人間の存在と罪

 

 人間は生まれつき善であるという考え方にはどうしてもついていけない。そんなことがあるわけないだろうと、いつも思う。そもそも、人間の存在が、何の利益をもたらしたというのだろうか。自然を破壊し、地球上の生物を次々に滅ぼし、やがて醜く争う。同種族同士で殺し合い、他種族も殺す。そんなものに少しも価値はない。

 殺し合いなどしていない、そう言いたい人も大勢いるであろう。だが、良く考えてもらいたい。たとえば、今入っている高校や大学に自分が入っていなかったら、他の人が1人、そこに入っていた筈だ。例えば、CDのレンタルショップでとあるCDを借りたとする。もしそのCDを借りなければ、他の人がそれを借りていた筈だ。例えば、食料店で食べ物を買ったとする。もしそれを買わなければ、他の人が買える筈だ。そう、何を言いたいか最早分かるであろう。人間は何か行動を起こすごとに必ず誰かに迷惑をかける、ということだ。完璧な善を求めるにならば、静かにこの世から姿を消すべきだ。しかし、誰もこれをしていない。いや、する筈がない。これでは生まれてきた意味がないのだから――。故に、人間は生まれつき善な筈などないのである。

 

 

 

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