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ゴジラ 怪獣列島
作:MOTHGO

8 決着の時

ゴジラは再び辺りを警戒している。地中のアンギラスがどこから出てくるかわからないのだ。
ゴジラが体の向きを変えようと一歩前に出たその時、その一歩が地中に埋まり、バランスを崩したゴジラは瓦礫の中に倒れ込んだ。またしてもアンギラスの落とし穴にはまってしまったのだ。
倒れ込んだゴジラの尻尾に地中から出現したアンギラスが噛み付いた。だがゴジラも負けてばかりいられない。ゴジラは尻尾をアンギラスごと空に振り上げた。突然のことにアンギラスはそのまま空高くに放り出されてしまった。
ゴジラはアンギラスに向けて熱線を吐こうと背ビレを光らせる。だが一瞬早くアンギラスはライトニングフラッシュを発射する。仕方なくゴジラは熱線をチャージしきらずに発射。お互いの光線がすれ違う。ライトニングフラッシュを受けたゴジラはその衝撃に倒れ込む。一方のアンギラスも熱線の直撃を受けて弾け飛んだ。
お互いにパワーよりもスピードを優先させたので大したダメージを与えることは出来ていないが、先程の自爆行為で傷ついていたゴジラにはこの大したことのないダメージが命取りとなっていた。現にゴジラは表皮が所々めくれあがり、息も荒くなっていた。
アンギラスはゴジラが起きあがろうとしている間にまたしても地中に姿を消した。
 轟天号では攻撃準備が進められていた。
 「生物反応、サーモグラフィー、地震計すべて使って確実に狙え。」
 「ターゲットシステムにリンク完了。」
 モニターにはゴジラとアンギラスを表す影と、ターゲットをロックする丸い印が映し出されていた。しかしゴジラを翻弄するために絶えず動き回っているアンギラスにロックするのは難しかった。
 「どうにかアンギラスの動きを止める方法がないか・・・。」
 「地上に出てきたところをミサイルで攻撃しては?」
 「いや、こちらに気付かれては意味がないんだ。それでは避けられてしまう。」
 加藤はどうすれば良いのか考えた。と、その時通信が入った。
 「艦長、我々の援護のため、先程のF15編隊が再び出撃しました。無線が繋がっています。」
 『轟天号艦長、我々もゴジラ・アンギラス撃滅に協力させてください。』
 「ならば彼らに先程同様アンギラスの注意を引いてもらっては・・・。」
 「ダメだ!!」
 加藤は頭の中に響くほど大きな声で叫んだ。
 「俺の作戦ミスで優秀なパイロットを死なせてしまった。同じ事をやれば今度もまた死人が出てしまう!そんな作戦は実行できない!」
 『我々はゴジラとアンギラスを倒せれば死んでもかまいません。』
 「では残された人々の心はどうなるのですか?」
 加藤の言葉にF15パイロットは言葉を失った。
 『しかし・・・仲間が戦っている時にじっとしていられないのです!せめて1発だけでも!』
 F15パイロットの訴えも加藤は聞き入れようとはしそうにない。
 「艦長、ならばこうしてはどうでしょうか。」
 副艦長は加藤とF15パイロットに作戦を説明し始めた。
 ゴジラの足下の土が吹き飛び、その中から針玉となったアンギラスがゴジラに体当たりを喰らわせる。ゴジラは衝撃に倒れそうになるが、なんとか踏ん張って攻撃に耐える。
アンギラスは尻尾で軌道を変え、再びゴジラに向かう。そのアンギラスに向けてゴジラは熱線を発射する。だがアンギラスは尻尾で地面をたたき空高くジャンプ、空中で針山から元に戻る。さらに落下の勢いを利用してゴジラに頭突き、ゴジラは今度こそ地面に倒れてしまった。
