れ、熱線が地面に直撃した際の爆風に吹き飛ばされた。
地面に激突したアンギラスは、次の熱線が発射される前に地面の中へと潜って消えた。
ゴジラは熱線の発射を中止し、アンギラスを探した。どこから来るか・・・・・・。

 轟天号・艦橋。
 「電子砲1基が完全に使用不能。伝達システムに一部障害がありましたが、修復により許容範囲内まで回復しました。他の異常はありません。」
 「了解。今回の戦闘で・・・確実にゴジラとアンギラスを仕留める。」
 「もちろん、それは我々乗組員全員が思い、実現させようとしています。」
 加藤は乗組員を見渡した。
 「これが最後の戦いだと思え!行くぞ、轟天号出撃!!」
 「「了解!」」
 轟天号は再び名古屋に向かって飛んでいった。
 地響きがする。アンギラスはまだ地中に潜ったまま姿を現さない。だが地響きがするということは、まだ近くにいるということだ。
突然地響きと共に名古屋テレビ塔が倒れた。そこか!とばかりにゴジラは熱線を発射、テレビ塔は熱線の直撃を受けて粉々に吹き飛んだ。だが地中まで届かなかったようで、地響きは未だに続いていた。
 轟天号が名古屋に到着した時はそのような状態が続いていた。
 「アンギラスの優勢・・・ですかね。」
 「そうだな。アンギラスが地中にいる間はゴジラに攻撃のチャンスはない。」
 「TSBを使いますか?」
 「いや、もう少し様子を見よう。お互いにもっと弱ってからでもいいだろう。」
 「了解、待機します。」
 ゴジラは絶えず首を左右に振り、辺りをうかがっていた。いつ、どこから攻撃が来るかわからないため、全く気が抜けない。
突然ゴジラの足下の瓦礫が吹き飛んだ。飛び出したアンギラスはゴジラの右腕に噛み付いた。どうにかしようと腕を振り回すゴジラだが、アンギラスの強力な噛み付き攻撃はなかなか離れない。
アンギラスの顔面にゴジラの左拳が炸裂した。衝撃にアンギラスは思わず口を開けてしまい、ゴジラは隙をついて抜け出した。ゴジラはさらに反撃に尻尾攻撃を仕掛けた。だがそれに気付いたアンギラスはジャンプ、縄跳びのように回避し、同時に間合いもとる。
そこでアンギラスは新潟で冷凍メーサー部隊を破ったように、丸まって針玉となりゴジラに突っ込んだ。針玉体当たりの直撃を受けたゴジラはその衝撃に倒れ込んだ。アンギラスは尻尾で地面をたたいて方向転換、再びゴジラに向かって転がる。
起きあがったゴジラは迫ってくるアンギラスを睨む。そして近づいてきたアンギラスを野球の如く尻尾で打ち返した。
空に打ち上げられたアンギラスは落下し、名古屋城に激突。崩れる名古屋城の瓦礫に埋まっていく。そこにゴジラは熱線を発射。名古屋城跡は爆炎に包まれた。
だが炎が消えた時、そこにはアンギラスが地中に潜ったらしき穴があいていた。再び地響きがする。
再びゴジラの足下から出現したアンギラスはゴジラのふくらはぎに噛み付いた。今度はアンギラスを蹴り上げようとするゴジラだが、アンギラスは体を半分地中に埋めたまま噛み付いているため再び苦戦している。動かないのならば、とゴジラは背ビレを光らせる。それを見たアンギラスは急いで口を離して地中に潜る。それを追うようにゴジラは熱線を発射。
するとゴジラの真下の地面全体が爆発、ゴジラの下半身は地面に埋まってしまった。アンギラスはゴジラの真下に穴を掘っていた。ゴジラはそこに熱線を発射したためその穴に落ちてしまったのだ。身動きがとれないゴジラはただの的でしかない。
地上に出たアンギラスは甲羅をめくりあげ、ライトニングフラッシュをゴジラに放った。直撃を受けたゴジラは苦痛の叫び声を響かせた。しばらく攻撃を受けたゴジラはぐったりとしていた。
アンギラスは残った1本のスラッシュスパイクを形成、再びゴジラの首を狙って走り出した。だがゴジラも背ビレを光らせる。それを見たアンギラスは危険を感じて地中へと潜っていった。ゴジラは熱線を発射。だが標的はアンギラスではなく、自分自身だった。
ゴジラは自分で自分を攻撃、爆炎の中へと姿を消した。
アンギラスは地中から半身を出して様子を見ていた。
すると炎の中から熱線が飛び出し、アンギラスのすぐ脇で爆発した。アンギラスは地中へと姿を消した。そして炎の中から出てきたのは、傷付きつつも地中から脱出したゴジラだった。
炎を背に仁王立ちするその姿は、まるで炎の神のようだった・・・・・・。
 「ゴジラのヤツ、相当苦戦していますね。」
 2大怪獣の戦いを見ていた副艦長が言った。 
 「攻撃をするならアンギラスの方だな。」
 「その攻撃でアンギラスが倒れれば、我々は弱ったゴジラを倒すだけになる。逆にそれでもゴジラが敗れたとしても、アンギラスが弱っていて倒せる可能性も高くなる。そういうことですね?」
 「あぁ、正々堂々とはいけないが、そこまで考えていられる状況ではない。」
 「ではそろそろ攻撃準備を。」
 加藤は戦闘命令を下した。
 「よし、全員戦闘配置に付け!TSB−10発射準備!」
 「TSB−10を使うのですか?」
 「アンギラスはゴジラの相手で手一杯だ。今が使い時だろう。」
 轟天号の攻撃準備が始まった。
 大怪獣頂上決戦とでも呼ぶべきか、この戦いは終わりを迎えようとしていた。


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