□ 2001年08月31日分問題 □
【標準問題】
将棋の千日手 (※ 注釈を参照) の定義は、
かつては「同一手順が連続3回繰り返され
ると千日手が成立」というものであった。し
かし、この定義はまずいということになり、
「同一局面が4回出現したら千日手が成
立」と改められた。どこがまずかったのだ
ろう。
※ 将棋の千日手とは:
例えば図の局面で▲2三銀、△2一銀、
▲2二銀成(または不成)、△同銀と進む
と、元の局面に戻ってしまう。これでは千
日やっていても埓 (らち) が明かないので、
千日手という。千日手が成立すると、先手
と後手を入れ換えて、最初から指しなおす。
解答:
古い定義だと、千日手を成立させずに、いくらでも長い手順を作り出すことが
できてしまうから。例えば図の局面で
A コース: ▲2三銀、△2一銀、▲2二銀成、△同銀
B コース: ▲2三銀、△2一銀、▲2二銀不成、△同銀
とすると、
A, B, B, A, B, A, A, B,
B, A, A, B, A, B, B, A, ...
というような手順で、どこにも3連続同一手順が現れることなく、どんどん
延ばすことができる。この手順の作り方だが、
s0 = "A"
t0 = "B"
s1 = s0 + t0 = "AB"
(文字列の連結)
t1 = t0 + s0 = "BA"
s2 = s1 + t1 = "ABBA"
t2 = t1 + s1 = "BAAB"
s3 = s2 + t2 = "ABBABAAB"
t3 = t2 + s2 = "BAABABBA"
...
s_(n + 1) = s_n + t_n
t_(n + 1) = t_n + s_n
とすることで、s_n にも t_n にも3連続同一手順は現れない。
ちなみに 1983年4月のA級順位戦で米長邦雄棋王
(当時) がこの手を使って
けっこうな時間かせぎをしたことがあった。50
手以上続く膠着状態に
しびれを切らした谷川浩司八段 (当時) が手を変えたが、無理だったようで、
米長棋王の勝利に終った。米長さわやか流返上の一局である。これを契機に
千日手の定義が現行のように改められた。
それにしても、同一手順が3回続かないように注意しつつ、かせいだ時間で
その先の手を読む、というプロの芸当ってけっこうすごい?!