アンギラスはそのままゴジラの上にのし掛かり、首筋に鋭いキバを突き立てる。ゴジラは苦痛の悲鳴をあげて藻掻くが、全体重でのし掛かってくるアンギラスからはなかなか逃れられなかった。
 「確かに・・・それならどうにかなりそうだ。」
 『それで役に立つのならば。』
 副艦長の作戦に全員が納得した。
 「よし、その作戦を実行する。ただし、全員死なないように。」
 「『了解!』」
 ゴジラはなんとかアンギラスを引き離そうとしていた。そしてアンギラスの首を掴み、力一杯握り締めた。あまりの苦しさにアンギラスはゴジラの首から離れた。
その隙をついてゴジラはアンギラスの横腹を尻尾でたたいた。アンギラスは転がりながら横に吹き飛ばされる。そこにゴジラは熱線を発射する。しかしまたしてもアンギラスはジャンプでそれを避けてしまう。そのジャンプでアンギラスはゴジラとの間合いをとる。
その時、上空に爆音が響き渡る。対空のF15が飛来したのだ。
「第一編隊ミサイル発射!」
 F15編隊からミサイルが発射される。ミサイルは二手に分かれ、それぞれゴジラとアンギラスに命中。2体の真上を通過していくF15編隊。ゴジラとアンギラスは飛んでいくF15編隊を睨み付ける。どちらも撃墜するつもりでいるのだ。
 「今だ、照明弾発射!」
 「照明弾発射します!」
 今度は待機していた轟天号のロケット弾発射機から照明弾が発射された。照明弾は2体の間で炸裂、特別強力に設定された光が2体の視界を一時的に真っ白に変えた。悲鳴をあげて藻掻くゴジラとアンギラス。どうやら照明弾はうまく目潰しとなってくれたようだ。
そこに再び爆音が響き渡る。
 「第二編隊ミサイル発射!」
 先程とは別のF15編隊がゴジラとアンギラスに同時攻撃を仕掛ける。しかし2体は照明弾で視界が全く利かないので何も出来ないでいた。
その間にF15第二編隊は2体の上空を通り過ぎていった。
 「艦長、アンギラスにロックオン完了!」
 「F15編隊、作戦は成功しました!」
 『了解。あとは健闘を祈ります。必ず勝ってください。』
 「了解。」
 加藤は応えた。
 「艦長、発射は!?」
 「まだだ!今のままでは避けられてしまう。アンギラスが避けられない時を狙うんだ!TSB−10、発射準備をして待機!」
 その頃、ゴジラとアンギラスは徐々に視野を取り戻しつつあった。アンギラスはF15編隊が飛び去って行った空を睨み付けた。そこにゴジラは熱線を放った。まだ完全に視野が戻っていなかったアンギラスは熱線の直撃を受けるが、うまく甲羅で防御してダメージを防ぐ。
ゴジラはアンギラスを地中に逃がさないように接近していった。アンギラスもゴジラに接近、お互いに肉弾戦で勝負に出た。
ゴジラは体勢の低いアンギラスに対し尻尾を振った。だがアンギラスはまたしてもジャンプで跳び越えると、そのままゴジラの背中に飛びつき、ゴジラを押し倒した。
前のめりに倒れたゴジラは後からアンギラスの噛み付き攻撃を首筋に受ける。どうにかしてアンギラスを振りほどかなければ、喉笛を噛み切られてしまう。
ゴジラはアンギラスの尻尾に自分の尻尾を巻き付ける。そして力任せに尻尾でアンギラスを引きはがした。さらに尻尾を引き、アンギラスを地面に叩き付けた。仰向けに倒れ込んだアンギラスの腹部に、さらに尻尾を何度も叩き付ける。
だがアンギラスは振り下ろされたゴジラの尻尾を前足で掴むと、その尻尾に噛み付いた。ただし噛み付いたままだと先程のように振り上げられてしまうので、噛み付いては放し、噛み付いては放し、と連続で噛み付く。ゴジラが尻尾を振り上げると、アンギラスは前足を放し、体勢を立て直すためにジャンプで間合いをとった。
ゴジラも立ち上がってアンギラスを睨み付ける。そしてゴジラはアンギラスに向かって熱線を放つ。アンギラスはジャンプでそれを避け、着地すると土埃を巻き上げ始めた。
またしても地中に潜るつもりなのだ。
 「今だ!TSB−10発射!!」
 「TSB−10発射!」
 加藤の命令が発せられた。
轟天号の船首の巨大ドリル、これこそが新開発されたTSB−10なのだ。
もともとの使用目的、轟天号ごと地中に潜ることも可能ではあるが、単体で発射して地中の敵を強力な火力で撃滅出来る。しかし強力なためサイズも巨大になり、轟天号の機体には一発分しか搭載出来ない。TSB−10はまさに一発限りの大技である。
TSB−10は轟天号の機体を離れると、ジェット噴射でアンギラスに向かった。
高速で地中に潜るには、地面を掘ることに集中する必要がある。加藤はその隙を狙ったのだ。そして今、アンギラスはその姿を完全に地中に消した。
TSB−10も地中に突入し、尚もアンギラスに向かって突き進む。
 「着弾まで5秒、4、3・・・」
 レーダーにアンギラスを表す大きな影とTSB−10を表す小さな影が接近する様子が映し出されている。
そして2つの影が重なった時、大爆発が起きて大量の土砂が空中に巻き上げられた。
それと同時に巻き上げられた土砂の中から、アンギラスが悲鳴をあげながら飛び出した。その右腕はえぐれて焼け爛れていた。アンギラスはあまりの苦痛に倒れ込んだ。
ゴジラはその隙を逃さなかった。一気にエネルギーを最高まで高め、トドメの放射能熱線をアンギラスに向けて発射した。熱線は悶えるアンギラスに直撃、次の瞬間アンギラスは吹き上がる爆炎の中にその姿を消した。
そしてゴジラは勝利の咆吼を天に響かせた。
 「アンギラスの巨大生物反応ロスト!」
 轟天号内に歓声が響き渡る。
 「やりましたね、艦長。」
 「ああ、ついにアンギラスを倒したんだ!」
 加藤も喜びの声を上げるが、すぐにまた険しい顔に戻った。
 「全員静まれ!まだ俺たちの仕事は終わっていない。あとはゴジラを倒すだけだ。これが終わったら俺がおごってやる。相手が弱っているからといって最後まで油断するな!いいな!」
 「「了解!!」」
 轟天号乗組員は再び戦闘配置に戻る。
 破壊し尽くされた名古屋。そしてその中央に立つゴジラ。アンギラスを倒すことは出来たが、もはやゴジラはボロボロだった。
だがそんなゴジラに休む暇無くミサイルが飛来、ゴジラに命中する。ミサイルが飛んで来た方向をみるとそこには轟天号がいた。ただしTSB−10=機首巨大ドリルがない状態だった。
小笠原で倒されたことへのリベンジのつもりか、ゴジラは轟天号に向き直って攻撃態勢をとった。
 「ゴジラのヤツ、あの体で戦うつもりですよ。」
 副艦長が言った。
 「しかし生かしておいたらこれからも罪のない人々が死ぬことになる。それだけは出来ない。」
 加藤は考えた。ゴジラは何故日本を襲うのか、何故戦うのか。何か守らなければならない物でもあるのか。
しかし考えても自分にわかるはずもないことに気付き、命令を出した。
 「TSB−09改発射、目標ゴジラの足下。」
 轟天号からTSB−09が発射される。しかしゴジラは全く動かない。
TSB−09改は正確にゴジラの足下に潜り込んで爆発。バランスを崩したゴジラは地面を響かせて倒れた。
ゴジラはもはや虫の息といってもいいほどに弱っている・・・ように見えた。


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